C09シーン別・暮らし
車でのおでかけを楽にする、保護犬・保護猫を迎えた人の毎日の習慣
保護犬・保護猫を迎えた家で、車が最初に使われるのは、たいてい迎えた日の帰り道です。次に使うのはワクチンや健康診断で動物病院へ行く日。その次も、たいてい病院です。こうして車での移動が、月に1回あるかないかの用事とだけ結びついていきます。その子が以前どうしていたかは分かりません。いま何を思っているかも分かりません。分かるのは、こちらが車を何回、どういう用事で出したかのほうだけです。この記事は、行き先のある移動を減らす話ではありません。行き先のない5分を、そのあいだに何回はさめるかという話です。近所を1周して帰るだけの移動を、週に2回。保護犬・保護猫と暮らす家で、車そのものを毎日の側に置いていく組み立てを書きます。
エンジンをかけないまま、車に5分だけ乗る|保護犬・保護猫を迎えた家が最初に用意する背景
最初にやることは、走らせないことです。駐車場に停めたままの車のドアを開けて、後席に布を1枚敷いて、その上にキャリーごと置く。自分から乗る子なら、乗せるだけでいい。エンジンはかけません。5分たったら降ります。これが1回目です。
保護犬・保護猫を迎えた家では、移動という言葉に用事がついて回ります。譲渡の日、健康診断、ワクチン、去勢や避妊の相談。どれも必要な移動ですが、共通しているのは「行き先が決まっていて、こちらが時間をコントロールできない」という点です。車に乗る=長い時間が始まる、という並びが、こちらの都合でできあがっていきます。
だから最初の何回かは、行き先を作りません。エンジンをかけないので音も振動もありません。5分で降りるので、時間も短い。車に乗ったのに、何も始まらないまま終わる回を作ります。これを週に2回。2週間で4回になります。
- 分からないこと:以前その子が車をどう使っていたか。いま何を感じているか。ここは推測しません
- 分かること1:乗せてから、伏せるか座るかの姿勢になるまでの秒数
- 分かること2:降りたあとに身震いをするかどうか、何回するか
- 分かること3:後席に敷いた布に、毛がどのくらい残っているか
- 分かること4:降りたあとに毛づくろいやなめる動きが出るまでの時間
- 分かること5:肉球や腹の被毛が、乗る前より湿っているかどうか
5つとも、こちらが数えられるものだけにしてあります。保護犬・保護猫と暮らしはじめた時期は、こちらが読み取ろうとするほど、事実と解釈の境目があいまいになります。数えられるものだけを記録に残しておくと、あとで比べられます。3か月後にもう一度同じ5つを見たときに、変化が数字で出ます。
5分のあいだ、体には触りません。声もかけすぎません。やることは、こちらが運転席に座って前を向いていることだけです。手を出さないと決めておくと、こちらの5分も短く感じられます。触られることに慣れていない子と暮らしているなら、車という場所を先に用意して、体に触る話はあとに回すほうが順番として自然です。
行き先のある日にしか車を出していなかった理由|移動が動物病院と結びつく回数
一度、数えてみてください。この1年で、その子を車に乗せた回数は何回でしょうか。保護犬・保護猫を迎えて最初の年なら、多くの家で5回から10回のあいだに収まると思います。そのうち半分以上は動物病院です。残りは、迎えた日と、トリミングか、帰省です。
| 用事 | 年に何回くらいか | 1回にかかる時間 |
|---|---|---|
| 迎えた日の帰り道 | 1回 | 30分〜数時間 |
| 動物病院(ワクチン・健康診断) | 2〜4回 | 往復と待合で1〜2時間 |
| 動物病院(体調を崩したとき) | 0〜3回 | 読めない |
| トリミングやペットホテルへの送迎 | 0〜4回 | 往復で1時間前後 |
| 帰省・旅行 | 0〜2回 | 半日以上 |
表を見ると、ひとつの傾向が出ます。回数が少なく、1回が長い。そして間隔が空きます。間隔が空くほど、次の1回で「はじめて」に近い条件がそろってしまいます。車での移動が特別なままなのは、その子の側の問題ではなく、こちらが用意した回数と長さの組み合わせのほうです。
車という場所そのものが持っている条件も、ここで書いておきます。車内は閉じた空間です。窓を閉めて走れば温度が上がります。温度が上がると、体からのにおいが空気に戻ってきて、それが布や内張りに残ります。1回が長いほど、この時間が長くなります。被毛の根元に湿り気がこもるのも、たいてい30分を超えたあたりからです。
ここで、保護犬・保護猫を迎えた人の制約がはっきりします。触られることに慣れていない子に対して、移動の途中で押さえて拭く、という手が使えません。走っている車の中で、キャリーを開けて体に触るという選択肢が最初からないのです。多くの記事が「移動中にこまめに拭く」と書きますが、その手は、その子の許容が先にある家では成立しません。
- 移動中に体を拭く:許容の外にあるので、いまは使えません
- 移動中に抱いて姿勢を変える:同じ理由で使えません
- 移動のあとにすぐ洗う:手数が多く、その日のうちには難しいことがあります
- 移動そのものを短くする:これは使えます。時間はこちらが決められます
- 移動の回数を増やす:これも使えます。頻度もこちらが決められます
使える手が2つ残りました。短くすることと、増やすこと。この2つは同じ方向を向いています。1回を5分にすれば、週に2回でも負担になりません。そして5分の移動では、車内の温度もにおいもほとんど動きません。犬でも猫でも、ここは同じです。次の見出しから、その組み立て方を書きます。
近所を1周して帰る、を週2回|車そのものを毎日の側に置く考え方
行き先を作らない移動を、8週間かけて少しずつ伸ばします。伸ばすのは距離ではなく、時間です。5分から始めて、10分で止めます。10分を超えたら、それはもう用事のある移動と同じ条件になるので、この習慣の外に置きます。
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1〜2週目:エンジンをかけないで、5分乗って降りる
駐車場に停めたまま。後席に布を敷いて、その上に置くだけです。週2回、合計4回。降りたら家に入って、それ以上何もしません。ここで記録するのは、伏せるまでの秒数と、降りたあとの身震いの回数だけです。
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3〜4週目:エンジンをかけて、停めたまま3分
音と振動が加わります。走りません。3分で切ります。この週だけは5分ではなく3分に短くします。条件が1つ増えたので、時間のほうを減らして釣り合いを取ります。窓は指1本ぶん開けておくと、車内の空気が動きます。
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5〜6週目:家の前の道を1周して帰る
5分です。信号のない道を選び、止まる回数を減らします。目的地には寄りません。コンビニにも寄りません。出発した場所に戻って、そのまま降ります。ここが、この習慣のいちばん大事な部分です。
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7〜8週目:10分に伸ばして、そこで止める
少し広い道を含めて10分。ここで打ち止めにします。10分を毎週2回、続ける形に落ち着かせます。距離を伸ばしたくなりますが、伸ばすと用事のある移動と区別がつかなくなります。この習慣は、短いままにしておく価値があります。
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降りたら、体には触らずに家に入る
毎回、これで終わりです。触らないことを手順の一部として決めておきます。降りた直後に手が伸びると、車から降りることと、体を触られることが並んでしまいます。触るのは、家に入って落ち着いてから、その子のほうから近づいてきたときだけです。
| 週 | エンジン | 動くかどうか | 1回の時間 | 週の回数 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2週目 | かけない | 動かない | 5分 | 2回 |
| 3〜4週目 | かける | 動かない | 3分 | 2回 |
| 5〜6週目 | かける | 家の前を1周 | 5分 | 2回 |
| 7〜8週目以降 | かける | 少し広い道まで | 10分 | 2回 |
犬と猫で、順番が少し入れ替わります。犬は自分で後席に上がることが多いので、布を敷く場所を先に決めます。猫はキャリーごと運ぶことが多いので、キャリーの置き場所を毎回まったく同じにするほうが条件がそろいます。助手席の足元か、後席の中央か。保護猫と暮らしているなら、置き場所を1か所に固定してください。動かさないこと自体が、条件を1つ減らします。
後席に敷く布は、家の寝床で使っているものと同じ素材にしてください。新しい布をおろすと、車の中だけ知らない繊維に触れることになります。使い終わった布は、その日のうちにたたんで車に置いたままにします。持ち込むのは家のにおい、持ち帰るのは布1枚。この形にしておくと、体に触らずに毎日のケアが回ります。
布の手入れは、週に1回で足ります。洗える布なら洗って、乾いたらそのまま車に戻しておいてください。車の中では体に触らないと決めているので、こちらの手が使えるのは、家に入ってから、その子のほうが近づいてきたあとだけです。順番が先に決まっているぶん、そのときに何を手元へ置いておくかも決まります。mofuwa スキンケアミストは中身が電解水100%で、アルコールも香料も入っていません。窓を閉めて走る車は、持ち込んだにおいが布と内張りに残っていく場所です。においを足さないものを選んでおくと、次に乗る日の条件を動かさずに済みます。10分の移動で湿りが残りやすいのは腹の下と内股なので、近づいてきた日だけ、その2か所に。布を1枚たたんで、当てて、離す。触られることに慣れていない子と暮らしている家では、この短さがそのまま続けられる形になります。
距離ではなく、降りたあとの数分が短くなる|車での移動を重ねた3か月の変化
3か月続けると、変わるものが出てきます。ただし、変わるのは走れる距離ではありません。10分の移動は10分のままです。変わるのは、降りたあとの数分のほうです。ここが、この習慣でいちばん面白いところだと思っています。
- 乗せてから姿勢が決まるまでの秒数:立ったままの時間が短くなり、早く伏せるか座るかになります
- 降りたあとの身震いの回数:回数が減ることも、変わらないこともあります。どちらでも記録だけ残します
- 毛づくろいやなめる動きが戻るまでの時間:家に入ってから始まるまでの分数が短くなります
- 被毛の湿り:10分の移動では、腹や内股が湿ることはほとんどなくなります
- 後席の布に残る毛の量:同じ10分でも、量が減っていきます
記録は、3つだけメモしておけば足ります。日付、その日の分数、降りてから家に入るまでにかかった時間。スマートフォンのメモに1行で構いません。1か月分たまると、線が見えます。保護犬・保護猫と暮らしていると、日々の小さな変化は記憶の中で混ざります。1行の記録は、その混ざりを防ぎます。
3か月たったころ、この習慣の効き目が別の場所に出ます。動物病院に行く日の車が、いつもの車になっているという点です。行き先が病院であることは変わりません。それでも、乗るまでの過程が特別ではなくなります。週2回の10分を積み上げると、3か月で24回。行き先のある移動の年間回数を、とっくに超えています。回数の比率が、用事のほうから日常のほうへ入れ替わります。
ここで、はっきり書いておきたいことがあります。この習慣は、その子の気持ちを変えるためのものではありません。気持ちは、こちらには見えません。変えているのは、こちらが用意する回数と時間の組み合わせだけです。それでも、数えられるものは動きます。伏せるまでの秒数も、布に残る毛の量も、記録に残る数字です。保護犬・保護猫と暮らす家で頼りになるのは、この種類の数字のほうだと思います。
車から降りたあとによだれが多い、吐く、同じ足をなめ続ける、腹や内股の皮膚が赤い、耳が熱い、食欲が落ちる。こうした変化が1回だけでなく続くときは、移動の時間を短くする前に、動物病院にご相談ください。5分や10分の移動でも、体調の側に理由があれば同じことが起こります。迷ったら、記録に残した日付と分数を持って行ってください。いつから、どのくらいの移動で出ているかが分かると、そこから話が早く進みます。
最後に、この習慣の続け方について。週2回が守れない週があっても構いません。1回に減っても、ゼロにしないことのほうが大事です。間隔が空くと、また「久しぶりの移動」に戻ってしまいます。5分でいいので、車に乗って、近所を回って、帰ってくる。保護犬・保護猫を迎えた家にとって、車での移動を毎日の側に置いておく方法は、この短い1周の積み重ねに尽きます。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
