C09シーン別・暮らし

サロン通いをしている人がドッグカフェで困ること、その手当て

公開日 2023年4月29日|文=mofuwa編集部

明るいカフェの木のテーブルのそばに、白い小さな犬が落ち着いて座っている
席にいる60分から90分で崩れるのは、汚れではなく、床に接していた面の毛の向きです。写真:SLZ/Pexels

ドッグカフェの席についてから会計を済ませるまで、その子の体はほとんど床の上にあります。入口から席まで歩くのは20歩ほど。あとの60分から90分は、同じ向きで伏せたままです。テーブルの上では話が進んでいて、こちらが足元を見るのは、飲み物が運ばれてくるときくらいでしょうか。サロンでトリミングを終えた数日後にドッグカフェへ行くと、帰宅して抱き上げたときに崩れているのは、汚れではなく毛の向きのほうです。胸から腹、肘、後ろ脚の内側、尾のつけ根。床に当たっていた面だけが寝ていて、反対側はきれいにそろったまま残っています。サロン通いをしている人にとって、ドッグカフェは整えてもらった状態を人に見せられる、数少ない場所です。同時に、その状態がいちばん短い時間で崩れる場所でもあります。この記事は、トリミングの予約日をカフェの前と後のどちらに置くか、席で何をして何をしないか、帰ってからどこを戻すか。この3つを7つの問いに分けて答えます。

サロンから帰った翌日にドッグカフェ、という順番で大丈夫ですか

大丈夫です。ただし、その日の夜に戻す面が決まっている、という条件がつきます。トリミングを終えた直後の被毛は、毛の流れが一方向にそろっていて、根元が起きています。ドッグカフェで崩れるのは、この2つだけです。毛が抜けるわけでも、切られた長さが変わるわけでもありません。整えてもらったばかりの状態を人に見せたいなら、翌日に行って構いません。

崩れる場所は、毎回ほとんど同じところです。胸から腹、肘、後ろ脚の内側、尾のつけ根。この面に、60分から90分のあいだ体重と体温が乗り続けます。サロンで起こしてもらった根元が、その面だけ寝ます。店を出て歩きだすと、寝た面と立ったままの面のあいだに、うっすらと段ができているのが分かります。

サロン通いをしている人が本当に決めているのは、4〜6週間の周期のうち、どこでこの面を崩すかです。予約の直後に崩すのか、まんなかで崩すのか、次の予約の直前で崩すのか。3つとも成立します。違うのは、そのあとに家でやる作業の量のほうです。

トリミングの予約と、ドッグカフェの日の並べ方
カフェを置く場所その日の見え方帰ってからやること
トリミングの翌日〜3日後毛の流れがそろっていて、いちばん整って見えるその夜に、接していた面だけ向きを戻す
予約と予約のまんなか(2〜3週目)全体はそろっているが、毛先が動きはじめているその夜に向きを戻し、翌朝もう一度手を入れる
次の予約の3日前まで毛が伸びていて、崩れても目立ちにくい戻す作業は最小限でよい。予約日まで持たせる

どれを選んでも間違いではありません。判断の材料になるのは、その日に写真を撮る予定があるか、誰と会うか、次の予約まで何日あるか、の3つです。整えた状態を見せるためにドッグカフェへ行くなら、翌日でいい。そのかわり、帰った夜の10分を先に空けておいてください。

Note崩れる量ではなく、崩れたまま置く時間を見ています

接した面の毛が寝ること自体は、どの日に行っても起こります。トリミングの持ちで差がつくのは、寝たまま何日置いたかのほうです。寝た毛は、そのまま乾いて時間がたつと形が固定されます。固定されてから手を入れると、毛の流れをそろえ直すのに何倍も時間がかかります。ドッグカフェの日は、行く日を選ぶより、帰った日の夜を空けておくほうが効きます。

ドッグカフェとは、犬の体にとってどういう時間のことですか

ドッグカフェとは、犬を連れて入れる飲食のお店のことです。人の側から見れば、食事と会話の時間です。犬の体の側から見ると、1日のなかでいちばん長く、同じ姿勢で床や布に接している時間になります。散歩でも寝ているあいだでも、これほど長く同じ面が押され続けることは、あまりありません。

時間を分けてみます。入口から席まで20歩、席から出口まで20歩。歩いているのは合計で2〜3分です。残りの60分から90分は、伏せているか、座っているか、抱かれているか。どれであっても、体のどこか一面が何かに接し続けています。ドッグカフェで起きているのは、この一点に尽きます。

5つ並べましたが、サロン通いをしている人にとって重いのは、1つめと4つめです。砂やほこりは払えば落ちます。向きの崩れと段は、払っても落ちません。「帰ってきたら汚れている」という感覚と、実際に起きていることが少しずれるのは、このためです。ドッグカフェのあとに気になるのは汚れの量ではなく、トリミングで作ってもらった形が読めなくなることのほうだと思います。

もうひとつ、日ごろの毎日のケアと違う点があります。家では、寝る場所も体の向きも、その子が自分で選んでいます。ドッグカフェでは、テーブルの位置と椅子の位置で、伏せる場所がほとんど決まってしまいます。選べないぶん、同じ面が押され続けます。次の問いは、そこをどこまで動かせるかの話になります。

席のどこに伏せさせるかで、トリミングの持ちは変わりますか

変わります。ただし、変わるのは崩れる量ではなく、帰ってから戻すのにかかる時間のほうです。同じ90分でも、接している相手が板張りの床なのか、起毛したブランケットなのかで、毛の戻り方がまったく違います。テーブルに案内されたら、座る前にここだけ決めてください。

伏せる場所ごとに、接する面と戻しやすさがどう変わるか
伏せる場所接するもの毛の向きに起きること帰ってからの戻しやすさ
店の床に直接板張りやタイル。温度が低い接した面が平らに寝る。湿りは残りにくい戻しやすい。手のひらでなでてからブラシを通す
持参した平織りのマット自宅で使っているものと同じ布寝る向きが毎回同じになるので、崩れ方が読めるいちばん戻しやすい
起毛したマットやブランケット細かい繊維が毛のあいだに入る毛先が繊維に絡み、寝るより逆立つ方向へ動く戻しにくい。翌朝にもう一度手が要る
布張りの椅子の座面他のお客さんも使う面座面の縫い目に沿って毛が折れる折れた線が残り、そろえ直すのに時間がかかる
ずっと抱いたまま飼い主の服服の織りに合わせて毛の向きが動く服の素材しだい。ニットだと絡む

表を見ると、持参した平織りのマットが1枚あるだけで、条件がそろうのが分かります。毎回同じ布に伏せていれば、崩れる向きも毎回同じです。向きが同じなら、帰ってから戻す手も同じ順番で済みます。サロン通いをしている人が用意しておく価値があるのは、この1枚だと思います。薄手で、洗って乾きやすいものを選んでください。

席の位置も少しだけ関係します。通路側は人が通るたびに立ち上がるので、同じ面が押され続けません。そのかわり落ち着きません。壁側は落ち着きますが、90分ずっと同じ面が下になります。どちらを選んでも、30分に一度だけ体の向きを変えれば条件はそろいます。席そのものより、向きを変える回数のほうが効きます。

Pointマットは、家で使っているものをそのまま持って行く

カフェ用に新しい布をおろすと、その日だけ被毛が知らない繊維に触れることになります。家の寝床で毎日使っている布を、洗って持って行くほうが条件が少なくなります。店で広げるときは、テーブルの脚から少し離して、その子が向きを変えられるだけの幅を作ってください。幅がないと、こちらが向きを変えたくても動かせません。

1回のドッグカフェは、何分くらいまでにしておくものですか

60分をひとつの目安にしてください。トリミングの持ちという一点だけで見ると、60分を境に戻す手間がはっきり増えます。60分までは、接した面の毛は寝ているだけです。90分を超えたあたりから、寝ているというより折れている状態に変わります。折れた毛は、手のひらでなでても向きが戻りません。

  1. 入店から30分で、一度立たせる

    水を頼むついでで構いません。立たせて2〜3歩歩かせ、伏せ直させると、接する面が入れ替わります。この1回で、90分ぶんの押しつけが2つに分かれます。席を離れる必要はありません。テーブルのそばで立たせるだけで足ります。

  2. 60分を1回の目安にして、時計を見る

    会話が続いていると、60分はあっという間に過ぎます。注文したときに時刻を1回だけ確認しておくと、判断できます。60分でお会計に向かえば、その日に家でやることは接していた面を1回なでるだけで済みます。

  3. 90分を超えるときは、途中で外の空気に2分出る

    長くなりそうなときは、いったん外へ出てください。歩かせるのが目的ではなく、接している面をいったん空気にさらすのが目的です。こもっていた湿り気が抜けるだけで、帰ってからの戻り方が変わります。2分で足ります。

  4. 帰りは、席を立ってから玄関までを1つの工程として考える

    会計から車、車から玄関までのあいだも、抱いていれば服に接しています。ここまでを「まだカフェの続き」と考えてください。玄関に着いた時点でようやく、接していた時間が終わります。手を入れるのは、そこからです。

時間の話をもうひとつ。ドッグカフェは、行った回数が増えるほど滞在が長くなりがちです。慣れてくると、こちらが席で落ち着いてしまうからです。3回目以降は、行く前に「今日は何分で出る」と決めておくほうがうまくいきます。被毛の側から見れば、時間だけが変数です。

席のあいだ、飼い主は何もしなくていいのか、という疑問が残ります

席で道具を出す必要はありません。飲食のお店なので、ブラシもスプレーもテーブルの上には出さない、という線を先に引いておきます。そのうえで、手ぶらでできることが2つだけあります。どちらも、こちらの手のひらで完結します。

手のひらでなでる、というのがいちばん効きます。寝はじめの毛は、まだ根元が起き上がる力を残しています。流れに沿って2〜3回なでるだけで、そのときは戻ります。戻らなくなるのは、寝たまま湿り気が抜けて形が固定されたあとです。だから席では、道具ではなく回数のほうを増やしてください。

もう一点、席で気になりやすいのが抜け毛です。整えてもらった直後ほど、抜け落ちる毛は少なくなっています。トリミングの工程で、抜けかけていた毛はすでに外へ出ているからです。予約の直後にドッグカフェへ行くと、他人の側の問題になりにくいという利点は、ここにあります。逆に次の予約の直前は、マットを敷いておくと落ちた毛をそのまま持ち帰れます。

Point席でやることを2つに減らすと、こちらも落ち着きます

向きを変える、手のひらでなでる。この2つだけと決めておくと、足元を何度も気にせずに済みます。気にする回数が減ると、その子が立ち上がる回数も減ります。結果として、接する面の入れ替わりをこちらの側でコントロールできるようになります。ドッグカフェで飼い主にできる仕事は、この2つでほぼ足ります。

玄関で最初に触るのは、足ですか、それとも伏せていた面ですか

伏せていた面が先です。足は目に見えて汚れているので、どうしても先に手が出ます。けれどトリミングの持ちという観点では、順番が逆になります。足についたものは乾けば落ちるものが多く、あとからでも間に合います。接していた面の毛は、湿り気が抜けるまでのあいだに向きが決まってしまいます。

  1. 玄関で、接していた面を手のひらでなでる

    胸から腹、肘、後ろ脚の内側、尾のつけ根。毛の流れに沿って、上から下へ2〜3回。道具はまだ使いません。ここでやりたいのは、寝た毛を起こすことではなく、こもっていた湿り気を逃がすことです。30秒で終わります。

  2. 次に足へ移る

    指のあいだと肉球のまわり。店の床を歩いた距離は短いので、大量についているわけではありません。強くこすらず、押さえて拭うほうが被毛が乱れません。ここまでで、玄関での作業は終わりです。

  3. 顔まわりは最後に、必要があれば

    口のまわりに水や食べ物がついていれば拭きます。ついていなければ触りません。触る場所を増やすほど、整えてもらった形は動きます。迷ったら触らないほうを選んでください。

  4. その夜、ブラシを入れるのは接していた面だけ

    全身を通す必要はありません。崩れているのは片側だけだからです。寝ている面に、毛の流れに沿ってブラシを通し、境目の段をなくす。ここで10分使えば、次の予約日まで形が持ちます。反対側は、次の毎日のケアのときで足ります。

この順番にする理由をもう一度書いておきます。足の汚れは量の問題で、時間がたっても量は増えません。接していた面の崩れは時間の問題で、放っておくほど戻しにくくなります。先にやるべきは、時間で悪くなるほうです。玄関で30秒だけ順番を入れ替えれば済みます。

ブラシを通す前に、mofuwaのグルーミングスプレーを布に含ませて、接していた面をなでます。乾いた毛にそのままブラシを入れると、寝ている毛が引っかかって切れることがあるためです。ここでやっているのは、ブラシの通り道の滑りをそろえることです。吹きかけて、そのまま梳かすところまでで終わる道具なので、玄関で使える30秒のなかに収まります。すすぎや拭き取りの工程が挟まると、この30秒には入りません。胸から腹、肘、後ろ脚の内側。接していた面は、帰ってからその子が自分でなめにいく場所でもあります。なめても差し支えない成分でつくられているので、布が湿るまでの量をそのまま使えます。

ドッグカフェのたびに洗い直すべきか、そこがいちばん知りたいところです

洗い直さなくて構いません。この記事のなかで、やらなくてよいことはここです。ドッグカフェから帰るたびにシャンプーをしていると、トリミングの周期のほうが先に崩れます。理由を3つに分けて書きます。

サロンでは、洗う・乾かす・整えるの3つを一度に済ませてもらっています。家でその3つをまるごと再現しようとすると、どうしても仕上がりが変わります。家でやるのは3つめの「整える」だけでいい、と割り切ると、次の予約までの4〜6週間が楽になります。洗うのはサロンにまかせる、というのが、この持ち方のいちばん素直な形です。

家でやる「整える」に要る道具は、2つで足ります。布1枚と、グルーミングスプレー1本。布に含ませて、接していた面をなでてからブラシを通す。犬は体から脂を出すので、サロンで仕上げてもらった翌日から、また表面が動きはじめます。4〜6週間を仕上げの1日だけで持たせることはできません。毎日きれいにしておきたいという前提で道具を選ぶと、この2つに落ち着きます。吹きかけて梳かすだけの手順なので、ドッグカフェへ行った日にだけ特別な工程を足さずに済みます。

Caution被毛の崩れとして説明がつかない変化は、動物病院にご相談ください

接していた面が赤い、ぶつぶつしている、いつもより熱を持っている、においが強い。カフェへ行っていない日にも同じ場所を気にしてなめている。ブラシを入れると痛がる。こうした変化は、床に接していた時間では説明がつきません。皮膚の側に理由があることもあります。毛の流れをそろえる回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。次のトリミングまで待たずに、早いほうを選んでください。

予約日からカフェの翌朝まで|ドッグカフェとトリミングを1本の線に並べ直す

7つの問いに答えてきました。最後に、時間の順に並べ直します。やることが増えたように見えて、実際に手が動く時間は合計で15分ほどです。そのうち10分は、帰った夜のブラッシングに使います。

サロンの予約日から、ドッグカフェの翌朝までの通し
いつやることかかる時間
トリミングの予約を入れるときカフェの日を、予約の直後・まんなか・直前のどこに置くか決める1分
カフェへ行く日の朝平織りのマットを1枚、洗ってかばんに入れる1分
席に着いたときマットを広げ、向きを変えられる幅を作る。時刻を確認する1分
入店から30分立たせて、伏せる向きを変える1分
60分会計に向かう。90分を超えるなら途中で2分だけ外へ出る—
玄関に入った直後接していた面を手のひらでなでる。次に足、最後に顔まわり1分
その夜接していた面だけにブラシを通し、境目の段をなくす10分
翌朝段が残っていないか、手のひらで1回だけ確かめる30秒

この表の中で、削れないのは「その夜の10分」だけです。ほかは飛ばしても、次の予約までは持ちます。逆に、この10分を飛ばして数日置くと、寝た毛が絡みはじめて、次のトリミングまでの後半が重くなります。ドッグカフェの日は、行く時間ではなく、帰ってからの時間を先に空けてください。

サロン通いをしている人は、その子のいちばん整った状態を知っています。だからこそ、崩れたところが目につきます。けれど実際に崩れているのは、体の片側の、床に接していた面だけです。全身がやり直しになったわけではありません。崩れた面だけを、崩れたその日に戻す。ドッグカフェとトリミングを両立させる方法は、結局そこに収まります。

最後にもうひとつ。カフェの日を重ねていくと、崩れる場所が毎回同じであることに気づくはずです。同じ場所なら、次からはそこだけ見ればよくなります。毎日のケアのなかで、その面に指を沈めて湿り気を確かめる習慣を1つ足すだけで、カフェの日の特別な手順はほとんど要らなくなります。皮膚に赤みやにおいなど、被毛の崩れでは説明のつかない変化があるときだけ、動物病院に相談してください。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。