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抜け毛は掃除機で吸ってもいい?

公開日 2022年6月17日|文=mofuwa編集部

明るく片づいた部屋で、柔らかいブランケットの上に並んで休んでいる淡い色の犬と猫
床に落ちている毛は、もう落ちたあとの毛です。量が決まっているのは、落ちる前の場所です。写真:https://kaboompics.com//Pexels

朝に吸ったばかりの廊下の壁ぎわに、夕方にはまた同じくらいの抜け毛が寄っていました。ペットの抜け毛は、掃除機で吸って構いません。床やカーペットに落ちた毛を取る道具として、掃除機よりも速いものはほとんどありません。ただ、この疑問がなくならない理由は、道具の側にはありません。床にある毛は「もう落ちた毛」で、落ちる量そのものは、掃除機を持つ前の段階で決まっています。だから、吸っても翌日には同じだけ落ちています。この記事では、掃除機が担当できる範囲と、掃除機より前に決まっている範囲を分けて、7つの問答で書きます。最後に出てくる答えは、掃除の話ではなく、その子が1日のうちどこにいるか、という話になります。

抜け毛は掃除機で吸ってもいいのですか

吸って構いません。床、フローリング、カーペット、階段。すでに落ちている毛を集める道具として、掃除機は家にあるもののなかでいちばん速いです。粘着ローラーは表面ぶんしか取れず、ほうきは細い毛を舞い上げます。ペットの抜け毛の掃除で、掃除機を避ける理由はありません。

そのうえで、条件が2つあります。1つは、毛が機械の側にたまること。ペットの毛は細くて長く、繊維に絡みやすいので、回転するブラシの軸に巻きつきます。紙パックやフィルターも、ほこりだけを吸っている家より早く目が詰まります。吸えなくなったと感じたときは、たいてい機械の力が落ちたのではなく、毛が通り道をふさいでいます。

もう1つは、掛ける前に毛が舞うことです。掃除機は前から吸って後ろから風を出すので、床の近くに空気の流れができます。乾いた日は、その風で軽い毛が持ち上がって、少し先の床に落ち直します。吸ったのに、少し離れたところに同じ毛が移っただけ、ということが起こります。これも道具の欠陥ではなく、風を使う仕組みの都合です。

つまり、掃除機は使ってよくて、掃除機の側で気にすることは手入れの話に収まります。問題は、そこではありません。次のセクションからが、この記事の本題です。

吸っても翌日には同じだけ落ちているのは、なぜですか

床にある毛は、もう落ちた毛だからです。掃除機が取っているのは、体から離れて、床に着いたあとの毛です。ここが取れても、次に落ちてくる毛の量は1本も減りません。掃除機は「落ちた量」を回収する道具で、「落ちる量」には触れていません。だから、どれだけ丁寧に吸っても、翌日には同じだけ床にあります。

1日に落ちる量を決めているのは、掃除の側ではなく被毛の側です。生え替わりの周期、季節、部屋の乾き方、その子の体格。ここに掃除機は関わっていません。だから「吸っても追いつかない」という感覚は、力が足りないのではなく、そもそも別のものを測っているところから来ています。

分かりやすい確かめ方があります。1日だけ掃除機を掛けずに過ごしてみると、床の毛の量が2倍にはならないことに気づきます。壁ぎわと家具の下に寄って、見た目の量が増えるだけです。落ちた毛は、風と人の動きで同じ場所に集まっていきます。集まった山を見て「こんなに増えた」と感じますが、増えているのは集まり方であって、量ではありません。

Note落ちた毛が同じ場所に寄るのは、家の側の条件です

毛が寄る場所は、たいてい決まっています。ドアの開閉で風が起きる場所、人が歩く通り道の脇、家具と壁のあいだ。この3つに集まります。毎日そこを見て「また落ちている」と感じるのは自然なことで、その子の抜け毛が急に増えたわけではありません。増えたかどうかを見たいときは、寄り場所ではなく、その子が長くいる場所の毛を見てください。

「もう落ちた毛」と「まだ落ちていない毛」は、どこで分かれるのですか

分かれ目は、体から離れたかどうかです。抜けかけの毛は、根元では外れていても、まわりの被毛に引っかかったまま体の上に残っています。これがしばらく体に乗っていて、動いた拍子や、人が触った拍子に落ちます。ペットの抜け毛は、抜けた瞬間に床へ行くわけではなく、いったん体の上で待っている時間があります。

この「待っている時間」に手を入れられるのが、ブラッシングです。ブラシで取っているのは、床に落ちる前の毛です。掃除機は落ちたあとを担当し、ブラッシングは落ちる前を担当する。同じ毛を、違う時点で受け止めているだけです。どちらが偉いという話ではなく、担当が違います。

掃除機が担当する毛と、掃除機より前に決まる毛 床に落ちたあとの毛と、まだ体の上にある毛を、同じ項目で並べています。担当する道具と、効く場所が違います。 道具の優劣ではなく、時点の違いです もう落ちた毛(床の上) 掃除機がいちばん速い 量は前の日に決まっている 風と動線で寄り場所に集まる 取っても次の量は減らない 毎日の掃除で追いかける対象 まだ落ちていない毛(体の上) ブラッシングで取れる 根元では外れている 触ると落ちる状態で待っている 取れば床に行く量が減る 換毛期はここが一気に増える
同じ1本の毛でも、どの時点で受け止めるかで、使う道具が変わります。

ブラシを入れる位置にも、この分かれ目が出ます。毛先だけをなでても、抜けかけの毛はほとんど取れません。外れているのは根元で、そこから毛先まで引っかかっているだけだからです。根元まで届く角度で入れて、毛の流れに沿って外へ抜く。1か所につき数回で足ります。強く引く必要はありません。

ここまでで、掃除機に対する期待の置き場所が変わります。掃除機は「今日の床」を担当する道具で、「明日の床」には効きません。明日の床に効くのは、体の上でまだ待っている毛を、どこで受け止めるかという設計のほうです。

吸引力の強い掃除機に買い替えれば解決しますか

床の毛を取る速さは上がります。ただ、追いつかないという感覚は、たいてい力の問題ではありません。面積の問題です。落ちる場所が家じゅうに散らばっていると、掛けなければならない床の広さがそのまま作業量になります。吸引力が2倍になっても、掛ける床が2倍あれば、かかる時間は変わりません。

実際、抜け毛の掃除が終わらない家に共通しているのは、機械の性能ではなく、その子が1日のうちに移動する範囲の広さです。居間と寝室と廊下と階段を行き来していれば、落ちる場所も4か所以上に分かれます。どこも少しずつ落ちているので、どこも掛けないと終わりません。

掃除機の力を上げた場合と、落ちる場所を減らした場合
変えたところ何が変わるか何が変わらないか
吸引力を上げる1平方メートルあたりの時間が短くなります掛ける床の広さは同じです
掛ける回数を増やす見た目の量が減ります落ちる量は同じです
フィルターを掃除する本来の吸いに戻ります落ちる場所の数は同じです
落ちる場所を集める掛ける床の広さが減ります1日に落ちる量そのものは同じです
落ちる前に受け止める床に行く量が減ります生え替わりの周期は変わりません

下の2行が、この記事の答えにあたる部分です。掃除機を強くするより、落ちる場所を1か所に集めるほうが早い。強くするのは1平方メートルあたりの話で、集めるのは平方メートルの数そのものを減らす話だからです。効き方の大きさが違います。

落ちる場所を1か所に集めるとは、具体的に何をするのですか

やることは2つだけです。その子が1日のうちで長くいる場所を数えること。そこに、洗える布を置くこと。掃除の道具を買い足すのではなく、毛が落ちる先を作ってしまう、という考え方です。

  1. 3日ぶん、どこにいたかだけを書く

    朝・昼・夜の3回、目に入ったときにいた場所を1行で書きます。時間を測る必要はありません。3日で9回ぶん並べると、たいてい上位3か所に集中しています。掃除の記録ではなく、居場所の記録です。

  2. 上位の1か所に、洗える布を置く

    毛布でも、綿のシーツでも、洗濯機に入るものなら何でも構いません。床に落ちるはずだった毛の行き先を、洗える面に変えるだけです。その子が乗らない布を置いても意味がないので、もともと寝ている場所に置くのが要点です。

  3. 布は掃除機ではなく、洗濯機の担当にする

    布に落ちた毛は、掃除機で吸うより洗ったほうが確実に減ります。週に1回、洗って完全に乾かす。毛のついた布を掃除機で追いかけ始めると、また床と同じことになります。

  4. 2か所目からは、動線の要に置く

    居間から寝室へ抜ける入口、ソファの足元、玄関の上がり口。通り道の途中に1枚あると、そこで落ちる量が増えます。4か所に散っていた落ち場所が、2か所に寄るだけで、掛ける床がはっきり減ります。

ここまで来ると、この疑問が掃除の話ではなくなっていることに気づきます。ペットの抜け毛の掃除を短くするのは、掃除の工夫ではなく、その子がどこにいるか、という話です。居場所が分かれば、落ちる場所が決まります。落ちる場所が決まれば、掛ける床が決まります。掃除機はそのあとで、決まった床だけを担当すればよくなります。

布を置いても床の毛がゼロになるわけではありません。目安として、寄り場所を見て回る時間が減れば十分です。家じゅうを追いかけていたのが、布を洗うのと、通り道を掛けるのと、2つの作業に減る。ここまで来れば、掃除機の力の話は本当に脇の話になります。

掃除機のノズルを体に当てて吸ってもいいのですか

この記事ではおすすめしません。理由は音です。掃除機の運転音は、犬や猫が生活している床の高さでは、人が立って聞いているより近くで鳴っています。そこへノズルを体に当てると、音の出どころが体に触れている状態になります。逃げ場のない場所で音が続くと、掃除機そのものを嫌がるようになり、ふだんの掃除まで難しくなります。

風の当たり方も条件です。ノズルの先は面積が小さいぶん、そこだけ風の速さが上がります。被毛は流れに沿って寝ているので、逆向きの強い風が当たると根元が起きます。取れているように見えて、抜けかけていない毛まで引かれていることがあります。強く吸えるところほど、加減が効きません。

落ちる前の毛を取りたいなら、担当はブラッシングです。掃除機を掛ける前にブラシを入れておくと、掛けるときに舞う量が減ります。順番として、ブラシ、少し待つ、掃除機。ブラシで浮いた毛が落ちきるまで数分あけると、床の1回で回収できます。

空気が乾いている時期は、静電気で毛が繊維に立ってしまい、掃除機でも取りにくくなります。mofuwa グルーミングスプレーは、ブラシを入れる前の被毛に含ませて使うブラッシングスプレーです。布に取って背中から尾のつけ根まで一往復させてからブラシを入れると、毛先の引っかかりが減り、静電気で立っていた毛も一緒に取れます。この記事の言い方でいえば、グルーミングスプレーが受け持つのは「まだ落ちていない毛」の側、つまり掃除機の手が届かない前半です。舐めても問題のない基準(清涼飲料水の規格基準)でつくられているので、換毛期に毎日使っても、かける量を数えなくて構いません。無香料なので、寝床の布に毛が移ったときも、洗う前の布にスプレーのにおいが残りません。洗える日は、アミノ酸系の洗浄成分を使った mofuwa モイストシャンプーで洗って完全に乾かすと、その週の落ちる量がまとまって前倒しになります。

換毛期は、掃除の回数を増やすべきですか

増やすなら、掃除の回数ではなく布の枚数です。換毛期は、体の上で待っている毛の量が一気に増える時期です。落ちる量が増えるので、床を追いかける側を増やすと、そのまま作業量が倍になります。受け止める面を増やすほうが、同じ手間で効きます。

換毛期に増やすもの、増やさなくていいもの
何をそう決める理由
増やす洗える布の枚数落ちる先が増えるほど、床に行く量が減ります
増やすブラッシングの回数1回を長くするより、回数のほうが取れます
増やす布を洗う頻度抱えられる量に限りがあります
増やさない掃除機の回数落ちる量は掃除では変わりません
増やさない1回のブラッシングの時間長くすると皮膚のほうが先に嫌がります
増やさない洗う回数洗いすぎると被毛と皮膚の条件が変わります

ブラッシングは、1回を長くするより回数を分けるほうが結果がそろいます。同じ合計時間でも、間隔が空くほど1回で取れる量にばらつきが出ます。換毛期は毎日、1回は短くて構いません。根元まで届く角度で入れて、毛先まで抜く。それを日課の中に置くほうが、掃除機を1日2回掛けるより楽です。

Caution換毛期の抜け毛と、区別しておきたい変わり方

体の1か所だけ薄くなっている、左右の同じ場所が同じように薄い、地肌が見えている、その場所を気にしてなめ続けている、地肌が赤い、フケが増えた。こうした変わり方は、換毛期の抜け毛とは別のものが動いていることがあります。掃除の頻度やブラシの種類を変える前に、動物病院にご相談ください。いつから、どこから、という2つをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。

7つの答えを「毛がどこで落ちたか」で並べ直す|ペットの抜け毛と掃除の分担

最後に、ここまでを1本の線に戻します。1本の毛には、体の上にある時間と、床の上にある時間があります。掃除機は後半だけを担当する道具で、前半には手が届きません。ペットの抜け毛の掃除が終わらないと感じるときは、後半だけを何度も繰り返しているのがふつうです。

毛がどこにあるかで、担当する道具が変わる
毛がある場所担当そこでできること
根元で外れて、被毛に引っかかっているブラッシング落ちる前に受け止めます
体の上に乗って、触ると落ちる布・ブラッシング落ちる先を決められます
寝床の布の上洗濯機洗って完全に乾かします
通り道の床掃除機いちばん速く取れます
壁ぎわ・家具の脚元細いノズル寄り場所なので毎回同じところです
カーペットの繊維の中掃除機(ゆっくり往復)表面ではなく、立った毛のあいだです

こう並べると、増やすところが1か所に決まります。上の2行に手を入れると、下の4行の作業量がまとめて減ります。逆に、下の4行だけを増やしても、上の2行は何も変わりません。掃除機を買い替えるかどうかを迷っているときは、その前に上の2行を3日ぶん見てみるほうが、答えが早く出ます。

ひとつ、掃除の話として片づけないほうがよいものがあります。抜け毛の量が急に変わったと感じるときです。季節の変わり目の増え方は、家じゅうで同時に増えます。1か所だけ、片側だけ、地肌が見えるところが出てきた、というときは種類が違います。壁ぎわに寄る量は同じでも寄り方が変わった、という3日ぶんの記録を持って、掃除の頻度を上げる前に動物病院にご相談ください。

最後に、この記事の最初の疑問に戻ります。抜け毛は掃除機で吸ってもいいのか。吸って構いません。ただ、掃除機が担当しているのは今日の床です。明日の床を決めているのは、その子が今日どこにいたか、そこに洗える布があったか、落ちる前の毛をどこで受け止めたか、という3つのほうです。毎日の掃除を短くしたいときほど、掃除機から離れたところに答えがあります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。