C05犬種・猫種別ケア

スコティッシュディアハウンドはなぜ毛のパサつきが起きやすいのか。ワイヤーコートから考える

公開日 2022年6月21日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの草地に、ごわついた毛の犬が落ち着いて立っている
剛毛は光を一方向に返しません。つやのあるなしではなく、毛先の向きがそろっているかを見ます。

スコティッシュディアハウンドの背中に手のひらを当てると、指を押し返してくる硬さがそのまま返ってきます。この犬種の毛は太く、乾いていて、触ると音がしそうなほどごわついています。それが本来の状態で、手入れが足りていない印ではありません。ところが、ある時期から同じ背中が白っぽく、けば立って見えるようになることがあります。このとき起きているのは、毛のパサつきという言葉から連想される「つやが落ちた」という変化ではありません。剛毛はもともと、つやとして見えるほど光をまとめて返さない毛質です。パサついて見えるのは、毛先が折れて、光を返す向きがばらばらになった状態です。この記事では、なぜそうなるのかを先に置いて、そのあとに家でできる手順を書きます。

剛毛はもともと光を返しません|スコティッシュディアハウンドの毛と、家でできることの前提

先に、この記事の前提を置きます。スコティッシュディアハウンドの毛は、つやを持つようにできていません。これは手入れの結果ではなく、毛そのものの作りです。ワイヤーコートと呼ばれる剛毛は、太く、硬く、表面が平らではありません。1本ずつの向きも、隣の毛とそろっていません。だから、そもそも光が同じ方向へ返りません。

つやという見え方が生まれる仕組みは単純です。毛の表面に当たった光が、同じ向きにそろって返ってくると、人の目には帯のような光として映ります。絹のような細い毛が濡れたように光るのは、毛がまっすぐで、向きがそろっているからです。剛毛では、この条件がはじめから成立しません。光は毛の1本1本で別々の方向へ散ります。散った光は、帯にならずに、白っぽいざらつきとして見えます。

この犬種の毛がそうなっている背景も、仕事の側から説明がつきます。スコットランドの丘陵で獲物を追っていた犬種です。風と冷たい雨、そして石と草の中を走るための毛なので、光る必要はなく、折れずに耐えることのほうが役に立ちます。硬さは、その条件に合わせた作りです。つやのある毛と比べて劣っているのではなく、別の役に立つように向いています。

そのうえで、飼い主が「毛のパサつきが出てきた」と感じる変化は、実際に起きています。ないものが落ちたのではありません。ばらばらだった光の向きが、さらにばらばらになったのです。原因は、毛先です。折れた毛先は、まっすぐな毛先より短く、太さが途中で変わり、断面がむき出しになります。そこに当たった光は、いっそう散ります。1本ならわかりませんが、面として集まると、白くけば立った見え方になります。

同じ「パサついて見える」でも、起きていることが違います
細く柔らかい毛の場合スコティッシュディアハウンドの剛毛の場合
もともとの光り方向きがそろい、帯のように光るはじめから散っている。帯にならない
パサついて見える正体そろっていた向きが崩れる毛先が折れて、断面が増える
どこを見るか毛の中ほどから毛先の流れ毛先そのものの形
家でできること流れをそろえ直す折れる条件を減らす
変化に気づく速さ数日で見た目が動く折れた毛が伸び替わるまで残る
Note「つやを戻す」という目標を置かないでください

剛毛にはじめから帯のような光がない以上、つやを取り戻すという目標を立てると、手のかけどころがずれていきます。油分を足す、洗う回数を増やす、といった方向に寄りやすいからです。スコティッシュディアハウンドの毛で家でできるのは、折れた毛先をこれ以上増やさないことと、いま生えている毛の向きを乱さないこと。この2つだけです。目標を「光らせる」から「折らない」に置き換えると、やることがはっきりします。

毛先を見て、折らない順番で入る|スコティッシュディアハウンドの毛のパサつきに手を入れる順番

ここからが手順です。順番には理由があります。先に毛先を見るのは、その日に触っていい状態かどうかが、毛先の形で決まるからです。いきなり道具を持つと、折れている毛の上をもう一度こすることになります。次の順で進めてください。全身を一度に回す必要はありません。

  1. 手順1:窓辺の明るさで、毛先を1束だけ見る

    照明の下ではなく、日中の窓の近くで見てください。毛を1束つまんで、光を背にして毛先を見ます。まっすぐな毛先は、先へいくほど細くなって終わります。折れた毛先は、途中で断ち切られたように太いまま終わっています。白っぽく見える点が並んでいたら、それが折れた断面です。この束の中に何割あるかで、その日の進め方が変わります。

  2. 手順2:乾いたままブラシを入れない

    スコティッシュディアハウンドの毛のパサつきを増やす条件のうち、家でいちばん多く起きているのがこれです。乾ききった剛毛は、曲げられたところで戻らずに折れます。道具を持つ前に、霧吹きか、水を含ませて固く絞った布で、毛の表面の滑りをそろえてください。水を含ませすぎると、今度は毛が束になって道具が止まります。指が引っかからなくなる程度で足ります。うるおいを足すというより、折れる角度をつくらないための一手です。

  3. 手順3:毛の流れに沿って、根元から毛先へ、一方向だけ動かす

    行きと帰りで往復させると、帰りの動きで毛先が逆立ちます。逆立った毛先は、次の一往復で折れます。手を返して、毎回同じ向きに通してください。1回の距離は短くて構いません。首から肩、肩から背中、背中から腰と、区切って進めるほうが、力が一定になります。

  4. 手順4:引っかかった場所は、道具を止めて指でほどく

    引っかかりを道具の力で抜こうとすると、抜けるのは絡んだ毛ではなく、その手前の毛先です。止まったら手を離して、指2本で毛を左右に分けます。分けて量を減らしてから、また同じ向きに通します。この段階を飛ばした日が、折れた断面をいちばん増やします。急いだぶんが、そのまま見た目に残ります。

  5. 手順5:終わったら、もう一度同じ束の毛先を見る

    始める前と同じ場所を見てください。白い点が増えていたら、その日の手つきが強すぎたということです。次の日は、水分を足す量を増やすか、動かす距離を短くします。この確認を毎回やると、自分の手の力加減が数日で決まります。スコティッシュディアハウンドの毛では、道具を替えるより、この見比べのほうが早く効いてきます。

手順2の「滑りをそろえる」は、mofuwa グルーミングスプレーで一工程にまとめられます。布に含ませて、毛の流れに沿って背中や体の側面をなでるように拭いてください。乾ききった剛毛のまま道具を入れる日をつくらない。スコティッシュディアハウンドの毛のパサつきに家から手を入れるなら、中心はここです。アルカリ電解水と余分な皮脂が乳化するので、草地や土の上を走ってきた日に肩や腰の外側についた汚れも、同じ動きで一緒に拭き取れます。舐めても問題のない基準でつくられているため、量を気にせず毛の面を広く湿らせられます。毎日きれいにしておきたい、という理由だけで使って構いません。吹きかけたあと、毛先が湿ったまま放置しないよう、乾いた面で軽く押さえてから道具を持ってください。グルーミングスプレーを使った日も、動かす向きは一方向のままにしてください。

パサつきを増やす条件は生活の中にあります|スコティッシュディアハウンドの毛に触る頻度

手順どおりにやっているのに、白い点が減らない。パサつきの見え方が変わらない。そういうときは、ブラッシング以外の場所で毛先が折れています。剛毛は硬いので、曲げられたら戻らずに折れる、という性質を持っています。曲げているものは、道具だけではありません。1日の中で毛が押し当てられている場所を、順に思い出してください。

そのうえで、頻度の話をします。ここがこの犬種で逆転しやすいところです。触る回数を増やすほど毛先が守られる、とは限りません。乾いたまま毎日ブラシを入れれば、折れる回数もそのぶん増えます。スコティッシュディアハウンドの毛のパサつきでは、頻度を「週に何回」で決めるより、「どういう条件がそろった日に触るか」で決めるほうが合っています。

頻度は、回数ではなく条件で決めます
その日の条件触るか触るなら、どこまで
毛が乾ききって、指が引っかかるそのままでは触らない先に滑りをそろえてから、1面だけ
散歩から帰って、毛がまだ湿っている触ってよい流れに沿って、根元から毛先へ一方向
静電気で毛が逆立っている道具は持たない手のひらで押さえるところまで
首輪を外した直後触ってよい跡がついた場所だけ、短く
換毛期で抜け毛が多い毎日でなくてよい引っかかったら止めて、指で分ける
白い点が前回より増えたその日は休む翌日に、水分を足してからやり直す
Caution毛先を切りそろえて解決しようとしないでください

折れた毛先が気になると、そこだけ短く整えたくなります。ただ、剛毛は切った断面も同じように光を散らします。切ったところで見た目は変わらず、そのうえ毛先の細くなった部分がなくなるので、面としてはさらにざらついて見えます。パサついた毛先は切ってしまえばよいという手は、この毛質では逆に働きます。伸び替わるのを待つあいだ、折れる条件を減らすほうが確実です。

光の向きをそろえるコツと、毛先の形では説明がつかないパサつき

最後に、毛のパサつきを増やさないための日々のコツを3つだけ挙げます。どれも道具を増やす話ではありません。スコティッシュディアハウンドの毛で動かせるのは、手の速さと、触る前の状態と、見る場所の3つです。この3つがそろうと、折れた断面が増える速さが目に見えて落ちます。

そのうえで、毛先の形では説明がつかない変化もあります。折れているかどうかを窓辺で確かめて、折れていないのに白っぽい。あるいは、けば立ちが体の一部だけに集まっている。こういうときは、毛の話として片づけないでください。剛毛は地肌が見えにくいぶん、皮膚の側の変化に気づくのが遅れます。次のような様子があれば、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。

Point相談に行く前に、3つだけメモしてください

いつから白っぽく見えるようになったか、体のどこか、その間に変えたこと(寝床・首輪・洗う回数・季節)。この3つがあると、毛先の折れで説明がつく範囲かどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りに手入れをすると、もとの状態が分からなくなります。気になっている面は、そのまま連れて行ってください。

スコティッシュディアハウンドと暮らすうえで、毛が光らないこと自体は変わりません。けれど、毛のパサつきとして目に入っている白っぽさは、折れた毛先の数で決まっています。折れる条件は、乾いたままの道具、往復する手、押さえ続けるもの、急いだ日。どれも家の中にあって、どれも変えられます。つやを足すのではなく、折らずに伸び替わらせる。この毛質でできるのは、その一つです。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

よくある質問

スコティッシュディアハウンドの毛に、油分を足したほうがいいですか?
毛先の折れが原因で白っぽく見えている場合、油分を足しても断面の数は変わりません。触ったときの滑りは変わるので、道具を入れる前に表面をそろえる目的なら意味があります。ただ、量が多いと毛どうしが束になり、かえって道具が引っかかります。まず、乾いたまま触っていないかどうかを見直してください。
洗う回数を増やせば、パサつきは落ち着きますか?
洗う回数と、毛先が折れる回数は別の話です。むしろ洗ったあとに乾かす工程が増えるぶん、毛を曲げる機会は増えます。洗うなら、そのあとの乾かし方を変えてください。毛の流れに沿って、根元から毛先へ一方向に風を当て、途中で往復させないことです。回数そのものは、汚れた日に合わせて構いません。
折れた毛先は、どのくらいで元に戻りますか?
折れた毛が自然に伸び替わるまでの時間は、その子の毛の伸び方や季節によって変わります。数週間で入れ替わるものではないと考えておくほうが安全です。だからこそ、いま生えている毛を折らないことが中心になります。同じ束を窓辺で見比べて、白い点が増えていなければ、その日のやり方は合っています。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。