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換毛期に毎日ブラッシングして大丈夫?

公開日 2022年5月20日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色の敷物の上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
増やすのは1回の長さではなく、手を入れる回数のほうです。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

換毛期に入った週、ブラシに毛がたまる速さが急に変わって、いつもの5往復で受け皿がいっぱいになりました。この時期のブラッシングは、毎日で大丈夫です。ただし、条件がひとつあります。毎日やることと、毎日長くやることは別の話です。換毛期に増やすのは、1回の時間ではなく回数のほうです。1回3分を毎日続けるのと、週に1回20分かけるのとでは、合計の時間はほとんど同じなのに、結果のそろい方が違います。この記事では、毎日でよいと言い切れる理由と、その裏にある「では何分やるのか」という線引きを、8つの問答に分けて書きます。読み終わったときに決まっているのは、やる日ではなく、1回をどこで終わらせるかのほうです。

換毛期に毎日ブラッシングして大丈夫ですか

大丈夫です。換毛期のあいだは、毎日で構いません。ここは濁さずに書きます。この時期は下毛が一斉に緩むので、抜ける準備ができた毛が毎日新しく出てきます。それを毎日取っていくのは、体に余計なことをしているのではなく、出てきたぶんをそのまま受け取っているだけです。

ただし、答えには条件がつきます。毎日やることと、毎日長くやることは別です。「換毛期は毎日ブラッシングを」と聞いて、1回の時間まで一緒に伸ばしてしまう。ここでつまずく人がいちばん多いところです。換毛期に増やすのは回数であって、1回の長さではありません。目安として、1回は3分あれば足ります。

換毛期のブラッシングで、増やすものと増やさないもの
換毛期にどうするか理由
やる日数増やす(毎日でよい)抜ける準備ができた毛が、毎日新しく出てくるため
1回の時間増やさない(3分の目安)取れる量は最初の数分に集中し、あとは同じ場所を通るだけになるため
1か所の往復数増やさない(2〜3往復)往復を重ねても取れる量は伸びず、地肌への当たりだけが増えるため
力の強さ増やさない緩んだ毛は強く引かなくても離れるため
道具の数増やさない換毛期に必要なのは道具ではなく、間を空けないことのため
終わりの決め方変える時計で終えるのではなく、取れる量が落ちたら終える

この記事でいちばん伝えたいのは、この表の1行目と2行目が別々に動く、ということです。日数と時間を一緒に増やすと、その子が座っていられなくなり、結局どちらも続きません。日数だけを増やして、1回は短いまま。この形が、換毛期のブラッシングでいちばん最後まで残ります。

「毎日でなくてよい」という答えと矛盾しませんか|換毛期だけが例外になる理由

ここは先に説明しておきます。このサイトには、犬のブラッシングの頻度について「毎日でなくてかまいません」と書いた記事があります。今回の答えと逆に見えますが、扱っている時期が違います。あちらは換毛期以外の、ふだんの時期の話です。この記事は換毛期の話です。換毛期だけが例外になる、という関係になっています。

なぜ例外になるのか。ふだんの時期は、抜ける毛の量が日によって大きくは変わりません。1日空けても2日空けても、体に残っている毛の量はゆるやかにしか増えません。だから頻度そのものより、間隔がばらつかないことのほうが効いてきます。換毛期は、この前提が崩れます。下毛が一斉に緩むので、抜ける準備ができた毛が毎日まとまって出てきます。1日空けると、その1日ぶんがそのまま上毛のあいだに残ります。

ふだんの時期と換毛期で、答えが変わる理由
ふだんの時期換毛期
抜ける準備ができる毛の量日によってあまり変わらないまとまって、続けて出てくる
1日空けたときに体に残る量ゆるやかにしか増えない1日ぶんがそのまま積み上がる
残った毛がどうなるか次の日にまとめて取れる上毛に絡んで、取りにくい側へ移る
頻度の答え毎日でなくてよい毎日でよい
大事になるもの間隔をそろえること間を空けないこと
1回の時間その日に必要なだけ短いまま(3分の目安)

言い方を変えると、ふだんの時期の答えは「間隔」の話で、換毛期の答えは「積み上がり」の話です。同じ「頻度」という言葉を使っていても、決めている中身が違います。この2つを混ぜてしまうと、換毛期が終わったあとも毎日を続けてしまったり、換毛期に入っても週1回のままだったりします。時期が変わったら答えが変わる、というのが正しい読み方です。

Note換毛期かどうかは、ブラシの受け皿で判断できます

暦で決めるより、同じ道具で同じ往復数をしたときに、取れる量が増えたかどうかで見るほうが確かです。いつもの5往復で受け皿がいっぱいになる日が3日続いたら、その子の換毛期は始まっています。逆に、取れる量が3日続けて落ちてきたら、終わりに向かっています。犬でも猫でも、この見方は同じように使えます。

換毛期に増やすのは、1回の時間ですか、それとも回数ですか

回数です。1回の時間を伸ばしても、取れる量はそれほど増えません。理由は、ブラッシングで取れているのが「すでに抜ける準備ができている毛」だからです。準備のできた毛は、最初の数分でだいたい離れます。そのあとの時間は、まだ抜ける準備ができていない毛の上を、ブラシが往復しているだけになります。

実際に手を止めて確かめると分かります。同じ場所を1往復目、2往復目、3往復目と数えていくと、受け皿に落ちる量は目に見えて減っていきます。5往復目で取れる量は、1往復目とは比べものになりません。それでも往復を続けると、増えるのは取れる量ではなく、ブラシの先が地肌に当たった回数のほうです。

同じ場所を往復したときに、取れる量がどう変わるか 換毛期に同じ場所を続けて往復したときの、1往復あたりに取れる量のイメージです。抜ける準備ができた毛から先に離れるため、往復を重ねるほど1回あたりの量は落ちていきます。数値は割合のイメージで、道具や毛の状態によって変わります。 1往復目 いちばん多い 2往復目 半分ほど 3往復目 さらに落ちる 5往復目 ほとんど取れない
往復を重ねても取れる量は戻りません。増えるのは地肌に当たる回数のほうです。

だから、換毛期のブラッシングで時間を伸ばすのは、二重に損をします。取れる量が増えないうえに、皮膚に当たる回数だけが積み上がります。同じ労力を使うなら、翌日にもう一度短く手を入れるほうが、その日にまた新しく緩んだ毛を受け取れます。換毛期の被毛は毎日動いているので、こちらも毎日会いにいくほうが噛み合います。

1回3分×毎日と、週1回20分|合計がほぼ同じでも結果がそろわないのはなぜですか

数えてみます。1回3分を7日で21分。週1回20分。合計はほぼ同じです。それでも、この2つは結果が違います。違いを作っているのは合計の時間ではなく、抜けた毛が体の上に残っていた時間のほうです。毎日やれば、どの毛も長くて1日しか残りません。週1回なら、最大で7日間そこにいます。

合計時間がほぼ同じ、2つのやり方を並べる
比べるもの1回3分×毎日(合計21分)週1回20分
抜けた毛が体に残る時間長くて1日長くて7日
1回で取る量少しずつ、同じくらい日によって大きく振れる
絡まりの育ち方育つ前に離れる残った毛どうしが絡む時間がある
その子の負担3分は座っていられる後半は動きたがる
床や服に落ちる量毎日、少しずつ取りきれなかったぶんが一週間ぶん落ちる
こちらの続けやすさ予定に入れやすいその日が忙しいと次週に飛ぶ
結果のそろい方週ごとの差が小さい週ごとの差が大きい

いちばん効いてくるのは3行目です。抜けた毛は、抜けた瞬間に体から離れるわけではありません。上毛のあいだに引っかかって、そこにとどまります。とどまっている時間が長いほど、まわりの毛と絡み合って、ほどくのに力が要る形になっていきます。毎日のブラッシングが効くのは、絡み合う時間を与えないからです。取っている量の話ではなく、置いておく時間の話です。

週1回20分がだめだ、という話をしたいのではありません。週1回のほうが向いている時期もあります。ふだんの時期がそれです。換毛期だけは、毛が体に残る時間が結果を決めるので、同じ21分を7つに割ったほうが噛み合う、というだけのことです。合計を減らす必要はありません。割り方を変えるだけです。

Point3分は、時計を見ないで測れます

毎回タイマーを出すと続きません。「背中を2〜3往復、腰を2〜3往復、後ろ足のつけ根を2〜3往復」で、だいたい3分です。場所の数で数えると、時計を見ずに同じ長さになります。換毛期のブラッシングは数週間続くので、毎日の手順そのものを短く決めておくほうが、最後まで同じ形で続きます。

毎日やると被毛が傷みませんか|やりすぎの線をどこに引くか

毎日でよい、と書きましたが、無制限という意味ではありません。線は3つあります。往復の数、地肌への当たり、そして終わり方です。この3つを守っていれば、毎日でも同じ場所を削り続けることにはなりません。逆に、この3つを外すと、週1回でも当たりが強くなります。回数ではなく、1回の中身のほうが被毛の状態を決めます。

  1. 1か所は2〜3往復まで

    取れる量は最初の往復に集中します。それ以上は取れる量が伸びず、当たりだけが増えます。取り残しが気になるときは、往復を足すのではなく、翌日にもう一度手を入れてください。換毛期は毎日新しく緩むので、明日でも遅くありません。

  2. ブラシの先を地肌に立てない

    毛の中に立てて引くと、緩んでいない毛まで一緒に引くことになります。面を寝かせて、毛の流れに沿って通します。地肌に当てて掻くのは、抜け毛を取る動きではありません。

  3. 取れる量が落ちたら、その日は終わり

    時計ではなく、受け皿で終わりを決めます。「3分たったから終わり」ではなく、「取れなくなったから終わり」。この切り替えができると、日によって2分で終わる日と4分かかる日が出てきます。それでかまいません。

  4. 嫌がるそぶりが出たら、そこで止める

    体をひねる、顔をこちらへ向ける、立ち上がる。換毛期は数週間続くので、1日の取り高より、明日も座ってくれることのほうが大事です。途中でやめても、翌日に続きができます。

毛が傷むかどうかを気にするなら、見るのは回数ではなく毛先です。毛先が白っぽくささくれてきたり、指ではさんだときに引っかかるようになったりしたら、当たりが強すぎるか、乾いた状態で通しすぎています。毎日のブラッシングをやめる前に、往復の数と当たりの強さを先に見直してください。やめてしまうと、換毛期の抜け毛が体に残る時間だけが延びます。

3分をどこに使いますか|換毛期に根元と毛先で手が変わる理由

3分の配分にも順番があります。先に毛先、あとから根元です。逆にすると、根元から引いた力が、毛先の結び目にそのままかかります。換毛期に緩んでいるのは下毛、つまり根元の側なので、そこから取りたくなるのですが、毛先のもつれをほどく前に根元へ入ると、痛みが出るのは毛先のほうです。

3分の配分と、それぞれで見ているもの
時間どこに手を入れるか見ているもの
はじめの1分毛先。指ではさんで、引っかかるところを探すもつれがどこにあるか
次の2分根元。毛の流れに沿って、2〜3往復ずつ受け皿に落ちる量
終わりぎわ手のひらで、同じ道を一往復なでる浮いている毛が残っていないか
翌日前日いちばん取れた場所から始める同じ場所でまた取れるかどうか

根元に手を入れるときのコツも書いておきます。毛をかき分けて地肌を見せてから、そこへブラシを入れるのではありません。被毛の表面から、流れに沿って通すだけです。緩んだ下毛は、上毛のあいだを通って出てきます。かき分けて直接取りにいくと、まだ抜ける準備ができていない毛まで巻き込みます。換毛期は、待っていれば向こうから出てきます。

毛先と根元で手を変えるのは、換毛期のあいだだけの話ではありませんが、この時期はとくにはっきり効きます。理由は量です。ふだんの時期なら、多少順番が前後しても引っかかる量が知れています。換毛期は緩んだ毛がたくさんあるので、順番を間違えたときにできる結び目も大きくなります。毎日3分という短い時間の中では、この順番が守れているかどうかが、そのまま結果になります。

乾いた日に静電気が起きても、毎日続けていいですか|うるおいと毛先の話

続けて構いません。ただし、乾いた日は、乾いた被毛にいきなりブラシを当てないほうが進みます。空気が乾いていると毛先が広がり、静電気でブラシに毛がまとわりつきます。取れているのに受け皿に落ちない、という状態になって、同じ場所を何度も往復することになります。往復が増えれば、前の節で書いた線を越えます。

順番を1つ足すだけで変わります。先に布を軽く湿らせて、毛の流れに沿って一往復させてから、ブラシを入れる。被毛の表面にうるおいが戻ると、毛先の広がりが落ち着いて、取れた毛が受け皿のほうへ落ちるようになります。静電気を消すためではなく、取れた毛の行き先を作るための一往復です。

その布を湿らせるところに、うちではmofuwa グルーミングスプレーを使っています。特許を取った電気分解でつくった電解水を原料にした、無香料・界面活性剤不使用のスプレーです。ブラッシングの前に背中から腰まで一往復させると、乾いた日でも毛先が落ち着いた状態から始められて、取れた毛が宙に浮かずに下へ落ちます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、静電気の日に足す一往復は、これ1つで足ります。3分のうちのその一往復は、換毛期が数週間続くあいだ、数週間ぶん積み上がります。中身は清涼飲料水の規格基準をクリアした電解水なので、積み上がるほうを気にせずに数えていられます。気になる部分にだけなじませたいときはmofuwa スキンケアミスト、洗う日のほうを見直したいときはmofuwa モイストシャンプーという選び方になります。どれも抜け毛を減らすものではありません。取れた毛が体に残らずに落ちる状態を作るための、毎日のケアの道具です。

換毛期が終わったら、ブラッシングをどう戻しますか|空けるのは日数だけ

戻し方も決めておきます。取れる量が3日続けて落ちてきたら、換毛期は終わりに向かっています。そこから、毎日を1日おきに、1日おきを2〜3日おきに、というふうに日数を空けていきます。戻すときも、1回の時間は伸ばしません。3分のまま、日数だけを空けます。換毛期に増やしたのが回数だったので、減らすのも回数です。

換毛期の入りと終わりで、何を動かすか
時期回数1回の時間
ふだんの時期2〜3日おき3分ほど
取れる量が増え始めた毎日に切り替える3分のまま
換毛期のさなか毎日3分のまま
取れる量が3日続けて落ちた1日おきに戻す3分のまま
落ち着いた2〜3日おきに戻す3分のまま

この表の右の列が、ずっと動いていないのが分かると思います。換毛期のブラッシングをめぐる問いの答えは、最後まで「回数」の話でした。毎日やって大丈夫か、という問いに対して、大丈夫ですと答えたうえで、では何分やるのかを決めないままにしておくと、毎日20分という形になってしまいます。それは換毛期のやり方ではありません。

最後にもう一度、時期の関係だけ書いておきます。ふだんの時期は毎日でなくてよく、換毛期は毎日でよい。矛盾ではなく、抜ける毛の出方が違うからです。時期が変わったら答えも変わる、と覚えておくと、次の換毛期にも同じ判断ができます。

Caution換毛期の抜け毛では説明がつかない変化は、動物病院にご相談ください

左右の同じ場所が対称に薄くなる、地肌が見えるほど抜ける、抜けたあとの地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、粉が急に増えた、においが変わった、かゆがる回数が増えた、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。換毛期にまとまって抜けることと、一部分だけが薄くなることは別のものです。犬でも猫でも、いつから、どの場所から、というメモがあると切り分けが早くなります。毎日3分の手を入れていると、その記録は自然にたまります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。