C12Q&A・豆知識

多頭飼いでケア時間は何倍になるか

公開日 2022年12月23日|文=mofuwa編集部

明るく片づいた部屋で、淡い色のラグの上に並んで伏せている2頭の淡い色の犬
頭数が増えて長くなるのは、手を動かしている時間のほうです。写真:Iza Ponchie/Pexels

犬2頭と猫1頭。帰宅後のケアにかかる時間を、3日ぶんストップウォッチで測ってみました。3頭そろえて17分でした。その前に1頭だけで暮らしていたころは、同じ手順で9分かかっていました。頭数は3倍になっていますが、かかった時間は2倍に届いていません。多頭飼いで増える時間は、頭数に比例しません。比べているのは、同じ家の、同じ手順、同じ道具での前後です。よその家の平均ではありません。増えないぶんがどこに隠れているかというと、準備と片づけです。この2つは、1頭でも3頭でも同じだけかかります。この記事では、多頭飼いの毎日のケアを4つの項目に割って、頭数で増えるものと増えないものを並べます。そのうえで、まとめて1周するのと1頭ずつ通すのと、どちらが短く終わるのかまで書きます。

3頭で17分、1頭で9分|多頭飼いのケアの時間を家で測った結果

先に、この記事で使う数字の条件を書いておきます。これは、うちの家で、平日の帰宅後に、同じ手順で測った時間です。手順は、ブラシを一往復、足の裏を拭く、寝床のまわりの毛を取る。これだけです。3日ぶん測って、いちばん近い分にまるめました。よその家の平均でも、どこかの調査の数字でもありません。

条件をここまで細かく書くのは、多頭飼いの時間というのは、家ごとに中身が違いすぎて、平均という数字が役に立たないからです。頭数が同じでも、犬か猫か、室内のどこまで動くか、洗面所が近いか遠いか、道具をどこにしまっているかで簡単に前後します。だから、この記事で持ち帰ってほしいのは分数そのものではなく、どの項目が頭数で増えて、どの項目が増えないのかという構造のほうです。

測ったときの条件(この数字がどこまでの範囲の話か)
項目この記事での条件
測った場所帰宅後の玄関と、室内のリビング1部屋
手順ブラシ一往復、足の裏を拭く、寝床のまわりの毛を取る
頭数犬2頭と猫1頭。1頭のころの記録と比べています
測った回数平日3日ぶん。いちばん近い分にまるめました
含めていないもの洗う日の工程、爪切り、耳のケア
含めているもの道具を出す時間、しまう時間、順番を待たせる時間

この6行目が、あとで効いてきます。道具を出す時間としまう時間を含めるかどうかで、多頭飼いの時間の見え方はまるごと変わります。手を動かしている時間だけを数えると、たしかに頭数ぶん増えます。けれど、実際に夜の予定を圧迫しているのは、始めるまでと、終わってからの時間のほうです。

Noteこの数字を、そのまま自分の家に当てはめないでください

9分と17分は、うちの条件でしか出ない数字です。持ち帰ってほしいのは、3倍にならなかったという構造のほうです。自分の家の数字がほしいときは、スマートフォンのストップウォッチを押してから道具を出し、しまい終わったところで止める。これを3日やれば、平均を探すより早く自分の数字が出ます。多頭飼いの時間は、その家の間取りと道具の置き場所で決まる部分が大きいので、他所の数字を借りてもあまり当たりません。

頭数で増える時間と、増えない時間|多頭飼いのケアを分ける2つの条件

毎日のケアにかかる時間を、4つの項目に割ります。準備、触る、片づけ、見分け。この4つを頭数で増えるかどうかで分けると、きれいに2つずつに分かれます。多頭飼いの時間を考えるときの軸は、この2つの条件です。

うちの数字で書くと、準備が2分、片づけが3分。この5分は、頭数が何頭になっても5分のままです。触るのが1頭あたり3分、見分けが1頭あたり1分。だから1頭なら5+4で9分、3頭なら5+12で17分になります。頭数が3倍でも、共通の5分は1回しか払わないので、全体は2倍に届きません。

この構造は、頭数が増えるほど効いてきます。共通の5分は、頭数で割られていくからです。1頭なら1頭が5分ぶんを丸ごと負担しますが、3頭なら1頭あたり1分ちょっとになります。多頭飼いの毎日で「思ったより増えなかった」と感じるとしたら、たいていこの割り算のほうが働いています。

逆に言うと、多頭飼いで時間を短くしたいときに、触る時間を削っても効きが薄いということでもあります。1頭あたり3分を2分にしても、3頭で3分しか縮みません。それより、準備と片づけの5分を4分にするほうが、頭数に関係なく毎日効きます。道具を1か所にまとめる、床に座らずに済む高さに置く、拭いたものを入れる袋を出しっぱなしにしておく。手を入れる前と後ろのほうに、削れるところが残っています。

1頭・2頭・3頭を同じ4項目で並べる|多頭飼いの時間の比較

4つの項目を、頭数ごとに並べます。比較したいのは合計の分数ではなく、どの列が動いて、どの列が動かないかのほうです。

頭数ごとの内訳(うちの条件で測った時間)
項目1頭2頭3頭頭数で増えるか
準備(道具を出す・場所をつくる)2分2分2分増えない
触る(体に手を入れる)3分6分9分増える
見分け(順番と、今日の様子)1分2分3分増える
片づけ(しまう・毛をまとめる)3分3分3分増えない
合計9分13分17分頭数ほどには増えない
1頭あたりに直すと9分6分半約6分頭数が増えるほど下がる
3頭ぶんの時間を、1頭の3倍で見積もったときとの差 1頭9分、2頭13分、3頭17分。1頭の3倍で見積もると27分になりますが、実際は17分でした。準備と片づけの5分を1回しか払わないためです。 うちの家で3日ぶん測った時間。手順と道具は3頭とも同じです 1頭のとき(実測) 9分 2頭のとき(実測) 13分 3頭のとき(実測) 17分 3頭を1頭の3倍で見積もると 27分 家の間取りと道具の置き場所で変わります。分数ではなく、増える列と増えない列の分かれ方を見てください
見積もりと実際の差10分は、準備と片づけを頭数ぶん重ねて数えたぶんです。

図で見ると、いちばん下の帯だけが飛び出しています。頭数を3倍にして、時間も3倍だと見積もると、10分ぶん多く見積もることになります。この10分は、準備と片づけを3回払ったつもりで数えた金額です。実際には1回しか払っていません。多頭飼いを迎える前に「時間が3倍になる」と思って身構えると、この10分ぶんだけ怖く見えます。

犬と猫が混ざっている家では、もう少し形が変わります。猫は触る時間が短くて、見分けの時間が長くなりやすい。逃げられる場所が多いので、どこにいるかを探すところから始まるからです。犬の多頭飼いだと逆で、触る時間のほうが長く、見分けは短くなります。それでも、準備と片づけが頭数で増えないという構造は変わりません。

Point1頭あたりに直した行が、多頭飼いのいちばん意外なところです

表のいちばん下の行を見てください。1頭あたりにかかる時間は、頭数が増えるほど短くなります。9分、6分半、約6分。これは効率がよくなったという話ではなく、共通の5分を分け合っているだけです。ただ、毎日のこととして体感に出るのはこの行のほうです。多頭飼いの家で「思ったほど大変ではない」と言われることがあるのは、この割り算が毎日効いているからだと思います。

まとめて1周するか、1頭ずつ通すか|多頭飼いの帰宅後はどっちが短いか

ここまでの構造が分かると、次の問いが立ちます。多頭飼いのケアは、まとめて1周するのと、1頭ずつ通すのと、どっちが短く終わるのか。まとめて1周するというのは、全頭のブラシを先に済ませ、次に全頭の足の裏、という進め方です。1頭ずつ通すというのは、1頭目のブラシと足の裏を終わらせてから、2頭目に移る進め方です。

2つの進め方を、同じ項目で比べる
まとめて1周する1頭ずつ通す
準備・片づけ1回で済みます1回で済みます(道具を置いたままなら)
道具の持ち替え少ない。同じ道具を続けて使えます多い。1頭ごとに2回持ち替えます
待つ子の数多い。全頭が最後まで待ちます少ない。終わった子から解放されます
途中で崩れたときどこまでやったか分からなくなりますその子で区切れているので分かります
見分けのしやすさ同じ場所を続けて見るので、差に気づきやすい1頭の中で完結するので、差には気づきにくい
向いている条件頭数が多い。落ち着いて待てる子がそろっている待てない子がいる。途中で中断が入りやすい

時間だけを見ると、まとめて1周するほうが短く終わります。道具の持ち替えが減るぶんです。うちで測ったときは、3頭で1分から2分ほど違いました。ただ、これは全頭が最後まで待てた日の数字です。待てない子が1頭でもいると、この差はすぐ逆転します。途中で1頭が動きだすと、その子を追いかけて、戻ってきて、どこまでやったかを思い出すところからやり直しになるからです。

だから、どっちを選ぶかは時間では決まりません。決まるのは、待たせられる子がそろっているかどうかという条件のほうです。多頭飼いを始めたばかりの時期や、新しい子を迎えた直後は、1頭ずつ通すほうが結果的に短く終わります。全員が待てるようになってきたら、まとめて1周に切り替える。順番はこちらです。逆から始めると、毎晩やり直しが入ります。

犬だけの多頭飼いなら、まとめて1周のほうへ早く移れます。犬と猫が同居している家では、猫のぶんだけ切り離して、犬はまとめて1周、猫は1頭ずつ通す、という混ぜ方も現実的です。全部を同じ進め方でそろえる必要はありません。

増えたのは時間より順番を決める手間|多頭飼いで時期ごとに測り直す習慣

3日ぶん測ってみて、いちばん意外だったのはここでした。多頭飼いになって増えたのは、時間よりも「順番を決める手間」のほうです。17分という数字は、順番が決まっている日の数字です。順番が決まっていない日は、同じ17分の中に、迷っている時間が混ざります。そして迷っている時間は、ストップウォッチには映っても、記憶には残りません。

順番を決めるというのは、優劣をつけるという話ではありません。毎日、同じ順番でやると決めてしまう、というだけの話です。うちでは、玄関から遠い場所にいる子から始める、と決めました。理由は何でもよくて、決まっていることのほうが大事です。決めた日から、見分けの時間が3分から2分に落ちました。頭数は変わっていません。

そのうえで、この時間は時期によって動きます。頭数が変わらなくても、同じ数字がずっと続くわけではありません。だから、季節の変わり目や、暮らしが変わったタイミングで測り直すのを習慣にしています。3日ぶん測るだけなので、負担にはなりません。

多頭飼いの時間が動きやすい時期
時期どこが動くか測り直すとよいタイミング
毛が抜けかわる時期触る時間が延びます抜け毛が増えたと感じた週
雨が続く時期足の裏に手をかける時間が延びます梅雨に入ったころ
新しい子を迎えた直後見分けと順番の時間が跳ね上がります迎えて1週間目と1か月目
室内の模様替えのあと準備の時間が変わります道具の置き場所を動かしたとき
高齢の子が出てきた時期触る時間が延び、待たせにくくなります半年に1回
においが気になりだした時期拭く場所が増えて、触る時間が延びます気になったその週のうちに

最後の行に、においを入れておきました。多頭飼いの家では、においの出どころが1頭に絞りにくくなります。においが気になりだしたときにやることは、全頭のケアを増やすことではなく、どの子のどこから出ているのかを1回だけ確かめることです。ここでも増えているのは、手を動かす時間ではなく、見分けるための手間のほうでした。

洗う日は、この17分の外にあります。測る対象からは外しましたが、多頭飼いでいちばん頭数ぶんに積み上がるのは、実はこの工程のほうです。泡立てて、被毛をかき分けて擦って、すすぐ。3つとも「触る」の列に入るので、準備や片づけのように分け合えません。頭数がそのまま倍率になります。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。浸かるだけで全身に行きわたるので、泡立てる工程と、かき分けて擦る工程がなくなります。増える列そのものを短くできる、数少ない選び直しです。ただし、乾かす時間は変わりません。そこは頭数ぶん残るので、洗う日を組むときは、乾かす側から先に数えてください。

Caution1頭だけ時間が延びていくときは、時間の話ではありません

多頭飼いで測っていると、特定の1頭だけ、触る時間がだんだん延びていくことがあります。毛のもつれが増えた、同じ場所を触ると嫌がる、拭いても半日で元に戻る、掻いている回数が増えた、においが1頭だけ強い。こうした変化は、順番や進め方を工夫して吸収するものではありません。動物病院にご相談ください。多頭飼いは比べられる相手が家の中にいるという点で有利です。ほかの子と何が違うかを言えるようにして行くと、そこがそのまま手がかりになります。

最後にもう一度、この記事の一行に戻します。頭数が3倍になっても、多頭飼いのケアの時間は3倍にはなりませんでした。うちでは9分が17分、2倍弱です。準備と片づけを1回しか払わないからです。そして、実際に増えたのは分数よりも、誰から始めるかを決める手間のほうでした。順番を先に決めてしまえば、その手間は毎日ぶん消えます。多頭飼いを迎える前に時間の心配をしているなら、見積もるべきなのは頭数ではなく、この4つの項目のうちどれが増えるか、です。

Product

mofuwa 入浴シャンプー

mofuwa 入浴シャンプー

400ml / 3,410円(税込)

浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。

商品ページを見る

よくある質問

多頭飼いになると、毎日のケアの時間は頭数ぶん増えますか
頭数ぶんそのままは増えません。うちで測ったときは、1頭で9分、3頭で17分でした。準備と片づけは頭数に関係なく1回で済むので、その5分ぶんが共通になります。増えるのは、体に手を入れている時間と、どの子を先にするかを決める見分けの時間の2つです。ただしこれはうちの家の条件で出た数字なので、自分の家の数字がほしいときは、道具を出すところからしまい終わるまでをストップウォッチで3日ぶん測ってみてください。
まとめて1周するのと、1頭ずつ通すのは、どっちが短く終わりますか
全頭が落ち着いて待てる日なら、まとめて1周するほうが短く終わります。道具の持ち替えが減るためで、うちの3頭では1分から2分の差でした。ただし待てない子が1頭でもいると、途中で中断が入って差はすぐ逆転します。迎えて間もない子がいる時期は、1頭ずつ通すほうが結果的に短くなります。待たせた子が自分から順番の場所に来るようになったら、まとめて1周に切り替える。その順番で移ると失敗しません。
多頭飼いで、毎日の時間を短くするにはどこから手をつければいいですか
触る時間ではなく、準備と片づけから手をつけてください。触る時間を1頭あたり1分削っても、3頭で3分しか縮みません。準備と片づけの5分は頭数に関係なく毎日かかるので、ここを1分縮めるほうが確実です。道具を1か所にまとめる、床に座らずに済む高さに置く、取れた毛を入れる袋を出しっぱなしにしておく。そのうえで、始める順番を毎日同じに決めてしまうと、迷っている時間がなくなります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。