C05犬種・猫種別ケア

ソマリと暮らすなら知っておきたい、毛のもつれの話

公開日 2022年12月20日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの中で、ふさふさした尾を体に沿わせて休んでいる長毛の猫
体の毛と尾の毛は、同じ一頭でも長さが違います。もつれが集まるのは、長いほうです。写真:Camilo Ospina/Pexels

ソマリの背中を指で送っていくと、毛のあいだで指が一度止まって、そのまま抜けていきます。ところが尾に入った瞬間、指が毛の束に押し戻される。同じ一頭なのに、尾だけ毛の長さが違うからです。ソマリのもつれは、この長さの差が始まる場所から生まれます。しかも尾は、その子が自分の口を届かせにくい場所です。届いたとしても、毛が長いぶん、毛づくろいの一往復で扱える距離が足りません。この記事では、同じ一頭の中にある「体のもつれ」と「尾のもつれ」を並べて、条件がどこまで違うのかを書きます。

体は中くらいの毛、尾だけが房のように長い|ソマリの毛の長さの違い

ソマリの被毛は、猫の中では「中くらいの長さ」に入ります。床に届くほど伸びるわけではなく、かといって手のひらがすっと滑る短毛でもありません。指を入れると毛の中で一度止まって、そのまま抜けていく。体のほとんどは、この手ざわりでできています。ところが尾に入った瞬間だけ、感触がはっきり変わります。尾の毛は体の毛よりずっと長く、根元から扇のように広がって房になっています。

首まわりと後ろ脚のうしろにも、体の面より長い飾り毛があります。ただ、差がいちばん大きいのは尾です。ソマリの被毛は、一頭の中に「中くらいの毛の面」と「極端に長い毛の房」が同居している作りをしています。もつれの話をするときに、この2つを同じものとして扱うと、手の入れ方がどちらか片方に合わなくなります。

毛そのものの性質も関係します。1本の毛に色の帯が何段も重なっていて、光の当たり方で色が動いて見える。毛は細く、下毛はあまり多くありません。細い毛が長く伸びている場所ほど、乾いた季節には静電気で毛先どうしが寄ります。寄ったところへ抜けた毛が引っかかって、それがもつれの芯になります。ソマリのもつれが「量」の話にならないのは、ここが理由です。

換毛期になると、この差はさらに開きます。体の面では、抜けた毛が短いので、その子が動くだけで床に落ちます。尾では、抜けた毛が長い房の中に引っかかったまま残ります。落ちないので掃除機の中には出てきません。飼い主が「今年は抜け毛が少ない」と感じている年ほど、尾の房の中に留まっていることがあります。

Note「長毛の猫だから」で片づけると、手が合わなくなります

ソマリを長毛種としてひとくくりにすると、体全体を長毛用の手順で扱うことになります。体の面はそこまで長くないので、その手順は過剰で、その子が嫌がる回数だけが増えます。逆に短毛の猫と同じ扱いにすると、今度は尾が置き去りになります。ソマリのもつれで最初に決めるのは、道具でも回数でもなく、体と尾を別々に数えるということです。

体のもつれと尾のもつれ|猫のソマリで、同じ一頭の中に生まれる違い

2か所を、同じ項目で並べます。比べるのはどちらがひどいかではなく、条件がどこで分かれるかです。ソマリの場合、この2か所は同じ被毛から生えているのに、毛の長さも、その子の口が届く距離も、気づくまでの時間も違います。ひとつの手順で両方を回そうとすると、たいてい尾のほうが取り残されます。

体のもつれから見ます。体の毛は中くらいの長さなので、その子の舌は根元まで届きます。毛づくろいで毎日ならされているぶん、もつれが始まるのはこすれる場所と、舌が回りにくい場所に限られます。脇の下、後ろ脚のつけ根の内側、首輪をしているならその下。どれも体の側面や下側なので、抱き上げたときに目に入ります。気づくのは早いほうです。

尾のもつれは条件が変わります。まず、尾は口を持っていきにくい場所です。体を丸めて尾を抱え込む姿勢が要るので、その姿勢を取らない子では、尾の毛づくろいの回数自体が少なくなります。そして届いたとしても、毛が長いぶん、舌の一往復で扱える距離が足りません。根元まで舌を入れて毛先まで通す、ということが構造的に起こりにくい。さらに尾の下側は、寝ているあいだ床と体のあいだで押されています。

ソマリの体と尾で、もつれの条件がどう違うか
体のもつれ尾のもつれ
毛の長さ中くらい。指が抜けていく房のように長い。指が止まる
その子の毛づくろい舌が根元まで届く口を持っていきにくい。届いても一往復が短い
始まりやすい場所脇の下、後ろ脚のつけ根の内側尾の根元と、尾の下側
気づくまでの時間抱き上げたときに見えるので早い房に隠れるので遅い
換毛期の抜けた毛短いので、動けば床に落ちる長い房に引っかかって残る
静電気の出方面が広いぶん、薄く広く出る毛先どうしが寄って束になる
手の入れ方毛の流れに沿って長く根元を押さえ、毛先から短く
ソマリの体のもつれと、尾のもつれ 体の毛は中くらいの長さで、その子の毛づくろいが届きます。尾の毛は房のように長く、口を届かせにくいうえ、届いても一往復で扱える距離が足りません。 同じ被毛なのに、条件が2つに分かれます 体のもつれ 毛の長さは中くらい 舌が根元まで届く 脇の下と後ろ脚の内側 見えるので気づきやすい 尾のもつれ 房のように長い毛 口を持っていきにくい 尾の根元と尾の下側 房に隠れて気づきにくい 人が代わるのは、尾の側からです
同じ一頭の中で、条件がいちばん違うのが尾です。

この表で分けておきたいのは、「届かない」の中身です。尾では、届かない理由が2つ重なっています。ひとつは距離の問題で、口をそこまで持っていく姿勢を取りにくいこと。もうひとつは長さの問題で、届いた場所でも一度に扱える範囲が毛の長さに追いつかないことです。前者だけなら、その子が姿勢を変えれば解決します。後者は、その子の側では解決しません。

だから人が代わるのは、まず尾の側からです。体の面は、その子の毛づくろいがすでに毎日通っている場所なので、人の手はそれを補う位置にあります。尾は、その子の毛づくろいが構造的に足りない場所なので、人の手が置き換わる位置にあります。ソマリのブラッシングで時間の配分を決めるなら、面積ではなく、この役割の違いのほうを見てください。

今日どちらに手を入れるか|ソマリの根元を開いて確かめる見分け方

体と尾を別々に数えると決めたら、次は今日どちらに入るかです。両方を毎日やる必要はありません。ソマリのもつれは、見ただけでは分かりません。尾の房は外からはふさふさに見えるので、内側に何ができていても表面が覆ってしまいます。判断は目ではなく、指で分けて行います。次の4つを、抱き上げたついでに順番に回してください。

  1. 手のひらを背中に当てて、肩から腰まで一度で滑らせる

    まず体の面を見ます。手のひらが引っかからずに抜けるなら、その日は体をやらなくて構いません。途中で止まる、毛先どうしが寄って束になっている、という感触があれば、その日は体の側です。片手で支えて、片手だけで確かめます。

  2. 脇の下と、後ろ脚のつけ根の内側に、指を横から差し入れる

    こすれる場所は面の外側からは見えません。指を横から入れて、小さな玉のような感触があるかどうかを確かめます。見つかった玉は、大きくなる前のほうが指だけでほどけます。ここで力を入れずに、位置だけ覚えておきます。

  3. 尾の根元を親指と人さし指で軽くはさみ、毛を上下に分ける

    房を分けて、地肌が見えるかを確かめます。すぐ見えるなら、尾の根元は通っています。分けても毛が戻ってきて地肌が見えないなら、そこに抜けた毛が留まっています。ソマリの尾で、最初に条件が変わるのはこの根元です。

  4. 尾を横へ倒して、下側の毛を毛先まで指で送る

    尾の下側は、寝ているあいだ床と体のあいだで押されている面です。持ち上げると嫌がる子が多いので、持ち上げずに横へ倒してから確かめてください。毛先の側で指が止まるなら、その日は尾の下側だけで終わりです。

指で確かめた結果と、その日に手を入れる場所
確かめたことその日にやること
背中は滑るのに、尾の根元で指が止まる尾だけ。体はやらなくてよい
脇の下に小さな玉がある体の側。尾は翌日に回す
尾の房を分けたら、すぐ地肌が見えたその日は尾も体もやらなくてよい
尾の下側だけ、毛先が束になっている尾の下側だけ、毛先から短く
全体に毛先が寄って、なでると音がする毛ではなく、部屋の乾き方のほうを見る
Pointソマリは、見た目でもつれが分かりません

尾の房は毛が長いぶん、内側に何ができていても外側の毛が覆います。ふさふさに見えることは、通っている証明にはなりません。毎日ぜんぶを確かめようとすると続かないので、「抱き上げたら尾の根元を1回開く」とだけ決めてしまうほうが回ります。うるおいのある時期は数日空いても戻りませんが、乾いた時期は間隔が短くなります。

尾と体で力の向きを変える|ソマリのブラッシングの使い分け

道具を2本に増やす話ではありません。ソマリの使い分けで変えるのは、動かす距離と、支える手と、入る向きの3つだけです。同じ道具でも、体に当てるときと尾に当てるときで、この3つが変わります。逆に言えば、この3つを変えずに尾へ入ると、尾の骨ごと毛を引くことになります。

  1. 体は、毛の流れに沿って長く

    肩から腰へ、1回のストロークを長く取ります。中くらいの長さの毛は、流れがそろっているあいだは絡みません。短く細かく動かすより、長く1方向に通すほうが、面としてそろいます。1日で全身を回そうとせず、今日は左半分、明日は右半分、と面を分けてください。そのほうが、その子が途中で降りてしまう回数が減ります。脇の下と後ろ脚の内側は、面を通したあとに、指で横から確かめるだけで足ります。

  2. 尾は、根元を押さえて毛先の側から短く

    片手で尾の根元を軽く握って支え、もう片方の手で毛先から2〜3cmずつ通します。通せた範囲を少しずつ根元側へ上げていきます。根元から毛先へ一気に引くと、力が全部、生えている根元にかかります。ソマリの尾は毛が長いぶん、引いた力が長い距離ぶん積み重なります。支える手があるかどうかで、その子の感じる強さがまったく変わります。

  3. 尾の下側は、持ち上げずに横へ倒して

    尾を持ち上げられるのを嫌がる子は多く、そこで嫌がられるとその日はもう触らせてもらえません。体の横に尾を倒して、房を上下に分けてから入ります。下側は寝ている姿勢で押されている面なので、面がつぶれた形のまま固まっていることがあります。1日で全部をほどききらず、房を1周ぶんだけ、と決めておくほうが早く終わります。

体と尾で、変えるのは3つだけ
体尾
動かす距離肩から腰まで長く毛先から2〜3cmずつ短く
手の役割片手で支え、片手で通す片手で根元を押さえ、片手で毛先から
入る向き毛の流れに沿って上から毛先から根元へ、少しずつ上げる
1日にやる量面を半分ずつ房を1周ぶんだけ
換毛期に増やすこと回数ではなく、面の分け方根元を開いて確かめる回数
Caution尾を引っぱらないでください

尾は細く、根元に力が集まります。房の途中に固まった玉があるとき、そこを毛先の側へ引くと、抜けた毛ではなく、生えている毛と皮膚を一緒に引くことになります。ハサミを毛の下へ入れるのも避けてください。もつれた毛の下では皮膚が持ち上がっていて、毛と一緒に刃の下に入ります。玉は1回でほどききらなくて構いません。振り向く、鳴く、逃げるという反応が出たら、その日はそこで止めてください。

尾の房に手を入れる日は、グルーミングスプレーを布に含ませて、房を分けたあとに毛の流れに沿ってなでてください。乾いた時期に毛先どうしが寄っていくのを落ち着かせて、一往復で通る距離を保つための道具です。舐めても問題のない基準でつくられているので、猫の尾に使う量を気にしなくて済みます。固まった玉に直接吹きかけて、そのまま置かないでください。

部屋の側の条件も一緒に見ておきます。ソマリの毛は細いので、空気が乾いている時期ほど毛先どうしが寄ります。暖房を入れはじめた週から、尾の房を確かめる間隔を短くしてください。この時期は、梳かす前にグルーミングスプレーを布へ含ませておくと、静電気の起きにくい状態で房へ入れます。うるおいのある時期と同じ間隔のまま冬に入ると、尾の中でだけ条件が変わっていることに気づけません。換毛期と乾燥の時期が重なる秋は、いちばん間隔を詰める時期になります。

家でほどくか、翌日に回すか|ソマリの尾の房で線を引く基準

尾の房を分けて、指が止まったとします。ここからの選び方を書いておきます。選択肢は3つで、家でほどくか、その日はやめて明日に回すか、人の手に渡すかです。この3つを分ける基準は大きさではなく、地肌が見えるかどうかと、その子の反応のほうです。

Caution尾の房の下に、この変化があるとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。どれか1つでも当てはまるときは、指で分ける回数を増やすより先に、動物病院にご相談ください。ソマリは尾の毛が長いぶん、変化が房に隠れたまま進んでから気づくことがあります。指が止まる場所と、その変化が出ている場所が同じかどうかを伝えると、切り分けが早く済みます。

見てもらう日やトリミングの前には、どこで指が止まるか、いつからか、その日に自分がやったことの3つをメモしてください。この3つがあると、被毛の条件で説明のつくもつれなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩にがんばってほどこうとすると、房がもとの形から崩れてしまいます。ほどけなかった房は、そのままの形で見てもらって構いません。

ソマリと暮らすうえで、尾の毛が長いこと自体は変わりません。房のような尾は、この猫が持っている作りだからです。減らせるのは抜ける毛の量ではなく、抜けた毛が房の中に留まっている時間のほうです。体と尾を別々に数える。今日どちらの日かを、根元を開いて決める。尾では動かす距離を短くして、根元を支える手を必ず添える。ソマリのもつれで動かせるのは、この3つです。

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よくある質問

ソマリのブラッシングは、体と尾で道具を変えたほうがいいですか?
道具を増やすより先に、動かす距離と支える手を変えてください。体は毛の流れに沿って肩から腰まで長く、尾は根元を押さえて毛先から2〜3cmずつです。同じ道具でも、この2つを変えるだけで尾にかかる力がまったく変わります。道具を増やすのは、その使い分けが手になじんでからで間に合います。
尾のもつれは、どのくらいの間隔で見ればいいですか?
間隔を日数で決めず、房を分けて地肌が見えるかどうかで決めてください。すぐ見えるなら数日空けて構いません。分けても地肌が見えないなら、その日が手を入れる日です。空気が乾いている時期と換毛期は毛先どうしが寄りやすいので、間隔は自然に短くなります。
換毛期は、体と尾のどちらが先に動きますか?
動く時期は同じでも、気づき方が違います。体の抜けた毛は短いので床に落ちて目に入りますが、尾の抜けた毛は長い房に引っかかって残るので、外には出てきません。抜け毛が少ない年だと感じたときほど、尾の根元を分けて確かめてみてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。