C09シーン別・暮らし
共働きで時間がない人のための停電・断水のとき|5分で終わらせるケア
21時に帰って、玄関のスイッチを押したのに、明かりがつきませんでした。足元では、その子が待っています。外を歩いてきた足のままです。スマートフォンの明かりを頼りに靴を脱いで、洗面所へ行って、そこで蛇口をひねっても水が出ないことに気づきました。共働きで時間がない家に、断水と停電はまとめて来ます。しかも、来るのはたいてい平日の夜です。ふだんは帰宅後の5分で、足を拭いて、ブラシを2分かけて終わっていました。その5分の中身が、どれだけ電気と水に寄りかかっていたかは、出なくなった夜にはじめて分かります。この記事では、断水のときのペットのケアを、その日だけの特別な手順としてではなく、ふだんの5分から電気と水を使うものだけを抜く形で組み直します。時間がない人ほど、増やさないほうが残ります。
玄関の明かりがつかず、蛇口からも水が出なかった夜|共働きで時間がない家の経験
その夜の予定は、いつもと同じでした。帰って、その子の足を拭いて、ブラシをかけて、食器を洗って、それから自分の夕食にする。共働きで時間がない家のペットのケアは、たいていこの帰宅後の5分に全部が乗っています。朝は出るだけで精一杯なので、実質、一日に一度しかない枠です。その枠が、断水と停電で同時に成り立たなくなりました。
困ったのは、代わりの手が思いつかなかったことではありません。思いつく前に、その日の自分の用事が増えていたことです。水を汲みに行く。冷蔵庫の中身を確かめる。連絡を返す。断水の日は、人の側の手が先に埋まります。ペットのケアは、そこで最後尾に回ります。時間がないという条件が、ふだんの倍の強さで効いてきます。
| ふだんやっていたこと | 使っていたもの | その夜どうなったか |
|---|---|---|
| 足を洗って流す | 水 | できません |
| 洗ったあとに乾かす | 電気 | できません |
| 足を拭く | 布だけ | そのままできます |
| ブラシを2分かける | 手だけ | そのままできます |
| 食器を洗って乾かす | 水 | 拭き取りに置き換え |
| 換気扇を回す | 電気 | 窓を開けるだけに置き換え |
| 明るいところで皮膚を見る | 電気 | 翌朝の窓ぎわに移動 |
この表を書いたのは、実は断水が終わってからです。その夜は書けませんでした。ペットのケアの中身を数え直したのも、水が戻ったあとが最初でした。手が動かないときに、手順を整理する余裕はありません。だから、整理しておくのは何も起きていない日のほうだ、というのがこの記事の出発点になっています。共働きで時間がない家では、当日に考える形の備えは、ほぼ使えません。
そのときに一度、「非常時のマニュアルを作っておこう」と思いました。結論から言うと、それは作りませんでした。作らなかった理由が、次のセクションの話です。
特別な手順は、平時に読んで覚えていられる人の側にある|断水でペットのケアが飛ぶ背景
断水のときの手順書を作るという考え方には、前提があります。作った人が、その日にそれを思い出して、読んで、そのとおりに動けることです。年に一度も起きないことのために手順を1つ増やすと、思い出す確率のほうが先に下がります。しかも思い出さなければならないのは、いちばん時間がない夜です。
- 使える時間が短く、しかも時刻が決まっている:共働きの家では、朝と帰宅後の2回しか枠がありません
- 断水の日は、人の側の用事が増えている:水を確保する、食事を組み直す。ペットのケアは後ろに回されます
- 手順が増えるほど、最初の1手が決まらない:時間がない夜に、選ぶという作業がいちばん重くなります
- 年に1回もやらない動作は、手が覚えない:覚えているのは、毎日やっていることだけです
- 暗いと、いつもの場所に手が伸びない:道具の置き場所が変わっていなくても、見えないだけで止まります
5つに共通しているのは、断水の日にできることの上限を決めているのが、知識ではなく、その日の手の空き具合だという点です。知っていてもやらないのではありません。手が空いていないので、順番が回ってこないのです。時間がないという制約は、こういうときに、いちばんはっきり形になって出てきます。
だから、増やす方向をやめました。断水のときのために新しく覚えることを、ゼロにする。代わりに、ふだんやっていることの中から、電気と水を使わないものだけを残します。残ったものは、その日にはじめてやることではありません。昨日もやっていたことです。手が覚えているぶん、暗くても順番が飛びません。
断水のときのために専用の道具を用意しても、置き場所を覚えていなければ出てきません。ふだん使っている布とブラシが、そのまま使えるほうが確実です。共働きで時間がない家では、備えの数を増やすより、ふだんの道具を1か所にまとめておくほうが効きます。玄関に、布とブラシを入れた箱を1つ。これは断水のためではなく、毎日のためのものです。
ふだんのペットのケアから、電気と水を使うものだけを抜く|断水の日に何が残るのかという理由
やることは単純です。ふだんの帰宅後にやっていることを紙に書き出して、電気を使うものと水を使うものに印をつけます。印のついていないものが、断水と停電の日に残るケアです。うちの場合、7つ書き出して、残ったのは2つでした。拭くことと、とかすこと。どちらも毎日やっていることです。
| ふだんのケア | 電気 | 水 | 断水の日 |
|---|---|---|---|
| 足の指のあいだを拭く | 使わない | 使わない | そのまま残る |
| ブラッシング | 使わない | 使わない | そのまま残る。むしろ回数を増やす |
| 足を洗って流す | 使わない | 使う | 拭き取りに置き換え |
| 口のまわりを拭く | 使わない | 少し使う | 布を湿らせずに残す |
| 食器を洗う | 使わない | 使う | 拭き取り。翌日に洗い直す |
| シャンプー | 使う | 使う | やりません |
| ドライヤーで乾かす | 使う | 使わない | やりません |
この表でいちばん大事なのは、下の2行です。断水の日に、体を濡らす方向へ行かないでください。乾かす道具が動かないので、濡れた被毛が乾くまでの時間が、ふだんの何倍にもなります。地肌が湿ったままの時間が長くなると、皮膚の側の条件がそこから変わってきます。時間がないうえに乾かせない夜は、濡らさないという選択がいちばん軽い手です。
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1. 足の指のあいだから(1分)
外を歩いてきた足は、指のあいだに一日ぶんが残ります。乾いた布で、指を1本ずつ開いて拭きます。水で流さなくても、開いて拭くだけで大半は落ちます。暗いときは、明かりを上から当てず、横から当ててください。指のあいだに影ができません。
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2. 口のまわりと、前足の内側(1分)
その子が自分でなめる場所です。ここが最後に落ち着かないと、寝る前に気にして舐め続けることがあります。布を替えて、同じように拭きます。断水の日は、布を洗って何度も使うことができないので、最初から拭く場所ごとに布を分けておくほうが早く終わります。
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3. 体を1往復、とかす(2分)
断水の日に、いちばん価値が上がるのがここです。濡らせない、洗えない日が続くと、被毛が寝たまま動かなくなります。とかすという動作だけは、電気も水も使いません。毛の流れに沿って1往復。全身を1回で回そうとせず、背中と腰だけでも構いません。
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4. 食器を拭いて、次の食事まで置く(30秒)
洗えないので、乾いた布で拭き取ってから伏せておきます。フードの脂が残ったままにしておくと、においが出ます。乾いた布で拭いておけば、翌日に洗い直すまでフードの脂が固まりません。
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5. 翌朝、窓ぎわで皮膚を1か所だけ見る(30秒)
夜は明かりが足りないので、見る作業は朝に回します。窓ぎわで、毛を分けて地肌を1か所だけ見てください。赤み、湿り、フケ。断水が続くほど、この30秒の価値が上がります。
残った2つ――拭くことと、とかすこと――は、どちらもグルーミングスプレーが受け持てる動作です。布に含ませて足の指のあいだと口のまわりを拭き、背中はブラシを入れる前にひと吹きします。体を濡らすのではなく布のほうを湿らせるので、乾かす道具は要りません。清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、その子が自分でなめる足や口のまわりにも、量を気にせず使えます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、静電気の起きにくい状態で毛を梳かせます。帰宅後の5分にもともと置いてある1本が、暗い夜にもそのまま動くということです。
残った2つのうち、拭くほうは回数を増やしても限界があります。増やす価値があるのは、とかすほうです。洗えない日が3日続くと、被毛の根元に落ちた毛が留まりはじめます。1日1回を2回にするだけで、この留まる時間が短くなります。しかも道具は増えません。共働きで時間がない家でも、2分をもう1回だけなら、たいてい入ります。
電気と水が戻った日に、増やさない|断水を一度通った家の、ペットのケアの考え方
水が出た瞬間に、まとめて取り返したくなります。洗って、乾かして、食器も全部洗い直す。ここで増やすと、その週の毎日のほうが崩れます。断水の数日で溜まったものは、1日で戻すものではありません。ペットの側の条件は、こちらの都合ほど速く動きません。戻った日にやるのは、順番を1つずつ元に戻すことだけです。
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戻った日:食器と、その子が寝ている布から
先に洗うのは、体ではなく道具のほうです。食器、水皿、寝床の布。体は、乾かす時間がまとまって取れる日まで待てます。共働きで時間がない家では、平日の夜にシャンプーまで持っていくと、乾かしきる前に寝る時間になります。
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翌日:ブラッシングを、いつもの回数に戻す
断水のあいだに増やしていたぶんを、そのまま続けないでください。増えたまま固定すると、次に忙しい週が来たときにまとめて止まります。元の回数に戻すことも、続けるための手当てのひとつです。
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2〜3日以内:明るい時間に、皮膚と被毛を見る
窓ぎわで、背中、腰、足の指のあいだ、耳のうしろ。断水の数日で変わったかどうかは、戻ってから2〜3日のあいだにしか比べられません。それを過ぎると、断水のせいなのか、季節のせいなのかが分からなくなります。
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1週間以内:洗う日を、乾かせる日に合わせて決める
洗うかどうかではなく、乾かす時間が取れる日はいつか、から決めます。洗ってから乾かしきるまでを1つの作業として、時間の空いている日に置いてください。断水を一度通ると、この順番のほうが自然に感じられるようになります。
そのうえで、戻ってから次のような変化が残っているときは、断水の話として片づけないでください。数日洗えなかったことで説明がつく範囲を、超えていることがあります。
- 同じ場所をなめ続けている:足の指のあいだ、前足の内側、腰のあたり
- 地肌が赤い、じくじくしている:毛を分けたときに、面で見えるとき
- においの質が変わった:強さではなく、においそのものが変わったと感じるとき
- 被毛が根元で固まって、指が入らない:とかしても戻らない場所があるとき
- 耳を気にして頭を振る:断水と関係なく、単独で見るべき変化です
- 食欲や元気が落ちている:ケアの話ではありません
地肌が赤い、じくじくしている、同じ場所をなめ続けている、においの質が変わった、耳を気にして頭を振る、元気や食欲が落ちている。いずれかが数日続くときは、ケアの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。断水と停電のあとは「洗えなかったから」で説明したくなりますが、その説明で待っているあいだに時間が過ぎます。共働きで時間がない家ほど、予約を先に取ってしまうほうが結果として早く済みます。
断水と停電のときのペットのケアで、用意しておくものはほとんどありません。用意しておくのは、ふだんの手順のうち、電気と水を使わないものがどれかを知っていることだけです。拭くことと、とかすこと。この2つは、いちばん時間がない夜にも、暗い部屋でも、そのまま動きます。毎日やっているから動くのであって、その日のために覚えたから動くのではありません。備えは、増やすところではなく、抜けるところを先に見つけておくことでできています。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
