C09シーン別・暮らし

水が苦手な猫と暮らす人がサロン通いのあいだで困ること、その手当て

公開日 2022年9月17日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色のソファで、クリーム色の毛の猫が落ち着いて休んでいる
サロンとサロンのあいだが長いぶん、家で過ごす時間のほうが記事の主題になります。写真:Lara/Pexels

猫のトリミングの予約票を見ると、次の目安が3か月後になっていることがあります。犬なら4〜6週間で戻ってくる場所です。間隔がその倍以上あって、しかもその子は水が嫌い。シャワーの音がしただけで部屋を出ていく子に、家で濡らす手は最初から使えません。つまり、水が嫌いな猫と暮らす人は、いちばん長い空白を、いちばん少ない手で渡ることになります。この記事は、その空白について実際に出てくる問いを7つ並べたものです。サロンは要るのか。間隔のあいだに何が変わるのか。どこまで家でできて、どこからは手を出さなくていいのか。最後に、7つを通した整理を置きます。

そもそも猫にトリミングは要るのですか|水が嫌いな子と暮らして、最初に出る疑問

全部の猫に要るわけではありません。短毛で、毛づくろいを自分でよくする子なら、生涯サロンへ行かないこともあります。犬のトリミングが「伸びた毛を切る」ことを含んでいるのに対して、猫のトリミングは「その子が自分で届かない場所を、人が代わりにやる」ことが中心だからです。だから最初の疑問への答えは、猫という種でひとくくりにはなりません。その子が自分で届く範囲がどこまでか、で決まります。

要る側に入りやすいのは、次のような子です。毛が長くて、抜けた毛が体の上に留まる子。体つきの都合で、後ろ足の付け根や背中の真ん中まで口が届かない子。年齢が上がって、毛づくろいに使う時間そのものが減ってきた子。共通しているのは、毛が伸びたことではなく、その子が自分で手入れできる面積が減ったことです。猫のトリミングは、その減った面積を人が引き受ける手当てだと考えると分かりやすくなります。

ここで水が嫌いな猫と暮らしている人には、もうひとつ前の問いが割り込みます。要るかどうかの前に、そもそも連れて行けるのか、という問いです。水が嫌いな子は、たいてい知らない場所や押さえられることも同じくらい苦手です。サロンで濡らす工程が入るなら、その日いちにちの負担がかなり大きくなります。要る/要らないの判断が止まってしまうのは、この順番のせいです。

トリミングが要る側と、要らない側の分かれ目
見るところ要らない側に寄る要る側に寄る
毛の長さ短毛。抜けた毛が体に留まらない長毛。抜けた毛が毛の中に残る
自分で届く範囲背中の真ん中まで口が届く肩から後ろに届かない場所がある
毛づくろいの時間起きているあいだ、こまめにやる以前より短く、回数も減った
毛玉のできかたできても指でほどける根元で面になり、はさみが必要
爪の状態自分で研いで、先が丸い巻いて、肉球に当たりそうになる

右の列が2つ以上当てはまるなら、間隔を長めに取ったうえで一度相談する価値があります。逆に左の列ばかりなら、家での手入れを続けるだけで足ります。水が嫌いな猫では、この判断を先にしておくと、行くか行かないかを毎月考え直さずにすみます。

猫のトリミングの間隔は、なぜ犬よりずっと長いのですか

理由は2つあります。1つ目は、猫が自分で毛づくろいをするからです。猫は起きている時間のかなりの部分を毛づくろいに使います。舌の表面には細かい突起が並んでいて、それが抜けた毛をすくい取ります。人がブラシでやっていることの一部を、その子が毎日自分でやっている。だから犬のように、4〜6週間で人の手が要る状態にはなりません。トリミングの間隔が数か月単位になるのは、この差がそのまま出ているだけです。

2つ目は、猫にとってサロンに行くこと自体の負担が大きいからです。移動、知らない部屋、ほかの動物のにおい、押さえられる時間。間隔を短くすると、手入れは進みますが、その負担のほうが回数ぶん増えます。だから猫のトリミングの間隔は「長くてもいい」ではなく、「長くしたほうがその子の負担が小さい」という理由で長くなっています。水が嫌いな子なら、その理由はさらに重くなります。

この2つを合わせると、猫と暮らす家では、手入れの主役がサロンではなく家の側にあることになります。犬の場合は、サロンが土台を作り、家がそれを保ちます。猫の場合は、その子自身と家が土台を作り、サロンは届かないところだけを年に何度か引き受けます。同じ「トリミングの間隔」という言葉でも、意味している中身が違います。

Note間隔が長いことは、手をかけていないという意味ではありません

犬を飼っている人の話を聞くと、月に一度サロンへ行くのが当たり前に聞こえます。そこと比べて、うちは半年に一度も行っていない、と気になることがあります。けれど猫では、それが標準の側です。比べる相手は犬の間隔ではなく、その子が去年どうだったかのほうです。毛玉の数、爪の伸び方、毛づくろいの時間。この3つが去年と同じなら、間隔はいまのままで足りています。

次の予約まで3か月あります。家で何もしないままで大丈夫ですか

何もしないままだと、間隔の後半で差が出ます。毛玉は数日でできるものではなく、数週間かけて段階的に進むからです。抜けた毛が毛の中に残る。残った毛どうしが絡む。絡んだところに皮脂が回り、指で押すと弾力のある面になる。ここまで来ると、家ではほどけません。3か月の間隔なら、この段階が進むのは後半の6週間です。

トリミングの間隔が3か月のとき、週ごとに何が進むか
時期毛の側で起きていること家でやること
1〜4週目サロンの仕上がりがほぼ残っている触られることに慣らす時間だけ
5〜8週目抜けた毛が毛の中に留まりはじめる届かない場所を週2回、指で確かめる
9〜12週目絡んだ場所が締まり、面になりはじめる見つけた場所だけ、ほどけるうちにほどく

だから「大丈夫ですか」への答えは、毎日やる必要はないが、5週目からは場所を決めて手を入れておくほうがいい、になります。やることが増えるように聞こえますが、逆です。5週目から手を入れておくと、9週目以降にやることが減ります。水が嫌いな猫では、後半に慌てて触る回数が増えるほうが負担になるので、前半のうちに軽く済ませておくほうが向いています。

もうひとつ、間隔のあいだに変わるのは毛だけではありません。爪と、耳のまわりと、あごの下。水を使わない場所ほど、間隔の影響を受けます。3か月あくなら、この3か所は月に一度、指と目で見るだけの日を作っておいてください。触らなくても、見るだけで十分です。

水が嫌いな猫に、家ではどこから手をつければいいですか

場所から決めます。その子の口と前足が届かない場所からです。猫は自分で毛づくろいをするので、届く場所は手を入れなくても足りています。届かない場所だけが、間隔のあいだに溜まっていきます。水が嫌いな猫では、触る回数そのものを減らしたいので、この絞り込みが効きます。

  1. 首の後ろから肩甲骨のあいだ

    口が届かず、前足も回りません。間隔の後半でいちばん先に変わるのがここです。抜けた毛が留まりやすく、その子が伏せたときにいちばん体重がかかる面でもあります。指を毛の流れと直角に沈めて、地肌まで届くかどうかだけ確かめてください。

  2. 後ろ足の付け根と、しっぽの付け根

    体を丸めれば届きますが、届くまでの姿勢が負担になる場所です。年齢が上がった子から順に、ここが手つかずになります。触られるのを嫌がる子が多い場所なので、いちどに全部やらず、その日は片側だけにしてください。

  3. あごの下と、口のまわり

    食器に触れる場所で、その子の舌が届かない数少ない場所です。水を使わずに済ませたい場所でもあります。乾いた布を指に巻いて、押さえずに一方向へなでる。ここは毛を整えるためではなく、汚れが溜まっていないかを見るために触ります。

  4. 見つけた絡みは、その日にほどききらない

    指で左右に開いて、ほどけるぶんだけほどきます。締まっている面を1回でほどこうとすると、皮膚ごと引っぱることになります。1日1か所、少しずつ。水が嫌いな猫は、触られる時間が長いこと自体を嫌います。5分で終わることのほうが、うまくいく量より大事です。

水を使わずに、その子の届かない場所をきれいにできる道具があります。グルーミングスプレーです。その子に直接吹きかけず、布に含ませてから、首の後ろやあごの下を毛の流れに沿ってなでてください。音も、濡れる感触もありません。毛の流れがそろうので、そのあとブラシを入れたときに、指へ引っかかる回数が減ります。舐めても問題のない基準でつくられているため、あごの下や口のまわりでも、量を気にせずに使えます。水が嫌いな猫では、まず体の1か所だけで試して、その子が逃げなかったかどうかを見てから広げてください。

毎日ブラシを入れなくてよい日は、ありますか

あります。というより、毎日入れる前提そのものを、猫では外して構いません。犬のケアの記事を読むと、毎日のブラッシングが基本として書かれています。猫では、その前提が変わります。その子自身が毎日やっているからです。人が毎日重ねると、手入れの量ではなく、触られる回数のほうが増えます。

水が嫌いな猫では、ここがとくに大事になります。水が嫌いな子は、押さえられること、逃げられないこと、予測できない感触も同じくらい苦手なことが多いからです。毎日同じ場所に手が来ると、触られること自体を嫌いになっていきます。そうなると、本当に必要になった日にも触れません。間隔が長いカテゴリでは、この「触れる関係」を減らさないことが、いちばん先に守るものになります。

やらなくていいことを先に決めると、残った手が軽くなります。週に2回、5分ずつ。場所は首の後ろと、後ろ足の付け根だけ。これがトリミングの間隔のあいだにやることの全部です。水が嫌いな猫と暮らしていて、これ以上やっているなら、たぶん多すぎます。

予約が近い週は、何日前から気をつければいいですか

前日ではありません。2週間前からです。ただし2週間前からやるのは、手入れではなく記録のほうです。どこに絡みがあったか、どこを触ると逃げたか、爪がどのくらい伸びているか。この3つを、見つけた日に一行だけ書いておきます。当日にその紙を持っていくと、限られた時間の中で、その子にいちばん必要な場所から手をつけてもらえます。

前日にやらないほうがいい理由も、はっきりしています。前の晩に家で頑張ると、もとの状態が分からなくなるからです。ほどきかけた毛玉、拭いたばかりのあごの下。プロが見て判断する材料が、そこで消えます。水が嫌いな猫の場合はもうひとつ、前日に触られた記憶を持ったまま当日を迎えることになります。連れて行く日の負担を軽くしたいなら、前日は何もしないほうが確実です。

  1. 2週間前:絡みの場所と、逃げた場所をメモする

    紙でもスマートフォンでも構いません。日付と場所だけの一行で足ります。「9/3 左の後ろ足の付け根、触ったら逃げた」。この形が、当日いちばん役に立ちます。

  2. 1週間前:キャリーを部屋に出したままにする

    当日に出すと、キャリーが病院やサロンの合図になります。1週間前から置きっぱなしにして、中で寝る日を作ってください。水が嫌いな猫にとって、移動そのものの負担を下げられるのはここです。

  3. 前日:何もしない

    手入れも、確かめる触りかたもしません。ふだんどおりの一日にしてください。やらないことが、この日の準備です。

  4. 当日の朝:食事の時間だけ、いつもどおりにする

    予約の時刻に合わせて食事をずらすと、その子の側の一日が2か所変わります。変える条件は、移動の1つだけにしてください。

帰ってきた日についても、ひとつだけ。サロンから帰ったその日は、ブラシを1回休みにしてください。知らない場所で長く触られたあとです。あごの下だけ気になるなら、グルーミングスプレーを含ませた布で一度なでるところまでにしておきます。次の日から、いつもの週2回に戻せば足ります。

家でできるのはどこまでで、どこから相談したほうがいいのか知りたいです

線はわりとはっきりしています。家でできるのは、ほどける絡みをほどくことと、変化を見つけることまでです。はさみを入れること、皮膚の状態を判断すること、痛がる場所を触り続けること。ここから先は家の範囲を出ます。とくに毛玉が根元で面になっている場合、その下の皮膚は外から見えません。水が嫌いな猫では、無理に触ろうとした一回で、次から触らせてもらえなくなることもあります。

Cautionほどく手を止めて、地肌を見てもらう段階

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、同じ場所をなめ続けている、触ると痛がる、毛づくろいの時間が急に減った、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家での手入れを増やす前に、動物病院にご相談ください。水が嫌いな猫は連れ出すこと自体が負担なので、迷っている時間が長くなりがちです。次の予約まで3か月あるなら、その3か月を待たずに、見つけた週のうちに連れて行ってください。

相談やトリミングの予約をするときは、いつからか、どこか、その日に触ったかどうかの3つを伝えてください。水が嫌いな子であることも、最初に言っておくほうがいいです。濡らす工程を減らした内容にできるかどうかは、サロンによって違います。予約の電話で聞いておけば、当日その場で決めずにすみます。

長い間隔を、水が嫌いな猫の側の条件として置き直す

7つの問いを通して見ると、同じことが形を変えて出てきていました。猫のトリミングの間隔が長いのは、その子が自分で手入れをしているからで、間を埋める役目は人ではなくその子の側にあるということです。人がやるのは、その子が届かない場所だけ。首の後ろ、後ろ足の付け根、あごの下。数えるほどしかありません。

水が嫌いな猫と暮らす家で、やること・やらないことの整理
やることやらないこと
頻度週2回、5分ずつ毎日、全身に手を入れる
場所口と前足が届かない3か所その子が自分でやっている場所
水使わない。乾いた手で足りる家で洗う、流す
絡みほどけるぶんだけ、その日に止める1回でほどききる、はさみを入れる
予約の前2週間前から一行だけ記録する前日に家で仕上げる
帰った日1回休みにするきれいなうちに触って確かめる

水が嫌いだということは、手が足りないという意味ではありません。使える手が最初から絞られている、という条件です。絞られているぶん、迷う場面が減ります。濡らすかどうかを毎回考えなくていい。洗う頻度の記事を読まなくていい。その子と暮らすうえで残っているのは、週に2回、5分、3か所だけです。

トリミングの間隔が3か月あくなら、そのうち家で手を入れる時間は、合わせても2時間ほどです。残りの時間、その子は自分の毛を自分で整えています。間を埋めるという言い方をしてきましたが、実際には埋まっています。人が足すのは、届かない場所のぶんだけです。次の予約までの日数を数えるより、首の後ろに指が届くかどうかを週に2回確かめるほうが、この長い間隔とはうまく付き合えます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。