C09シーン別・暮らし

多頭で暮らす、大型犬と暮らす人はどうしている?

公開日 2022年7月16日|文=mofuwa編集部

明るい光の入る部屋で、白い大きな犬と淡い色の小さな犬が同じ床に寝そべっている
体の大きい子が通る幅は、家の中のいちばん狭い場所で決まります。居場所は、その残りに置かれます。写真:3194556/Pixabay

ソファの前の1メートルを、いちばん体の大きい子が水皿まで歩いて戻ってくる。それだけで、そこに寝ていた小さいほうの子が2回どきました。多頭飼いをしていると、この場面が1日に何十回も起きています。大型犬の側に、どかそうという気はありません。ただ、通るのに要る床の幅が、他の子の1頭ぶんより広いというだけです。室内の居場所は、この幅の残りで決まっていきます。先に決めるのは、いちばん大きい子の通り道です。他の子の居場所と、毎日のケアの順番は、その外側に作ります。この記事は、なぜそうなるのかを先に書いて、手順をあとに置きます。

その子が立ち上がるだけで、他の子が場所を空けます|多頭飼いに大型犬が1頭いる室内の毎日

多頭飼いの家で、いちばん体の大きい子が水を飲みに立ち上がります。往復にかかるのは20秒ほど。ところがその20秒のあいだに、廊下の入口で1頭、ソファとテーブルのあいだで1頭が場所を空けています。大型犬が通ったのではなく、他の子が先に動いて通れるようにしています。これが1日に何十回もくり返されるのが、大型犬のいる多頭飼いの室内です。

押しのけているのは体重ではありません。体重で言えば、寝ている子を無理に動かす必要はどこにもないからです。効いているのは通るのに要る床の幅と、向きを変えるのに要る面積のほうです。体長のある子は、その場で振り向くだけで、体の長さぶんの円を床に描きます。狭い場所ではこれが描けないので、いったん前へ出てから戻ることになり、通り道が2倍の長さになります。

体格で変わるのは、力ではなく床に要る面積です
体の小さい子大型犬
まっすぐ通るのに要る幅肩幅ぶん+少し肩幅ぶん+左右に20cmほど
その場で向きを変えるほぼその場で回れる体長ぶんの円が床に要る
寝るときに使う面積クッション1枚に収まるはみ出して床に接する部分が出る
立ち上がる動作前脚から起きて、すぐ歩ける前脚を出し、腰を上げ、一歩下がってから歩き出す
体がぶつかりやすい場所家具の脚のきわ廊下の入口、ソファとテーブルのあいだ

家の中には、必ず何か所か「くびれ」があります。廊下の入口、キッチンの出入り口、ソファとテーブルのあいだ、洗面所の前。大型犬の通る幅より狭い場所が、その家の中でどこか、を先に知っておいてください。くびれの数はたいてい3か所か4か所です。そして他の子が場所を空けているのは、ほぼ全部このくびれの近くです。多頭飼いで居場所が安定しない家は、くびれの中に誰かの寝床が置かれています。

人の側から見えているのは、この仕組みではなく結果のほうです。小さいほうの子が落ち着かない、せっかく買った寝床を使わない、ごはんのあとに部屋の隅へ行ってしまう。これを性格や相性の話にすると、手の入れようがなくなります。けれど床の幅の話にすれば、動かせるものが出てきます。家具の位置、水皿の位置、寝床の向き。どれも今日のうちに変えられるものばかりです。

Note相性の話に寄せないでください

多頭飼いで居場所が入れ替わるのを見ると、この子たちは相性が悪いのかもしれませんと考えたくなります。ただ、同じ2頭でも、廊下の広い家では同じことが起きません。起きているのは意図ではなく、床の面積の取り合いです。大型犬が1頭いる家では、その子が通ったあとに残る面積が、他の子の居場所になります。まず測るのは気持ちではなく、いちばん狭い場所の幅のほうです。

いちばん大きい子の通り道を先に引く|多頭飼いで居場所をつくる4つの手順

順序をはっきりさせます。他の子の居場所から決めてはいけません。先に決めるのは、いちばん体の大きい子が毎日通る線のほうです。線が決まれば、その外側が空きます。空いた場所に他の子の居場所を置く。多頭飼いで場所が安定しないときは、この順番が逆になっていることがほとんどです。次の4つの手順で進めてください。

  1. 手順1:大型犬が1日に通る線を、3本だけ書き出す

    全部を書こうとしないでください。多いようでいて、毎日必ず通る線は3本しかありません。寝ている場所から水皿まで、玄関まで、人がいちばん長くいる場所まで。紙に部屋の形を描いて、その3本を線で引きます。この3本の上にあるものが、そのまま今日どかす候補になります。

  2. 手順2:線の幅を、その子の肩幅+左右20cmで測る

    メジャーで肩幅を測って、左右に20cmずつ足します。それがその子の通る幅です。3本の線を、その幅の帯として床に描き直してください。くびれの部分で帯がはみ出す場所が、毎日ぶつかっている場所です。多頭飼いの家では、たいてい1か所か2か所ではみ出します。

  3. 手順3:帯の外側に、他の子の居場所を新しく作る

    帯の外側で、壁に片側が接している場所を選びます。大型犬が通っても、背中側に何もない場所が落ち着きます。床が足りないときは、高さを使ってください。ソファの座面、窓辺の台、階段の1段目。床の面積を分け合うのをやめると、多頭飼いでも1頭ぶんの居場所が余ります。

  4. 手順4:帯の上にあるものを、今日のうちにどかす

    水皿、トイレ、食器、寝床。この4つが帯の上にあると、通るたびに必ず体が触れます。どかす先は、帯の外側で、しかも他の子の新しい居場所とも重ならない場所です。ここまで終われば、大型犬が室内をどう歩いても、誰の場所も動かなくなります。作業は1日で終わります。

引くのは3本だけ。線の上に置かないものが決まります
線どこからどこまでこの線の上に置かない
1本目寝ている場所 → 水皿他の子の寝床、食器
2本目寝ている場所 → 玄関トイレ、片づけ途中の荷物
3本目寝ている場所 → 人が長くいる場所他の子の居場所、掃除道具の定位置
Point帯の幅は、頭数ではなくいちばん大きい子で決めます

多頭飼いだと、頭数のぶんだけ場所が要ると考えてしまいます。実際に効いているのは頭数ではなく、いちばん体の大きい子が1頭いるかどうかです。3頭のうち2頭が小さい子なら、その2頭は帯の外側の同じ場所を共有できます。大型犬が1頭いる家では、帯を1本ぶん広く取るだけで、残り全部の居場所が決まります。難しい計算は要りません。メジャー1本で足ります。

押しのけられた側から手を入れる|大型犬がいる多頭飼いの、帰宅後のケアの順番

通り道が決まると、においと毛の動く向きも決まります。外から持ち帰ったものは、いちばん大きい子の帯に沿って室内へ運ばれます。面積が広いぶん、大型犬が体につけて持ち帰る量は他の子より多くなります。帯の上を歩くたびに、それが少しずつ落ちる。落ちた場所が帯の縁で、その縁のすぐ外に他の子の居場所がある、という並びになっています。

だから帰宅後のケアは、動線と同じ向きで組みます。大型犬を玄関で先に済ませ、室内に上げてから他の子に手を入れる。逆にすると、外のものを持ったままの体が、先に帯の上を歩くことになります。多頭飼いで毎日のケアが長くなるのは、この順番が入れ替わって、同じ場所を二度やっているからです。時間は全部で5分あれば足ります。

帰宅後の5分を、動線の向きに沿って割る
順誰にかける時間何をするか
1大型犬(玄関)約2分足の裏、足先、腹側の順に乾いた布を当てる
2人の手約30秒手を洗う。ここで体の大きさをまたぎます
3帯の外にいた子約1分背中と、自分で届きにくい耳のうしろに短く手を入れる
4大型犬(室内)約1分30秒背中から尾のつけ根まで。時間はここに寄せる

3番目に手を入れる子に、長い時間は要りません。大事なのは長さではなく、大型犬より先に触られる回数が週にどれだけあるかのほうです。多頭飼いでは、手のかかる子から順に触っていくと、いちばん体の小さい子が毎日最後になります。順番を固定してしまえば、頭数が増えても迷いません。玄関がいつも最初、帯の外の子がいつも3番目です。

帰宅後の5分とは別に、洗う日が来ます。大型犬が浴室で立って待つ時間の長さを決めているのは、こちらが組んだ工程の数のほうです。mofuwa モイストシャンプーは、アミノ酸系の洗浄成分を量も減らして使いながら、原料の水を電解水にすることで泡立ちを補っています。落としすぎないぶん洗い上がりがごわつかないので、洗ったあとに戻すためのトリートメントが要りません。塗って、なじませて、もう一度流す。この工程だけは体の面積にそのまま比例するので、大型犬ではここがいちばん長くなります。先に短くなるのは飼い主の手間ではなく、その子が浴室で立っている時間です。多頭飼いで続けて洗う日も、順番は帰宅後と同じにしてください。いちばん大きい子を先に、帯の外にいた子をそのあとに。浴室の床を流し直す回数が、1回で足ります。

Point室内で毛が集まる場所は、帯の縁に並びます

掃除の手をどこに置くかも、同じ線で決められます。毛が集まるのは部屋の隅ではなく、帯の縁です。大型犬が通るたびに空気が動いて、落ちた毛が帯の外へ押し出されるからです。多頭飼いの家で毎日ぜんぶを掃除する必要はありません。3本の帯の縁だけを、その日1本ずつ。1本あたり1分もかかりません。

通り道を引いても居場所が戻らないときの、多頭飼いの見直しのやり方

帯を引いて、水皿と寝床をどかして、1週間たっても他の子が同じ場所に戻ってこないことがあります。そのときに増やすのは帯の本数ではなく、見る対象のほうです。やり方は3つに分かれます。順に確かめてください。ここまでが、床の面積で説明のつく範囲の話になります。

最後の2つは、床の話として片づけないでください。今まで通れていた幅を通らなくなった、いつも同じ子だけが先に動く。これは家具の配置ではなく、体の側で何かが変わったときにも起こります。多頭飼いだと、1頭ずつの動きを見る時間が頭数で割られるので、こうした変化には気づきにくくなります。帯を引いたあとの1週間は、歩いているところを後ろから1分だけ見てください。

Caution早めに動物病院へ相談してほしいサイン

立ち上がるまでの時間が前より長い、後ろ足がふらつく、段差の前で止まる、同じ場所をなめ続けている、抜け毛が増えて地肌が広く見える、においの質が急に変わった、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、部屋の配置を変える前に動物病院にご相談ください。体の大きい子は、少し動きが変わっても人の目には「いつもどおり」に見えてしまいます。迷ったときは、早いほうを選んでください。

大型犬がいる多頭飼いで動かせるのは、頭数でも相性でもなく、床の使い方です。いちばん大きい子の通り道を3本だけ引いて、その帯の外側に他の子の居場所を作る。帰宅後のケアも、掃除の手も、同じ帯の向きに沿わせる。順番が固定できると、頭数が1頭ふえても、決め直すのは帯の幅だけになります。毎日のことなので、考えなくていい部分を先に増やしておくほうが、結局は長く続きます。

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よくある質問

多頭飼いで、ごはんの場所も体の大きさで分けたほうがいいですか?
食器は帯の上に置かない、というところまでで足ります。大型犬が通る線の上に食器があると、食べているあいだに体が触れて、そのたびに小さいほうの子が食べるのをやめてしまいます。距離を離すより、線からずらすほうが確実です。壁に片側が向くように置くと、背中側を通られなくなります。
サークルやケージで物理的に仕切るのは、どうでしょうか?
帯を引いても居場所が作れないときの選択肢としては使えます。ただ、順番としては後ろです。先に家具と水皿を動かして、床の使い方で解決できるかを見てください。仕切りを増やすと、その分だけ部屋のくびれが増えて、大型犬の通る線が長くなることがあります。置くなら帯の外側で、入口が帯を向かない向きにしてください。
新しく子犬を迎えるとき、通り道は引き直しますか?
帯そのものは引き直しません。いちばん体の大きい子が変わらないかぎり、線の位置は同じです。足すのは居場所のほうで、帯の外側にもう1か所つくります。多頭飼いで頭数が増えたときに崩れやすいのは、新しい子の寝床を人の目の届く場所に置こうとして、それが帯の上にきてしまうときです。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。