C08季節・行事

毛布から抱き上げるたびに逃げられて、抱っこを嫌がる理由がわかった

公開日 2023年2月16日|文=mofuwa編集部

明るいリビングで、淡い色のやわらかい毛布の上に丸くなっている小型犬
同じ抱っこでも、下りてくる場所が毛布の上か床の上かで、その子の反応は分かれていました。写真:https://kaboompics.com//Pexels

毛布の上で丸くなっているところへ手を入れると、指が背中に触れる前に、体を起こして下りていきます。床の上で寝ているときは、同じように手を入れても起きません。うちの子は抱っこを嫌がるようになった、と1か月ほど思っていました。ところが、抱き上げようとした回数と、そのときその子がどこにいたかを1週間書き出したら、内訳がはっきり分かれていました。嫌がっていたのは抱っこではなく、毛布の上からの抱っこでした。気づいたきっかけは、手を入れた瞬間に小さく鳴った音です。

14回のうち9回|毛布の上からの抱っこだけを嫌がった1週間の経験

書き出したのは2つだけです。抱き上げようとした回数と、そのときその子がいた場所。成功したか逃げられたかは、その場で丸と横線をつけました。うまくいかなかった日の気分や、そのときの声のかけ方は書きません。書くことを増やすと、3日で続かなくなります。紙は冷蔵庫の横に貼って、手が空いたときにその場で線を引きました。

1週間で抱き上げようとした14回の、場所ごとの内訳
その子がいた場所試した回数逃げられた回数逃げられた割合
寝床の毛布の上989回中8回
床の上414回中1回
ソファの座面101回中0回

並べてみると、割合が場所ではっきり分かれています。毛布の上では9回のうち8回、床の上では4回のうち1回。同じ夜の、同じ手で、同じ抱き方をしているのにです。抱っこという行為そのものを嫌がっているなら、床の上でも同じだけ逃げられるはずでした。1週間ぶんの内訳を見るまで、この差には気づいていません。数えていなければ、抱っこを嫌がる子になった、で終わっていました。

気づいたのは、8回目のときに鳴った音です。指が背中に届くか届かないかというところで、パチッと小さく鳴りました。こちらの手にも、ほんの少しですが来ています。その瞬間にその子は起き上がって、毛布から下りて、少し離れた床で座り直しました。怒っている様子でも、逃げ切ろうとしている様子でもなく、その場所から離れただけです。

そのあとで床のその子を抱き上げたら、いつもどおり抱かれました。嫌がる対象が抱っこであれば、こうはなりません。2月の夜の、毛布の上という条件がそろったときにだけ起きていたことになります。ここから先は、毛布の上の9回だけを見ていきます。数えるものは最後まで変えません。14回のうち何回逃げられたか、その内訳がどう動いたか、この2つだけです。

手が触れる前にもう起きている|毛布と毛のこすれから見る、抱っこを嫌がる背景

丸くなって寝ている子は、一晩のあいだに何度も向きを変えます。そのたびに、体の下側の毛が毛布の面をこすります。こすれた回数のぶんだけ、毛と毛布のあいだに電気がたまります。2月の部屋はいちばん乾いているので、たまったものが抜けていく先がありません。朝まで乗ったままになります。ここが、抱っこを嫌がる背景の入り口です。

そこへ手が近づきます。人の手はそのとき、床や服やドアノブから別の電気を持っています。差があると、触れる前に空気を飛び越えて流れます。距離でいえば1センチにもならないところですが、その子にとっては、手が体に触れる前に何かが起きたことになります。触られてから痛かったのではありません。手が近づいてきた、その途中で起きています。だから、次に手が近づいた時点で先に動くようになります。

寝床のいちばん上に敷いていたものと、1週間の逃げられた割合
いちばん上の1枚その週に試した回数逃げられた回数
フリースの毛布98
綿のシーツを重ねた週84
綿のシーツ+手を逃がす手順92

毛布の素材で差が出ます。フリースのような化繊の面は、乾いた空気の中でこすれると電気がたまりやすく、綿や麻の面は同じ回数こすれてもたまり方が違います。ただし、ここで毛布を全部入れ替える必要はありません。こすれているのは、その子の体が直接ふれている1枚だけだからです。下に何枚敷いてあっても、関係するのはいちばん上の1枚です。

もうひとつ、その子の側の条件があります。毛が乾ききっているほど、こすれたときに残りやすくなります。冬はシャンプーの間隔があくうえに、洗った日はドライヤーで根元まで乾かします。乾かしきった夜の翌日は、逃げられた回数が2回ぶん上がりました。タオルで水気を取ったあと、完全に乾かしきる手前で止めた夜のほうが、翌日の数字は低く出ています。乾かす手順のどこで止めるかが、翌日の抱っこに出ていたということです。

こう並べると、その子が積んできた経験の中身が見えてきます。毛布の上で手が近づく、痛い、下りる。9回のうち8回で同じことが起きていれば、手が近づいた時点で動くほうが早い、とその子が決めるのは自然です。抱っこを嫌がるようになったのではなく、毛布の上で手が近づく場面を覚えたということです。覚えたものは、条件のほうを変えれば、また別のもので上書きできます。

素材・順番・向きを入れ替える|毛布からの抱っこに出せる変化

変えられるのは4つです。いちばん上の1枚、手を近づける前の順番、体の下側の毛、そして抱き上げる向き。4つとも同じ夜に変えると、何が効いたのか分からなくなるので、3日ずつずらして入れました。

  1. 1|寝床のいちばん上の1枚だけを、綿のものに替える

    下に敷いてあるマットやクッションはそのままにします。替えるのは、その子の体が直接ふれる1枚だけです。洗い替えも同じ素材で用意しておくと、洗濯した日に元の毛布へ戻って、数字が跳ねることがなくなります。ここだけで、9回中8回が8回中4回まで下がりました。

  2. 2|手を伸ばす前に、木の家具かドア枠へ手のひらを3秒あてる

    その子のいる部屋に入ってからやります。廊下で逃がしても、部屋を歩くあいだにまた乗ります。金属のドアノブでもいいのですが、触れた瞬間に人の側で音が鳴るので、その音自体をその子が覚えてしまいます。木の面か、塗装された壁が静かです。3秒で足ります。

  3. 3|毛布にふれている体の下側と脇に、毎日入れておく

    背中ではなく、下側です。毛布とこすれているのは、脇の下からお腹にかけての面と、うしろ足のつけ根のあたりになります。手のひらに出して両手で広げ、その子が立っているときに下から入れます。寝ているところを触らずに済むので、この手順だけは抱っこと切り離して回せます。

  4. 4|上からではなく、横から体の下へ手を入れる

    上から背中へ下ろす動きは、手のひらの面がいちばん先にその子へ近づきます。横から入れると、最初に近づくのは手の甲の側です。同じ距離でも、近づき方が変わると、その子が先に動くかどうかが変わりました。2週目の後半から、この向きに固定しています。

3つ目で使っているのが、mofuwaグルーミングスプレーです。この1本をここに置いたのは、毛布にふれている面が、毎日ふれているからです。週に1度なにかをする場所ではありません。毎晩こすれて、朝までそのままになっている面です。シャンプーは冬のあいだ間隔があきますし、洗えば乾かす手順もついてきます。毎日の側に置けるのは、手のひらに出して入れるだけで終わるものになります。

入れる面が、脇の下からお腹にかけてであることも関係します。その子が自分で口を届かせる場所なので、量を加減しながら使うと、いちばんこすれている真ん中の面まで届きません。グルーミングスプレーの中身は電解水で、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分だけでできています。だから面の広さのほうに合わせて使えます。毛の上に霧を乗せるだけでは足りないので、両手で広げてから、毛の流れに逆らわずに押し当てます。

洗った日の扱いも変えました。ドライヤーで根元まで乾かしきったあとに、この1本を体の下側へ入れてから寝床へ戻します。タオルで水気を取る、ドライヤーで乾かす、最後に下側へ入れる、という手順です。乾かしきることをやめたのではなく、乾かしきったあとに1手足しています。この形にしてから、洗った翌日に数字が上がることがなくなりました。

ここまでやっても、逃げられる回数が減らない場合があります。毛布の上だけでなく床の上でも同じだけ逃げられるようになってきた、抱き上げた瞬間に声が出る、体をひねって特定の場所をかばう、抱っこを嫌がるだけでなく、なでる手にも同じ反応が出る。こうなると、条件の話では届きません。場所の内訳を書いた紙を持って、動物病院で体のほうを調べてもらう日を決めてください。どの場所からの抱っこで、いつから割合が変わったのかが、紙1枚でそのまま伝わります。痛いところがあって動いていたのなら、毛布を替えても数字は動きません。

逃げられた回数を数え直した夜|毛布と抱っこの考え方を、その子の側から組み直す

3週目の紙を見ると、14回のうち逃げられたのは3回でした。内訳は毛布の上で2回、床の上で1回です。場所による差が、ほとんど消えています。抱っこの仕方も、声のかけ方も、1週目と変えていません。変えたのは、いちばん上の1枚と、手を伸ばす前の3秒と、体の下側に入れておくことと、手を入れる向きの4つだけです。

3週間で、逃げられた回数と場所の内訳がどう動いたか
週試した回数逃げられた回数うち毛布の上その週に入れたこと
1週目1498数えただけ
2週目1354いちばん上の1枚/手を逃がす3秒
3週目1432体の下側へ毎日/横から入れる

この記録で分かったのは、数字そのものより、その子の反応を場所ごとに分けて見ると、理由が残っているうちに手が届くということです。抱っこを嫌がる、という一言でまとめてしまうと、変えられるものが性格の話になってしまいます。場所と回数で分けておけば、変えられるのは毛布の素材と、手の順番と、毛の状態だと分かります。どれも今日から替えられるものばかりです。

来年の2月にも、同じことが起きます。乾く時期は毎年来ますし、そのころには寝床も新しい毛布に替わっているはずです。紙は捨てずに残しておいてください。去年の内訳があれば、逃げられはじめてから数え直すのではなく、乾きはじめた週に、いちばん上の1枚と手順のほうを先に戻せます。この記録が効いてくるのは、じつは2年目からです。

今夜のぶんは、寝床のいちばん上の1枚が何でできているかを確かめることと、その子が立っているときに体の下側へ入れておくことの2つで足ります。抱き上げるのは、そのあとです。部屋に入ったら、まず木の面に手のひらを3秒。順番はそれだけです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。