C05犬種・猫種別ケア
ビアデッドコリーのケア|毛のもつれを減らす3つの習慣
水を飲み終えたビアデッドコリーのあごに、手のひらを当ててみてください。たいてい濡れています。ごはんのあとも、散歩から帰ったあとも同じです。ビアデッドコリーのもつれを考えるとき、まずここを分けて見てほしいのは、あごの長い毛が1日に何度も濡れるからです。背中は朝から晩まで乾いたままなのに、顔まわりだけは湿っては乾き、また湿る。同じ1頭の被毛でも、置かれている条件が顔と体でまったく違います。この記事では、顔まわりと体を比べたうえで、粒度の違う3つの習慣に分けて書きます。
あごの毛だけが1日に何度も濡れる|ビアデッドコリーで顔と体の条件が分かれる
犬種の名前に「ひげ」が入っている犬は、そう多くありません。ビアデッドコリーのあごには、口のまわりから胸のほうへ向かって、長い毛がまとまって生えています。この毛は、水を飲むときに器へ入り、ごはんを食べるときに食器へ入ります。朝と夜のごはん、その合間の水。1日に何度も、確実に濡れます。
一方で、背中やわき腹の被毛は、雨の日と洗う日を除けばほとんど濡れません。ビアデッドコリーはダブルコートで、上毛はまっすぐで長く、下毛はやわらかく密に詰まっています。同じ長さの毛が全身を覆っているのに、濡れる回数だけが場所によって桁違いに違う。これが、この犬種のもつれを考えるときの出発点になります。
濡れた毛は、乾く途中で毛先どうしが寄ります。寄ったまま乾くと、そこが次のもつれの芯になります。だから顔まわりのもつれは、乾ききるまでのあいだに何度もつくり直されています。体のほうは、そういう作られ方をしません。体で起きるのは、動いたときの毛どうしのこすれと、下毛が抜けたのに外へ出られないことによるものです。
| 顔まわり(あご・口のまわり) | 体(背中・わき腹・後ろ脚) | |
|---|---|---|
| 濡れる回数 | 1日に何度も。食事と水のたび | 雨の日と洗う日だけ |
| もつれのきっかけ | 濡れて寄った毛先が、そのまま乾く | 動きによるこすれと、抜けた下毛 |
| 進む速さ | その日のうちに固まりはじめる | 数日から1週間かけて広がる |
| できる深さ | 毛先から中ほどまで | 根元寄りに、面で広がる |
| 混ざるもの | 水、食べもの、よだれ | 抜けた下毛、外から拾ったもの |
| 手を入れる間隔 | 1日に何度も、その場で | 週に一度、時間を取って |
| 使うもの | 指と、乾いた布1枚 | コームと、根元まで届くブラシ |
この表でいちばん大事なのは、いちばん下の2行です。手を入れる間隔と、使うものが変わります。顔まわりに週1回のブラッシングを当てても間に合いませんし、体に「その場で毛先を拭く」をくり返しても根元には届きません。ビアデッドコリーのもつれを減らすというのは、この2つを別々に回すという意味になります。
あごの毛を短くすれば濡れる量は減ります。ただしビアデッドコリーの顔まわりは、その子の見た目の印象そのものでもあります。短くするかどうかを決める前に、まず「濡れた直後の数十秒」を回してみてください。そこだけで手ざわりが変わるなら、長さは変えなくてすみます。切るかどうかは、やってみてから決めても遅くありません。
習慣1|濡れた直後の数十秒に、ビアデッドコリーの毛先だけを扱う
1つめは、1日に何度もくり返す習慣です。あごの毛が濡れたその場で、毛先だけを乾いた布ではさむ。時間は数十秒、道具は布1枚。これだけです。器から顔を上げた瞬間がいちばん水を含んでいるので、そこで一度水を移してしまうと、乾くまでの時間がはっきり短くなります。
- こすらない:往復させると、毛先どうしが逆に寄ります。はさんで、下へ抜くだけです
- 根元は触らない:この習慣で扱うのは毛先だけ。根元は週の作業で見ます
- 器のふちも一度なでる:ふちに残った水が、次に顔を入れたときにまた付きます
- 食べもののかけらは、乾いてから外す:濡れているうちに引っぱると、周りの毛まで巻き込みます
- 1日の回数は数えない:濡れたときが回数です。決めた回数を守るものではありません
この習慣が効いてくるのは、ビアデッドコリーのもつれが「濡れて、寄って、乾く」という順番でできるからです。濡れた状態のまま置く時間が短ければ、寄る前に乾きます。逆に、水を含んだまま数時間置いた日は、夕方には毛先がひとかたまりになっています。手を入れる場所が同じでも、入れるタイミングで結果が変わる、という意味です。
布を当てるついでに、指を毛の中へ1回だけ通してください。途中で止まるところがあれば、そこが今日できはじめたもつれです。この時点なら、指の腹で下へすべらせるだけでほどけます。止まる場所は、口の下の中央と、あごの両脇に出ることが多くなります。ほどけないものを見つけたら、無理をせず、週の作業まで持ち越してください。
床に置いた器に顔を入れる姿勢では、あごの毛が水面に広く触れます。器を少し高くして、口だけが届く形にすると、毛が水に入る面積が減ります。深い器を浅いものに替えるのも同じ効果です。手入れの回数を増やす前に、濡れる量そのものを減らせるところがないか見てみてください。習慣1が続かない日でも、ここは効いてくれます。
習慣2|体は週に一度、根元まで指を入れる日を決める
2つめは、週の単位で回す習慣です。顔まわりと違って、体のもつれは根元のほうから広がります。ビアデッドコリーはダブルコートなので、抜けた下毛が長い上毛にひっかかって外へ出られません。留まった下毛が、そのまま面のもつれの芯になります。表面をとかすだけでは、この芯には届きません。
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曜日を決めて、体だけの時間をつくる
顔まわりのついでにやろうとすると、たいてい表面で終わります。週に1日、体のためだけに20分を取ってください。ビアデッドコリーは体が大きいぶん、面積があります。1回で全身を終わらせようとせず、上半身の日と下半身の日に分ける形でもかまいません。
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毛を左右に分けて、地肌が見える線をつくる
片手で毛を持ち上げ、地肌の見える線を出します。そこへブラシを当てて、根元の側から少しずつ上へ移していきます。上から全体をとかすやり方では、この線が一度もできません。ビアデッドコリーの被毛は長いので、線を作らないと道具が根元まで届きません。
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ブラシのあとに、必ずコームを通す
ブラシで表面が整っても、根元に残った下毛はそのままのことがあります。コームの歯が途中で止まるなら、まだ抜けた毛が残っています。コームがすっと抜けたところだけが、終わった場所です。止まった場所には印をつけるつもりで、もう一度ブラシを戻してください。
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もつれを見つけたら、根元を押さえてから毛先へ
面になったもつれは、根元を指ではさんで固定します。そのうえで毛先の側からコームを入れ、少しずつ上へ移します。根元からブラシを入れると、皮膚ごと引っぱることになります。ここで全部を外しきる必要はありません。その日に半分ほどければ、次の週に残りを扱えます。
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終わった場所と、残した場所を1行だけ書き留める
全身をやろうとするほど、どこまで進んだか分からなくなります。「今日は左の後ろ脚まで」で足ります。この1行が、次の週の開始点になります。同じ場所ばかりを何度も扱って、別の場所が1か月手つかず、という形を避けられます。
もつれる場所は、体のなかでも決まっています。前脚のうしろ、脇、後ろ脚の内側、しっぽのつけね、首輪の下。いずれも、動くたびに毛どうしが合わさる場所です。週の作業では、この5か所から先に手をつけてください。背中はいちばん目につきますが、いちばんもつれにくい場所でもあります。順番を入れ替えるだけで、同じ20分の中身が変わります。
もつれたまま水を含ませると、束がさらに締まります。ほどいてから洗う、が順番です。洗う回数そのものを増やすのも、この犬種では勧められません。うるおいが落ちると毛の表面がざらつき、かえって毛どうしが引っかかるようになります。ほどけないものを無理に引き抜く、ハサミを入れるも避けてください。地肌が赤い、においがあるといったときは、ほどく手を止めて、毛ではなく地肌の側を先に見てください。
習慣3|換毛期と乾いた時期に、顔と体で道具を分ける
3つめは、季節の単位で見直す習慣です。ビアデッドコリーは、時期によって顔まわりと体の忙しさが入れ替わります。換毛期は体のほうに手がかかり、空気が乾く時期は顔まわりのほうが荒れます。1年中同じ道具と同じ間隔で回していると、忙しいほうに手が足りなくなります。
| 時期 | 顔まわり | 体 |
|---|---|---|
| 換毛期(春・秋) | ふだんどおり、その場で毛先 | 抜けた下毛が上毛に留まる。週2回に増やす |
| 空気が乾く時期 | 静電気で毛先が広がる。湿らせてからとかす | 静電気でこすれが増える。ゆっくり動かす |
| 湿度の高い時期 | 乾くまでの時間が延びる。布を当てる回数を足す | 根元が乾きにくい。分ける線を細かく |
| それ以外 | その場で数十秒 | 週に一度、20分 |
換毛期の体は、道具の選び方が変わります。表面をなでるブラシでは、根元に留まった下毛が動きません。この時期だけは、根元まで届く道具を先に使ってください。そのかわり、同じ道具を顔まわりに当てないこと。あごの毛は下毛が少なく、細い歯を入れると毛先が切れます。使い分けの線は、体と顔のあいだに引きます。
空気が乾く時期は、静電気の話になります。とかすほど毛先が広がって、離れていた毛どうしが寄ってきます。布をわずかに湿らせて、毛の表面を一度なでてからとかしてください。しずくが落ちるほど湿らせる必要はありません。顔まわりはもともと濡れる場所なので、この時期の手当ては体のほうに向けます。うるおいが残っているうちは、毛先の引っかかりも起きにくくなります。
とかす前に毛の表面を整えておくと、乾いた時期の引っかかりは目に見えて減ります。mofuwa グルーミングスプレーは無香料の水でできていて、清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、毛をなめる犬でも量を気にせず使えます。布に含ませてから、とかす方向に沿って毛の表面を一度なでてください。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、静電気で毛先が広がる時期ほど、この一手間で毛の寄り方が変わります。あごの毛は1日に何度も濡れる場所なので、使うのは体の側からです。毎日きれいにしておきたい犬種なので、週1回の作業とは別に置ける手入れになります。
習慣1は回数の単位(濡れるたび、数十秒)、習慣2は週の単位(曜日を決めて20分)、習慣3は季節の単位(時期ごとに道具と間隔を見直す)です。3つを同じリズムに揃えようとすると、いちばん細かい習慣1が真っ先に落ちます。別々のものとして、別々に覚えてください。
顔と体を分けて回しても、同じ場所のもつれが戻るとき
ここまでは、濡れる回数とこすれで説明のつくもつれの話でした。3つの習慣を回しているのに、同じ一か所だけが何度も戻るときは、別の見方をしてください。ビアデッドコリーのもつれは、5か所と顔まわりに散らばって出るのがふつうです。片側だけ、あるいは1点だけがくり返すのは、毛の条件では説明がつきません。
- いつも同じ1か所だけ:首輪、ハーネス、寝床の縁など、毎日当たっているものを思い出してください
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。もつれより先に皮膚のほうを見てください
- ほどいたあとの地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
- あごの毛が根元から抜けて、地肌が見えている:手入れの話ではありません
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、ほどく手をその場で止めてください
もつれの下の地肌が赤い、じくじくしている、においがはっきり変わった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。これらは濡れる回数やこすれでは説明のつかない変化です。当てはまるものがあれば、自分でほどこうとせず、動物病院で地肌を見てもらってください。長い被毛の下は外から見えないので、毛を分けて地肌を見た日付を控えておくと、変化の速さが伝わります。濡れた直後の数十秒は、その日も続けてかまいません。
相談やトリミングの前には、もつれの場所、いつから気づいたか、顔まわりと体のどちらかの3つをメモしてください。この3つがあると、濡れる回数で説明のつくもつれなのかどうかが、その場で切り分けられます。ほどけなかったところは、無理に触らずそのまま連れて行ってください。ほどこうとした跡があると、もとの状態が分からなくなります。
ビアデッドコリーと暮らすうえで、あごの毛が濡れることは変えられません。名前になっているほど、この犬種の一部だからです。顔と体をひとつの作業にまとめようとせず、別の間隔で回す。濡れたらその場で数十秒、体は週に一度、季節ごとに道具を見直す。3つの粒度を分けておけば、ビアデッドコリーのもつれは、今より確実に減らせます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- ビアデッドコリーのあごの毛は、短く切ったほうがいいですか?
- 切れば濡れる量は減りますが、その前に「濡れた直後の数十秒」を試してみてください。器から顔を上げたところで、乾いた布に毛先をはさんで水を移すだけです。これで手ざわりが変わるなら、長さは変えずにすみます。器を少し高くする、浅いものに替えるといった工夫でも、水に触れる面積が減ります。
- 体のブラッシングは毎日やったほうがいいですか?
- 毎日やることよりも、週に一度、根元まで届く時間を取るほうがこの犬種には合っています。ダブルコートなので、抜けた下毛が長い上毛に留まり、それが面のもつれの芯になります。表面を毎日なでても、この芯には届きません。曜日を決めて20分、毛を分けて地肌の見える線をつくってください。換毛期だけは週2回に増やします。
- 顔まわりと体で、同じブラシを使ってもいいですか?
- 分けたほうが安全です。体には根元まで届く道具が要りますが、あごの毛は下毛が少ないので、同じ細い歯を当てると毛先が切れます。顔まわりで使うのは、指と乾いた布1枚で足ります。もつれを見つけたときだけ、目の粗いコームを毛先の側から入れてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
