C12Q&A・豆知識
ペットのいる部屋の適正湿度
冬の夕方、棚の上に置いた湿度計が48%を指していた日に、同じ部屋の床から30cmのところでもう一度測ったら56%でした。部屋の適正湿度としてよく挙げられる40〜60%という幅は、オフィスや学校のように人が過ごす室内の条件として整理されてきた数字とされています。ペットのいる部屋でその数字を使うときに気をつけたいのは、それが人の高さで測られている、という点です。犬や猫は人より体温が高く、被毛があり、一日の大半を床の近くで過ごします。条件がそろっていないので、同じ40〜60%という幅がそのまま当てはまるとは限りません。この記事では、人の側の条件とペットの側の条件を2つの軸として並べ、人の高さと床から30cmの高さを比較表にします。読み終わったときに変わるのは、加湿器の設定ではなく、湿度計を読む高さのほうです。
適正湿度40〜60%は、人が過ごす部屋の条件として整理された数字
はじめに、この数字の出どころをはっきりさせます。室内の適正湿度として40〜60%という幅が挙げられるとき、想定されているのは人が過ごす部屋です。オフィス、学校、住宅の居室。人がのどや目の乾きを感じにくく、建物の側でも結露やカビが起きにくい、という2つの都合が重なるところとして整理されてきた幅だとされています。ペットの体を基準にして決められた数字ではありません。
この幅そのものを疑う必要はありません。「適正」という言葉には、必ず「誰にとって」という主語がついている、というだけの話です。主語が人であることを知っていれば、この数字は今までどおり使えます。知らないまま使うと、数字を守っているのに手ざわりが合わない、という食い違いが起きます。
| 守っている対象 | 何を避けるための数字か | 誰の側の都合か |
|---|---|---|
| 人ののどと目 | 空気が乾きすぎて、粘膜の水分が奪われること | 人 |
| 人の体感 | 同じ室温でも寒く感じたり、蒸して感じたりすること | 人 |
| 建物の壁と窓 | 湿度が高すぎて結露し、カビが出ること | 建物 |
| 室内の物 | 紙や木が反ること、静電気が起きやすくなること | 物 |
| 空調の効率 | 設定温度に対して、無駄な運転が増えること | 設備 |
| ペットの皮膚と被毛 | この幅の根拠には入っていません | — |
表のいちばん下の行が、この記事の出発点です。40〜60%という幅の根拠には、犬や猫の条件が入っていません。入っていないから間違い、という話ではなく、入っていないぶんを自分で足す必要がある、という話です。足すべき条件は3つあります。次の節で並べます。
ここで言う湿度は相対湿度です。その温度の空気が抱えられる水分の量に対して、いま何割が入っているかを示した割合で、含まれている水分の量そのものではありません。だから、水分の量がまったく同じでも、温度が変われば数字が動きます。この性質が、あとで出てくる「高さで数字が変わる」という話の土台になります。
ペットの側の条件は3つずれる|体温・被毛・床までの距離
犬や猫の条件が、人とどうずれているのか。数えると3つです。体温が高いこと、被毛があること、床に近いこと。どれも当たり前のことですが、この3つはそれぞれ別の方向に湿度の話をずらします。まとめて「ペットは人と違う」と言ってしまうと、どこがどうずれているのかが見えなくなります。
- 体温:犬はおよそ38〜39℃前後、猫もおよそ38℃台とされ、人よりおよそ1〜2℃高い側です。体のまわりの空気は、そのぶん温められます
- 被毛:毛が層になって空気を抱えているので、地肌のまわりの空気は、部屋の空気とそのままつながってはいません
- 床までの距離:人は120〜150cmくらいの高さで暮らし、犬や猫の体は床から0〜40cmくらいのところにあります
- 過ごす時間:人は部屋を出入りしますが、その子は同じ部屋の同じ場所に長くとどまります
- 服:人は服で体のまわりの条件を調節しますが、その調節はふつう行われません
3つのうち、体温と被毛は変えられません。変えようとするものでもありません。ペットの条件として受け取って、そのまま置いておくところです。動かせるのは3つ目だけです。床に近いところの空気が、いま何度で何%なのかを知る。それは、湿度計を読む高さを変えるだけでできます。
被毛については、もうひとつ書いておきます。毛は水分を抱えるので、部屋が乾いた日には毛の側から先に水分が出ていきます。逆に湿った日には、毛が水分を抱えたまま乾ききらない時間が長くなります。部屋の数字と地肌の条件のあいだには、被毛という一枚の層が挟まっています。だから部屋の湿度を整えたからといって、地肌の側がそのまま同じ条件になるわけではありません。ここは毎日のケアの手で埋める場所です。
体温が高いことは、体のまわりの相対湿度を下げる方向に働きます。床に近いことは、暖房を使う時期には相対湿度を上げる方向に働きます。被毛は、部屋の数字を地肌へそのまま届けないように働きます。3つは打ち消し合うこともあれば、重なることもあります。だから「ペットには何%が正解」という1つの数字は、条件をそろえないかぎり出てきません。
人の高さと床から30cm|同じ部屋にある2つの湿度の違い
ここが比較の中心です。同じ部屋の中に、高さの違う2つの数字があります。なぜ違うのかは、前の節の注記で書いた相対湿度の性質から説明がつきます。暖房を入れた部屋では、温められた空気が上へ動き、床に近いほど温度が低くなります。空気に含まれている水分の量が同じでも、温度が低いほうが相対湿度は高く出ます。
冒頭の48%と56%は、この差です。加湿器を足したわけでも、窓を開けたわけでもありません。測った高さを変えただけです。数字が動いたのではなく、はじめから2つあったものを、それまで片方しか読んでいなかった、というほうが近いと思います。
| 比べるもの | 人の高さ(約120〜150cm) | 床から30cm |
|---|---|---|
| 温度 | 暖房の時期は高い側 | 同じ部屋でも低い側になりやすい |
| 相対湿度 | 低めに出る | 高めに出る(冒頭の例では8ポイントの差) |
| 空気の動き | 暖かい空気が上がってきて入れ替わる | 動きが小さく、たまりやすい |
| ここにいるのは | 立っている人 | 犬や猫の体、寝床、床に置いたもの |
| 結露のしやすさ | 起きにくい | 窓ぎわの床では起きることがある |
| 読み取りに向く用途 | 部屋全体の管理 | その子のいる条件の確認 |
差の向きが逆になる条件もあります。床暖房やホットカーペットを使っている部屋では、床のほうが温かくなります。そうなると、床に近い側の相対湿度は低く出ます。エアコンの風が直接当たる場所も同じで、その一点だけ条件が変わります。だから「床のほうが高い」と覚えるのではなく、「温度が低いほうが高く出る」と覚えるほうが、どの家でも使えます。
差が何ポイントになるかは、家によって違います。断熱の具合、天井の高さ、暖房の方式、部屋の広さ。冒頭の8ポイントという差は、ある家の一例であって、よその家の数字ではありません。大事なのは差の大きさを覚えることではなく、自分の家では何ポイントなのかを一度測っておくことです。一度分かれば、あとは片方を読むだけで、もう片方をだいたい言い当てられるようになります。
どちらの高さの数字で決めるか|時期によるペットの湿度の使い分け
使い分けの答えを先に書きます。部屋の設備をどうするかは人の高さの数字で、その子の条件がどうなっているかは床から30cmの数字で決めます。どちらか一方に統一しようとすると、必ずどちらかの判断が雑になります。2つあると分かっていれば、読み分けるだけで済みます。
| 時期・条件 | 高く出やすいのは | ペットの側で見ておくこと |
|---|---|---|
| 暖房を使う時期 | 床から30cm | 人の高さの数字だけを見て、加湿を足しすぎていないか |
| 床暖房・ホットカーペット | 人の高さ | その子がいる面の温度が上がっていないか |
| 冷房を使う時期 | 床から30cm | 冷えた空気がたまる場所に、寝床がないか |
| 窓を開けている時期 | 差は小さくなる | 外の条件に引かれるので、一日の中の振れが大きい |
| 雨が続く時期 | どちらも高い | 被毛が乾ききらない時間が延びていないか |
| 暖房を切った朝 | 差は小さい | 前夜との差が、一日でいちばん大きく出る時刻 |
測り方にも条件をつけておきます。同じ場所、同じ時刻、同じ高さ。この3つをそろえないと、前の日と比べられません。湿度は1回読んで判断する数字ではなく、同じ条件で3回たまってから読む数字です。1回の値が高いか低いかより、同じ時刻で並べたときに動いているかどうかのほうが、家では使えます。
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その子がいちばん長くいる場所を決める
寝床、窓ぎわ、ソファの下。いちばん長くいる場所を1つだけ選びます。複数を追いかけると、条件がそろわなくなります。犬でも猫でも、選び方は同じです。
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床から30cmの高さに合わせる
背の高さに合わせる必要はありません。体が置かれている空気を読むので、寝ているときの背中の高さで足ります。台の上に載せるか、壁に留めるかは、家の事情で決めてください。
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人の高さの数字も、同じ時刻に1回読む
2つの差が何ポイントなのかを知るためです。3日ぶん読めば、その部屋の差はだいたい決まります。差が分かったあとは、片方だけの確認で済みます。
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時期が変わったら、もう一度だけ測り直す
暖房から冷房へ、冷房から窓開けへ。設備の使い方が変わると、2つの数字の差も変わります。時期の変わり目に一度読み直すだけで、その時期のあいだは使えます。
ここまでを一行にすると、ペットのいる部屋の湿度は、数字を1つに決める話ではなく、どこの数字を見ているかを決める話です。同じ部屋の中に条件の違う空気が層になっていて、その子はいつも下の層にいます。加湿器の設定を細かく動かす前に、読む高さを合わせるほうが、判断の材料としては確かです。
高さを合わせたあと、家で決められること|皮膚と被毛
測る高さを変えても、被毛の内側の条件までは分かりません。部屋の空気と地肌のあいだには、毛の層が挟まっているからです。数字を追いかけるのは部屋の側の仕事で、毛の層の内側は毎日のケアの手が届く場所です。この2つを分けておくと、どちらに時間を使えばいいかが決めやすくなります。
| 内容 | どこで見るか | |
|---|---|---|
| 数字で決まる | 加湿や換気を足すかどうか | 床から30cmの湿度計 |
| 数字で決まる | 寝床の位置を動かすかどうか | 同じ高さの温度も一緒に読む |
| 数字で決まらない | 地肌が乾いているかどうか | 毛の中に指を入れて確かめる |
| 数字で決まらない | 被毛の手ざわりが前の週と違うか | 同じ場所を、同じ順で触る |
| 数字で決まらない | その子が落ち着いていられるか | 同じ時刻の過ごし方を見る |
地肌の赤みが引かない、粉が急に増えた、同じ場所をなめ続けている、脱毛がある、皮膚がべたついてにおいが変わった、耳を振る回数が増えた、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、部屋の湿度を動かす前に動物病院にご相談ください。湿度を人の高さでも床から30cmでも記録しておくと、その紙をそのまま持っていけます。日付と2つの数字と、気づいた変化。犬でも猫でも、この3つがそろっていると、時期の条件なのかそれ以外なのかを早く切り分けてもらえます。
乾いた時期に、毎日のケアでできることも書いておきます。毛の層の内側は、その子が自分ではどうにもできない場所です。体をなめて届くのは毛の外側までで、地肌の側は毛づくろいでは変わりません。ここは人の手が代わるところです。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。なめ取ってしまっても口に入るものが変わらないので、毛を分けて、地肌に近いところへ直接なじませられます。背中から尾のつけ根まで、毛の流れに沿って一往復。湯を使わないので、地肌が濡れている時間が生まれません。床から30cmの数字が下がっていた日に、この一往復を足す。読む高さを決めたあとに家で動かせるのは、そこです。
最後に、この記事で覚えて帰っていただきたいことを1つに絞ります。適正湿度という言葉を見たら、それが誰の高さで測られた数字かを確かめる。40〜60%という幅は、人の高さで人の条件を守るために整理されたものです。ペットのいる部屋で使うなら、床から30cmでもう一度読む。同じ部屋の中に数字が2つあると知っているだけで、加湿器を買い替える前にできることが1つ増えます。
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mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
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商品ページを見るよくある質問
- ペットのいる部屋の湿度は、結局何%にすればいいですか
- 一般に室内の適正湿度として挙げられる40〜60%という幅を、出発点にして構いません。ただし、その幅は人が過ごす部屋の条件として整理されてきた数字です。ペットのいる部屋では、同じ40〜60%でも床から30cmで読んだときにその範囲に入っているかを確かめてください。暖房を使う時期は、人の高さで40%台でも床では50%台ということが起こります。1つの数字に決めるより、どの高さで読んだ数字かをそろえるほうが、家での判断には使えます。
- 湿度計は何個いりますか
- 1個でも足ります。置く高さを、その子がいちばん長くいる場所に合わせるだけです。2つの高さの差を知りたいときは、同じ湿度計を3日ほど高さを変えて読み替えてもかまいません。差が何ポイントあるかが分かれば、あとは片方を読むだけで、もう片方を言い当てられます。大事なのは個数ではなく、同じ場所・同じ時刻・同じ高さという3つの条件をそろえることのほうです。
- 夏と冬で、ペットのいる部屋の湿度の見方は変わりますか
- 変わります。変わるのは数字そのものより、2つの高さの差の向きです。暖房を使う時期は床に近いほうが温度が低く、相対湿度は高く出ます。冷房を使う時期も、冷えた空気が下にたまるので同じ向きになりやすい時期です。逆に床暖房やホットカーペットを使っているときは床のほうが温かくなるので、向きが入れ替わります。時期が変わったら一度だけ測り直す、という使い分けで足ります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
