C05犬種・猫種別ケア

ミヌエットのケア|毛づくろいの減りを減らす3つの習慣

公開日 2023年1月10日|文=mofuwa編集部

明るい光のなか、淡い色のブランケットの上で毛づくろいをしている長毛の猫
毛づくろいの回数は変わっていません。1回の舌で、毛のどこまで進めるかが変わります。

ミヌエットが前脚を舐めて、そのまま舌を脇腹へ運ぶ。この一連を、10分のあいだに何度もくり返しています。回数だけを見れば、毛づくろいはきちんと続いています。それなのに脇腹の毛を分けて根元をのぞくと、そこだけ毛が寄って、細い束になっている。短い脚の上に、長さのある毛が乗っている猫です。舌が届く範囲そのものは、脚の短いほかの猫と変わりません。変わるのは、1回の毛づくろいで毛のどこまで舌が進むかという、量のほうです。この記事では、ミヌエットの毛づくろいを「回数」と「1回で進む量」の2つに分けて比べ、どちらが足りていないのかを手で確かめる順番までを書きます。

短い脚に、長い毛が乗る|ミヌエットの毛づくろいが追いつかなくなる条件

ミヌエットは、脚の短い猫と、長さのある毛を持つ猫のあいだから生まれた品種です。そのため、短い脚と、長さのある被毛という2つの特徴を同時に持っている子が多くいます。毛の長さには幅があって、ふわりと長い子もいれば、中くらいの長さで止まる子もいます。ただ、どちらの子でも、脚の短さのほうは共通しています。

ここで先に、はっきりさせておきたいことがあります。ミヌエットの舌が届く範囲は、脚の短いほかの猫と変わりません。脚が短いぶん、口が背中や腰のほうへ回りにくい。その事情は同じです。ミヌエットに固有なのは範囲のほうではなく、届いた場所で1回の毛づくろいがどれだけ仕事をするか、という量のほうにあります。

猫の舌の表面には、後ろ向きの小さな突起が並んでいます。この突起が櫛の歯のような役をして、毛のあいだを通り抜けます。1回舐めるという動作は、突起が毛の根元側から毛先へ向かって一度通ることを指します。このとき突起が進める距離には、はじめから限りがあります。舌の長さと、口を動かせる幅で決まってしまうからです。

毛が短い猫なら、その一度の通過で根元から毛先までが一巡します。毛づくろいが1回終われば、その場所は端まで整っている。ところが毛に長さがあると、同じ1回で通れるのは毛先寄りの数センチだけです。表に見えている部分はきれいに整い、根元の側は前のまま残ります。ミヌエットの毛づくろいで起きているのは、これです。

ミヌエットと暮らしていて「よく毛づくろいをしている子だ」と感じるなら、その印象は間違っていません。1日のうち毛づくろいに使っている時間は、ほかの猫と変わらない子が多いからです。足りていないのは時間でも意欲でもなく、1回あたりに進む毛の量のほうです。ここを取り違えると、対処が「もっと自分でやらせる」の方向へ行ってしまいます。

Note毛づくろいが減った、という話ではありません

根元に毛の束ができているのを見つけると、その子が手入れをさぼっているように見えることがあります。けれど、ミヌエットの毛づくろいは回数のうえでは足りています。回数の問題として読むと「もっと舐めさせる」しかできることがなくなります。量の問題として読むと、人が代われる場所がはっきりします。同じ現象でも、どちらの軸で見るかで次の一手が変わります。

回数と、1回で進む量|ミヌエットの毛づくろいを2つの軸で比較する

毛づくろいを2つの軸に分けます。ひとつは回数、つまり1日のうちに何度、どのくらいの長さ舐めているか。もうひとつは1回で進む量、つまり一度の舐めで、毛のどこからどこまでが動いたか。ミヌエットの被毛を考えるときは、この2つを混ぜないほうが話が早く進みます。

回数のほうは、飼い主から見えます。窓辺で長いこと脇腹を舐めている、食後に必ず前脚から始める。そういう場面は目に入ります。ところが1回で進む量のほうは、外から見ても分かりません。舌が通ったあとの毛先はきれいに寝るので、表面だけを見れば仕事が終わったように見えるからです。

ミヌエットの毛づくろいを、2つの軸で比較する
回数1回で進む量
何を数えているか1日に舐める回数と、続く時間一度の舌が、毛のどこまで通ったか
ミヌエットでの傾向ほかの猫と変わらない子が多い毛の長さのぶんだけ短くなります
外から見えるか見えます見えません。毛を分けて確かめます
季節で動くか気温と日照で少し動きます毛の長さが変わらなければ動きません
足りないと、どこに出るか全身がまんべんなく乱れます根元の側だけが残ります
人が代われること落ち着ける時間と場所を用意する根元側の1往復を、人の手で足す
回数と、1回で進む量 ミヌエットの毛づくろいは回数のうえでは足りていることが多く、足りなくなるのは一度の舌が進む毛の量のほうです。回数を増やしても、1回で進む距離は変わりません。 毛づくろいを2つに分けて見る 回数 1日に何度、どのくらい舐めるか ミヌエットでも減っていないことが多い 窓辺や食後の場面で目に入る 増やしても根元までは届かない 1回で進む量 一度の舌が毛のどこまで通るか 毛の長さのぶんだけ短くなる 毛を分けないと確かめられない 人が代われるのは、こちら側 回数の側で数えているかぎり、根元は残ったままになります
同じ毛づくろいでも、数えているものが違います。手を貸す先は右側です。

この表を書き出すと、ひとつはっきりすることがあります。回数を増やしても、1回で進む量は増えません。舌が一度に通れる距離は舌の作りで決まっていて、何度くり返しても1回あたりの距離は変わらないからです。根元まで一巡させるには、回数を今の何倍にも増やすしかない。それは現実的ではありません。

だから、ミヌエットで人が代われるのは量の側です。毛づくろいの代わりに全身をとかす、という話ではありません。その子の舌が毎回そこで止まっている、根元の側の数センチだけを人が引き受ける。やることの範囲がここまで狭くなると、1日に使う時間も短くて済みます。毛づくろいの減りを減らす、というのは、その子の1回を人の手で少しだけ延長する作業のことです。

もうひとつ、この2軸で見ると気づけることがあります。回数のほうが本当に減っているとき、それは被毛の条件では説明がつきません。落ち着ける場所がない、寝床の位置が変わった、同居の猫が増えた。毛づくろいの回数は、体の作りより暮らしの条件で動きます。回数が落ちたと感じたときは、毛ではなく部屋のほうを先に見てください。

回数が足りないのか、量が追いつかないのか|ミヌエットでの見分け方

2つの軸のどちらが足りていないかは、指で確かめられます。見分け方の中心は目ではなく手です。ミヌエットは表面の毛が長く流れるので、外から見るかぎり、どちらの場合もきれいに見えます。猫が落ち着いているときに、次の順で確かめてください。1日で全身を回そうとしないほうが続きます。

  1. 1日のうち、毛づくろいの場面を3回思い出す

    起きたあと、食後、寝る前。この3つのどこかで舐めていれば、回数のほうは動いています。3つとも思い当たらない日が続いているなら、量ではなく回数の話です。その場合は毛に手を入れる前に、静かに休める場所があるかどうかを見てください。

  2. 脇腹の毛を、流れと直角に指で分ける

    上からなでるのではなく、毛を左右に開いて根元を出します。根元の側が乾いていて、毛どうしが寄っていなければ、そこは1回で足りています。寄って細い束になっている、指で押すとわずかに弾力がある。そう感じたら、量が追いついていない場所です。

  3. 同じことを、肩・背中の中ほど・腰・後ろ脚のつけ根で行う

    ミヌエットは脚が短いぶん、口が回りにくい場所と回りやすい場所の差が出ます。回りやすい場所でも根元が残っているなら、それは範囲ではなく量の側の話です。4か所を1日で回す必要はありません。今日は肩だけ、明日は腰だけで足ります。

  4. 根元の毛を1本つまんで、指で毛先まで送る

    途中で引っかかるなら、そこまでしか舌が来ていません。引っかかる位置が根元から何センチのところかを覚えておいてください。その位置が、人が手を貸し始める場所になります。毎回同じ位置で止まるなら、その子の1回で進む量が、そこで決まっているということです。

指で確かめた結果と、その日にやること
確かめたことどちらが足りていないかその日にやること
舐める場面が3つとも思い当たらない回数毛には触らず、休める場所を先に整える
表面は流れているが、根元が束になる1回で進む量その場所の根元側だけ、短く手を貸す
根元まで乾いていて、束もないどちらも足りているその場所は今日はやらなくて構いません
つまんだ毛が、毎回同じ位置で止まる1回で進む量止まる位置から毛先へ、1往復だけ足す
Pointミヌエットは、見た目では条件が分かりません

長さのある毛は、毛先が寝ていれば全体が整って見えます。表面がきれいなことは、根元まで毛づくろいが届いた証明にはなりません。抱き上げたついでに脇腹の毛を一度だけ分ける、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。指で分けたときの手ざわりの差は、数日続ければ覚えられます。猫のほうも、短く終わるなら受け入れやすくなります。

先に手を貸すのはどっちか|毛づくろいの減りを減らす3つの習慣

ここからが毎日の話です。3つ並べますが、3つを毎日そろえて回すための表ではありません。1回のなかで決めることがひとつ、1か所ごとに決めることがひとつ、1日の流れのなかで決めることがひとつ。決める単位をずらしてあるので、忙しい週でも3つが同時には止まりません。ミヌエットの毛づくろいに人が足すぶんは、これで足ります。

  1. 習慣1:根元から始めない、と1回のなかで決める

    手を貸すときは、その子の舌が止まっている位置に道具を置いて、そこから毛先へ送ります。根元に道具を差し込んでから引き下ろすと、束になっている毛を締める向きに力が入ります。止まる位置から毛先へ、が1回の中身です。毛先の側がほどけてから、置く位置を1センチずつ根元へ寄せていきます。1回で根元まで行こうとしないでください。この順番を固定すると、力の入れ方を毎回考えなくて済みます。

  2. 習慣2:1か所につき、往復の回数を先に決める

    肩なら3往復、腰なら3往復。場所ごとに数を決めて、決めた数で終える。手ざわりが気になるからと同じ場所を続けると、猫のほうが先に嫌がります。ミヌエットは体を折りたたむ姿勢が長く続かない子が多いので、1か所が短いほうが受け入れられます。今日は届かなかったぶんは、明日の3往復に回してください。1日あたりの合計より、毎日そこに手が触れていることのほうが効きます。

  3. 習慣3:毛づくろいの直後に重ねる、と1日のなかで決める

    その子が自分で舐め終わった直後は、毛の流れがそろっていて、体もその姿勢のままです。舐め終わりに続けて人が1往復足すと、猫にとっては毛づくろいの続きになります。時間で決めると忘れますが、場面で決めると忘れません。食後の毛づくろいのあと、と決めてしまえば、1日1回はかならず回ります。時期でいえば、毛が入れ替わる春と秋は、この1往復を2往復にするだけで足ります。

3つの習慣は、決める単位を揃えていません
何を決めるか決める単位
習慣1道具を置く位置と、動かす向き1回のなか
習慣2往復の回数。決めた数で終える1か所ごと
習慣3毛づくろいの直後に重ねる、という場面1日の流れのなか

道具については、細かく引っかける作りのものを毛の長い子にいきなり入れないでください。束になった毛にそのまま歯が入ると、ほどける前に締まります。先が丸く、歯の間隔に余裕のあるもので毛先側から始めて、通るようになってから根元へ寄せる。ミヌエットの毛は、根元側ほどやわらかい毛が混ざっているので、力ではなく回数で進めるほうが結果として早く終わります。

毛づくろいの直後に手を貸すなら、グルーミングスプレーがそのまま道具になります。布か手のひらに含ませて、脇腹や後ろ脚のつけ根のように毛の長い場所を、毛の流れに沿ってなでていってください。毛先の滑りがそろった状態で指が入るので、止まる位置から毛先へ送る1往復が短く終わります。グルーミングスプレーは舐めても問題のない基準でつくられているので、猫の体に使うときも量を気にせず足せます。ミヌエットは手を貸したあとで自分の毛を舐め直す猫なので、この点は毎日続けるうえで効いてきます。束になっている場所に直接かけて、そのまま置かないでください。

洗う日と、その間の日で、手に持つものを分けておくと迷いません。洗う日はモイストシャンプーで地肌まで湿らせて汚れを動かし、間の日はグルーミングスプレーで毛の流れをそろえてから指を入れる。毎日きれいにしておきたいという願いのほうから組み立てると、1回にかける時間を伸ばさずに済みます。ミヌエットは体を折りたたむ姿勢が長く続かない子が多いので、1日ぶんを短く終えられること自体が、毛づくろいに手を貸し続ける条件になります。

Caution束になった毛を、その日のうちにほどききらないでください

指で押して弾力のある束は、1回でほどく必要がありません。毛先の側から少しずつ量を減らして、残りは翌日に回す。嫌がる、体をひねる、声を出すというときは、その日はそこで手を止めてください。ミヌエットは脚が短いぶん、押さえられている時間そのものが負担になります。短く終わった日を重ねるほうが、猫のほうも次の日に受け入れてくれます。

1回で進む量では説明がつかない、毛づくろいの変わり方

ここまでは、毛の長さと舌の作りで説明のつく話でした。手を貸していても短い間隔で同じ場所が戻る、あるいは毛づくろいそのものの様子が変わったときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、被毛の条件では説明がつきません。

Caution毛ではなく地肌のほうが変わっているとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、毛づくろいに手を貸す回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。ミヌエットは表面の毛が長いぶん、地肌の変化が外から見えにくくなります。その日のうちに見てもらうかどうかは、束の数ではなく地肌の様子で決めてください。

相談やトリミングの前には、束になっている場所、いつからか、その日に自分でどこまで舐めていたかの3つをメモしてください。この3つがあると、毛の長さで説明のつく話なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。ほどききれなかった束は、無理に触らずそのまま連れて行ってください。前の晩に頑張ると、もとの状態が分からなくなります。

ミヌエットと暮らすうえで、1回の毛づくろいで進む量が短いこと自体は変わりません。短い脚と長さのある毛という2つを同時に持っている、その作りから来ているからです。動かせるのは進む量ではなく、進めなかったぶんが根元に残っている時間のほうです。回数と量を分けて数える。止まる位置から毛先へ向かって、決めた回数だけ足す。舐め終わりに重ねる。ミヌエットの毛づくろいで人ができるのは、そこまでです。そして、それで足ります。

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よくある質問

ミヌエットの毛づくろいは、ほかの猫より少ないのですか?
回数そのものは、ほかの猫と変わらない子が多くいます。足りなくなるのは1回で進む毛の量のほうです。毛に長さがあるぶん、舌が一度に通せるのは毛先寄りの数センチで、根元の側が前のまま残ります。回数が本当に減っているときは、被毛ではなく暮らしの条件のほうを先に見てください。
脚が短い猫は、届かない場所が多いのでしょうか?
口が回りにくい場所があるのは、脚の短い猫に共通しています。ミヌエットで特徴的なのは、届いた場所でも1回の毛づくろいが根元まで一巡しない点です。届く・届かないで分けるより、届いた場所でどこまで進んだかを毛を分けて確かめるほうが、手を貸す場所がはっきりします。
毎日ブラシを入れたほうがいいですか?
全身を毎日とかす必要はありません。指で毛を分けて、根元が乾いていて束になっていない場所には出番がありません。毛づくろいの直後に、束のある場所だけ決めた回数だけ手を貸す。1か所が短く終わるほうが、猫のほうも次の日に受け入れてくれます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。