C12Q&A・豆知識

冬でもシャンプーしていい?

公開日 2023年6月2日|文=mofuwa編集部

日の差す窓のそばで、淡い色のブランケットの上に落ち着いて伏せている白っぽい毛の犬
冬に犬を洗う日に見るのは、部屋の温度計ではなく、乾かし終えるまでにかかる時間のほうです。写真:Ricardo Oliveira/Pexels

冬に洗うかどうかを迷ったとき、多くの人が最初に見ているのは部屋の温度計です。冬でも犬のシャンプーはできます。ただし、その判断を室温で下すと外れます。決め手になるのは、乾かし終えるまでにどれだけの時間を取れるかのほうです。冬は乾くのが遅くなるので、洗う時間より先に、乾かす時間を予定に取っておく必要があります。逆に言えば、その時間が取れない日は洗わない、という決め方になります。この記事では、冬のシャンプーの疑問を、時計で測れる形に置き換えて、8つの問答に分けて書きます。

冬でも犬をシャンプーしていいですか

答えは条件で割れます。乾かし終えるまでの時間が取れる日なら、冬でも洗って大丈夫です。取れない日は、洗わないほうが安全です。季節そのものが理由で洗えなくなるわけではありません。冬に問題が起きるとしたら、それは寒さではなく、濡れたままの時間が長くなることのほうです。

冬に犬のシャンプーで実際に起きやすいのは、途中で時間が足りなくなることです。夕方に始めて、思ったより乾かず、暗くなり、夕食の支度が始まり、「あとは自然に乾くだろう」で終わらせてしまう。この終わり方が、冬にいちばん避けたい形になります。夏なら同じ終わり方でも短時間で乾きますが、冬は乾ききらないまま夜になります。

Note冬のシャンプーの可否は、カレンダーではなく時計で決まります

「冬だから月に1回」「寒い日はやめる」という決め方は、判断の材料が体の外にあります。実際に決めているのは、その日に何時間の空きがあるかです。暖かい日でも予定が詰まっていれば洗わないほうがよく、寒い日でも午前中がまるごと空いていれば洗えます。猫の場合は、そもそも水で洗う必要がない子が多いので、判断の前に「洗う必要があるか」から考えます。

室温ではなく時間で決めるとは、どういう意味ですか

室温は、暖房で上げられます。けれど、犬の毛の中の水がなくなるまでの時間は、暖房を強くしてもあまり短くなりません。乾く速さを決めているのは、当たっている風の量と、毛の量と、毛の密度のほうです。室温は、乾かしているあいだに体が冷えにくい条件を作りますが、時間そのものを縮める力は小さいままです。

冬にはもう1つ、時計の側の条件があります。日が落ちるのが早いので、洗い始める時刻が自然に遅くなります。洗い終えたころには外が暗く、部屋の空気も下がっています。夏と同じ時刻に始めたつもりでも、冬は残っている時間が短い。室温を上げても、この時計の側の不利は動きません。だから、材料として見るのは温度ではなく時間になります。

「乾かし終えるまでの時間」は、家でどうやって測るのですか

測り方は簡単です。次に洗う日に、時計を2回だけ見ます。細かく計る必要はありません。1回測れば、その子の数字として次から使えます。

  1. 1回目:すすぎを終えた時刻を書く

    シャンプーを流し終えて、水を止めた時刻です。洗っている時間は数えません。ここから先が、濡れている時間です。紙でもスマートフォンでも、書き残しておいてください。

  2. タオルで水を取り、風を当てる

    タオルで先に水を取っておくと、風を当てる時間そのものが短くなります。ここは冬でも夏でも同じです。乾かす工程は、風で始まるのではなく、水を取るところから始まります。

  3. 2回目:地肌が乾いたと判断した時刻を書く

    毛の表面ではなく、毛を分けて地肌に触れて決めます。指を立てて毛をかき分け、根元が湿っていないことを確かめます。ここが乾いた時刻です。

  4. 差を出して、その子の数字にする

    1回目と2回目の差が、その子の「乾かし終えるまでの時間」です。平均を探すより、自分の家で1回測るほうが早く、当たります。毛の量も、使っている道具も、家ごとに違うからです。

夏に測った数字を持っている場合でも、冬はそのまま使えません。同じ子でも、冬は毛の量が増え、部屋の空気も違うので、時間は延びる前提で見ます。どれくらい延びるかは家ごとに違うので、冬に入って最初の1回を、余裕のある日に測っておくのがおすすめです。1回測れば、あとは予定に入れるだけになります。

冬に乾かす時間が延びるのは、体のどのあたりですか

犬の体で最後まで残るのは、毛が密な場所と、体の下側と、風が回り込まない場所です。この3つが重なるところが、いちばん遅くなります。表面だけを見て終わらせると、必ずここが残ります。

冬に最後まで残る場所と、そこが遅くなる理由
場所遅くなる理由手の入れ方
脇の下立たせたまま風が入りません前脚を軽く上げて風を通します
内もも左右の毛が触れ合っています横向きにして下側から当てます
腹下を向いていて風が回りません抱えるか、横にして当てます
尾のつけ根毛が密で厚みがあります毛を分けて根元に当てます
指のあいだ面が小さく忘れられます片足ずつ持ち上げて見ます
首の下・耳の後ろ毛が重なって内側が残ります毛をかき分けてから当てます

順番を「上から下へ」でやると、この表の場所が全部あとに回ります。冬は、下側から先に乾かすほうが、全体の時間が短くなります。背中は最後でも乾きます。逆に、腹と内ももを最後に回すと、そこだけ残ったまま時間切れになりやすい。

乾かす時間が延びると、道具の音が続く時間も一緒に延びます。音が苦手な子では、この長さがそのまま負担になります。途中で1〜2回止めて区切ると、同じ時間でも続けやすくなります。止めているあいだにタオルで水を取っておけば、時間そのものは増えません。

洗う時間より乾かす時間を先に取るには、予定をどう組みますか

組み方は、終わりの時刻から逆に引いていきます。始まりの時刻から足していくと、冬はほぼ足りなくなります。足していく組み方は、途中で何かが挟まったときに、削られるのが最後の工程だからです。冬に削られる最後の工程は、乾かす時間そのものになります。

終わりの時刻から逆に引いていく
順番決めること考え方
1寝る時刻を決める動かせない時刻から始めます
2その30分前を、乾かし終えの時刻にする落ち着く時間を残します
3測った乾かす時間を引くs3で出した、その子の数字です
4洗う時間を引くここで初めて洗う時間が出ます
5その時刻より遅く始めない遅れたら、その日は洗いません

この順で組むと、「今日は何時までに始めれば洗えるか」が数字で出ます。冬のシャンプーで決めておきたいのは、洗う日ではなく、洗わないと決める時刻のほうです。その時刻を過ぎたら、迷わず翌日以降に回します。決めておくと、途中で切り上げる形の終わり方がなくなります。

冬に犬を洗うなら、午前中に始められる日がいちばん向いています。日が差している時間が長く、乾かし終えたあとも部屋が冷えきっていません。休みの日の午前を1回押さえておくほうが、平日の夜に3回迷うより早く終わります。

冬のシャンプーで、やめておいたほうがいいのはどれですか

4つあります。どれも、時間を短くしようとして起きるものです。短くできるのは洗う時間のほうで、乾かす時間は縮みません。ここを取り違えると、削ってはいけないところが削れます。

2つ目について、もう少し書きます。暖房の前は、風と温度の両方があるので乾きそうに見えます。けれど当たっているのは体の片面だけで、下側と内側には届きません。毛の表面が乾くと手ざわりが変わるので、乾いたと感じやすい。冬に生乾きが残るのは、この感覚のずれから起きることが多いところです。判断は、必ず毛を分けて地肌で決めてください。

3つ目のお湯の温度も、冬にやりがちです。寒いので熱めにしたくなりますが、温度を上げても洗う時間は短くなりません。人が「気持ちいい」と感じる温度は、犬にはやや熱いことがあります。ぬるいと感じるくらいで足ります。冬に上げていいのは、お湯の温度ではなく室温のほうです。

時間が取れない日は、洗わずに何をしておけばいいですか

洗わないと決めた日にやることを、先に決めておきます。決めておかないと、罪悪感が残って、次の週に無理な時刻から始めることになります。冬に水を使わずに済ませる日の手当ては、次に洗う日までの間隔を保つためのものです。

  1. ブラッシングで、抜けた毛を先に外へ出す

    冬は毛が絡んだまま残ると、次に洗うときの乾かす時間が延びます。水を使わない日に先へ出しておくと、洗う日の負担が下がります。

  2. 水を使わずに、毛の根元まで手を通す

    冬は毛の表面だけを触っていると、根元の湿りに気づけません。指を立てて毛をかき分け、背中から腰まで一往復させます。濡らさないので、乾かす時間が発生しません。冬に時間が取れない日でも、これなら数分で終わります。

  3. 汚れが乗りやすい場所だけ、部分的に拭く

    足の裏、口のまわり、尾のつけ根。全身をやろうとせず、3か所に絞ります。絞ると毎日続けられます。

  4. 次に洗う日を、その場で決めて書く

    「今度の休みの午前」と時刻まで書いておきます。日付を決めないと、水を使わずに終えた日ばかりが積み上がっていきます。

地肌そのものは、その子が自分では洗えない場所です。毛づくろいで届くのは表面までで、冬に下毛が増えたぶん、根元はこちらが水を入れないかぎりそのままになります。ここは人が代わるところなので、洗う工程の側を短くしておくと、冬でも回せます。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして湯そのものを洗浄液にするタイプです。泡を立てて被毛をかき分ける工程がないので、擦らずに地肌まで行き渡り、すすぎも軽く済みます。冬にこれが効くのは、濡れている時間が始まる時刻が前に動くからです。s3で測った「乾かし終えるまでの時間」そのものは縮みません。縮むのは逆算表の4行目、洗う時間の側だけです。始める締め切りの時刻が、そのぶん後ろへずれる、という読み方をしてください。

冬のシャンプーを、時計の2つの時刻に畳む

ここまでを畳みます。冬に覚えておくのは、時刻が2つだけです。

冬のシャンプーで見る、2つの時刻
時刻中身使い方
乾かし終えの時刻寝る時刻の30分前ここから逆に引いていきます
洗い始めの締め切り乾かす時間と洗う時間を引いた時刻過ぎたら、その日は犬を洗いません

この2つがあれば、冬でも犬のシャンプーの可否をその場で決められます。迷っている時間そのものが、洗える時間を削っています。温度計を見て考えこむより、時計を2回見るほうが早く決まります。

最後に、冬のシャンプーの疑問として残りやすいものを1つ書いておきます。「洗ったあとに気になることが出たとき、それが冬のせいなのか分からない」というものです。切り分けは家では難しいので、次の項目に当てはまるときは、洗い方を変える前に相談してください。

Caution洗ったあとの変化が続くときは、動物病院にご相談ください

洗った翌日以降もかゆがる、地肌が赤い、フケが増えた、においが翌日に戻る、同じ場所をなめ続けている、寒がり方が前と違う。こうした変化が続くときは、シャンプーの回数や道具を変える前に動物病院にご相談ください。冬は乾かす時間が延びるぶん、原因が洗い方にあるのか体の側にあるのかを、家では切り分けられません。洗った日付と、乾かし終えるまでにかかった時間をメモして持っていくと、その場で見てもらえます。

冬のあいだは、洗った日に乾かし終えた時刻を1行だけ書き足してください。3回ぶんたまると、その子の毛量と手持ちのドライヤーで何分かかるのかが、目安ではなく実測で出ます。数字が自分の家のものに変わると、洗い始めの締め切りをその都度計算し直す必要がなくなります。春になって乾く時間が縮んでも、時刻を2つ引くというやり方はそのまま使えます。冬に測っておくと、来年の冬は温度計の前で立ち止まる時間がなくなります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。