C12Q&A・豆知識
洗ったのにすぐ臭うのはなぜ?
洗って、乾かして、その日の夜に抱き上げたらもうにおいがした。犬を洗った日ほど、この落差が大きく感じられます。洗っても臭いと感じるとき、においの出どころは、体そのものよりも、体が触れているもののほうに残っていることがあります。寝床の布、首輪、ハーネス。洗ったのは体だけで、この3つはたいてい洗われていません。洗った体が、洗っていないものに触れる。だから、洗った直後というのは、家の中でいちばん移りやすい時間になります。この記事では、洗っても臭いと感じる理由を「洗った直後」という条件から見て、体を洗った日に何を一緒に替えるかを、8つの問答に分けて書きます。犬でも猫でも、考え方は同じです。
洗ったのに、犬が洗っても臭いと感じるのはなぜですか
短い答えから書きます。洗ったのにすぐ臭うときは、体ではなく、体が戻っていく先が洗われていないことが多いです。寝床に敷いてある布、首輪、ハーネス、抱っこするときのクッション、いつも座るソファの一角。洗ったのは犬の体だけで、体が一日のうちいちばん長く触れているものは、洗う前のまま置かれています。
においが体から出ているのは確かです。皮脂が出るのは体の側なので、そこは変わりません。ただ、出たにおいの元は体にとどまらず、触れているものへ移って、そこに溜まっていきます。布は、繊維のあいだに入ったものを抱えます。抱えたものは、次にその布に触れたときに、また体の側へ戻ってきます。洗っても臭いという感覚は、この行き来のうち「戻ってきた側」を見ているときに起きます。
だから、洗っても臭いときにまずやることは、体をもう一度洗うことではありません。その子が洗ったあと最初に触れたものを、思い出すことです。タオルで拭いたあと、どこに座りましたか。どの布の上で寝ましたか。首輪は、洗う前に外したものをそのまま着け直しましたか。ここで1つでも思い当たるものがあれば、そこが今日の出どころです。
洗っても臭いと感じるまでの時間は、家によって違います。数時間のこともあれば、翌朝のこともあります。この記事で見ているのは、時間の長さではなく「洗った直後」という条件のほうです。洗った直後は、体と持ち物のあいだで、ふだんとは違うことが起きています。そこを先に見ると、時間を測らなくても場所が絞れます。
洗った直後だけ、体と持ち物のきれいさが入れ替わっています
ここが、この記事でいちばん書きたいところです。ふだん、においの元を多く持っているのは体の側です。皮脂が出るのは体なので、当たり前のことです。寝床の布や首輪は、その体から移ってきたものを受け取っている側で、いつも体より少し遅れています。
ところが、洗った直後だけは、この関係がひっくり返ります。体は、その週でいちばん少ない状態になります。布と首輪は、洗う前のまま何も変わっていません。つまり、洗った直後というのは、体の側と持ち物の側の差が1週間でいちばん大きくなっている瞬間です。そして、その瞬間にこの2つが触れ合います。
この見方をすると、洗っても臭いという感覚のつじつまが合ってきます。洗った日は、鼻の側の基準も下がっています。洗い上がりのにおいを覚えた直後なので、少し戻っただけで大きく戻ったように感じます。実際に移った量が多いのではなく、比べている相手が変わっている、というだけのこともあります。
ただ、感じ方の話だけで終わらせないほうがいいのは、洗った直後の体は、乾ききるまでのあいだ、布に触れている時間が長いからです。乾かし終えて、そのまま寝床へ行く。ここで数時間、洗っていない布と接しています。犬が洗っても臭いと感じるときに、時間を測るより先に布を見たほうが早いのは、このためです。
犬が洗っても臭いとき、体より先に替えるものはどれですか
3つあります。寝床の布、首輪、ハーネスです。この3つは、触れている時間が長いのに、洗う機会がいちばん少ない、という共通点を持っています。順番をつけるなら、替えるのが簡単な順に、布、首輪、ハーネスです。
| もの | 1日に触れている時間 | 洗う機会 | 洗った日にどうするか |
|---|---|---|---|
| 寝床の布 | 半日以上 | 気づいたとき | 上の1枚を替える |
| 首輪 | ほぼ一日中 | ほとんどない | 予備と入れ替える |
| ハーネス | 散歩のあいだ | ほとんどない | 洗って完全に乾かす |
| 服 | 着せている日だけ | 洗濯物と一緒 | その日は着せない |
| ソファの一角 | 座っている時間 | カバーを外したとき | 布を1枚かける |
| 車のシート | 乗った時間 | ほぼない | 敷いた布だけ替える |
この表で見てほしいのは、右の2列の関係です。触れている時間が長いものほど、洗う機会が少なくなっています。寝床の布は半日以上そこにあるのに、洗うのは気づいたときだけ。首輪はほぼ一日中着いているのに、洗うという発想がそもそも出てきません。犬が洗っても臭いと感じるときに疑う順番は、この2列の掛け算で決まります。
猫の場合は、ここに寝る場所の数が加わります。犬より寝床が分散しているので、替える布が1枚では足りないことがあります。よく寝ている上位2か所だけを決めて、そこに敷いた布を替える。全部を追いかけると続かないので、数を絞ってください。
首輪とハーネスが、洗っても臭いの出どころとして残りやすいのはなぜですか
理由は4つあり、どれも構造の話です。首輪とハーネスは、においの元が溜まる条件を、ひととおり満たしています。
- 触れている時間がいちばん長い:外すのは洗うときくらいで、あとは着けたままです
- 皮脂が多い場所に当たっている:首のまわりと胸は皮脂が出やすく、しかもその子が自分で口の届かない場所です
- 乾きにくい形をしている:厚いテープ、重なった縫い目、金具のまわり。湿りが最後まで残ります
- 洗う習慣がない:素材が濡れてよいものかどうかも、たいてい確かめないまま使っています
この4つ目が効いてきます。洗う日に外した首輪を、洗い終わった体にそのまま着け直している。これが、洗っても臭いという状態のいちばん短い経路です。外した首輪は、洗う前の体に一日中当たっていたものです。それを、その週でいちばんきれいな状態の首に戻していることになります。
布の中で何が起きているかも、少しだけ書いておきます。繊維のあいだに入った皮脂は、時間がたつと性質が変わり、においが立ちやすくなるとされています。そこに湿りが加わると、においの元になるものが増えやすい状態が続きます。雑菌という言い方をされるのは、この部分です。だから、洗ったあとに完全に乾かさないまま戻すと、替えた意味が薄くなります。
洗って乾かすには、厚みのあるものだと1日近くかかります。そのあいだ首輪がない、という状態は作りにくいので、結局あと回しになります。予備をもう1本用意して、洗った日に入れ替える形にすると、乾く時間を待たずに済みます。入れ替えた古いほうを、次の洗う日までに乾かしておけばよいので、手が空いている日に回せます。犬が洗っても臭いと感じる家では、この予備の1本がいちばん手間を減らしてくれます。
体を洗った日に、布はどこまで替えればいいのですか
全部替える必要はありません。替えるのは、体が直接触れる上の1枚だけで足ります。寝床そのもの、クッションの中身、ベッドの土台までは動かさなくてかまいません。上の1枚を替えるだけで、洗った直後の体が最初に触れる面が変わります。
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洗いはじめる前に、替えの布を出しておく
ここが順番のすべてです。洗い終わってから探すと、その日は替えません。洗ったあとは、乾かして、片づけて、人のほうも疲れています。替えの布を先に寝床の横へ置いておくと、迷う場所がなくなります。
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首輪を外したら、そのまま洗い場に置かない
外した首輪を洗い場の縁に置くと、そのあと必ず着け直すことになります。外した首輪は、洗濯機のそばか、予備と並べた場所へ運びます。置き場所を体から離すだけで、そのまま戻すことがなくなります。
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乾かし終えるまで、寝床に行かせない
乾ききっていない体で布に触れると、湿りごと移ります。地肌まで乾いたかどうかを、毛をかき分けて指で確かめてください。乾かすあいだの居場所を1か所決めておくと、この待ち時間が短く感じられます。
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替えた布は、次に洗う日までにもう一度替える
洗う日に替えるだけだと、間隔が空きすぎることがあります。犬が洗っても臭いと感じる家では、洗う日と、その中間の日の2回にすると落ち着くことが多いです。回数は、においが気になるまでの日数から決めてください。
ハーネスは、洗える素材かどうかを先に確かめます。洗えるものなら、洗ったあと完全に乾くまで着けないことが条件になります。金具のまわりと、重なった部分が最後まで湿っています。触って冷たいところが残っているうちは、まだ乾いていません。乾かす場所は、風が通って、日が直接当たらないところが向いています。
洗った日にここまでやると、次の日から比べる材料が1つ増えます。布を替えた週と、替えなかった週で、においが気になるまでの日数を数えてみてください。数えるのは日数だけで足ります。差が出るなら、出どころは布の側にありました。差が出ないなら、次のセクションに書く別の道を見ることになります。
布を替えても洗っても臭いが戻るとき、ほかにどんな道が残っていますか
布を替えても変わらないときは、体が触れている面がほかにあります。よく残っているのは、次の4つです。どれも、掃除の対象として意識されにくい場所です。
| 場所 | 何が溜まるか | 手の入れ方 |
|---|---|---|
| 食器のふちと底 | 口のまわりの皮脂と、食べ物の油分 | 毎日、湯で洗って乾かす |
| 水の器 | 口をつけた面に、ぬめりが残る | 水を替えるときに器も替える |
| 寝床のまわりの床1メートル | 落ちた毛と、そこに付いていた皮脂 | 拭き取りを、寝床の周囲から始める |
| 口のまわりと尾のつけ根 | 洗った日でも、拭き取りだけで済ませがちな場所 | 毛をかき分けて、根元まで届かせる |
食器は、見落とされる代表です。口が毎日いちばん長く触れているものは、寝床の布ではなく食器です。ふちの内側と底に薄く残った油分は、洗剤をつけずにすすぐだけでは落ちきらないことがあります。犬が洗っても臭いと感じていて、においが口のまわりから出ているように思うときは、食器の側を先に見てください。
換気も、道の1つとして書いておきます。においの元が空気に出たあと、逃げる先がないと、部屋のほかの布に移ります。カーテン、ラグ、ソファ。窓を2か所開けて空気の通り道を作ると、布に移る前に出ていくぶんが増えます。ただし、換気そのものがにおいの元をなくすわけではありません。減らせるのは、次の布へ移るぶんだけです。
洗っても臭いという状態で、香りのあるものを足すと、その場では分かりにくくなります。ただ、出どころは動いていません。この記事では、消臭で解決するとは書きません。先にやるのは、体が触れている面を1つずつ替えることです。替えても戻るなら、出どころは面ではなく体の側にあるという材料になります。順番を守ると、この切り分けが手元に残ります。
洗う回数を増やす前に、体の側でできることはありますか
洗っても臭いと感じると、洗う回数を増やしたくなります。ただ、洗う回数を増やすと、そのぶん乾かす回数も増えます。乾ききらないまま寝床へ行く日が増えると、かえって布の側の条件が悪くなります。増やすなら、洗う回数ではなく布を替える回数のほうが先です。
| いつ | 体の側でやること | 布の側でやること |
|---|---|---|
| 洗う日 | 地肌まで乾かしきる | 上の1枚と首輪を替える |
| 洗った翌日 | 毛の流れに沿って一往復 | ハーネスを乾かし終える |
| ふだんの日 | 気になる場所だけ拭き取る | 食器を湯で洗って乾かす |
| 次の洗う日の前日 | 触って湿りが残る場所を探す | 布をもう一度替える |
ふだんの日に体の側でできるのは、拭き取りと、被毛を整えることです。固く絞った布で、毛をかき分けて根元に向けてなでます。口のまわりと尾のつけ根は、拭き取りで済ませたつもりになりやすい場所なので、ここだけは面を替えながら2回通してください。
洗う日のほうは、その子が自分では代われません。毛づくろいで動かせるのは表面の毛までで、地肌に残った皮脂は、舐めても離れない場所にあります。洗っても臭いと感じる家が最後に触るのは、この層です。
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この記事で見てきたのは、洗った直後の体が、洗っていない布に触れるまでの数時間でした。工程が1つ減れば、その数時間のうち、地肌まで乾かすほうに回せる時間が増えます。乾ききってから寝床へ行けたかどうかは、その日のうちに残せる差としていちばん大きいところです。犬でも猫でも、ここは同じです。
洗う日の中身を変えても、布の側は替わりません。洗っても臭いという状態を動かすのは、体に何を足すかではなく、体が触れる面を替えたかどうかです。順番としては、布が先です。体の側は、そのあいだをつなぎます。
猫の場合は、洗う回数を増やす方向そのものが向きません。水を使う回数を増やさずに、寝ている場所の布を替える。猫が洗っても臭いと感じる家では、こちらの側だけで動かせる幅がかなりあります。よく寝ている2か所を決めて、そこの布を週に1回替えるところから始めてください。
洗っても臭いが続くときの見分け方
最後に、切り分けの形にして置きます。布を替えても、食器を替えても、洗っても臭いままのときは、体の側で何かが変わっている可能性があります。ここから先は、家で判断する場所ではありません。見分けるための材料だけを持って、動物病院にご相談ください。
| 確かめたこと | 変わった | 変わらなかった |
|---|---|---|
| 寝床の上の1枚を替えた | 出どころは布の側でした | 次へ進みます |
| 首輪とハーネスを入れ替えた | 出どころは首まわりでした | 次へ進みます |
| 食器と水の器を毎日洗った | 出どころは口のまわりでした | 次へ進みます |
| 全部替えても戻る | — | 体の側で何かが変わっています |
とくに、においが体の1か所だけから出ているときは、早めに相談したほうが早く終わります。耳、口のまわり、指のあいだ、尾のつけ根。全身ではなく、そこだけ嗅ぐと分かる、という状態です。全体がうっすらにおうのと、1か所が強くにおうのでは、見るところが変わります。
布を替えても、食器を洗っても、犬が洗っても臭い状態が繰り返されるとき。あるいは、地肌が赤い、フケが増えた、同じ場所をなめ続けている、耳を振る回数が増えた、体をこすりつけるようになった、においの種類が今までと違う。こうした変化があるときは、洗い方や洗う回数を変える前に動物病院にご相談ください。洗う回数を増やして様子を見る期間が長くなるほど、いつから変わったのかが分からなくなります。いつから、どこが、どんなにおいかを書いて持っていくのがいちばん早い方法です。
記録は、日数と場所の2つで足ります。洗った日から、においが気になるまで何日か。そして、いちばん強いのはどこか。この2つを書き留めて持っていくと、その場で切り分けてもらえます。においは診察室で再現できないので、家で数えた数字がそのまま材料になります。
家で続ける形は、3つだけにしておきます。洗った日は地肌まで乾かしきる。寝床の上の1枚を替える。食器と水の器を湯で洗う。この3つだけで足ります。においが気になるまでの日数を数えていると、季節が変わったときに、その子の日数が何日ぶん動いたかが先に分かります。数えた日数は、洗い方を変えるかどうかを決めるときに、いちばん確かな材料になります。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
