C05犬種・猫種別ケア

コモンドールはなぜ脇や内股の蒸れが起きやすいのか。巻毛から考える

公開日 2022年3月1日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、白く長い毛の大型犬が静かに立っている
コードは、細い毛が寄り集まってできた1本の束です。外から見えないぶん、乾いたかどうかも外からは分かりません。写真:Helena Lopes/Pexels

コモンドールの脇でコードを1本つまんで、指の腹で押してみてください。表面は乾いているのに、押した指先だけがひやりとする日があります。コモンドールの蒸れは、こういう形で始まっています。脇や内股という場所の話だけではありません。コードは、細い毛が寄り集まって1本の束になった被毛です。束の中心には、外から風が入りません。そして太いコードほど、芯まで乾くのに時間がかかります。この記事では、なぜコードの中が乾かないのかを先に書いて、そのあとに家でできる乾かし方を手順で並べます。

拭いた体は乾いても、コードの芯は濡れたまま|コモンドールの蒸れが見えない理由

洗った日の夕方に、背中をなでてみる。もう乾いています。脚の外側も、しっぽも乾いています。それなのに脇へ手を差し入れると、そこだけがまだ重い。コモンドールと暮らしていると、この時間差に何度も出会います。拭き残したわけでも、乾かす時間が足りなかったわけでもありません。乾く速さが、体の場所ごとに何倍も違っているだけです。

コモンドールの被毛は、生まれたときから房になっているわけではありません。子犬のうちは、やわらかく波打った毛です。育つにつれて上毛と下毛が互いに絡み、少しずつ房のかたまりになっていきます。そのかたまりを人が指で裂いて分けていくことで、1本ずつのコードになります。太いものは指ほどの太さになり、長い子では先が床に届きます。色は白です。

ここが、ほかの長毛の犬種といちばん違うところです。ふつうの被毛は、毛と毛のあいだに隙間があります。隙間は外へつながっているので、体を動かせば、そこを空気が通り抜けます。コードの中には、外へつながる隙間がありません。絡み合った毛が束のまま固まっているので、水は入っていけるのに、風は入っていけない。この差が、そのまま乾く時間の差になります。

脇と内股が話に出てくるのは、そこで体の面どうしが合わさるからです。前脚の内側と胸、後ろ脚の内側どうし。合わさった場所では、コードが押しつぶされて、束と束のあいだの隙間まで消えます。つまりコモンドールの蒸れは、場所の条件とコードの太さが重なったところに出ます。片方だけを見ていると、乾かしても乾かしても同じところが湿る、という形になります。

コード1本の中で、乾く順番が分かれる コードは細い毛が絡み合った束です。表面には風が届きますが、束の中心までは届きません。外から見えるのは乾いた表面だけなので、芯が湿っていても気づかないまま次の日が始まります。 表面 乾く 中間 遅い 芯 残る 風が届く 風が入らない 表面だけで決める 芯が湿ったまま閉じる 翌日も同じ場所が湿る 芯をつまんで確かめる 時間ではなく手ざわりで見る 湿っていれば風を足す
乾いたかどうかは、表面ではなく芯をつまんで確かめます。

もうひとつ、この犬種ではブラッシングという形の手入れになりません。ブラシを入れれば、時間をかけて分けてきたコードがほどけてしまいます。コモンドールの毎日の手入れは、とかす作業ではなく、分ける作業と乾かす作業です。そのぶん、手を動かす時間の使い方も、ほかの犬種とは変わってきます。

Noteコードは、ブラシでとかす被毛ではありません

長い被毛を見ると、つい根元からブラシを通したくなります。けれどコモンドールでは、ブラッシングの代わりに、根元のほうから指でコードを裂いて分けていきます。くっつきはじめた束を、細いままに保つための作業です。分けておけば、束と束のあいだに風の通り道が残ります。乾かす時間そのものが短くなるので、この作業は蒸れの話とつながっています。

乾ききるまで数時間かかる前提で組む|コモンドールのコードを乾かす手順

手順に入る前に、ひとつだけ決めておくことがあります。コモンドールのコードを乾かす作業は、一度で終わらせる作業として組むと、たいてい途中で終わります。表面が乾いたところで手が離れ、芯は濡れたまま夜になる。だから最初から「その日のうちに何回か戻ってくる」形で組んでください。手順は、そのつもりで並べています。

  1. 濡らす前に、乾かせる時間があるかを先に決める

    洗うかどうかを決めているのは、汚れではなくそのあとに空いている時間のほうです。夜に洗いはじめると、芯が乾ききる前に寝る時間になります。半日ぶん手が空いている日を選び、午前のうちに始めてください。時間が取れない日は、洗わずに済ませる手のほうを選びます。

  2. 水を含ませたら、こすらずに、コードを1本ずつ握って絞る

    布で全体をこすっても、動くのは表面の水だけです。根元のほうを手で握り、そのまま毛先へすべらせて、水を下へ送り出します。1本ずつ、上から下へ。ここで出しきった水の量が、そのまま乾く時間を短くします。ねじらないでください。ねじると束の形が崩れます。

  3. 脇・内股・首の下から先に手をつける

    合わさる面のコードを、体からそっと離して垂らします。ここを最後に回すと、ほかの場所を乾かしているあいだじゅう、閉じたまま湿っていることになります。乾きにくい場所から始めて、乾きやすい背中を後ろに回す。順番を入れ替えるだけで、終わる時刻が変わります。

  4. 風は、コードの表面ではなく、束と束のあいだへ通す

    送風を表面に当て続けても、芯までは届きません。指で束を左右に分けて、できた隙間に向かって風を送ります。温度は低めにして、距離を取ってください。太いコードの芯まで温めようとして高い温度を近づけると、先に地肌のほうが熱を受けます。時間で押しきる場所ではありません。

  5. 数時間後に、もう一度いくつかの芯をつまんで確かめる

    乾いたかどうかを決めるのは、経った時間ではなく手ざわりです。脇、内股、首の下、しっぽのつけね。この4か所からコードを1本ずつ選んで、指の腹で押しつぶします。ひやりとしたら、そこだけもう一度風を入れてください。全身をやり直す必要はありません。

1日のなかに、乾かす時間をどう配るか
場面やることかける時間
洗う前その日に空いている時間を数える1分
洗った直後根元から毛先へ、握って水を送り出す15〜20分
最初の送風脇・内股・首の下から、束を分けて風を通す30分以上
2〜3時間後4か所の芯をつまんで、湿りを確かめる3分
寝る前合わさる面をもう一度開いて、手の甲を当てる1分

この表のとおりに動くと、洗った日は半日ぶんの予定が埋まります。それが、この被毛の作りにかかる時間です。短くしようとして送風の温度を上げたり、途中で切り上げたりすると、そのぶんが翌日の蒸れとして戻ってきます。時間を削るのではなく、洗う日そのものを選ぶほうが、結果として皮膚にやさしくなります。

Point分ける作業を先にしておくと、乾かす時間が短くなります

根元でくっつきはじめた束を、あらかじめ指で裂いて細く分けておくと、1本あたりの太さが減ります。太さが減れば、芯までの距離も短くなります。洗う日の前に少しずつ分けておくと、当日の送風時間がはっきり変わります。この作業は一度に全身をやろうとせず、1日10分、場所を決めて回すほうが続きます。

毎日つまずくのは、乾いたと判断する場所|コモンドールの頻度と洗いすぎ

手順そのものより、判断のところでつまずくことのほうが多い犬種です。表面をなでて「乾いた」と決めてしまうと、芯が湿ったまま一日が終わります。そして次の日、同じ場所がまた湿っている。乾かし方が足りないのだと思って洗う回数を増やすと、地肌のうるおいのほうが先に減っていきます。順番が逆に回りはじめる場所です。

よくあるつまずきと、直し方
つまずき起きること直し方
表面をなでて乾いたと決める芯が湿ったまま夜になる4か所の芯をつまんで確かめる
夜に洗いはじめる乾ききる前に寝る時間になる午前に始められる日だけ洗う
湿るから洗う回数を増やす地肌のうるおいが先に減る洗う回数ではなく風を通す回数を足す
ブラシでとかそうとする分けてきたコードがほどける指で裂いて分ける作業に置き換える
高い温度で一気に乾かす地肌のほうが先に熱を受ける低温にして、束を分けて風を入れる
背中から乾かしはじめる脇と内股が閉じたまま残る合わさる面から先に手をつける

頻度の決め方も、この犬種では日数で決めにくくなります。基準にするのは、前のときに芯が乾ききったかどうかです。乾ききらないまま次を洗うと、湿った状態が積み重なります。だから「何日おき」ではなく、「乾かしきれる日が来たら」という決め方に変えてください。梅雨どきのように湿度が高い時期は、同じ手順でも乾く時間が延びます。そこは日数ではなく、その日の空気で判断します。

Cautionほどけない束を、引っぱらない・切らない

根元でかたく合わさってしまった束を、力で裂こうとしないでください。束の下には、引っぱられて持ち上がった皮膚があります。ハサミの先も、毛ではなく地肌に届きます。分けられないところは無理をせず、その場所を覚えておいて、次にプロの手に渡すときに伝えてください。地肌が赤い、においがあるといったときは、先に動物病院にご相談ください。

もうひとつ、合わさる面についてです。脇と内股は、その子が自分でなめようとしても、あいだにコードが挟まって舌が地肌まで届きません。コモンドールでは、届かない場所と乾かない場所がそのまま重なります。ここだけは人が代わることになります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。内股は口が届く高さにあるので、置いたものがそのまま舐められる前提で選べるかどうかが、この犬種では先に効いてきます。使い方は、コードにたっぷり吹きかけるのではなく、布に含ませてから、脇や内股の合わさる面をなでるように拭く。そして、拭いたあとにその面を閉じないでください。この記事の手順と同じで、開いたまま風を通す時間を1分だけつくる。拭くことと乾かすことは、コモンドールでは1つの作業です。

コードの太さでは説明がつかない蒸れと、動物病院への伝え方

ここまでは、被毛の作りで説明のつく蒸れの話でした。手順どおりに乾かしているのに、同じ一か所だけが変わらないときは、別の見方をしてください。コモンドールの蒸れは、太いコードのある場所に広く出るのがふつうです。細いコードのところだけが湿る、片側だけが戻る、といったときは、束の太さでは説明がつきません。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがはっきり変わった、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、コードが根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、自分で分けようとせず、動物病院にご相談ください。コードの下は外から見えないぶん、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行く前には、最後に洗った日、湿っている場所、いつから気づいたかの3つをメモしてください。この3つがあると、乾く時間で説明のつく蒸れなのかどうかが、その場で切り分けられます。気になった日は、無理に分けずそのまま連れて行くほうが伝わります。前の日に念入りに手を入れてしまうと、もとの状態が分からなくなります。

コモンドールと暮らすうえで、蒸れをゼロにすることはできません。束のまま体を覆う被毛だからです。乾く時間を短くしようとするのではなく、時間がかかることを予定のほうに組み込む。洗う日を選び、合わさる面から手をつけ、数時間後に芯をつまんで確かめる。この3つだけで、次の1週間の湿り方はずいぶん変わってきます。

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よくある質問

コモンドールを洗ったあと、どのくらいで乾きますか?
コードの太さと、その日の湿度で大きく変わります。表面は数十分で乾きますが、太い束の芯まで乾くには、送風を入れても数時間かかることがあります。時間で判断せず、脇・内股・首の下・しっぽのつけねから1本ずつつまんで、指の腹で押して確かめてください。ひやりとするなら、まだ芯に水が残っています。
コモンドールにブラシをかけてもいいですか?
コードを保っているあいだは、ブラシは使いません。分けてきた束がほどけてしまうためです。毎日の手入れは、根元でくっつきはじめた束を指で裂いて細く分けていく作業になります。細く分かれているほど束と束のあいだに風が通るので、この作業は乾きやすさにもつながっています。
蒸れが気になるので、洗う回数を増やしたほうがいいですか?
回数を増やすほうへは進めないでください。乾ききらないまま次を洗うと、湿った状態が積み重なります。皮膚のうるおいも一緒に落ちていきます。洗う回数ではなく、合わさる面を1日1回開いて風を入れる回数のほうを足してください。地肌が赤い、においが変わったといったときは、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。