C05犬種・猫種別ケア

シャムはなぜ皮膚の乾燥が起きやすいのか。短毛から考える

公開日 2023年1月3日|文=mofuwa編集部

明るい窓辺で、淡いクリーム色の短い毛の猫が落ち着いて座っている
色が濃く出ている場所は、その子の体の中で温度が低い場所です。見る順番はそこから決まります。

シャムの耳の先、鼻すじ、四肢の先、尾。色が濃く出ているのは、どれも体の端です。濃さの違いは、その場所の温度の違いから生まれます。そして乾燥を考えるとき、この色の分布がそのまま地図になります。体温が下がりやすい場所ほど色が濃く、色が濃い場所ほど、皮膚の表面から水分が逃げやすい条件がそろっています。つまりその子の体は、どこから見ればいいかを自分で示してくれている、ということです。この記事では、なぜそうなるのかを先に書いて、そのあとに濃い場所から順にたどる手順を置きます。

濃い場所は、冷えている場所です|シャムの乾燥を見る順番

シャムの体は、胴が淡く、端が濃い、という分かれ方をしています。耳、鼻すじ、前脚と後ろ脚の先、尾。濃くなっている場所を挙げていくと、どれも体の中心から遠い場所ばかりです。この並び方には理由があります。毛の色をつくる働きが、その場所の温度に反応するためだと知られています。温度の高い場所では色が出にくく、温度の低い場所では濃く出る。だから端ほど濃くなります。

子猫のころは全身が淡く、育つにつれて端から色が入ってくるのも同じ話です。生まれる前は体全体が一定の温度に保たれていて、外に出てはじめて、端と胴に温度の差ができます。シャムの色は、その子が生きてきた温度の記録のようなものです。動物病院で体の一部の毛を刈ったあと、その場所だけ濃く生えてくることがあるのも、同じ理由で説明がつきます。

ここから乾燥の話につながります。体温が低い場所というのは、体の中心から遠く、外気に触れる面の割合が大きい場所です。耳は毛がいちばん薄く、両面が空気にさらされています。四肢の先は床に接していて、冬は床のほうが冷たい。尾は細くて、体から離れています。どれも、皮膚の表面から水分が出ていく条件がそろっている場所です。

しかもシャムは短毛で、下毛がそれほど多くありません。毛と毛のあいだにたまる空気の層が薄いので、部屋の空気の条件が地肌の近くまで届きます。体温の低さと、地肌までの距離の短さが、同じ場所で重なっています。だから、シャムの乾燥を家で見ていくときは、順番を色で決めることができます。濃い場所から先に見て、淡い胴は最後にする。これが基本の順番です。

Note色が濃いこと自体は、変化ではありません

念のため書いておくと、ポイントの色が濃いことそのものは、その子の毛の作りであって、乾燥のサインではありません。見るのは色ではなく、その場所の地肌と毛の状態です。色は「どこを先に見るか」を決めるための目印として使います。歳を重ねると全体に色が濃くなっていくことがありますが、これも体温の伝わり方が少しずつ変わるためで、それ自体が変化を意味するわけではありません。

濃い場所から順にたどる5つの手順|シャムの乾燥で家でできること

順番が決まったら、あとは指でたどるだけです。道具は要りません。明るいところで、手のひらと指の腹だけで回します。全部で1分ほどです。シャムの乾燥で家でできることの中心は、洗うことでも塗ることでもなく、この1分をどこから始めるかを決めておくことです。膝に乗ってきたついでに、次の順で進めてください。

  1. 耳の外側を、上から下へなでる

    いちばん濃い場所から入ります。耳の外側の毛は薄く、地肌がすぐ下にあります。指の腹で上から下へ一度なでて、細かい粉のようなものが指に付くか、縁がかさついていないかを見ます。耳の中には指を入れません。見るのは外側と縁までです。ここは部屋の空気の条件がいちばん早く出る場所なので、ほかがなんともなくても、耳だけ変わっていることがあります。

  2. 鼻すじと口のまわりを、指の腹で1往復

    ここは温度だけでなく、濡れて乾くをくり返している場所です。水を飲み、食器に顔を入れ、そのあと乾く。1日に何度も濡れて乾く場所は、体の中でもとくに条件が動きます。口の下の毛が寄って固まっていないか、鼻すじの毛の流れが乱れていないかを見てください。食器の縁が当たる高さと重なっている子もいます。

  3. 前脚と後ろ脚の先を、下から上へ

    肉球の上の毛と、その少し上まで。指ではさんで、下から上へ送ります。床の材質が変わった時期、暖房で床が乾いた時期に、ここは動きます。フローリングとラグでは条件が違うので、その子がよく歩く面を思い出しながら見てください。肉球そのものが硬い、縁が白く粉をふいたようになっている、という変化もこの段で見つかります。

  4. 尾を根元から毛先へ、指ではさんで送る

    尾は細く、体から離れているので、温度が下がりやすい場所です。根元を軽く支えて、毛先の側へ指を送ります。強く引かないでください。寝ているあいだ下敷きになっている面があるので、片側だけ毛の流れが違っていることがあります。尾の付け根は皮脂が出やすい場所でもあるので、乾いているのかべたついているのかを分けて見ます。

  5. 最後に胴を、手のひら全体で

    いちばん温かく、条件が安定している場所です。手のひら全体を背中に当てて、肩から腰まで一度で滑らせます。ここまでで引っかかりがなければ、その日はもう終わりです。胴を最後にするのは、優先度が低いからというより、ここに先に出ているなら順番が違う、と分かるようにしておくためです。

この順番には、もうひとつ理由があります。濃い場所から入ると、その子が飽きて降りてしまう前に、いちばん条件の厳しい場所を見終えられます。逆に胴から始めて背中を長くとかしていると、耳と脚の先にたどり着く前に終わってしまいます。順番を固定してしまえば、毎回どこから始めるかを考えずに済みます。

Point1回で5つ全部をやらなくて構いません

その子が降りていったら、そこで終わりにしてください。大事なのは1回の完全さではなく、いつも同じ順番で始めることのほうです。同じ順番で回していると、今日は耳の途中で降りた、昨日は尾まで届いた、という差が記録になります。シャムは膝に乗ってくる子が多いので、乗ってきた時間をそのまま使うのがいちばん続きます。

毎日見る場所と、週に一度でいい場所|シャムの頻度の決め方

5か所を毎日見る必要はありません。場所ごとに、条件が動く速さが違うからです。1日に何度も濡れて乾く場所と、季節が変わるまでほとんど動かない場所を、同じ間隔で見ても意味がありません。頻度は日数で一律に決めず、その場所の条件がどれくらいの速さで動くかで決めてください。

場所ごとに、見る間隔が違います
場所見る間隔その間隔にする理由
耳の外側と縁2〜3日に1回毛が薄く、部屋の空気の条件がいちばん早く出ます
鼻すじ・口のまわり毎日、食後に1回濡れて乾くのが1日に何度も起きます
四肢の先週に2回床の条件が変わったときにだけ動きます
尾週に1回変化の進み方がゆっくりです
胴週に1回いちばん条件が安定しています
全身をまとめて季節の変わり目の2週間だけ毎日暖房を入れた週と止めた週に条件が動きます

見る頻度と、ブラッシングの頻度は分けて考えてください。シャムは短毛なので、毎日長くとかす必要はありません。抜けた毛は指を通すだけでもかなり取れます。回数を増やすより、その子の体が温まっている時間、たとえば膝から降りる直前に短く1回、と決めておくほうが地肌の様子まで見えます。冷えた状態で強くとかすと、嫌がられる回数だけが増えます。

洗う頻度についても書いておきます。短毛のシャムは乾きが早いので、洗いやすい猫です。そのぶん、乾燥に気づいたときに「洗ってさっぱりさせよう」と回数が増えやすい。洗う回数を増やすと、皮脂と一緒に地肌に残っていたうるおいまで持っていくことになります。乾燥が気になる時期は、洗う回数を増やす前に、部屋の湿度と、その子がいる場所の条件のほうを先に見てください。

1分でたどる5か所は、条件がひとつずつ違います。それでも順番をひとつに固定できるのは、途中で持ち替えなくていいからです。耳の外側、水皿に入る鼻すじ、床に触れている脚の先、寝るあいだ下敷きになる尾。置くものを場所ごとに替えていたら、この1分は成り立ちません。mofuwa スキンケアミストが1本でこの並びを回れるのは、耳の外側から口のまわり、肉球までが同じ使用範囲に入っているからです。範囲が広いから場所を選ばないのではなく、口が届く場所に置ける中身だから、結果として範囲が広く取れています。手のひらにとってから、毛の流れに沿ってなでるようになじませてください。耳の中には入れないこと、目のまわりを避けることだけ守れば、濃い場所の順にそのまま進めます。

Point頻度を変えるきっかけは、暦ではなく暖房です

秋に暖房を入れはじめた週と、春に止めた週。この2つの週で、部屋の空気の条件がまとめて動きます。シャムの場合、この2週間だけ全身を毎日見て、それ以外の時期は表の間隔に戻す、という組み方が現実的です。暦の上の季節ではなく、家の中で何が動いたかで頻度を決めてください。床暖房を使いはじめた週も同じです。

色の濃さでは説明がつかない変化|シャムと暮らすうえで覚えておきたいコツ

ここまでは、体温の低い場所から順に見る、という話でした。ただし、この順番で説明がつかない出方をすることもあります。色の濃さと関係のない場所に先に出た、左右で違う、進み方が急に速くなった。こうした変わり方は、部屋の条件やケアの回数の話として片づけないほうが安全です。次のような場合は、見方を切り替えてください。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、フケが急に増えた、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ケアの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。部屋の条件を1つ変えて2週間たっても戻らないときも同じです。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行く前には、どこが変わったか、いつからか、その週に家の中で変えたことの3つをメモしてください。3つめには、暖房を入れた、加湿器を出した、寝床の場所を移した、といったことを書きます。シャムの場合、色の濃い場所から出たのか、淡い場所から出たのかも一緒に伝えてください。出方の順番そのものが手がかりになります。前の晩に念入りに洗ってしまうと、もとの状態が分からなくなります。

最後にもう一度、順番を確かめておきます。シャムの体は、どこが冷えているかを色で示してくれています。だから見る順番を自分で決める必要がありません。耳、鼻すじ、四肢の先、尾、そして最後に胴。この並びは、その子が変わっても、季節が変わっても動きません。動くのは、それぞれの場所を見る間隔のほうです。

シャムと暮らすうえで、端が冷えやすいことも、毛が短いことも変わりません。どちらもこの猫が持っている作りだからです。動かせるのは、その条件の上に何を重ねるかのほうです。濃い場所から順に1分でたどる。場所ごとに間隔を変える。暖房のスイッチが動いた週だけ、間隔を詰める。シャムの乾燥に対して家でできるのは、この3つを続けることです。

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よくある質問

シャムのポイントの色が、前より濃くなってきました。乾燥と関係がありますか?
色の濃さそのものは、その場所の温度の現れであって、地肌の状態を示すものではありません。歳を重ねるにつれて全体に濃くなっていくことはよく知られています。見るのは色ではなく、その場所の毛と地肌の様子のほうです。色は、どこから先に見るかを決めるための目印として使ってください。
短毛なので、ブラッシングは必要ないのではないですか?
毛を整えるためというより、地肌を見るための時間として使ってください。シャムは毛が短いぶん、指を通すだけでも抜けた毛が取れますし、地肌の様子が手に伝わります。長い時間をかける必要はありません。その子の体が温まっているタイミングで短く1回、というほうが続きます。
加湿器を置けば、耳や脚の先まで条件は変わりますか?
部屋の平均としては変わりますが、その子がいる場所の条件までは変わらないことがあります。暖房の風が直接当たる位置に居場所があるなら、その一角だけ条件が違います。小さな温湿度計を、いつもの居場所の高さに置いてみてください。部屋の数字とどれくらい離れているかが分かると、次に動かす場所が決まります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。