C04悩み解決

シニア期の泥汚れ|若い頃と同じケアでは追いつかない

公開日 2022年3月7日|文=mofuwa編集部

明るい室内の床に立つ、年をとった犬の後ろ足
歩幅が狭くなると、泥がつく場所が若い頃と変わります。拭く場所も変える必要があります。写真:https://kaboompics.com//Pexels

犬が歩くとき、前足が地面を蹴ると泥は後ろへ跳ね上がります。若いうちは歩幅が広いので、その泥は後ろ足が来る前に落ちています。歩幅が狭くなると、後ろ足が前足の跳ね上げた泥を踏むようになります。シニア期に泥汚れが落としにくくなったと感じるのは、泥汚れの量より、つく場所が変わったからです。若い頃はお腹についていた泥が、いまは後ろ足の内側としっぽのつけ根に集まります。まず、どこが変わったのかから整理します。

後ろ足が、前足の泥を踏んでいる

シニア期の泥汚れは、量ではなく位置の話になります。犬が歩くとき、前足が地面を蹴ると泥が後ろへ跳ね上がります。若いうちは歩幅が広いので、跳ね上がった泥は後ろ足が到達する前に落ちます。だから泥は、跳ね上がった高さのままお腹に当たる。若い子のお腹が汚れるのは、この経路です。

歩幅が狭くなると、この距離が縮まります。前足が跳ね上げた泥の上に、後ろ足がそのまま置かれる。踏んだ泥は後ろ足の裏から内側へ上がり、左右の後ろ足が近い分だけ、内股としっぽのつけ根に寄せられていきます。跳ね上がる勢いも弱くなるので、お腹まで届かなくなります。

歩幅が変わると、泥がつく場所が変わる
若い頃シニア期
歩幅広い。跳ねた泥が落ちてから後ろ足が来る狭い。跳ねた泥を後ろ足が踏む
主に汚れる場所お腹、胸、前足後ろ足の内側、内股、しっぽのつけ根
汚れ方点々と飛ぶ。乾けば落ちやすいこすりつけられて広がる。毛の根元まで入る
気づきやすさ見える場所なので、すぐ分かる体の下側と後ろなので、見ないと分からない

いちばんの問題は、新しく汚れる場所が、飼い主から見えない位置だということです。お腹は抱き上げれば見えます。しっぽのつけ根と後ろ足の内側は、意識して覗き込まないと目に入りません。「汚れがひどくなった」ではなく「見ていなかった場所に溜まっていた」ということが起きます。

つく場所が変われば、拭く場所も変わる

泥汚れがつく場所が変わったぶんだけ、拭く場所を移します。手順を増やす必要はありません。いままでお腹に使っていた時間を、そのまま後ろへ移すだけです。順番も、後ろから前に変えます。

  1. しっぽのつけ根から始める

    いちばん奥まで泥が入っている場所です。しっぽを持ち上げて、根元の毛をかき分けて見てください。ここを最後に回すと、すでに乾いて固まってしまいます。

  2. 後ろ足の内側を、上から下へ

    内股からかかとに向けて、毛の向きに沿って拭きます。左右の足を1本ずつ。同時にやろうとしないでください。立っている時間を短くするためです。

  3. 後ろ足の裏と、指のあいだ

    踏んだ泥の入口です。指を1本ずつ広げて確かめます。ここが残っていると、拭いた場所にまた泥が移ります。

  4. 最後に前足とお腹を、軽く

    シニア期にはこの範囲の汚れは減っています。減った場所に若い頃と同じ時間をかけないでください。その分の時間を、後ろに回します。

Point立たせずにできる姿勢を先に決める

後ろ足の内側は、立たせないと届きにくい場所です。ただ、シニア期は立っていられる時間が短くなります。横になった姿勢のまま上側の足だけ拭き、反対を向いてもらってもう片方、という進め方でも届きます。その子が楽な姿勢を先に決めてから始めてください。

洗う回数は、増やせない

泥汚れが落ちにくいからと、汚れる場所が奥になったなら、洗う回数を増やせばいい。そう考えたくなりますが、シニア期はここが増やせません。理由は3つあります。

つまり、洗う回数を増やすのではなく、1回の洗う日を短くして、あいだの日に落とせる量を増やすほうへ向かうことになります。

洗う日と、あいだの日の分担
やることかける時間
あいだの日(帰宅後)乾かしてから、はたく。後ろから順に布で拭く5分ほど
洗う日全身。後ろ足の内側としっぽのつけ根を先にその子が立っていられる範囲で

後ろ足の内側としっぽのつけ根は、その子が自分では届かない場所です。若い頃は体をひねって口が届いていた場所でも、体がかたくなると、そこだけ手入れが止まります。洗う日にここから先に洗うのは、そのためです。

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シニア期に短くしたいのは、洗っている時間よりも、浴室で立っていられる時間のほうです。塗って、すすいで、また流すという往復が1つ消えるだけで、後ろ足で体を支える時間が数分ぶん減ります。泥汚れが集まる後ろ足の内側としっぽのつけ根から始めておくと、いちばん時間のかかる場所を、立っていられるうちに済ませられます。

歩幅が変わったときに、見ておきたいこと

ここまで歩幅が狭くなることを前提に書いてきましたが、歩幅が変わること自体は、汚れの話ではありません。汚れる場所が変わったことに気づいたなら、それは歩き方が変わったという合図でもあります。

Caution動物病院に相談してほしいとき

足を引きずる、片足をかばう、立ち上がるのに時間がかかる、階段を避けるようになった、触ると痛がる場所がある、しっぽのつけ根や内股の皮膚が赤い・においが変わった。いずれかに当てはまるときは受診してください。歩き方の変化は、家庭のケアで様子を見る対象ではありません。

受診の前に、いつから気づいたか、どちらの足か、散歩の距離と時間に変化はあるかをメモしてください。歩いている様子を後ろから短く動画に撮っておくと、診察室では見せられない普段の歩き方が伝わります。

毎日の5分を、どこに使うか

洗う回数を増やせない以上、あいだの日の質を上げるしかありません。やることを足すのではなく、見る場所を移すだけです。泥汚れが集まる場所は、もう分かっています。

  1. 散歩から帰ったら、まず乾かす

    泥がついたまま拭こうとしないでください。乾いた泥は落ちますが、濡れた泥は伸びます。タオルで水分だけ取って、そのまま少し置きます。

  2. 乾いたら、後ろから順にはたく

    しっぽのつけ根、後ろ足の内側、足の裏。手で軽くはたくだけで、乾いた泥の大半は落ちます。ブラシを使うなら毛の向きに沿って動かします。

  3. 残ったところだけ、布で拭く

    全身を拭かないでください。触られている時間そのものが、シニア期には負担になります。はたいて落ちなかった場所だけに絞ります。

  4. 週に一度、しっぽのつけ根を見る

    汚れではなく、皮膚を見ます。赤くなっていないか、においが変わっていないか。ここは自分でも見にくく、その子も舐めにくい場所です。飼い主が見るしかありません。

3番目の工程で使う布は、固く絞ってください。濡らす範囲を最小限にしたい時期なので、広い面をいちどに湿らせないことです。拭いたあと、乾いた面でもう一度なでて水分を残さないところまでを1組にします。寝床に泥汚れを持ち込む量は、この一手間で変わります。

はたく場所を後ろへ移すと、最初の数日は手が余ります。余った時間は、しっぽのつけ根をもう一度見ることに使ってください。ここを毎日見ていると、泥汚れがついた日とつかなかった日の差が、そのまま歩いた場所の記録になります。半年ぶん続けたころには、同じ散歩道でも、その子が最近どこを選んで歩いているかが分かるようになります。

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よくある質問

シニアになってから、シャンプーの頻度は減らすべきですか?
頻度そのものより、1回にかかる時間を短くすることを先に考えてください。立っている時間、濡れている時間、乾かす時間のどこが負担になっているかで、変えるところが変わります。持病がある子は、動物病院で相談してから決めてください。
後ろ足の内側を触らせてくれません。どうすればいいですか?
無理に押さえないでください。まず横になっている姿勢のまま、上側の足に手を置くところから始めます。1日に片足ずつでも構いません。痛みがあって嫌がっているのか、慣れていないだけなのかは自己判断せず、痛がる様子があれば受診してください。
泥がついた場所を、ドライヤーで乾かしてもいいですか?
熱を長く当てないでください。シニア期は熱さを避けて動くこと自体が負担になります。タオルで水分を取ってから自然に乾くのを待つほうが、体への負担は少なくなります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。