C12Q&A・豆知識
ペットの1歳は人の何歳にあたるか
手元にある3枚の表で、同じ2歳の犬が、人でいう24歳とも21歳とも28歳とも書かれていました。3枚とも、それぞれの根拠で書かれたものです。犬の年齢を人の年齢に換算するとき、決まった1つの式が存在しないので、こういうことが起きます。最初の1〜2年で一気に進み、そのあとは緩やかになるとされています。進み方が一定でないものを、毎年同じ数で掛け算しても合いません。この記事では、犬の年齢の換算がなぜ1つに決まらないのか、7倍という数え方は何と何を比べた数字なのか、そして換算表をどこまで当てにしていいのかを、8つの問答に分けて書きます。最後は、換算した数字ではなく、家で数えられる変化のほうへ話を戻します。
犬の1歳は人の何歳ですか、と聞かれたら何と答えますか
答えから書きます。1つの数字では答えられません。そのうえで、いちばん幅を取らずに言うなら「生後1年で、人でいえば15歳から20歳くらいにあたるとされています」という形になります。15と20のあいだが開いているのは、書き手が迷っているからではありません。体の大きさや個体差で、実際にずれる幅がそれくらいあるからです。年齢の換算では、この幅を落とすと数字が嘘になります。
ここでいう「人の何歳」というのは、体の中の何かを直接測った数字ではありません。成長がどこまで進んだかを、人の一生のどのあたりに置くと近いか、という置き換えです。生後1年の犬は、体の大きさがほぼ決まり、繁殖できる体になっています。人でその状態にあたるのは10代の後半あたりなので、15歳から20歳という言い方が出てきます。測ったのではなく、並べたのです。
犬の年齢の換算で最初に押さえておきたいのは、換算とは翻訳であって、単位の変換ではないということです。長さや重さのように、決まった係数を掛ければ別の単位になる、という種類の計算ではありません。翻訳なので訳し方が複数あり、どれも「だいたい合っている」という状態になります。3枚の表で数字が違っていたのは、そのためです。
年齢の換算について調べていると、幅のある答えは物足りなく感じられるかもしれません。ただ、1つの数字に丸めた瞬間に、その数字は「その子に当てはまる保証」を持っているように見えてしまいます。実際には持っていません。幅を残しておくと、自分の犬がその幅のどのあたりにいそうか、という次の問いに進めます。数字を1つに決めることより、そちらのほうが家では役に立ちます。
7倍という換算は、何と何を比べて出てきた数字ですか
犬の年齢に7を掛ける、という数え方をどこかで見たことがあると思います。この7という数字は、一生の長さどうしを割り算した概算だと説明されることが多いものです。人の平均的な寿命を80年前後、犬の平均的な寿命を12年前後として割ると、7に近い数になります。出どころをたどると諸説あって、はっきりした一次の資料には行き当たりません。「昔からそう言われてきた」という以上のことは、ここでは書かないでおきます。
大事なのは、この7が「一生の長さ」を比べて出た数字であって、「1年ごとの進み方」を比べて出た数字ではないという点です。ゴールまでの距離を走った時間で割れば平均の速さは出ますが、その平均の速さで最初の1kmを走っているとは限りません。7倍という換算は、この「平均の速さ」にあたります。だから途中のどの年齢に当てても、少しずつずれます。
| 犬の年齢 | 7倍で計算すると | 幅を持たせた言い方(一般に〜とされる範囲) |
|---|---|---|
| 1歳 | 7歳 | 15〜20歳くらい |
| 2歳 | 14歳 | 20歳台の半ばあたり |
| 5歳 | 35歳 | 30歳台の半ばから40歳あたり |
| 10歳 | 70歳 | 50歳台から70歳台まで、体格で大きく動く |
| 15歳 | 105歳 | 70歳台から90歳台まで、幅がさらに開く |
表を見ると、1歳と2歳のところで7倍がいちばん外れ、年齢が上がるほど幅のほうが広がっていくのが分かります。若いうちは進み方が速いので7倍では足りず、年を取ってからは個体差が大きくなるので1つの数字に収まらない。犬の年齢の換算が難しいのは、外れ方が一方向ではないからです。若いところでは小さすぎ、高齢のところでは広すぎる。
なお、この表の右の列は「そう書かれていることが多い範囲」を並べたものです。特定の研究機関が出した確定値ではありません。年齢の換算を扱うときに、出どころのはっきりしない数字を1つに固めて書くのは避けたほうがよいと考えているので、ここでは幅のまま置いています。
最初の1〜2年だけ進み方が違うのは、体の側で何が起きているからですか
この時期に起きているのは、体の大きさが決まりきる、という一度きりの変化です。生まれたときの体重から成犬の体重まで到達し、骨の伸びが止まり、歯が生え替わり、繁殖できる体になります。人が10数年かけて通る道を、1年から2年で通ります。だから最初の1年が15歳から20歳ぶんに相当する、という言い方になります。
2年目を過ぎると、この「大きくなる」という項目が終わります。終わったあとに残るのは、体を維持していく側の変化です。数えている項目そのものが入れ替わるので、同じ物差しで測り続けることができません。年齢の換算表が折れ線のような形になるのは、この入れ替わりを表そうとしているからです。掛け算はまっすぐな線しか描けないので、折れ線には重なりません。
犬と暮らしていると、この差は実感として分かります。生後半年から1年のあいだは、月ごとに体つきが変わります。先月まで届かなかった場所に前足が乗り、寝る姿勢が変わり、被毛の手ざわりが変わります。ところが3歳と4歳のあいだで、同じくらいの変化が起きることはまずありません。年齢という同じ1の単位が、中身の違うものを数えています。
この折れ線の形は、猫でも似ているとされています。ただし折れる位置も、折れたあとの傾きも同じではありません。だから犬の換算表と猫の換算表は、別々に作られます。次の問いで、そこを分けて書きます。
猫の年齢も、犬と同じ換算表で読んでいいですか
同じ表では読まないほうがよい、というのが答えです。形は似ています。猫も最初の1〜2年で一気に進み、そのあとは緩やかになるとされています。ただ、数字の並びは犬の表とは別に作られます。並べ方の考え方が同じでも、目盛りの違うものを共用すると、後半になるほどずれが積み上がります。
犬と猫でいちばん違うのは、体の大きさの幅です。犬は同じ種の中に、片手で抱き上げられる体格から、両腕でも持ち上がらない体格までが並びます。猫にもばらつきはありますが、犬ほど開きません。年齢の換算は体格の影響を受けるので、犬の表は「体格の区分」という列を持たざるを得なくなります。猫の表にはその列が要らないことが多く、そのぶん形が単純になります。
- 犬の換算表:体格の区分ごとに、別の列が用意されていることが多い
- 猫の換算表:区分を作らず、1本の列で書かれていることが多い
- 共通している形:どちらも最初の1〜2年が急で、そのあと傾きが寝る
- 共通している弱点:高齢になるほど、個体差が表の幅を超えていく
- どちらにも書かれていないこと:その子の暮らし方と、これまでの経過
犬と猫が一緒に暮らしている家では、同じ年に迎えた2頭の年齢を、つい同じ数字で語りたくなります。年齢の換算を1枚の表で済ませると、片方の変化を見落とす側に倒れます。2枚の表を別々に持っておくほうが、比べたときのずれがそのまま情報になります。
年齢換算表を見るとき、どの欄を読み落としやすいですか
読み落とされやすいのは、数字ではなく表の外側にある条件です。誰が作った表なのか、どの体格を想定しているのか、どの年齢まで載せているのか。ここが書かれていない換算表は、数字だけが独り歩きしやすくなります。表そのものに問題があるわけではなく、条件を落として引用されるうちに意味が変わっていきます。
| 見る欄 | そこに何が書かれているか | 書かれていないときは |
|---|---|---|
| 作った人・出どころ | 獣医療の団体か、事典か、個人の記事か | 数字を1つに固めず、幅として受け取る |
| 想定している体格 | 小さめ・中くらい・大きめのどれか | 自分の犬の体格で上下に動く前提で読む |
| 載っている年齢の範囲 | 何歳まで書いてあるか | 表の端に近いところほど幅が広いと考える |
| 作られた時期 | いつ作られた表か | 古い表ほど7倍に近い形をしていることがある |
| 犬と猫のどちらの表か | 見出しに書かれている | 混ざっている表は使わない |
もう1つ、表そのものの性質として押さえておきたいことがあります。年齢の換算表は、他の家と話を合わせるための共通語として作られています。「うちの子はもう人でいうと60歳くらいでね」と言えば、相手はだいたいの見当をつけられます。共通語としてはよくできています。ただ、共通語は最大公約数なので、目の前の1頭に合わせて作られてはいません。
だから、換算表が働く場面は限られます。人に説明するときには便利で、自分の犬のケアの中身を決めるときには足りない。この線を先に引いておくと、表を見て不安になる回数が減ります。換算した数字が思ったより大きかったとしても、それはその子の体に何かが起きた証拠ではありません。
換算した「人の年齢」で、毎日のケアの中身を決められますか
決められません。理由は1つで、人の年齢に置き換えた瞬間に、人の常識が一緒に付いてくるからです。「人でいうと60歳だから、そろそろ関節が」「70歳だから目が」。こうした連想は、人の体で起きる順番をそのまま持ち込んでいます。犬は人と違う動物なので、変化が現れる順番も、現れる場所も同じではありません。
実際に起きやすいのは、換算した数字が大きいと過剰に構え、小さいと油断するという2つのずれです。どちらも、数字のほうを見て、その子を見ていない状態です。年齢の換算は、その子の体を見る代わりにはなりません。ここが、この記事でいちばん書いておきたかったところです。
書けない言い方も挙げておきます。人でいうと70歳なので、この年齢からはこのケアが必要ですという形は、換算表からは出てきません。表が持っているのは並べ方だけで、何をすべきかという情報は入っていないからです。毎日のケアの中身は、年齢からではなく、いま体に出ている変化から決めます。
換算した人の年齢は、他の犬や人と並べるための数字です。ケアを決めるときに使える比較の相手は、同じ子の半年前と去年です。同じ場所を、同じやり方で触って、同じように記録する。比べる相手を自分の中に置くと、体格の差も個体差も比較から外れます。年齢の換算にどうしても付きまとう幅を、いちばん小さくできる読み方です。
換算表より先に、家で数えられる変化はどれですか
年齢を人の年齢に換算する前に、家で数えられるものが5つあります。どれも道具が要らず、1回10秒で終わります。数字にしておくと、動物病院で相談するときにそのまま伝えられます。年齢換算表を持っていくより、この5つのメモを持っていくほうが話が早く進みます。
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歩き出しの最初の3歩
寝ていた場所から立って、歩き出すまでの3歩を見ます。止まらずに出るか、1歩目で少し間があるか。年齢が上がると、ここに間が入る日が増えていくと言われます。毎日でなくてよいので、週に1回だけ同じ時間帯に見ます。
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寝入るまでの時間
横になってから、体の力が抜けて動かなくなるまでの時間です。分の単位で足ります。半年前と比べて長くなっているか、短くなっているかだけを覚えておきます。数字そのものより、動いた向きが情報になります。
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立ち上がるときの向き
前足から立つのか、後ろ足から立つのか、体をどちらへひねるのか。向きが変わったときは、体の中で負担のかかる場所が移っていることがあります。年齢のせいと決める前に、変わった日付を書いておきます。
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被毛の根元の手ざわり
毛の先ではなく、かき分けて根元を触ります。皮膚に指が届くか、届く前に毛が絡むか。年齢が上がると根元の密度が変わることがあり、ケアで触る場所もそこから変わります。毎日のケアのついでに確かめられる場所です。
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皮膚の戻り方
背中の皮膚を軽くつまんで離し、戻るまでを見ます。ここは水を飲んだ量にも左右されるので、1回の結果で判断せず、同じ時間帯で何度か見ます。戻りが目に見えて遅い日が続くときは、動物病院にご相談ください。
この5つのうち、地肌の乾きと被毛のはりの2つは、その子が自分では手当てできない場所です。毛づくろいで届くのは毛の表面までで、かき分けた先の根元までは舌が入りません。年齢が上がるほど、洗って乾かすまでの工程が長く感じられるようになるので、根元に人の手が入る回数のほうが差になってきます。この一手に置いているのが mofuwa スキンケアミストです。アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つが入っておらず、中身は電解水だけです。年齢が上がった体ほど、肌にのせるものの種類を増やしたくない、という条件が先に来ます。使うのは、5つを数える10秒のすぐあとです。被毛をかき分けて根元を見た、その指を離す前に、開いている場所へ数回なじませる。換算表を見た日ではなく、根元を見た日に手が動くようにしておくと、人の年齢に置き換えた数字とは関係なく、回数のほうが積み上がっていきます。
立ち上がるまでの時間が急に変わった、水を飲む量が明らかに増えた、食べる量が2週間戻らない、同じ場所をなめ続けている、皮膚に赤みが出ている、呼吸が落ち着かない日が続いている。こうした変化は、年齢換算表のどこにも書かれていません。年齢のせいだと考える前に、動物病院にご相談ください。相談のときは、上の5つのうち変わったものと、変わった日付をメモにして持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。
数える相手を表からその子へ移す|犬の年齢の換算を使い切る整理
最後に、ここまでの8つを換算表に任せていいことと、任せられないことに並べ直します。年齢の換算は、使う場面を決めておけば便利な道具です。困るのは、使う場面を決めないまま、その子の体を見る代わりに置いてしまうときだけです。
| やりたいこと | 換算表に任せられるか | 任せられないときに使うもの |
|---|---|---|
| 人にだいたいの年齢を伝える | 任せられる | — |
| 同じ年に迎えた別の子と並べて話す | 任せられる | — |
| シニアと呼ぶ時期のあたりをつける | 半分だけ | 体格の区分がある表を選ぶ |
| 毎日のケアの中身を決める | 任せられない | その子の半年前との比較 |
| 受診するかどうかを決める | 任せられない | 変化した項目と、変化した日付 |
| いまの体の状態を知る | 任せられない | 触って数えられる5つの変化 |
右の列を見ると、任せられないところで使っているのはどれも「その子の中での比較」だけだと分かります。年齢の換算がどうしても幅を持ってしまうのは、他の個体と比べる仕組みだからです。比べる相手を自分の中に置き換えると、その幅が消えます。犬の年齢の換算を使い切る、というのはそういう置き換えのことだと思っています。
もう一度、最初の答えに戻ります。犬の1歳が人の何歳にあたるかは、一定ではありません。最初の1〜2年で一気に進み、そのあとは緩やかになるとされています。だから掛け算では出せず、換算表は目安として作られています。目安を目安として使うぶんには、よくできた道具です。ただ、その表がどれだけ精密になっても、目の前の子の被毛をかき分けて根元を見る一手には替えられません。
年齢を知りたい、という気持ちの奥にあるのは、たいてい「あとどれくらい一緒にいられるか」という疑問だと思います。その疑問には、どの換算表も答えを持っていません。持っているのは、今日の10秒で数えた5つの数字のほうです。数える相手を表からその子へ移す。それが、年齢の換算といちばん健全に付き合う方法だと考えています。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
