C05犬種・猫種別ケア

ラフコリーのケア|アンダーコートの詰まりを減らす3つの習慣

公開日 2022年2月8日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの草の上に、長い毛の犬が落ち着いて座っている
同じ場所から、性質の違う2種類の毛が生えています。手を入れる道具も、そこで2つに分かれます。写真:Ray_Shrewsberry/Pixabay

ラフコリーの背中の毛を1本つまんで指で送ると、途中でぴんと張って、まっすぐに戻ります。そのすぐ隣で、根元の側から綿のような毛をつまむと、今度は指の中でくしゃりとつぶれます。同じ一頭の、同じ場所から生えている毛なのに、手ざわりがここまで違います。アンダーコートの詰まりは、この差から始まります。硬い毛を滑らせるための道具は、柔らかい下毛の面をよけて通ります。細かく引っかけて綿を取り出すための道具は、まっすぐな上毛を傷めます。つまりラフコリーでは、1本の道具で両方を扱えません。この記事では、上毛を扱う道具と下毛を扱う道具を並べて、使う順番と当てる深さがどう変わるかを書きます。

まっすぐな上毛と、綿のような下毛|ラフコリーで1本の道具が届かない理由

ラフコリーの被毛は二層でできています。外側にあるのが上毛で、まっすぐで、指で送ると張りが返ってくるほど硬い。その内側にあるのが下毛で、こちらは細く、密で、つまむとつぶれます。同じ体の同じ面から、性質のまったく違う2種類の毛が生えています。ここがラフコリーのアンダーコートを考えるときの出発点です。

二層に分かれたのは、この犬種が任されていた仕事の側の事情です。スコットランドの丘で、雨と風の中を一日じゅう歩いて羊を追う。外側の硬い毛が雨と風を受け止め、内側の綿のような毛が空気をためて体温を保つ。役割が分かれているので、毛の性質も分かれました。どちらかが余分なのではなく、二層そろって一つの作りです。

問題は、換毛期に下毛が抜けたあとです。抜けた綿のような毛は、外へ出るときに硬い上毛のあいだを通らなければなりません。上毛はまっすぐで立ち上がっているので、そのあいだに細かい毛が引っかかります。抜けた下毛は、上毛の根元側に留まったまま溜まっていきます。そこへ皮脂が回ると、留まった毛どうしがまとまって、指で押すと弾力のある面になります。

ここで多くの方が手にするのが、いつも使っている1本のブラシです。けれど、その1本が上毛向けの作りなら、下毛の面には届きません。下毛向けの作りなら、上毛のほうを傷めます。2つの毛の性質が違いすぎるので、1本で両方を扱う設計そのものが成り立ちません。手をかけているのに変わらない、という時間の多くは、ここから生まれます。

Note毛が多いから詰まる、という話ではありません

ラフコリーの被毛は量があります。ただ、詰まりを決めているのは量ではなく、性質の違う2つが重なって生えているという構造のほうです。量の話にすると、答えは「もっと長い時間ブラッシングする」になってしまいます。構造の話にすると、答えは「相手ごとに道具を分ける」に変わります。かける時間より、手が届いている深さのほうを見てください。

上毛を通す道具と、下毛を取り出す道具|ラフコリーの2本を比較する

2本の道具を、同じ項目で並べます。比較するのは値段でも大きさでもなく、どこまで届くかと、何に向かないかです。ラフコリーのアンダーコートに手を入れるとき、この2本は別々の仕事をします。片方でもう片方の代わりをさせようとすると、うまくいかないだけでなく、毛のほうが傷みます。

1本目は、上毛を扱う道具です。歯の間隔が広く、先が丸く、長さがあります。硬くてまっすぐな毛の面を、根元から毛先まで滑らせて通すための作りです。この作りだからこそ、柔らかい下毛はよけて通ります。綿のような毛は歯に引っかからず、押されて横へ逃げるだけだからです。上毛の表面はきれいに整うのに、内側は手つかずのまま残ります。

2本目は、下毛を取り出す道具です。歯が細かく、先が内側へ曲がっていて、綿のような毛を引っかけて外へ引き出します。細かく引っかける作りなので、まっすぐな上毛に当たると、そちらも一緒に引っかけます。上毛は硬いぶん、引っかかったまま無理に動かされると裂けます。表面がぼさぼさに見えるようになるのは、たいていこの使い方が続いたあとです。

ラフコリーで、2本の道具がそれぞれ何をしているか
上毛を通す道具下毛を取り出す道具
相手にする毛まっすぐで硬い上毛綿のように柔らかい下毛
歯の作り間隔が広く、先が丸い細かく、先が内側へ曲がる
何をしているか毛の面を滑らせて、流れをそろえる留まった毛を引っかけて外へ出す
届く深さ毛先から中ほどまで根元の側、層を1枚ぶん
向かないこと下毛の面をよけて通ってしまう上毛に当たると、裂いてしまう
動かす向き毛の流れに沿って、長く分けた層に沿って、短く
出番いつも先。毎日のケアの土台上毛が通ってから。換毛期に増える
上毛を通す道具と、下毛を取り出す道具 ラフコリーの上毛はまっすぐで硬く、下毛は綿のように柔らかい。性質が違うので、1本の道具では両方に届きません。使う順番と、当てる深さが分かれます。 同じ被毛の中で、扱う相手が2つに分かれます 上毛を通す道具 歯の間隔が広く、先が丸い 硬い毛の面を滑らせて通す 当てる深さ:毛先から中ほど 出番:いつも1本目 下毛を取り出す道具 歯が細かく、先が曲がる 綿のような毛を引き出す 当てる深さ:層を1枚だけ 出番:上毛が通ってから 2本目を先に持つと、上毛のほうが傷みます
詰まりの差をつくるのは毛の量ではなく、2種類の毛の性質の違いです。

この2本には、上下の関係があります。上毛が通っていない状態で2本目を入れると、歯は下毛に届く前に上毛につかまります。つかまったまま力をかけるので、抜けた下毛は出てこないのに、上毛だけが減っていく。ラフコリーで「とかしてもとかしても内側が詰まっている」と感じるときは、この順番が入れ替わっていることがあります。

逆に、2本目をまったく使わないという選び方もありません。上毛を通す道具は、抜けた下毛を外へ出す仕事をしていないからです。表面をそろえる道具と、中身を出す道具は、別々に要ります。どっちが優れているかという比較ではなく、順番に並べて両方使う、というのがラフコリーでの答えになります。

どっちを先に持つか|指を沈めて確かめる、ラフコリーの見分け方

2本あると決まったら、次は今日どちらから入るかです。毎日2本を全身に通す必要はありません。見分け方の中心は、目ではなく指です。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけで確かめます。次の順で回してください。

  1. 手のひらを背中に当てて、毛の流れに沿って滑らせる

    まず上毛の状態を見ます。手のひらがすっと滑るなら、上毛は通っています。途中で引っかかる、毛先どうしが寄って束になっているなら、今日は1本目だけで終わりです。この段階で2本目を持ち出さないでください。

  2. 毛の流れと直角に、指を1本まっすぐ沈める

    上毛を左右に開くのではなく、指を差し込むように入れます。指が地肌まで届くか、途中で押し返されるか。押し返される深さが、そのまま溜まっている綿の厚みです。届くなら、その場所のアンダーコートは通っています。2本目の出番はありません。

  3. 首まわり・肩・腰・後ろ脚の飾り毛の順に、同じことをする

    ラフコリーは体格があるので、場所によって条件が変わります。首まわりと後ろ脚の飾り毛は上毛が長く、指が止まりやすい場所です。1日で4か所を回そうとしないほうが続きます。今日は首まわりだけ、明日は腰だけ、で足ります。

  4. 指が止まった場所の毛を、1本だけつまんで送る

    つまんだ毛がまっすぐ戻るなら上毛、指の中でつぶれるなら下毛です。止まった場所でつまめるのが下毛ばかりなら、そこは2本目の出番です。上毛ばかりで、それが絡んで面になっているなら、まだ1本目の仕事が残っています。

指で確かめた結果と、どっちを持つか
指で確かめたことその日に持つ道具
手のひらが引っかかる/毛先が束になる1本目だけ。上毛を通すところまで
手のひらは滑るが、指が途中で止まる1本目で通してから、2本目を層1枚ぶん
手のひらも滑り、指も地肌まで届くその場所は今日はやらなくて構いません
指が止まり、つまめるのが上毛ばかり1本目に戻る。2本目を持たない
Pointラフコリーは、見た目では条件が分かりません

上毛はまっすぐで流れがそろっているので、内側に綿が溜まっていても外からは整って見えます。見た目がきれいなことは、アンダーコートが通っている証明にはなりません。抱き寄せたついでに首まわりへ指を沈める、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。手ざわりの差は、続けていれば数日で覚えられます。

順番・深さ・持ち替える回数|アンダーコートの詰まりを減らす3つの習慣

ここからが毎日のケアの話です。3つ挙げますが、毎日回るのは最初の1つだけです。1回のブラッシングの中で決めることが1つ、1か所ごとに決めることが1つ、1年の中で決めることが1つ。決める単位をずらしてあるので、忙しい週でも3つが同時に止まることはありません。

  1. 習慣1:1回の中で、持つ順番を固定する

    毎回、上毛を通す道具が先です。順番を毎回考えないと決めてしまいます。1本目で毛の流れがそろってから、はじめて2本目を持つ。これを固定すると、上毛に2本目を当てて裂いてしまう回数がまとめて減ります。逆に言えば、1本目を飛ばした日は2本目も持たない、ということです。今日は時間がないという日は、1本目だけで終えてください。それでも、順番は崩れていません。

  2. 習慣2:1か所ごとに、2本目を入れる深さを先に決める

    2本目を持ったら、いきなり動かさずに、まず指で毛を分けて層を1枚だけ出します。出した層のぶんだけ道具を通し、終わったら分ける線を少し上へ移す。これを3〜4回くり返せば、その一帯に届きます。深さを先に決めておくと、道具が地肌に当たりません。上から一気に入れると、深さは道具まかせになります。ラフコリーは体格があるので、1か所ずつ区切るほうが結果として早く進みます。

  3. 習慣3:1年の中で、換毛期だけ持ち替える回数を増やす

    ふだんは、1か所につき1本目を数往復、2本目は層1枚ぶんで足ります。春と秋、下毛がまとまって動く時期だけ、同じ1か所で1本目と2本目を2〜3回持ち替えます。1本目で上毛を開き、2本目で層を1枚出し、また1本目に戻して流れをそろえる。持ち替える回数を増やすだけで、道具そのものは増えません。時期が終わったら、回数も戻します。

3つの習慣は、決める単位を揃えていません
何を決めるか決める単位
習慣1上毛の道具を先に持つ、という順番1回のブラッシングの中
習慣22本目を入れる深さ。層を1枚だけ出す1か所ごと
習慣31本目と2本目を持ち替える回数1年の中。換毛期だけ

皮脂の扱いについても書いておきます。留まった下毛が面のまま固まるのは、皮脂が毛どうしをまとめるからです。だからといって、洗う回数を増やす方向へ寄せないでください。洗う回数を上げれば、皮脂と同時に地肌のうるおいも持っていかれます。ラフコリーは面が広いぶん、乾かしきるまでの時間も長くなります。皮脂が気になるときにまず動かすのは、洗う回数ではなく、2本目が層に届いているかどうかのほうです。

Caution固まった面に、2本目を力で入れないでください

指が止まる場所へ、2本目を上から強く入れると、抜けた下毛ではなく、生えている上毛と皮膚を一緒に引っぱることになります。固まった面は、1日に層1枚ぶんだけを相手にしてください。層を1枚出して、出せたぶんだけ外へ運ぶ。顔が振り向く、声が出るというときは、その1か所で手を離してください。翌日にもう1枚を出すほうが、同じ一帯が早く通ります。

1本目を持つ前の一手にそのまま使えるのが、mofuwa のグルーミングスプレーです。布に含ませて、首まわりや後ろ脚の飾り毛のように上毛の長い場所を、毛の流れに沿ってなでるように拭いてください。まっすぐな上毛の滑りがそろうので、1本目の歯が毛先で止まらず、根元まで一度で通ります。舐めても差し支えのない基準(清涼飲料水の規格基準)でつくられているので、拭いたあとを気にしてなめる子にも、量を控えずに使えます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、静電気で飾り毛が広がる時期は、2本目を入れる前の下ごしらえも同じ1本で足ります。固まった面へ直接かけて置くのではなく、布の側に含ませて面へ移してください。

道具を分けても戻る詰まりは、被毛の条件では説明がつきません

ここまでは、上毛と下毛の性質の違いで説明のつく詰まりの話でした。2本を順番どおりに使っていても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、道具や毎日のケアの話として片づけないほうが安全です。

Caution道具の使い分けでは追えない変わり方

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。どれか一つでも重なっているときは、2本目を持つ手を止めて、動物病院にご相談ください。ラフコリーは上毛の下が外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。4か所のうち2か所以上で指が止まる週が続いているなら、その日付を先に書いておいてください。

相談やトリミングの前には、指が止まる場所、いつからか、その日に持った道具の3つをメモしてください。この3つがあると、被毛の条件で説明のつく詰まりなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。出しきれなかった面は、無理に触らずそのまま連れて行ってください。行く前の晩に2本目を入れてしまうと、指が止まっていた深さのほうが伝わりません。

ラフコリーと暮らすうえで、アンダーコートが抜けること自体はなくなりません。二層の被毛は、この犬種が風と雨の中で仕事をするためにそなえた作りだからです。減らせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛が上毛の内側に留まっている時間のほうです。まっすぐな毛と綿のような毛は、別の相手として扱う。順番を固定して、深さを先に決めて、換毛期だけ持ち替える回数を増やす。ラフコリーのアンダーコートで動かせるのは、そこです。

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よくある質問

ラフコリーのブラッシングは、1本のブラシではだめですか?
上毛と下毛で毛の性質が違うので、1本では両方に届きません。上毛を通す道具は歯の間隔が広く、柔らかい下毛をよけて通ります。下毛を取り出す道具は歯が細かく、まっすぐな上毛に当たると裂いてしまいます。2本を順番に使う、というのがラフコリーのアンダーコートでの使い分けです。
アンダーコートを取り出す道具は、毎日使ったほうがいいですか?
毎日でなくて構いません。指を毛の中へ沈めて、地肌まで届く場所には出番がありません。届かない場所だけ、層を1枚出すぶんだけ使ってください。換毛期には出番が増えますが、そのときも上毛を通す道具が先です。順番が入れ替わると、上毛のほうが傷みます。
表面はきれいに整っているのに、内側が詰まっているのはなぜですか?
上毛はまっすぐで流れがそろうので、内側に抜けた下毛が溜まっていても外からは整って見えます。見た目は判断材料になりません。毛の流れと直角に指を沈めて、地肌まで届くかどうかで見てください。アンダーコートが留まっている場所だけが、その日に手を入れる場所になります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。