C09シーン別・暮らし
多頭で暮らす、大型犬と暮らす人はどうしている?
ソファの前の1メートルを、いちばん体の大きい子が水皿まで歩いて戻ってくる。それだけで、そこに寝ていた小さいほうの子が2回どきました。多頭飼いをしていると、この場面が1日に何十回も起きています。大型犬の側に、どかそうという気はありません。ただ、通るのに要る床の幅が、他の子の1頭ぶんより広いというだけです。室内の居場所は、この幅の残りで決まっていきます。先に決めるのは、いちばん大きい子の通り道です。他の子の居場所と、毎日のケアの順番は、その外側に作ります。この記事は、なぜそうなるのかを先に書いて、手順をあとに置きます。
その子が立ち上がるだけで、他の子が場所を空けます|多頭飼いに大型犬が1頭いる室内の毎日
多頭飼いの家で、いちばん体の大きい子が水を飲みに立ち上がります。往復にかかるのは20秒ほど。ところがその20秒のあいだに、廊下の入口で1頭、ソファとテーブルのあいだで1頭が場所を空けています。大型犬が通ったのではなく、他の子が先に動いて通れるようにしています。これが1日に何十回もくり返されるのが、大型犬のいる多頭飼いの室内です。
押しのけているのは体重ではありません。体重で言えば、寝ている子を無理に動かす必要はどこにもないからです。効いているのは通るのに要る床の幅と、向きを変えるのに要る面積のほうです。体長のある子は、その場で振り向くだけで、体の長さぶんの円を床に描きます。狭い場所ではこれが描けないので、いったん前へ出てから戻ることになり、通り道が2倍の長さになります。
| 体の小さい子 | 大型犬 | |
|---|---|---|
| まっすぐ通るのに要る幅 | 肩幅ぶん+少し | 肩幅ぶん+左右に20cmほど |
| その場で向きを変える | ほぼその場で回れる | 体長ぶんの円が床に要る |
| 寝るときに使う面積 | クッション1枚に収まる | はみ出して床に接する部分が出る |
| 立ち上がる動作 | 前脚から起きて、すぐ歩ける | 前脚を出し、腰を上げ、一歩下がってから歩き出す |
| 体がぶつかりやすい場所 | 家具の脚のきわ | 廊下の入口、ソファとテーブルのあいだ |
家の中には、必ず何か所か「くびれ」があります。廊下の入口、キッチンの出入り口、ソファとテーブルのあいだ、洗面所の前。大型犬の通る幅より狭い場所が、その家の中でどこか、を先に知っておいてください。くびれの数はたいてい3か所か4か所です。そして他の子が場所を空けているのは、ほぼ全部このくびれの近くです。多頭飼いで居場所が安定しない家は、くびれの中に誰かの寝床が置かれています。
人の側から見えているのは、この仕組みではなく結果のほうです。小さいほうの子が落ち着かない、せっかく買った寝床を使わない、ごはんのあとに部屋の隅へ行ってしまう。これを性格や相性の話にすると、手の入れようがなくなります。けれど床の幅の話にすれば、動かせるものが出てきます。家具の位置、水皿の位置、寝床の向き。どれも今日のうちに変えられるものばかりです。
多頭飼いで居場所が入れ替わるのを見ると、この子たちは相性が悪いのかもしれませんと考えたくなります。ただ、同じ2頭でも、廊下の広い家では同じことが起きません。起きているのは意図ではなく、床の面積の取り合いです。大型犬が1頭いる家では、その子が通ったあとに残る面積が、他の子の居場所になります。まず測るのは気持ちではなく、いちばん狭い場所の幅のほうです。
いちばん大きい子の通り道を先に引く|多頭飼いで居場所をつくる4つの手順
順序をはっきりさせます。他の子の居場所から決めてはいけません。先に決めるのは、いちばん体の大きい子が毎日通る線のほうです。線が決まれば、その外側が空きます。空いた場所に他の子の居場所を置く。多頭飼いで場所が安定しないときは、この順番が逆になっていることがほとんどです。次の4つの手順で進めてください。
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手順1:大型犬が1日に通る線を、3本だけ書き出す
全部を書こうとしないでください。多いようでいて、毎日必ず通る線は3本しかありません。寝ている場所から水皿まで、玄関まで、人がいちばん長くいる場所まで。紙に部屋の形を描いて、その3本を線で引きます。この3本の上にあるものが、そのまま今日どかす候補になります。
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手順2:線の幅を、その子の肩幅+左右20cmで測る
メジャーで肩幅を測って、左右に20cmずつ足します。それがその子の通る幅です。3本の線を、その幅の帯として床に描き直してください。くびれの部分で帯がはみ出す場所が、毎日ぶつかっている場所です。多頭飼いの家では、たいてい1か所か2か所ではみ出します。
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手順3:帯の外側に、他の子の居場所を新しく作る
帯の外側で、壁に片側が接している場所を選びます。大型犬が通っても、背中側に何もない場所が落ち着きます。床が足りないときは、高さを使ってください。ソファの座面、窓辺の台、階段の1段目。床の面積を分け合うのをやめると、多頭飼いでも1頭ぶんの居場所が余ります。
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手順4:帯の上にあるものを、今日のうちにどかす
水皿、トイレ、食器、寝床。この4つが帯の上にあると、通るたびに必ず体が触れます。どかす先は、帯の外側で、しかも他の子の新しい居場所とも重ならない場所です。ここまで終われば、大型犬が室内をどう歩いても、誰の場所も動かなくなります。作業は1日で終わります。
| 線 | どこからどこまで | この線の上に置かない |
|---|---|---|
| 1本目 | 寝ている場所 → 水皿 | 他の子の寝床、食器 |
| 2本目 | 寝ている場所 → 玄関 | トイレ、片づけ途中の荷物 |
| 3本目 | 寝ている場所 → 人が長くいる場所 | 他の子の居場所、掃除道具の定位置 |
多頭飼いだと、頭数のぶんだけ場所が要ると考えてしまいます。実際に効いているのは頭数ではなく、いちばん体の大きい子が1頭いるかどうかです。3頭のうち2頭が小さい子なら、その2頭は帯の外側の同じ場所を共有できます。大型犬が1頭いる家では、帯を1本ぶん広く取るだけで、残り全部の居場所が決まります。難しい計算は要りません。メジャー1本で足ります。
押しのけられた側から手を入れる|大型犬がいる多頭飼いの、帰宅後のケアの順番
通り道が決まると、においと毛の動く向きも決まります。外から持ち帰ったものは、いちばん大きい子の帯に沿って室内へ運ばれます。面積が広いぶん、大型犬が体につけて持ち帰る量は他の子より多くなります。帯の上を歩くたびに、それが少しずつ落ちる。落ちた場所が帯の縁で、その縁のすぐ外に他の子の居場所がある、という並びになっています。
だから帰宅後のケアは、動線と同じ向きで組みます。大型犬を玄関で先に済ませ、室内に上げてから他の子に手を入れる。逆にすると、外のものを持ったままの体が、先に帯の上を歩くことになります。多頭飼いで毎日のケアが長くなるのは、この順番が入れ替わって、同じ場所を二度やっているからです。時間は全部で5分あれば足ります。
| 順 | 誰に | かける時間 | 何をするか |
|---|---|---|---|
| 1 | 大型犬(玄関) | 約2分 | 足の裏、足先、腹側の順に乾いた布を当てる |
| 2 | 人の手 | 約30秒 | 手を洗う。ここで体の大きさをまたぎます |
| 3 | 帯の外にいた子 | 約1分 | 背中と、自分で届きにくい耳のうしろに短く手を入れる |
| 4 | 大型犬(室内) | 約1分30秒 | 背中から尾のつけ根まで。時間はここに寄せる |
3番目に手を入れる子に、長い時間は要りません。大事なのは長さではなく、大型犬より先に触られる回数が週にどれだけあるかのほうです。多頭飼いでは、手のかかる子から順に触っていくと、いちばん体の小さい子が毎日最後になります。順番を固定してしまえば、頭数が増えても迷いません。玄関がいつも最初、帯の外の子がいつも3番目です。
帰宅後の5分とは別に、洗う日が来ます。大型犬が浴室で立って待つ時間の長さを決めているのは、こちらが組んだ工程の数のほうです。mofuwa モイストシャンプーは、アミノ酸系の洗浄成分を量も減らして使いながら、原料の水を電解水にすることで泡立ちを補っています。落としすぎないぶん洗い上がりがごわつかないので、洗ったあとに戻すためのトリートメントが要りません。塗って、なじませて、もう一度流す。この工程だけは体の面積にそのまま比例するので、大型犬ではここがいちばん長くなります。先に短くなるのは飼い主の手間ではなく、その子が浴室で立っている時間です。多頭飼いで続けて洗う日も、順番は帰宅後と同じにしてください。いちばん大きい子を先に、帯の外にいた子をそのあとに。浴室の床を流し直す回数が、1回で足ります。
掃除の手をどこに置くかも、同じ線で決められます。毛が集まるのは部屋の隅ではなく、帯の縁です。大型犬が通るたびに空気が動いて、落ちた毛が帯の外へ押し出されるからです。多頭飼いの家で毎日ぜんぶを掃除する必要はありません。3本の帯の縁だけを、その日1本ずつ。1本あたり1分もかかりません。
通り道を引いても居場所が戻らないときの、多頭飼いの見直しのやり方
帯を引いて、水皿と寝床をどかして、1週間たっても他の子が同じ場所に戻ってこないことがあります。そのときに増やすのは帯の本数ではなく、見る対象のほうです。やり方は3つに分かれます。順に確かめてください。ここまでが、床の面積で説明のつく範囲の話になります。
- 帯が4本目を必要としている:夜だけ通る線を見落としていることがあります。寝る場所から人の寝室までの線を、1本足してください
- くびれが家具ではなく人でできている:夕方に人が立つ場所が、帯の上に重なっていないか見てください
- 高さの居場所が、まだ足りていない:床だけで分け合っている家では、頭数ぶんの床が最初から足りていません
- 大型犬の側が、帯からはみ出して歩くようになった:まっすぐ歩けているかどうかを、後ろから見てください
- いつも同じ1頭だけが場所を空けている:その子の側に、動きたくない事情があることがあります
最後の2つは、床の話として片づけないでください。今まで通れていた幅を通らなくなった、いつも同じ子だけが先に動く。これは家具の配置ではなく、体の側で何かが変わったときにも起こります。多頭飼いだと、1頭ずつの動きを見る時間が頭数で割られるので、こうした変化には気づきにくくなります。帯を引いたあとの1週間は、歩いているところを後ろから1分だけ見てください。
立ち上がるまでの時間が前より長い、後ろ足がふらつく、段差の前で止まる、同じ場所をなめ続けている、抜け毛が増えて地肌が広く見える、においの質が急に変わった、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、部屋の配置を変える前に動物病院にご相談ください。体の大きい子は、少し動きが変わっても人の目には「いつもどおり」に見えてしまいます。迷ったときは、早いほうを選んでください。
大型犬がいる多頭飼いで動かせるのは、頭数でも相性でもなく、床の使い方です。いちばん大きい子の通り道を3本だけ引いて、その帯の外側に他の子の居場所を作る。帰宅後のケアも、掃除の手も、同じ帯の向きに沿わせる。順番が固定できると、頭数が1頭ふえても、決め直すのは帯の幅だけになります。毎日のことなので、考えなくていい部分を先に増やしておくほうが、結局は長く続きます。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見るよくある質問
- 多頭飼いで、ごはんの場所も体の大きさで分けたほうがいいですか?
- 食器は帯の上に置かない、というところまでで足ります。大型犬が通る線の上に食器があると、食べているあいだに体が触れて、そのたびに小さいほうの子が食べるのをやめてしまいます。距離を離すより、線からずらすほうが確実です。壁に片側が向くように置くと、背中側を通られなくなります。
- サークルやケージで物理的に仕切るのは、どうでしょうか?
- 帯を引いても居場所が作れないときの選択肢としては使えます。ただ、順番としては後ろです。先に家具と水皿を動かして、床の使い方で解決できるかを見てください。仕切りを増やすと、その分だけ部屋のくびれが増えて、大型犬の通る線が長くなることがあります。置くなら帯の外側で、入口が帯を向かない向きにしてください。
- 新しく子犬を迎えるとき、通り道は引き直しますか?
- 帯そのものは引き直しません。いちばん体の大きい子が変わらないかぎり、線の位置は同じです。足すのは居場所のほうで、帯の外側にもう1か所つくります。多頭飼いで頭数が増えたときに崩れやすいのは、新しい子の寝床を人の目の届く場所に置こうとして、それが帯の上にきてしまうときです。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
