C02技術・エビデンス

検査機関4社の役割の違い

公開日 2022年2月27日|文=mofuwa編集部

明るい自然光の差す部屋で、淡い色の木の床に寝そべっている金色の犬とグレーの猫
同じ「検査しました」という言葉でも、行によって並ぶ名前の数が変わります。写真:Zachtleven/Pixabay

菌の試験結果が並んだ表の下に、4社の名前が書かれています。ページをめくった先、水質を調べたところには、江東微生物研究所という1社しか書かれていません。同じ資料の中で、行によって検査機関の名前の数が変わる。この違いは、書き手の気分で増えたり減ったりしているものではありませんでした。測る相手が変わると、必要な部屋も器具も、担当する人の専門も変わります。だから1枚の表の下に4つの名前が並び、別の1行は1社で足りている。検査機関の違いは、会社の自慢話としてではなく、資料の行の形として出てきます。この記事では、その分かれ方を1行ずつ追いかけます。

名前が4つ並ぶ行と、1つだけの行|検査機関の違いが資料に出てくる背景

資料の中で、検査機関の名前が出てくる場所は決まっています。表の下、いちばん小さい文字のところです。ふだんは読み飛ばす行なので、名前の数が行ごとに違うことに気づきにくい。気づいたのは、2つのページを並べて見たときでした。

菌とウイルスの試験結果が並んだ表には、株式会社江東微生物研究所、株式会社日本食品分析センター、株式会社ユニオンバイテック、一般財団法人日本繊維製品品質技術センターと、4つの名前が続けて書かれています。ところが、飲みものの成分と同じ基準に照らして水質を調べた行には、江東微生物研究所の1社だけ。同じ資料、同じ水、それでも名前の数が4対1で違います。

行ごとに、何社の名前が書かれているか
何を測った行か書かれている検査機関名前の数
菌とウイルスを相手にしたときの結果江東微生物研究所・日本食品分析センター・ユニオンバイテック・日本繊維製品品質技術センター4社
飲みものの成分と同じ基準に照らした水質江東微生物研究所1社
水分の浸透について測った数値自社での検証(※自社調べ)0社

3行目に注目してください。浸透についての数値には、検査機関の名前が1つも付いていません。自社で測ったものだからです。名前が付いていないこと自体は、隠しているという意味ではありません。ただ、名前が付いている行と付いていない行では、読むときの重さが違います。この違いを見分けられるかどうかが、資料を読むうえでの分かれ目になります。

もうひとつ、資料に書かれていないことも先に書いておきます。4社のうち、どの機関がどの行を測ったのかまでは公開されていません。表の下に4つの名前が並んでいる、というところまでが分かることです。書かれていないものを推測で埋めると、そこから先は資料の話ではなくなります。この記事でも、そこは埋めません。

Note小さい文字の行は、読み飛ばすようにできています

表の下の注記は、紙面でもウェブでも、いちばん小さい級数で組まれます。読まれないことを前提にした場所に、いちばん確かめやすい情報が置かれている。この位置関係は、どのメーカーの資料でもだいたい同じです。検査機関の名前を探すときは、本文ではなく、表の下の1行を先に見てください。

測る相手が変われば、道具ごと変わる|検査機関の違いが生まれる理由

名前の数が変わる理由は、測る相手の側にあります。台所で考えると早い。ケーキを焼くときに使う道具は、はかりと温度計と時計です。粉の重さははかりでしか分かりませんし、オーブンの中の温度は時計では読めません。1つの道具で全部を測れないから、道具が増えます。検査機関も同じことが起きています。

菌を扱う試験には、菌を持ち込んで培養できる部屋が要ります。成分を調べる試験には、混ざったものを分けて量る装置が要ります。布を相手にする試験には、生地を扱う設備と、その分野を長くやってきた人が要ります。同じ「試験」という一語でも、建物の中で使われている部屋がまるで違う。だから、1社が全部を同じ精度で引き受けるほうが、本来は無理のある話になります。

4社が、それぞれ引き受けている問い
検査機関持ち込まれている問いそのために要るもの
江東微生物研究所菌やウイルスを相手にしたとき、生菌はどうなるか。水質は、飲みものの成分の基準に照らしてどうか菌を持ち込める部屋と、培養して数える手順
日本食品分析センターこの水の中に、何がどれだけ入っているのか混ざったものを分けて量る装置
ユニオンバイテック微生物を相手にした各種の試験を、どう組み立てるか微生物を扱う設備と、試験条件の設計
日本繊維製品品質技術センター布や繊維に付いたとき、何が起きるか生地を扱う試験の設備

この表で目を引くのは、微生物を扱える機関が2つ入っていることです。江東微生物研究所とユニオンバイテック。同じ領域を見られる機関が2社いる。なぜ2社なのかは資料に書かれていないので理由は分かりませんが、菌を相手にした行にだけ名前が4つ並んでいる事実とは、つじつまが合います。

繊維の機関が入っていることも、最初は不思議に見えます。犬と猫のケア用品なのに、なぜ生地なのか。被毛は、性質としては繊維に近いものです。そのうえ、ベッド、マット、カバー、服と、布に触れる場面のほうが日常には多い。皮膚だけを見ていると落ちる範囲が、ここで拾われています。検査機関の違いは、そのまま「何を暮らしの一部とみなしたか」の違いでもあります。

ここまでを一行にすると、こうなります。当社の電解水を対象にした試験では、16の菌種・ウイルスについて、検査時間30〜60秒の時点で生菌が検出されませんでした(上記4社による、それぞれの試験条件下での結果です)。この一行の末尾に4つの名前がぶら下がっているのは、幅を持たせたかったからで、1社に頼んで済ませる選択肢もありました。特許5253483の技術でつくった水そのものについて、相手を変えて何度も持ち込んだ結果が、この4つの名前です。

犬と猫の家で表示を読むときの背景|検査機関の違いを見分ける考え方

ここからは、家で表示を読むときの話です。犬や猫のケア用品は、店頭でもウェブでも、情報の並び方が似ています。大きい文字で言い切りがあって、小さい文字で条件が書いてある。検査機関の違いを見分ける考え方は、この大小を逆に読むことから始まります。

  1. 大きい文字を1回とばして、小さい文字から読む

    言い切りの部分は、読んでも比べる材料になりません。先に表の下の注記を探して、そこに名前があるかどうかを見ます。名前がなければ、その数字は社内で測ったものだと考えて読みます。社内試験が悪いという話ではなく、重さが違うという話です。

  2. 名前が付いている行と、付いていない行を仕分ける

    1つの資料の中でも、行によって名前の有無が変わります。犬の皮膚の話に使いたい数字が、名前の付いていない行から来ていることもある。どの主張がどの行に乗っているのかを、指でたどって確かめます。

  3. 測られたのが水なのか、商品なのかを見る

    ここがいちばん取り違えやすいところです。原料の水を測った結果と、その水を使った商品を測った結果は別のものです。主語が「水」で書かれている試験は、水の話までしか言えません。商品の名前で言い換えられていないかを見ます。

3つ目を、うちの商品で正直に書いておきます。mofuwa スキンケアミストについて、ここまでの4社の名前が付いているのは、原料に使っている電解水を測った結果のところまでです。この商品は電解水100%の処方なので、中身としては同じ水が入っていることになりますが、商品としての試験ではありません。だから記事でも、商品を主語にして菌の話をする書き方はしていません。

そのうえで、商品として書けることもあります。スキンケアミストは中身が水だけで、飲みものの成分と同じ基準に照らした水質検査を受けている水なので、その子が舐めてしまう場所にも置けます。耳のふち、口のまわり、おしりのまわり。塗ったあとに舐められると困るものだと、飼い主の手のほうが先に止まります。手が止まらないぶん、当てられる場所の数が変わります。検査機関の名前は、使える場所の広さのほうに効いてきます。

犬と猫で、この読み方が変わることはありません。ただ、猫は自分で毛づくろいをするぶん、口に入る量の見当がつきにくい。猫の家では、水質を調べた行を先に読むほうが、判断が早く済みます。犬の家で散歩帰りの足先を拭くなら、布に関わる行のほうが近い。同じ4社でも、家によって先に読む行が入れ替わります。

4つの名前を覚えるより、1行ずつたどる|検査機関の違いを知ったあとに起きる変化

4社の名前を暗記する必要はありません。覚えておくと変わるのは、名前そのものではなく、資料を開いたときに目が行く場所のほうです。表の下の小さい1行を先に見る癖がつくと、読む順番が反対になります。

検査機関の違いを知る前と、知ったあとの読み方の変化
見るところ知る前知ったあと
最初に読む場所大きい文字の言い切り表の下に付いた注記
数字の扱い大きいほうが良さそうに見える名前と条件が付いているかを先に見る
1つの資料の読み方全体をひとまとめの主張として読む行ごとに出どころが違うものとして読む
分からないことの扱い書いていないので、たぶん同じだろう書いていないので、そこは分からない

いちばん下の行が、この記事でいちばん書きたかったところです。どの機関がどの行を測ったかは、資料に書かれていません。書かれていないことを、こちらで埋めない。4社に分けて測っても、埋まらない隙間は残ります。検査機関の違いを追いかけていくと、最後に手元へ残るのは、言える範囲の狭さのほうでした。

それでも、狭いなりに輪郭のある1行は残ります。菌とウイルスの行には4つの名前が付いていて、水質の行には1つ付いていて、浸透の行には付いていない。この3つの違いを言えるようになれば、次に別のメーカーの資料を開いたときも、同じ順番で読めます。名前を覚えて帰るのではなく、名前を探す場所のほうを持ち帰ってください。

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本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。