C09シーン別・暮らし
賃貸でにおいが気になる人のための高齢の飼い主|5分で終わらせるケア
フローリングワイパーを壁に立てかけて、粘着ローラーを取りに行く。賃貸のにおいが気になって道具を増やしたのに、増えたのは部屋の中を往復する回数のほうでした。高齢の飼い主から最初に聞くのは、においの話より先に、この持ち替えの話です。かがむ、立ち上がる、取りに行く。ペットと暮らす部屋の掃除は、道具の数だけこの3つがついてきます。1つの道具で床も布も片づけようとすると、床には毛が残り、布に当てた粘着面はすぐ埋まる。この記事で書くのは、道具を1つに絞って、そのかわり手を入れる場所を2か所に絞る、という組み立て方です。体力を増やす話は一つも出てきません。
道具を持ち替えるたびに、部屋の往復が1回ふえます|高齢の飼い主が賃貸のにおいを気にする背景
玄関に粘着ローラー、リビングにフローリングワイパー、寝室にハンディモップ。置き場所を分ければ取りに行かなくて済む、と考えて増やした道具が、気づくと3つになっています。賃貸でペットのにおいが気になりはじめると、たいていこの順番で物が増えます。ところが3つあると、今度は「今日はどれをどこまで使ったか」が分からなくなります。分からないので、念のためもう一度同じ場所をやる。往復が、もう1回ふえます。
高齢の飼い主から聞くのは、掃除の時間が長いという話ではなく、そのあいだに何回かがんで何回立ち上がったか、という話です。床の一点を拭くだけなら30秒で終わります。けれどその30秒の前後には、しゃがむ・体を支える・立ち上がるという動作が必ず1回ずつ入ります。道具を持ち替えるということは、この一往復をもう一度くり返すということです。においを気にして道具を増やすほど、体にかかる回数のほうが先に増えていきます。
- かがむ:床側の道具は、一度体を下げないと手元が見えません
- 立ち上がる:布側の道具は、ソファやベッドの高さで使います
- 取りに行く:置き場所が部屋ごとに分かれているほど、歩く距離が伸びます
- 持ち替える:床と布のあいだで、手に持つものが入れ替わります
- 片づける:使い終わった道具を元の場所へ戻すところまでが、1回の掃除です
賃貸で気になるのは、においが自分の持ち物ではなく部屋の側に残ることです。カーテン、押し入れの中、エアコンの風が通る道。手を伸ばせば届く範囲に生活のほとんどが収まっているので、ペットが長く過ごす場所と、人が寝る場所の距離が近くなります。距離が近いぶん、においは短い時間で移ります。だから「どこまでやれば終わりか」の線が決めにくい。終わりの決まらない掃除は、道具を増やす方向にしか進みません。
高齢の飼い主に向けた掃除の話は、かがめないなら床はあきらめましょうという形になりがちです。ここではその立て方をしません。数えるのは、できない動作ではなく1回の掃除で部屋を何往復したかのほうです。往復が3回から1回になれば、同じ場所に同じだけ手が入っても、体にかかるものは3分の1になります。減らす対象は掃除の量ではなく、道具と場所を行き来する回数です。
床のにおいと、布のにおいは残り方が違います|ペットと賃貸で道具を1つに絞る考え方
床に落ちているものは、載っているだけです。抜けた毛、外から持ち帰った砂、その上に落ちた皮脂。フローリングでもクッションフロアでも、面はつるつるしているので、乾いた面をなでれば毛と砂は素直に動きます。床のにおいは、載っているものを動かせば一緒に動きます。時間もかかりません。1畳ぶんで20秒あれば足ります。
布はこれと作りが違います。ソファの座面、寝床の縁、カーテンの裾。繊維に毛が刺さっていて、上からなでても起き上がってきません。そこへ皮脂がしみ込み、皮脂を分解する雑菌が働いた結果として、においが出ます。においの出どころが繊維の奥にあるので、面をなでるための道具は最初から届きません。床と布では、においが残っている深さそのものが違います。
| 床の側 | 布の側 | |
|---|---|---|
| においの正体 | 載っている毛・砂・皮脂 | 繊維の奥に入った皮脂と、それを分解する雑菌 |
| 手を当てる面 | つるつるした平らな面 | 毛が刺さって、指が沈む面 |
| 向いている道具 | 乾いた面をなでるもの | 繊維から引き出すもの、含ませて拭くもの |
| 1か所にかかる時間 | 20〜30秒 | 2〜3分 |
| そのときの姿勢 | 立ったまま、柄を伸ばして届く | 座ったまま、手の高さで届く |
| においが戻る速さ | 1〜2日 | 1〜2週間 |
この2つを1本の道具でやろうとすると、どちらつかずになります。粘着ローラーで床を追いかければ、1枚が数歩ぶんで埋まって、はがす手間のほうが増えます。フローリングワイパーのシートでソファをなでても、刺さった毛は起き上がりません。道具の質が悪いのではなく、相手にしている面が2種類あるのに、持てる手が1つしかないという話です。それなら、持つ手のほうに合わせて組み直したほうが早くなります。
そこで、絞る対象を入れ替えます。1回の掃除で持つ道具は1つだけ。そのかわり、その道具で回る場所を2か所に決めます。床の日は床の2か所、布の日は布の2か所。持ち替えがなくなるので、部屋の往復も1回で終わります。高齢の飼い主が減らせるのは掃除の面積ではなく、道具のあいだを行き来する回数のほうです。面積を減らすと、においの出どころが手つかずのまま残ります。
ペットのにおいが濃く出るのは、その子が長く体をつけている場所です。寝床、いつも座るソファの一角、食器を置いている足元。この3つのうち2つを選べば、賃貸の一部屋で出るにおいの大半はそこに集まっています。廊下や玄関のにおいは、2か所を続けているうちに薄くなります。先に手を入れるのは、面積の広い場所ではなく、体が接している時間の長い場所です。
今日は床、明日は布|道具を1つに決めた1週間で起きる、においの変化
決めることは2つだけです。その日に持つ道具を1つ選ぶ。その道具で回る場所を2か所決める。曜日で先に割り当ててしまうと、その日に何をするかを考えなくて済みます。考えなくて済むぶん、手が先に動きます。高齢の飼い主にとっていちばん重いのは、掃除そのものより「今日はどこをやるべきか」を毎回決め直すところです。
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手順1:においが濃い2か所を、手のひらで決める
寝床の縁に手のひらを30秒当てて、離してからその手をかいでみてください。同じことを、ソファのいつも座る一角と、食器を置いている足元でもやります。いちばん強く手に移った2か所が、その週の担当場所です。鼻を近づけて部屋を回る必要はありません。手に移るかどうかで足ります。
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手順2:曜日で、持つ道具を割り当てる
床側の道具を持つ日と、布側の道具を持つ日を、先に曜日で分けます。週のうち1日は、道具を持たない日にしてください。予定の入る日、通院の日、雨で洗濯物が室内にある日。休む日を先に置いておくと、その週の残りが崩れません。
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手順3:その日は、決めた道具でしか部屋に触らない
床の日にソファの毛が目についても、その日は触りません。気になった場所は、明日の担当です。ここを我慢できるかどうかで、往復の回数が変わります。忘れそうなら、冷蔵庫に貼った紙に一行書き足すだけにしてください。
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手順4:換気は道具と切り離して、毎日やる
換気は掃除の一部ではなく、別の作業として毎日置きます。道具を持たない日にも、これだけはやります。体を動かす必要がなく、姿勢も変わらないので、続けやすい部分です。掃除を休んだ日でも、部屋の空気は入れ替わります。
| 曜日 | 持つ道具 | 回る場所 |
|---|---|---|
| 月・水・金 | 床側の道具を1つ | 寝床の下と、食器の足元 |
| 火・木 | 布側の道具を1つ | 寝床の布と、ソファの座る一角 |
| 土 | どちらか1つ | その週に、においの戻りが早かったほう |
| 日 | 持たない | 換気だけ。掃除をしない日として決めておく |
換気は、開ける窓を1か所ではなく2か所にしてください。入口と出口がそろわないと、空気はその場で止まったままです。賃貸の一部屋なら、玄関に近い側の窓と、いちばん奥の窓。2か所の距離が離れているほど、通り道がペットの寝床の上を通ります。5分で足ります。夏場や冬場は、その5分だけエアコンを止めてください。
この曜日割りの外に、洗う日が月に何度か入ります。地肌に残った皮脂を落とせるのは洗う日だけで、その子は自分でそこに手が届きません。mofuwa モイストシャンプーは無香料です。ペットは自分のにおいを好むので、余分なにおいはそれだけで負担になる、という理由からそうしています。高齢の飼い主が賃貸で続けるやり方とも、ここが噛み合います。香りの残るもので洗うと、翌日に寝床の縁へ手のひらを当てたとき、手に移ってきたのがその週のにおいなのか、洗ったときの香りなのかが分からなくなります。手のひらで2か所を決める手順は、部屋に足したにおいがないことを前提にしています。洗い上がりがごわつかないのでトリートメントの工程も要らず、浴室でしゃがんでいる時間が、すすぎ1回ぶん短くなります。
1週間続けると、場所ごとににおいの戻る速さが違うことが見えてきます。床の2か所は、やった翌日にはもう少し戻っています。布の2か所は、4日たってもあまり変わりません。この差が、次の週にどちらへ手を厚くするかを決めてくれます。賃貸で暮らしていると、においが気になるたびに家じゅうを見回してしまいますが、戻りが早い場所は毎回だいたい同じです。高齢の飼い主にとって意味があるのは、家全体の状態を知ることではなく、手を入れる場所を2か所に固定できることのほうです。
床をやったついでに布も、という日がいちばん崩れます。持ち替えた時点で、その日の往復は2回に戻ります。床の道具で布をなでても毛は起きませんし、布の道具で床を追えば数歩で使い切ります。どちらも中途半端に終わって、翌日にやり直すことになります。今日は調子がいいから両方やっておこうという日を、あえて作らないでください。続くのは、いつも同じ回数で終わる組み立てのほうです。
2か所だけ続けた経験が、次に手を入れる場所を決めます
2週間続けると、手元に残るのは掃除の記録ではなく、においが戻ってくる速さの記録です。寝床は4日もった、ソファの一角は2日で戻った、食器の足元は翌日にはもう気になった。この3つが並ぶと、次の週に手を厚くする場所が自動的に決まります。高齢の飼い主が使える時間と体の回数には限りがあるので、どこを今週は捨てるかを先に決められることのほうが、結果として長く続きます。
- 場所:寝床/ソファの一角/食器の足元。3つより増やさないでください
- 戻るまでの日数:手を入れた翌日から数えて、何日目に気づいたか
- においの質:毛のにおい、皮脂のにおい、すっぱいにおい。同じ濃さでも質は変わります
- その日に持った道具:床側か布側か。1つしか書けないはずです
- 換気をした日:〇を付けるだけ。掃除を休んだ日にも付きます
ここまでは、掃除の側で説明のつくにおいの話でした。場所も日数も変わっていないのに、においの質だけが変わったときは、部屋の側の話として片づけないでください。甘いにおい、すっぱいにおい、金属のようなにおい。ペットの体から出るにおいの質が変わるのは、掃除の頻度とは別のところで起きています。賃貸だから、道具が足りないから、と結びつけないほうが安全です。
においの質が急に変わった、口のまわりや耳から強くにおう、同じ場所をなめ続けている、抜け毛が増えて地肌が広く見える、水を飲む量やおしっこの回数が変わった、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、掃除の回数を増やす前に動物病院にご相談ください。においは、家の側の条件だけで決まるものではありません。迷ったときは、早いほうを選んでください。
相談に行くときは、いま書いた記録をそのまま持って行ってください。場所・日数・においの質の3つがそろっていると、その場で切り分けてもらえます。「最近なんとなくくさい」という言い方より、「寝床のにおいが4日もっていたのに、1日で戻るようになった」のほうが、渡せる情報がずっと多くなります。掃除のために書いていた紙が、そのまま相談の材料になります。書き足す手間は増えません。
高齢の飼い主が賃貸でペットと暮らすとき、動かせるのは掃除の量ではありません。道具を1つに絞って、場所を2か所に絞る。持ち替えがなくなれば部屋の往復が減り、同じ体の使い方のまま、同じ場所に手が入り続けます。においは、家じゅうを一度きれいにして終わらせるものではなく、いちばん濃い2か所に毎週手が入っているかどうかで決まります。増やすものを、道具から場所の記録に替える。この記事で書けることは、そこまでです。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
