C09シーン別・暮らし

共働きで時間がない人が賃貸で暮らすで困ること、その手当て

公開日 2022年5月28日|文=mofuwa編集部

明るい部屋のうすい色のラグの上で、白っぽい猫が静かに体を伸ばしている
においは空気ではなく、その子が毎日同じ場所に置いていく布と毛のほうに残ります。写真:Pixabay/Pexels

賃貸の部屋は、玄関を開けた最初の3秒だけ、においが分かります。3秒すぎると分からなくなり、あとは平日の夜がそのまま終わっていきます。共働きで時間がないと、においのために使える時間は帰宅後の30分と、朝の10分しかありません。ペットと賃貸で暮らすうえで厄介なのは、においが「毎日少しずつ」でしか減らないのに、その毎日のほうが先になくなることです。ここでは、週末にまとめていいのか、換気だけで足りるのか、どこを先にやるのかを、8つの問いに分けて答えます。

賃貸でペットのにおいが残る、とはどこに残っている状態のことですか

においが部屋に残る、と言うとき、実際に残っているのは空気ではありません。空気は窓を開ければ入れ替わります。入れ替わらないのは、においのもとが入り込んだ布と毛のほうです。朝は気にならなかったのに、帰宅した瞬間だけ分かる。あの差が生まれるのは、日中に空気が濃くなったからではなく、布と毛に置かれた量が増えて、そこから空気へ戻り続けているからです。

もとをたどると、その大半は皮脂です。皮膚から出たばかりの皮脂そのものは、ほとんどにおいません。空気にふれて変わり、そこへ雑菌が働いて、はじめてにおいとして分かる形になります。つまりにおいは、ついた瞬間ではなく、置かれてからの時間で強くなります。時間がない人にとって、ここがいちばん都合の悪いところです。手をかけていない時間のほうが、においを作っているからです。

置かれる場所は、だいたい3か所に決まっています。その子が一日でいちばん長くいる寝床の布。体の下側、おなかと内ももと足先の毛。そして食器と水皿の縁です。賃貸でペットと暮らしていると、この3か所と、人が座る場所・寝る場所が近くなります。部屋が広ければ距離で薄まるものが、薄まらないまま人の側へ届きます。

においが置かれている3か所と、そこで起きていること
場所置かれているもの強くなる条件
寝床の布体から移った皮脂と、抜けた毛その子の体温で温まり、湿った状態が続くこと
体の下側の毛床と接している面についたもの毛が寝てつぶれ、風が通らないこと
食器と水皿の縁食べ物と唾液が乾いた薄い膜洗ったあと、水気が残ったまま伏せていること

この3か所には共通点があります。どれも、その子が毎日、同じ座標に置き直しているということです。床全体に薄く散っているのではありません。だから、部屋全体を薄く拭くという手は、置かれている場所をほとんど通りません。時間がないときほど、この3か所だけを見てください。

Noteにおいの主語を「部屋」にすると、手が広がりすぎます

賃貸でペットのにおいを気にしはじめると、床・壁・カーテン・エアコンと、部屋の側へ関心が移りがちです。けれど部屋は、置かれたものを受け取っている側です。受け取る側から手をつけると、面積のぶんだけ時間がかかり、しかも毎日戻ります。主語を「その子が毎日置いている3か所」に置き換えると、手をかける面積が数十分の一になります。時間がない前提で組むなら、この置き換えが先です。

平日は帰宅後の30分だけです。週末にまとめれば追いつきますか

まとめてやる、という考え方が成り立つのは、相手が「量」で決まっているときです。たまった洗濯物は、土曜に3回まわせば片づきます。においはそうなっていません。皮脂は毎日出ますし、置かれてからの時間で変わっていきます。土曜に60分かけて全部を整えても、日曜の夜にはまた置かれはじめ、月曜から金曜までの120時間は、手が入らないまま流れます。

同じ80分を、2つの配り方で比べてみます。週末に60分を1回と、平日に3分ずつ5回、週末に20分。合計時間はほとんど変わりません。変わるのは、においのもとが置かれてから次に手が入るまでの、いちばん長い間隔のほうです。

同じ時間を、まとめる配り方と、毎日に割る配り方
週末に60分だけ平日3分×5回+週末20分
1回あたりの手の入り方深い。全部の場所に届く浅い。1日1か所しか届かない
手が入らない最長の間隔約6日約1日
寝床の布の状態週の後半に、いちばん濃くなる毎日、前の日の分で止まる
帰宅した3秒で分かるか木曜と金曜に分かる分かる日が減る
続けやすさ土曜の予定に左右される3分なので、疲れた日でも残る

週末のまとめが悪いのではありません。週末は「面積を増やす日」として残しておいて、平日は「間隔を切る日」にする。役割を分けると、どちらも捨てずに済みます。時間がないという条件で失われるのは深さではなく、間隔のほうです。埋めるべきものも、そちらです。

Point平日の3分は、中身を毎日変えないほうが続きます

3分で何をするかを毎晩決めていると、決めること自体に時間と気力を使います。平日は「寝床の布に手を当てる」ひとつだけ、と固定してしまってください。湿っていたら替える、湿っていなければそのまま。判断が1つなら、玄関で靴を脱ぐ流れのまま体が動きます。増やしたくなったら、増やすのは週末の20分のほうです。

窓を開けて換気をしているので大丈夫、と思っていました

換気で動くのは空気です。布の繊維の奥に入ったものと、毛の根元に残ったものは、空気ではないので出ていきません。換気をしたあとしばらく気にならないのに、夜になるとまた分かるようになるのは、この差です。空気だけが入れ替わり、置かれている側はそのまま残っているので、時間がたてばまた空気へ戻ってきます。

とはいえ換気が無駄という話ではありません。役割が違うだけです。換気がしているのは、においを外へ出すことではなく、湿りを残さないことのほうです。雑菌が働くには、温度と湿りと時間の3つがいります。このうち賃貸で人の手で動かせるのは、湿りです。ペットのにおいが強くなりにくい条件をつくる、という意味では、換気は残す価値があります。

  1. 浴室かキッチンの換気扇を回す

    賃貸は窓が1面にしかない部屋が多く、開けても空気が通り抜けません。先に換気扇を回して、出口を作ってください。出口が決まると、入口を1か所開けるだけで流れができます。

  2. 換気扇からいちばん遠い窓を、10cmだけ開ける

    全開にする必要はありません。細く開けたほうが流れが速くなります。10分で足ります。真夏と真冬は、この10分だけエアコンを止めてください。

  3. その子の寝床の高さに、手のひらを置いてみる

    空気が動いているかどうかは、人の顔の高さでは分かりません。床から20〜30cm、寝床のあたりで確かめてください。ここが止まっているなら、寝床の位置を壁から10cm離すだけで変わります。

  4. 朝、家を出る前にもう一度だけ回す

    日中の8〜10時間は、誰も部屋にいません。出る前に湿りを抜いておくと、この時間帯の条件が変わります。時間がない朝でも、換気扇のスイッチひとつなら残せます。

換気で大丈夫かどうかは、自分の鼻では判定できません。同じ部屋にいる人は、その部屋のにおいに慣れるからです。判定は、玄関を開けた最初の3秒でしかできません。帰宅した瞬間に分かる日が週に何日あるか。それだけを数えてください。数が減っていれば、いまのやり方は足りています。減らないなら、換気ではなく布と毛の側に手が入っていないということです。

帰宅後に5分しかない日は、どこから先に手をつければいいですか

順番は、においが出ている側から決めます。部屋の床や壁は受け取っている側なので、後ろに回します。先に触るのは、その子の体と、体がいちばん長く乗っていた布です。時間がない日に、この2つより先に掃除機を持たないでください。5分の使い道としては、次の3つで足ります。

  1. 1分:今日いちばん長くいた場所の布に、手のひらを当てる

    季節や天気で、その子が過ごす場所は動きます。ソファの端かもしれませんし、廊下の床かもしれません。湿りと温かさが残っているなら、そこが今日の1か所です。カバーを替えるか、替えが無ければ裏返して風の通る場所へ立てかけてください。

  2. 3分:体の下側だけを、毛の流れに沿ってなでる

    背中ではありません。おなか、内もも、足先、しっぽのつけ根。床と接していて、毛がつぶれて風が通っていない面が対象です。ブラシでも、乾いた手でも構いません。毛を起こして空気を入れるところまでで、5分の日はそれ以上やらないでください。

  3. 1分:食器と水皿を、乾かす向きに置き直す

    洗ってすぐ伏せると、内側に水気が残ります。斜めに立てかけるだけで、翌朝の状態が変わります。帰宅後に洗う時間がない日は、水皿の水だけ捨てて、翌朝に洗うと決めてしまって構いません。

この順番にしている理由は、いちばん上流から手を入れているからです。体についたものは布へ移り、布に置かれたものは空気へ戻り、空気に出たものが部屋の隅に落ちます。下流の床を拭いても、上流から同じ量が流れてきます。時間がないときほど、上流の1か所で止めるほうが、同じ5分でも残るものが違います。

Note全身をやろうとした日から、続かなくなります

5分で全身に手を入れようとすると、どこも中途半端になり、しかも翌日にはもう気力が残りません。賃貸で毎日を回すコツは、1日1面と決めてしまうことです。月曜はおなか、火曜は内もも、というふうに固定しておけば、思い出す手間もなくなります。ペットの側も、毎日同じ場所を同じ長さで触られるほうが、身をよじる回数が減ります。

毎日同じことをしているのに、夕方だけにおいが強くなるのはなぜですか

共働きの家では、部屋がいちばん長く締め切られているのが日中です。8時に家を出て19時に帰るなら、11時間、誰も窓を開けません。この11時間に、温度が上がり、湿りが抜けず、置かれてからの時間だけが進みます。雑菌が働く条件が3つとも揃うのが、まさにこの時間帯です。そして人が帰ってくるのは、その条件が揃いきった直後です。

だから、夕方に強くなるのは手の抜き方が悪いからではありません。手をかけている時刻と、においが作られている時刻が、そもそもずれています。帰宅後にどれだけ丁寧にやっても、それは翌日の11時間に効いてくるだけで、今日の夕方には間に合いません。ここを取り違えると、毎晩の手が増え続けます。

共働きの一日で、においの条件がどう動いているか
時間帯部屋で起きていること人が手を入れられるか
朝7〜8時夜のあいだに置かれたものが残っている10分だけある
日中8〜19時温度が上がり、湿りが抜けず、時間だけ進む誰もいない
帰宅19時3つの条件が揃いきった状態で受け取る分かるのは最初の3秒
夜19〜23時人が動くので空気は入れ替わる5〜30分ある
就寝後その子が寝床に乗り、また置かれはじめるなし

この表を見ると、時間がない人がいじれる場所は2つしかないと分かります。朝の10分と、帰宅後の数分です。そして夕方の状態を変えられるのは、前の晩と、その日の朝だけです。夕方に強いと感じた日に夜がんばるのは、じつは正しい順番ではありません。翌朝の10分を1つ増やすほうが、同じ労力で夕方が変わります。

朝にできることは、多くありません。換気扇を回す、水皿の水を替える、寝床の布を裏返して立てかける。この3つのうち、どれか1つだけを固定してください。賃貸の朝は時刻が動かせないので、増やすほど崩れます。3つ全部を目指した週より、1つだけ残した月のほうが結果は良くなります。

賃貸のにおいのために、やらなくていいことはどれですか

ここまで7つのうち、これだけが「減らす」ための項目です。時間がない人にとって、やることを増やす助言は、実行できない助言と同じです。よく勧められる手のうち、3つは外して構いません。外したぶんを、上流の3か所へ回してください。

外していいことと、そのぶん何を残すか
外していいこと外していい理由代わりに残すこと
毎日、部屋全体の床を拭くにおいは床全体ではなく、その子が毎日同じ座標に置いている。面積のほとんどが空振りになるその子が今日いちばん長くいた1か所だけ
毎日、全身を拭き上げる背中側は風が通っていて条件が揃いにくい。触る回数が増えるほど、その子の側も嫌がる床と接していた下側の面だけ、1日1面
においが気になるたびに洗う回数を増やす洗うほど乾かす時間が要り、時間がない日ほど生乾きの時間が伸びる洗う回数は変えず、下側の毛に手を入れる日を1つ足す

3つ目について補足します。においが気になったとき、いちばん手っ取り早く感じるのが洗うことです。ただ賃貸で共働きとなると、洗ったあとに乾かしきる時間まで含めて確保しなければなりません。夜に洗って半乾きのまま寝てしまうと、湿った状態が朝まで続きます。これは、においが強くなる条件をそのまま作ることになります。時間がない週は、洗う回数を増やさない判断のほうが噛み合います。

床と接していたおなか、内もも、足先。この面は、その子が自分でなめて手入れをしている場所でもあります。だからここに何を置くかは、そのまま口に入るかどうかの話になります。mofuwa スキンケアミストの中身は電解水だけです。清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、なめる面に置くものとして選べます。布に含ませて、下側の毛を流れに沿って一方向になでてください。毛が起きて空気が通れば、置かれてからの時間が進みにくくなります。使ったあとは、その面が乾いているかどうかだけ確かめれば十分です。賃貸でにおいが気になる週に増やすのは、手順の数ではなく、手が入る日数のほうです。

Caution消臭剤を足す前に、置かれている側を見てください

空気に足すものを増やすと、最初の数日は分からなくなります。ただし布と毛に置かれている量は、そのまま残ります。置かれている側が増え続けると、足す量も増え続けることになり、時間がない人ほど手が抜けなくなります。ペットと賃貸で暮らすなら、空気に足す前に、寝床の布を1枚替えるほうを先にしてください。

共働きの朝と、帰宅後の夜。1つだけ残すならどちらですか

答えは夜です。ただし理由は、夜のほうが時間があるからではありません。夜は、その日ついたものがまだ移りきっていない時刻だからです。体についた皮脂が布へ移り、布に置かれたものが空気へ戻るまでには、時間がかかります。帰宅後の数分は、まだ上流にあるうちに触れる、その日ただ一度のタイミングになります。

朝には別の役割があります。朝にできるのは、これから始まる11時間の条件を決めることです。夜は「置かれた量を減らす」時間、朝は「置かれてからの進み方を遅くする」時間。役割が違うので、どちらか一方に両方をやらせようとすると、片方が必ず崩れます。

朝と夜で、置くものを分けておく
朝(10分)夜(5〜30分)
役割日中の条件を決めるその日置かれた量を減らす
固定するもの換気扇を回す。1つだけ寝床の布に手を当てる。1つだけ
時間があるとき足すもの水皿の水を替える体の下側を1面、食器を乾かす向きに
やらないことその子を起こして触る全身をやろうとする
崩れたときの戻し方スイッチだけ入れて出る布に手を当てて、湿っていなければ終わり

共働きの朝は、時刻がほとんど動かせません。だから朝に置くものは、判断のいらない動作にしてください。スイッチを押す、水を捨てる、布を立てかける。考えずに手が動くものだけが、忙しい朝を生き残ります。逆に夜は、時刻が多少ずれても構いません。ずれても残るように、やる内容のほうを固定しておきます。

時間がない週が続くと、どちらも飛ぶ日が出てきます。それでも構いません。飛ばした翌日に取り返そうとして倍やらないでください。倍にすると、その日の負担で次の日も飛びます。飛んだ日は飛んだまま、翌日はいつもの1つに戻す。この戻し方だけ決めておけば、賃貸で1年続けられます。

残った疑問を、共働きの平日1日に並べ直すとどうなりますか

7つの答えを、時刻の順に置き直します。賃貸でペットと暮らす平日は、手を入れられる場所が3か所しかありません。朝の10分、帰宅後の5分、寝る前の3分です。ここに何を置くかが決まれば、残りの疑問はほとんど消えます。

  1. 朝(家を出る前の10分)

    換気扇を回し、いちばん遠い窓を10cmだけ開ける。10分たったら閉めて出ます。時間がない朝は、換気扇のスイッチだけで構いません。これから始まる11時間の条件を、ここで決めています。

  2. 帰宅(最初の3秒)

    何もしません。玄関を開けた3秒で、においが分かるかどうかだけ覚えておいてください。これが、いまのやり方が足りているかどうかを測る、唯一の物差しです。週に何日分かるかを数えるだけで足ります。

  3. 帰宅後(5分)

    今日いちばん長くいた場所の布に手を当て、湿っていれば替える。次に体の下側を1面だけ、毛の流れに沿ってなでる。ここで背中や全身に手を広げないでください。5分で終わる形のまま残すことが目的です。

  4. 寝る前(3分)

    食器と水皿を、水気が残らない向きに置き直す。ここまでで終わりです。床を拭くのは、この段では要りません。週末の20分に回してください。

  5. 週末(20分)

    平日に触れなかった面を足します。寝床のカバーを洗う、その子が過ごす場所の床を拭く、体の背中側にも手を入れる。週末は面積を増やす日で、間隔を切る日ではありません。ここが埋まらない週があっても、平日の1つが残っていれば戻せます。

最後に、においそのものが変わったときの話をしておきます。これまでと質が違うにおいが、体の1か所からだけ出ているときは、置かれてからの時間の話ではありません。耳、口のまわり、指のあいだ、しっぽのつけ根。手を入れているのに1か所だけ戻ってくる、皮膚が赤い、その場所を気にしてなめている、といった変化があるときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。時間がない人ほど、この切り分けを先にしておくと、無駄な手が減ります。

賃貸でペットと暮らしていて、においを完全になくす日は来ません。生きている体から皮脂が出続けるからです。動かせるのは量ではなく、置かれてからの時間のほうです。週末にまとめるのをやめ、平日に3分の1つを置く。それだけで、帰宅した3秒で分かる日が減っていきます。時間がないという条件は変わりませんが、その条件のまま組める形はあります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。