C11比較・選び方
固形石けんと液体シャンプー
浴室の棚に置いた固形の石けんが、洗い終わるころには受け皿の水にひたっていた、という日があります。次に使うときは表面がやわらかくなっていて、泡立てるまでに前より時間がかかります。液体シャンプーのボトルなら、片手で押せばそのぶんだけ出てきます。犬を洗う日に響いてくるのは、この差です。比べるのは落ちる力の強さではなく、泡になるまでの手数・浴室で立つ音・すすぎに回す時間・保管に要る場所の4つ。どれも家の側の条件なので、買う前に決められます。
泡になるまでに手が何本ふさがるか|洗う日の手数で石けんと液体を比較する
犬を洗う日にいちばん足りなくなるのは、洗浄力ではなく手です。片手はその子を支えていて、自由に動かせるのは実質1本です。この前提で見ると、固形の石けんと液体シャンプーの差がはっきりします。固形は、手に取って湿らせて、こすって泡にするまでに両手が要ります。その間、支えていた手が離れます。液体はボトルを押すだけなので、支えたままでも量が出せます。
手が離れる時間は短く見えても、洗っている最中のその子から見れば、支えが消える瞬間です。身をよじる、足を滑らせる、逃げようとする。動きが出るのはたいてい、支えが外れた直後です。そこで1度でも滑れば、そのあとの手順が全部長くなります。手数の差は、時間の差ではなく、浴室での落ち着きの差として表れます。
- 固形の石けん:手に取る・湿らせる・こする・泡をためるの4動作。泡立てネットを使う場合はさらに1動作
- 液体シャンプー:押す・手のひらで広げるの2動作。支える手はそのままでよい
- どちらも共通:泡を地肌まで届かせる、こすらずに指の腹で動かす、という洗い方は変わりません
犬用シャンプーのおすすめを探すとき、多くの人はまず成分から入ります。手数の話が先に出てくることはあまりありません。けれども毎回の洗浄で確実に響いてくるのは、成分より前に、手が足りるかどうかのほうです。大型犬や、シャワーの音が苦手な子ほど、この差が積み上がります。
浴室で立つ音と、すすぎに回す時間|洗う日の手順を最初から最後まで並べる
洗う日の手順は、濡らすところから乾かし終わるまでが一続きです。途中で止まると、その子は濡れたまま待つことになります。固形と液体で、この一続きのどこに時間が寄るかが変わります。並べてみると、差が出るのは洗っている最中ではなく、その前後です。
| 手順 | 固形の石けんのとき | 液体シャンプーのとき |
|---|---|---|
| 濡らす | 同じ。37〜38℃のぬるま湯で根元まで | 同じ。37〜38℃のぬるま湯で根元まで |
| 泡にする | 両手を使う。落とすと硬い音が響く | 片手で出せる。ポンプの音は短い |
| 地肌へ届かせる | 泡の量を足すたびに、また持ち直す | 足したいときに押せばよい |
| すすぐ | 水道水のミネラルと反応して残りが出ることがある | 泡切れの速さは処方で決まる |
| タオルで水を抜く | 同じ。押し当てて水を移す | 同じ。押し当てて水を移す |
| 乾かす | 残りがあると、乾いてから地肌にざらつきが出る | すすぎ切れていれば、そのまま乾かせる |
| この手順で見た結論 | 泡を作る前後で手が止まりやすい | 手が止まらないぶん、浴室にいる時間が短い |
最後の行が、手順で比べたときの答えです。差が出るのは泡の質ではなく、手が止まる回数です。止まるたびにシャワーは一度切られ、その子は濡れたまま立っています。冬場なら、この待ち時間がそのまま体温の問題になります。
音についても、ひとつ知っておくと選びやすくなります。固形の石けんは、手から落ちると浴室の床で硬い音が鳴ります。音に驚いた経験が1回あると、その子は次の浴室で、洗う前から身構えます。ボトルのポンプ音は短く、位置も一定です。音を嫌がる子ほど、浴室で鳴る音の種類を減らしておく価値があります。
成分表示での見分け方|石けん素地と、アミノ酸系の成分名
形が固形か液体かは見れば分かりますが、中身の系統は成分表示でしか分かりません。固形でも液体でも、石けんの系統かどうかは表示名で読めます。犬用として売られているものも、この読み方は同じです。
| 表示に出てくる名前 | どの系統か | 洗い上がりの傾向 |
|---|---|---|
| 石ケン素地・カリ石ケン素地 | 石けんの系統 | 弱アルカリ性で、脂をしっかり落とす |
| ラウリン酸K・ミリスチン酸Naなど | 石けんの系統(液体の形をとることもある) | 泡立ちが早く、泡切れも早い |
| ジラウロイルグルタミン酸Naなど | アミノ酸系 | 落としすぎにくく、泡立ちは処方で決まる |
| ラウレス硫酸Naなど | 高級アルコール系 | 泡立ちが強く、洗浄力も高い |
| この表で決めること | 形ではなく系統で見る | 固形か液体かは、系統とは別の話 |
最後の行のとおり、固形と液体の差は容れ物の差であって、中身の系統とは別に決まります。液体の石けん系もあれば、固形のアミノ酸系もあります。だから「固形だから優しい」「液体だから強い」という読み方は成り立ちません。読むのは形ではなく名前のほうです。
石けんの系統は、水道水に含まれるミネラルと反応して、すすぎのときに残りが出ることがあります。水質によって出方が変わるので、同じ商品でも地域で感じ方が違います。残ったまま乾かすと、地肌にざらつきとして手に触れます。使う場合は、すすぎに回す時間をふだんより長めに見ておくと、この差は埋まります。どの系統にも、合う条件と合わない条件があるということです。
犬の皮膚は人の3分の1ほどの薄さだと言われます。しかも自分でなめて確かめる習性があるので、すすぎ残しは、乾いたあとに口へ入る前提で考える必要があります。系統を読むのは、洗い上がりのためだけではありません。
洗浄成分を減らしても泡が立つ条件|液体シャンプーの中身を水から組む
泡立ちをよくするいちばん簡単な方法は、洗浄成分を増やすことです。増やせば泡は立ち、汚れも落ちます。ただし必要な皮脂まで落ちるので、洗い上がりがごわつき、そこを戻すためにトリートメントの工程が要ります。工程が1つ増えるということは、犬でも猫でも、浴室で待つ時間がそのぶん延びるということです。
mofuwa モイストシャンプーは、この順番を逆から組んでいます。原料の水に、精製水で薄めていない電解水を使っています。水そのものに汚れを落とす働きがあるので、泡立ちを水の側から補えます。だから洗浄成分はアミノ酸系のものを少量入れるだけで足ります。落としすぎないぶん被毛がごわつかず、洗ったあとに工程を足さなくても指が通ります。
モイストシャンプーが使っていないものは、表示でそのまま確かめられます。香料・着色料・パラベン・シリコン・鉱物油・紫外線吸収剤・アルコール・サルフェート・石油系界面活性剤・動物由来原料・合成ポリマー。この11成分は入っていません。液体シャンプーを選ぶときに読むのは、何が入っているかと、何を入れずに済ませているかの両方です。カミツレ花・ローズマリー葉・ラベンダー花・アロエベラ葉・ハマメリス葉・オタネニンジン根・カンゾウ根の7種は、洗い上がりの状態のために残してあります。
手順の側から見ると、変わるのは2か所です。泡を足したいときに片手で押せること、そして洗ったあとに工程を1つ足さずに済むこと。この2つで、浴室にいる時間が短くなります。音が苦手な子、体が大きくて支える手が離せない子、すすぎに時間がかかる長毛の子ほど、短くなった時間の意味が大きくなります。
すすぎの時間を倍にしても、乾かしたあとに同じ場所がざらつく/洗う系統を変えて1か月たっても、同じ部位のフケの出方が変わらない/洗った翌日から3日続けて、同じ1か所をなめている/泡を置いた場所だけ、乾いたあとに赤みが残る。ここまで来ると、固形か液体か、どの系統かという選び分けの外にあります。泡立てに使った分数と、すすぎに回した分数、乾かし終えるまでの時間を書き添えて、動物病院へ連れて行ってください。手順ごとの分数が並んでいると、どこで何が残っているのかを一緒に見てもらえます。
うちの子ならどっちか、家の条件3つで決める
決めるのに要るのは、その子の情報ではなく家の情報です。支える手が何本あるか、浴室に音が響くか、洗ったものを乾かして置く場所があるか。この3つで、ほとんど決まります。
| 家の条件 | 当てはまるなら |
|---|---|
| 洗うのがひとりで、支える手が1本しかない | 片手で量を出せるほうにする |
| 浴室に音が響く、音を嫌がる子がいる | 床に落ちて硬い音が出るものを減らす |
| 乾かして置ける場所が浴室にない | 受け皿に水がたまらないほうにする |
| ふたりで洗える、音を気にしない子 | どちらでもよい。系統のほうで選ぶ |
表の4行目のように、条件が緩い家であれば、形ではなく系統で選べます。条件が厳しいほど、選択肢は形のほうで先に絞られる、というのがこの比較の結論です。石けんと液体シャンプーのどちらが優れているかという問いには答えが出ませんが、この家ならどちらか、という問いには答えが出ます。
今日できるのは、次に洗う日の手順を紙に4行で書いておくことです。濡らす、泡にする、すすぐ、乾かす。この4行のどこで手が止まったかを書き足せば、次に買うものはその紙が決めてくれます。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見るよくある質問
- 泡立てネットを使えば、固形でも手数は変わらないのではありませんか。
- 泡を作る速さは上がりますが、動作の数は減りません。ネットを濡らす、石けんをこすりつける、泡をためる、ネットを置く。ここまでで両手がふさがっているので、支えの手が離れる時間そのものは残ります。ネットが活きるのは、洗い始める前にまとめて泡を作っておける場合です。浴室に入る前に泡をボウルにためておけば、洗っている最中に手を止めずに済みます。段取りを前に寄せる、という解き方になります。
- 犬用のおすすめを探すとき、成分と形のどちらから絞ればいいでしょうか。
- 先に絞れるのは形のほうです。支える手の本数と、浴室に置ける場所は、買う前から決まっています。形を決めてから成分表示を読むと、候補が半分以下になっているので、比べる手間が短くなります。逆に成分から入ると、同じ系統の中に固形と液体が混ざったまま残り、最後にまた形で悩むことになります。家の条件で先に切って、残ったものを系統で比べる。この順番のほうが早く決まります。
- 人用のシャンプーを犬に使ってはいけないと聞きました。理由は何でしょうか。
- 皮膚の厚みと、洗ったあとの扱いが違うためです。犬の皮膚は人の3分の1ほどの薄さだと言われていて、同じ洗浄力でも受け取り方が変わります。加えて、人は自分の頭皮をなめませんが、犬も猫も乾いたあとに自分の体をなめます。すすぎ残しが口へ入る前提で処方が組まれているかどうかが、人用とペット用の分かれ目です。香りの強さも同じ理由で違ってきます。手元に人用しかない日は、その日はぬるま湯だけで流して、翌日に洗い直すほうが確実です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
