C12Q&A・豆知識

すすぎ残しはどこに溜まりやすい?

公開日 2023年2月10日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋の淡い色のマットの上に、落ち着いて立っている淡い色の犬
水は上から下へ抜けていきます。最後に残る場所は、毎回だいたい同じです。写真:Jessika Arraes/Pexels

すすぎ残しが指の腹に残っていると気づくのは、たいてい水を止めたあと、腹の下へ手を入れた瞬間です。犬の体で、それが起きる場所は決まっています。水が最後に抜けていくところ、つまり腹の下・脇・尾のつけ根・指のあいだの4か所です。上から流すかぎり、下側と内側があとになります。だから、流す順番を組み替えるより先に、最後に手を入れる場所を決めておくほうが早く終わります。この記事では、犬のすすぎ残しについて知りたいことを、8つの短い問いに分けて答えていきます。最後に、4か所を通しで整理しました。

すすぎ残しは、犬のどこに溜まりやすいのですか

答えから書きます。腹の下、脇、尾のつけ根、指のあいだの4か所です。この4つは、犬の体の中で水が最後に抜けていく場所です。すすぎ残しは、洗い方の丁寧さではなく、水がどこを通ってどこから落ちるかで決まります。だから、どの犬でもだいたい同じところに残ります。

すすぎ残しが溜まりやすい4か所と、そこが最後になる理由
場所水にとって何が起きているか手の入れ方
腹の下体の下側なので、上から流した水がここを通って落ちる犬を立たせたまま、下から手を差し込む
脇前脚と体のあいだが閉じていて、水が入れ替わらない前脚を少し外へ開いて、湯を通す
尾のつけ根毛が集まる場所で、体の後ろの低い位置にある尾を軽く持ち上げて、上から流す
指のあいだ床に接していて、いちばん下にある片足ずつ持ち上げて、指を広げる
耳の後ろ毛が厚く、頭の丸みで水が横へ逃げる耳を伏せて、後ろから前へ流す
内もも脚のあいだが閉じていて、外から見えない脚を1本ずつ持ち上げて確かめる

表には6か所を挙げましたが、いちばん残るのは最初の4つです。耳の後ろと内ももは、洗うときに意識されやすいぶん、すすぎ残しとしては減ります。逆に、腹の下と脇は、洗っているあいだ見えていません。見えていない場所には、手が最後まで届いたかどうかを確かめる機会がありません。

もう1つ、共通していることがあります。4か所とも、犬が立っている状態では体の下側か内側にあります。上から湯をかけると、水はこの4か所を通って床へ落ちていきます。通り道になっているということは、最後まで水が動いているということでもあります。動いているうちは、そこにあるものが流れ切ったかどうかを判断できません。

なぜ、下側と内側にばかりすすぎ残しが起きるのですか

理由は3つあります。1つめは、水が上から下へ動くことです。背中に湯をかけると、水は毛の表面を伝って脇腹へ回り、腹の下へ集まって、そこから床へ落ちます。つまり、腹の下は上流のものが全部通る場所です。洗い流したものが最後に集まる場所でもあるので、すすぎ残しがいちばん濃くなります。

2つめは、閉じている場所には水が入れ替わらないことです。脇と内ももは、前脚や後ろ脚と体のあいだが閉じています。外から湯をかけても、外側の毛が濡れるだけで、内側の毛のあいだにある水は動きません。水がその場に留まると、流すのではなく薄めるだけになります。脇を開かずにすすいでいると、いつまでも同じ水がそこにいる、という状態になります。

3つめは、毛が集まっている場所ほど、水が抜けるのに時間がかかることです。尾のつけ根は、体の後ろで毛が集まる場所です。指のあいだも、短い毛が向かい合って生えています。毛が密なところでは、水は毛の表面ではなく、毛と毛のあいだに保たれます。だから、外から見て水が落ちきったように見えても、中にはまだ残っています。

犬の体で、水が最初に抜けるところと最後に抜けるところ 上から湯をかけたときに、水が早く落ちる場所と、最後まで残る場所を左右に並べた対比図です。 犬を立たせた状態で、上から湯をかけた場合 早く抜ける 背中の上側 首の上側 肩から腰にかけて 外もも 尾の先のほう 最後に残る 腹の下 脇の内側 尾のつけ根 指のあいだ 内ももの内側 右側の5か所は、立っているときに下側か内側になる場所です
左右の違いは、体の高さと、毛のあいだが開いているかどうかで決まります。

この3つを合わせると、犬のすすぎ残しの場所は、体つきや毛の種類の前に、「立っている犬に上から水をかける」という条件だけでほぼ決まることが分かります。洗い方が雑だから残るのではありません。水の動き方が、そう決めています。

すすぎ残しがあるかどうかを、どうやって確かめればいいですか

指で確かめます。毛の表面ではなく、根元まで指を入れて、指の腹に何が残るかを見ます。すすぎ切れているところは、指が根元まですっと入って、抜くときも引っかかりません。指の腹は、水だけで濡れています。残っているところは、指の腹にぬるりとした感触が残ります。目で見て判断するのはむずかしいので、確かめる場所を4か所に決めて、指で触るほうが確実です。

  1. 水を止めて、5秒だけ待つ

    流しながら触っても、指に当たっているのが今かけた水なのか、残っていた水なのか分かりません。止めてから触ると、その場に残っているものだけが指に当たります。

  2. 腹の下に、手のひらを差し込む

    犬を立たせたまま、体の下から手を入れます。前脚の後ろから、後ろ脚の前までを一往復。ここが4か所のうちで、いちばん面積が広い場所です。

  3. 前脚を少し外へ開いて、脇に指を入れる

    脇は、脚を体につけたままでは触れません。脚を持ち上げるのではなく、外へ少し開くだけで足ります。持ち上げると嫌がる犬でも、開くだけなら立っていられます。

  4. 尾を持ち上げて、つけ根に指を立てる

    尾のつけ根は毛が集まっているので、指を寝かせると表面しか触れません。指を立てて、根元に届かせます。ここは短い時間で終わらせてください。

  5. 片足ずつ、指のあいだを開く

    後ろ足のほうが忘れられがちです。指を広げると、あいだに水が溜まっているのが分かります。4本ともやると、それだけで1分ほどかかります。

音でも分かります。すすぎ切れているところに湯をかけると、水は毛を伝ってまっすぐ落ちるので、床に当たる音が細くそろいます。残っているところは、毛のあいだで水が広がるので、音が散ります。毎回聞いていると、この差はすぐ分かるようになります。犬を洗っているあいだは手がふさがっているので、音で見当をつけて、最後に指で確かめる、という順にすると早く終わります。

Point確かめる場所を4か所に固定すると、迷う時間が消えます

全身をまんべんなく確かめようとすると、どこまでやったか分からなくなって、結局同じところを何度も触ることになります。腹の下、脇、尾のつけ根、指のあいだ。この順番だけを毎回同じにしてください。順番が固定されていれば、途中で犬が動いても、どこから再開すればよいかがすぐ分かります。すすぎ残しの確認にかかる時間は、慣れると1分ほどです。

流す順番を変えれば、すすぎ残しは減りますか

ほとんど変わりません。下から上へ流しても、水は結局、下へ落ちていくからです。順番を組み替えて、腹の下を最初にすすいだとしても、そのあと背中を流せば、上流の水がまた腹の下を通ります。最後に水が抜けていく場所は、順番では動かせません。ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

変えられるのは、順番ではなく「最後にどこへ手を入れるか」のほうです。すすぎの終わりに、湯をかけながら手を入れる場所を4か所に決めておく。決めておけば、その4か所には必ず手が届きます。決めていないと、そのときの流れで触りやすい場所ばかりを触って終わります。すすぎ残しは、水の問題ではなく、手が最後にどこにあったかの問題です。

順番を変える/最後に手を入れる場所を決める
順番を組み替える最後の場所を決めておく
変えられること水が当たる順序手が最後に届く場所
水の落ち方変わらない。結局は下へ抜ける変わらない
残る場所腹の下・脇・尾のつけ根・指のあいだ同じ4か所。ただし手が入る
犬の負担洗う時間が長くなりがち終わりが決まっているので短い
やり忘れその日の流れで変わる順番が固定なので気づける
家族と分担するとき説明がむずかしい4か所を言うだけで伝わる

この表の最後の行は、実際に効きます。犬を洗う人が日によって変わる家では、「最後に腹の下・脇・尾のつけ根・指のあいだ」と伝えるだけで、すすぎ残しの起きる場所が家族のあいだでそろいます。洗い方の丁寧さを言葉で伝えるのはむずかしいのですが、場所の名前なら伝わります。

もう1つ、順番の話で押さえておきたいことがあります。すすぎに使う湯の量を増やすより、手を入れる時間を増やすほうが早く終わります。湯をかけ続けても、閉じている場所の水は入れ替わりません。脇を開き、指を広げ、尾を持ち上げる。その動作が入って初めて、そこの水が動きます。犬にとっても、長く湯をかけられ続けるより、短く触られるほうが楽なことが多いと思います。

犬の体格や毛の量で、すすぎ残しの場所は変わりますか

場所そのものは変わりません。変わるのは、そこに残る量と、抜けるまでの時間です。体が大きいほど腹の下の面積が広くなり、毛が長いほど水が毛のあいだに保たれます。同じ4か所でも、条件によって手を入れる時間が変わります。

猫の場合も、水が抜ける方向は同じです。ただ、猫は洗う機会そのものが少ないので、すすぎ残しよりも、洗っている時間の長さのほうが先に問題になります。手を入れる場所を決めておく意味は、犬より猫のほうが大きいかもしれません。決めておかないと、確かめているうちに時間だけが延びます。

床の水についても、一言だけ書いておきます。洗い場の床に泡の混じった水が溜まっていると、指のあいだはそこから拾い直します。すすぎの最後に足を確かめる前に、床の水を流しておくと、この一往復が減ります。指のあいだのすすぎ残しは、体からではなく床から来ていることがあります。

すすぎ残しが少しあっても大丈夫ですか

条件で割って答えます。その日のうちに完全に乾いているなら、少量の残りが問題になることはあまりありません。乾ききらないまま時間が過ぎるなら、量が少なくても条件としては悪くなります。大丈夫かどうかは、残った量ではなく、そのあと乾いたかどうかで決まる、という考え方です。

理由は、すすぎ残しがある場所と、乾きにくい場所が同じだからです。腹の下、脇、尾のつけ根、指のあいだ。この4か所は、水が最後に抜ける場所であると同時に、風が最後まで届かない場所でもあります。残っているところが、そのまま乾きにくいところなので、2つの条件が重なります。すすぎ残しの話が乾かし方の話につながるのは、場所が同じだからです。

すすぎ残しを「大丈夫かどうか」で分けるときの条件
条件そのあとどうなりやすいか次に変えること
その日のうちに完全に乾いた残りが少なければ、そのまま落ち着くことが多い変えなくてよい
地肌が湿ったまま寝た湿った時間が長くなる乾かす順番を、残る4か所から始める
同じ場所が毎回残っている手が届いていない場所が固定されているその1か所だけを最後に足す
洗ったあとに気にしているそぶりがある家では原因を1つに決められない回数を変える前に相談する
洗うたびに繰り返している洗い方以外の条件が関わることもある動物病院にご相談ください
赤みやべたつきが続いている家で判断できる範囲を超えている動物病院にご相談ください

表の下2行は、家で切り分けようとしないほうがよい範囲です。地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、フケやべたつきが続いている、においの出方が変わった、耳を振る回数が増えた。こうした変化が洗ったあとに繰り返しているときは、すすぎのやり方を何度も変えて確かめる前に、動物病院にご相談ください。いつから、どこが、どう変わったかと、洗った頻度をメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

Note「すすぎ残しのせい」と決めてしまわないこと

洗ったあとに何かが起きると、すすぎ残しに原因を置きたくなります。確かめやすい心当たりだからです。けれども、洗ったあとの変化には、湯の温度、乾かすまでの時間、その日の室温、洗う間隔など、いくつもの条件が同時に関わっています。1つに決めてしまうと、ほかの条件を見なくなります。家でできるのは、次の1回で条件を1つだけ変えて、違いを見ることまでです。それでも変わらないときは、相談の順番に移ってください。

乾かすときに、すすぎ残しに気づけますか

気づけます。乾きが最後まで残る場所と、すすぎ残しが溜まる場所が同じだからです。風を当てていて、全体が乾いてきたのに1か所だけ湿っているとき、その場所は水の通り道の下流にあたります。腹の下、脇、尾のつけ根、指のあいだ。乾かす側から見ても、同じ4か所が最後に残ります。

確かめ方は、すすぎのときと同じです。毛の表面ではなく、指を根元まで入れて、地肌の側が乾いているかを見ます。毛の先は先に乾くので、表面だけを触ると、乾いたように感じます。乾いたかどうかの判断は、いつも地肌の側でしてください。

乾かす順番については、すすぎとは逆にすると早く終わります。すすぎでは最後に手を入れる4か所を、乾かすときは最初に始めます。残っている場所ほど時間がかかるので、先に始めたほうが全体の終わりが早くなります。犬にとっても、風を当てられている時間そのものが短くなります。

最後に手を入れる4か所を、先に決めておく|犬のすすぎ残しの畳み方

8つの疑問を通して、答えは1つに戻ってきます。すすぎ残しが溜まるのは、水が最後に抜ける場所です。上から流すかぎり、その場所は動きません。動かせるのは、こちらの手が最後にどこにあるか、だけです。だから、洗い方を組み替えるより、最後に手を入れる4か所を先に決めておくほうが確実に効きます。

すすぎの終わりから、乾かし終わりまでの通し
いつどこ何をするか
すすぎの最後腹の下水を止めて、下から手のひらを一往復
すすぎの最後脇前脚を外へ開いて、湯を通す
すすぎの最後尾のつけ根尾を持ち上げ、指を立てて根元まで
すすぎの最後指のあいだ片足ずつ、指を広げる。床の水を先に流す
乾かしはじめ同じ4か所残っている場所から先に風を当てる
乾かし終わり同じ4か所地肌の側が乾いているかを、指で確かめる

この表を1回やると、時間は2分ほど増えます。そのかわり、洗ったあとに「どこか残っていないだろうか」と考える時間がなくなります。確かめた場所が決まっているので、確かめていない場所も決まります。犬のすすぎ残しについて、家でできるのはここまでで、ここまでで足りると思います。毎日のケアと違って、洗う日は月に数回しかありません。その数回で被毛と地肌に何が残るかが決まる、という疑問の畳み方をしておくと、次の1回が短くなります。

すすぎと乾かしの時間がまとめて取れない日は、洗わないという選択もあります。洗い始めてから乾かし終わるまでの時間が確保できないなら、その日は見送るほうが条件としては良いことが多いです。そのうえで、洗うと決めた日の話をします。犬は毛づくろいで毛の表面をなめることはできても、地肌に残ったものを自分で流すことはできません。すすぎは、はじめから人が代わる工程です。泡立ちをよくするいちばん簡単な方法は、洗浄成分を増やすことです。ただ、よく落ちるものほど、落としすぎたぶんを戻す工程があとに要ります。mofuwa モイストシャンプーは逆に、アミノ酸系の洗浄成分を量から抑えて、そのかわり原料の水を電解水にしています。泡立ちを、洗浄成分ではなく水の側で支えている設計です。落としすぎないので洗い上がりがごわつかず、トリートメントの工程が要りません。工程が1つ減ったぶんの時間は、腹の下・脇・尾のつけ根・指のあいだへ回してください。犬のすすぎ残しで動かせるのは、湯の量ではなく、この4か所に手を入れる時間のほうです。

最後にもう一度だけ書いておきます。洗ったあとの変化が繰り返しているときは、すすぎ残しの話として片づけないでください。地肌の赤み、同じ場所をなめ続ける、フケやべたつきが続く、においの出方が変わる。こうした変化が続くときは、洗い方を何度も変えて確かめる前に、動物病院にご相談ください。犬の体で起きていることは、水の抜け方だけでは説明がつかないことがあります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。