C09シーン別・暮らし

シニア犬と暮らす人のための賃貸で暮らす|5分で終わらせるケア

公開日 2023年6月10日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の木の床で、年をとった犬が静かに横になっている
においの出どころは、部屋の隅ではなく、寝床から歩き出した線の上に散らばっていることがあります。写真:Natalia Olivera/Pexels

賃貸のワンルームで、夜中に廊下の途中で爪が床をこする音がして、朝になってからその場所のにおいに気づく。拭いて、窓を開けて、それで終わりにしていた作業が、先月から週に3回になりました。老犬と暮らしていると、ある時期からこの回数が静かに増えていくことがあります。ペットのにおいの話として読んでいたものが、いつのまにか、その子の一日をどこでどう過ごしてもらうかという話に変わっていく。この記事は、賃貸で老犬と暮らす人が、粗相が増えたときに何を動かせるのかを、掃除の側と暮らしの側に分けて書いたものです。

深夜に廊下の途中で止まる音がした|賃貸で老犬と暮らす人に、ペットのにおいが増えた背景

夜中の2時ごろ、床を爪がこする音がして目が覚める。起き上がって廊下をのぞくと、その子はトイレの手前50センチのところに立っていました。間に合わなかった、という顔でこちらを見ている。床には小さな円がひとつ。とりあえず拭いて、窓を開けて、その日はまた寝ました。賃貸で老犬と暮らす人がペットのにおいの回数の変化に気づくのは、たいていこういう夜からです。

最初のうちは、月に一度でした。月に一度なら「たまたま」で説明がつきます。それが2週間に一度になり、週に一度になり、気がつくと週に3回になっていました。拭き取りの回数が増えたところまでは、まだ掃除の話です。変わったのは、拭いた翌朝に、同じあたりがまた濡れていたときでした。においが部屋に残るというより、においの出る場所が動かなくなっていた。

賃貸で気になるのは、においが部屋の側に残ることです。床材は一種類で、廊下は細く、窓の位置も決まっています。においを逃がす経路が、家の作りとしてもともと1本しかない。戸建てのように「その部屋は使わない」という選び方ができません。だから賃貸で老犬と暮らす人は、掃除の回数を上げる以外の手を思いつきにくい状態から始まります。回数を上げても追いつかないと感じたとき、たいていはもう掃除の話ではなくなっています。

この時期に、その子の側でも同時にいくつか変わっています。ひとつひとつは小さくて、どれも「年をとったから」で流せてしまう変化です。ただ、並べてみると、粗相が増えたこととまっすぐつながっているものがあります。

Note「年齢のせい」で説明を止めないでください

粗相が増える背景には、いくつもの理由が考えられます。年齢だけで説明できるものではありませんし、家庭で見分けられるものでもありません。この記事で扱うのは、においが部屋に残るという賃貸側の条件と、家の中で動かせる場所の話までです。回数や量そのものが短期間で変わったときは、掃除の工夫を足す前に動物病院で相談してください。順番として、そちらが先です。

間に合わなかった距離が、そのまま床に残る|老犬の粗相で賃貸のペットのにおいが散らばる理由

粗相と聞くと、トイレの場所を間違えた、という絵を思い浮かべます。けれど老犬の場合、実際に起きているのは「場所を間違えた」ではなく「たどり着く前だった」ということが少なくありません。この違いは、においの残り方をまるごと変えます。場所を間違えたなら、においはその新しい場所に集まります。たどり着く前だったなら、においは寝床からトイレへ向かう線の上に、点で散らばります。

距離そのものは、若い頃から変わっていません。変わったのは、その距離にかかる時間のほうです。目が覚めて、体を起こして、前脚に体重を移して、後ろ脚を引き寄せる。起き上がるまでの数秒が、そのまま間に合わなかった数秒になります。だから点が落ちる位置は、寝床のすぐ横から、廊下の真ん中あたりまでのどこかに来ます。賃貸のペットのにおいが「部屋のどこか」に感じられて特定できないのは、出どころが一点ではなく線だからです。

もうひとつ、同じ時期に増えるにおいがあります。寝ている時間が長くなると、体の同じ面が床や布に触れ続けます。そこに皮脂が移り、布の繊維に留まります。尿のにおいと皮脂のにおいは、別のものです。拭き取りで引ける速さも違えば、戻ってくる速さも違います。片方だけを追いかけていると、拭いたのににおいが残る、という感覚だけが積み上がります。

老犬と暮らす賃貸で、においの出どころは3つに分かれます
出どころどこに残るか時間の経ち方手を入れる場所
間に合わなかった点寝床からトイレまでの線の上濡れていた時間の長さで決まる床と、その子の足まわり
寝ている面に移る皮脂寝床の布、ソファの下、ラグの縁数日かけてゆっくり濃くなる洗える布と、体の同じ面
食器と水皿の周り半径50センチの床毎日、少しずつ足される置き場所そのもの

においの強さを決めているのは、量よりも濡れていた時間のほうです。湿ったまま時間が経った布や床の目地は、においのもとになる雑菌が増えやすい条件になります。夜中に落ちた点が朝まで残っていれば、それは6時間ぶんの条件で、帰宅後に見つけた点なら8時間ぶんの条件です。拭いたかどうかではなく、何時間そのままだったか。賃貸で老犬と暮らす人にとって、ここがいちばん動かしやすい数字になります。

換気についても、同じ考え方が使えます。窓を1か所だけ開けても、空気は入れ替わりません。入る側と出る側の2か所が開いて、はじめて1本の流れになります。ワンルームなら、玄関のドアを少し開けて窓を開ける、あるいは換気扇を回して窓を開ける。帰宅後にまずこの形を作ってから拭き取りに入ると、拭いているあいだに部屋の空気のほうが先に動きます。順番を入れ替えるだけで、同じ手数のまま結果が変わります。

Cautionにおいの強さで、その子の状態を測らないでください

においが強い日と弱い日があると、状態が良くなった悪くなったと読みたくなります。においの強さは、部屋の温度と湿度、濡れていた時間、床材の状態で大きく変わります。その日の体調を映した数字ではありません。老犬の変化を見るために記録するなら、においの強さではなく、粗相の回数と時刻のほうにしてください。回数と時刻なら、そのまま動物病院で見せられる形になります。

拭く場所を探すのをやめて、通る線のほうを短くする|賃貸で老犬とペットのにおいを扱う考え方

ここが、この記事でいちばん言いたいところです。においを掃除の問題として解こうとすると、手を入れられる場所は床しかありません。床を拭く、消臭のものを置く、換気をする。3つとも、点が落ちたあとの話です。ところが暮らしの問題として解き直すと、点が落ちる前に動かせるものが出てきます。賃貸で老犬とペットのにおいを扱う考え方は、この線引きから始めます。

同じ「におい」でも、掃除の側と暮らしの側では動かすものが違います
掃除の側で動かすこと暮らしの側で動かすこと
いつの話か点が落ちたあと点が落ちる前
何を減らすか残ったにおいの量間に合わなかった回数
手を入れる場所床、布、空気距離、時刻、その子の体
増えると何が起きるか拭く回数が増え続ける拭く回数そのものが減る
賃貸で効きやすいのは換気の経路を1本つくること寝床とトイレの距離を縮めること

暮らしの側で動かせるものを、順番に並べます。全部を同じ日に始めなくて構いません。上から2つだけでも、点の位置は変わります。一度に環境を変えると、その子のほうが場所を覚え直すのに時間がかかります。

  1. 寝床とトイレの距離を、歩数ではなくメートルで測る

    巻き尺で測ってください。3メートルあるなら、1.5メートルにできないかを考えます。賃貸は間取りを変えられませんが、寝床のほうは動かせます。トイレを動かすとその子が覚え直しになるので、動かすのは寝床の側です。距離が半分になれば、起き上がってから間に合うまでの余裕がそのぶん増えます。

  2. 夜のあいだだけ、線の上に洗える布を1枚置く

    一日じゅう敷きっぱなしにはしません。その子が寝入ってから朝までの数時間だけ、点が落ちる可能性のある通り道に1枚置きます。朝はそのまま洗濯機へ。床の目地に染みるまでの時間がゼロに近くなるので、濡れていた時間という数字がいちばん下がります。敷きっぱなしにしないのは、布のほうに皮脂が溜まってにおいの出どころが増えるからです。

  3. 起きる合図を、音のほうで拾う

    老犬は、立ち上がる前に必ず何かの音を出します。体の向きを変えるときの布ずれ、鼻を鳴らす音、爪が床に当たる音。起きてから連れて行くのではなく、音が聞こえた時点でトイレ側の扉を開けておく。数秒のことですが、その数秒が間に合うかどうかの差になっている夜があります。夜だけでなく、留守番からの帰宅後にも同じ合図が出ます。

  4. 食器と水皿を、線の上から外す

    水を飲んだあとの動きは、そのままトイレへつながります。食器と水皿が寝床とトイレを結ぶ線の上にあると、その一帯だけ床が濡れる回数が増えます。線から50センチずらして、拭ける素材のマットの上に置き直してください。水を飲む量を減らす方向には動かさないこと。飲む量は、その子の状態を見るための大事な数字です。

  5. 後ろ側と足まわりだけ、寝床へ戻る前に人が代わる

    点が落ちたとき、床だけでなくその子の毛にも残ります。老犬は後ろ側や足の付け根に口が届かず、若い頃のように自分で整え直すことができません。ここは、その子が自分では手を入れられない場所です。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。拭いたあとにその子がそこを舐めても差し支えのない基準でつくられているので、口の届かない場所に人が触るときの一本として置けます。布に含ませて、後ろ側と足まわりの2か所だけを、毛の流れに沿って一度なでる。賃貸は寝床とトイレを結ぶ線が短いぶん、毛に残ったペットのにおいのもとがそのまま寝床の布へ移りやすい作りです。戻る前の30秒をここに置くと、布の側に出どころが増えるのを止められます。老犬を長く立たせないことのほうが優先なので、2か所を超えて広げないでください。

この5つのうち、掃除の道具を増やすものはひとつもありません。動かしているのは距離と時刻と、その子の体に残ったものだけです。賃貸で老犬と暮らす人が「もう拭くところがない」と感じるとき、たいてい手は床の側にしか入っていません。においが部屋に残るという困りごとは、部屋の側だけを見ていると出口がなくなります。

Point拭き取りは、面ではなく順番で減らせます

点を見つけたら、外側から中心に向かって拭いてください。中心から外へ広げると、濡れていなかったところまで湿らせることになります。拭いたあとは、乾くまでのあいだだけ換気の流れをその一帯に通す。拭き取り、乾かす、そこまでで1回です。においが気になるからと同じ場所を何度も拭くと、床材のほうが先に傷みます。1回で終える形にしておくと、週に3回でも手が止まりません。

濡れた場所より、濡れた回数を数える|老犬と賃貸で見えてくるペットのにおいの変化

2週間続けると、変わるのはにおいの強さではありません。先に変わるのは、点が落ちる位置の散らばり方です。寝床を動かして距離を縮めた週は、点が寝床側に寄ります。合図を拾えるようになった週は、点の数そのものが減ります。においが消えたかどうかで見ていると、この変化は拾えません。位置と回数で見ていると、どの手が効いたのかが分かります。

記録は、スマートフォンのメモで足ります。1行に4つだけ書いてください。凝った表を作ると、続かない週が来ます。

1か月ぶんが溜まると、においの話ではないものが見えてくることがあります。時刻がだんだん早い側にずれている、量が明らかに増えている、水を飲む量が変わっている。これらは家庭で判断するものではありませんが、記録があるかどうかで、相談の場で伝えられることがまったく変わります。「最近ちょっと増えました」と「3週間前は週1回、今週は5回で、深夜に寄っています」では、受け取られ方が違います。

Caution掃除の工夫より先に、動物病院で相談してほしいとき

粗相の回数が短期間で急に増えた、1回の量が増えた、水を飲む量が変わった、歩き方やふらつきに変化がある、粗相のあとその子自身が同じ場所を気にしている、においの質がこれまでと明らかに違う。いずれかに当てはまるときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。賃貸でにおいが気になるという入口から来た困りごとでも、途中からはその子の側の話に変わっていることがあります。迷ったときは早いほうを選んでください。

最後に、この記事の最初に書いたことに戻ります。賃貸でペットのにおいが気になる、という困りごとは、たいてい掃除の問題として始まります。けれど老犬と暮らしていると、ある時期から、同じ言葉のまま中身が入れ替わります。拭く場所を探す作業から、その子が今日どこで過ごして、どこを通るのかを決める作業へ。床材も間取りも変えられませんが、寝床の位置と、扉を開ける数秒と、洗える布1枚は、賃貸でも動かせます。

そして、動かしたぶんは記録に残ります。においの強さは日によって変わりますが、回数と時刻は変わりません。賃貸で老犬と暮らす人が持てるのは、部屋のにおいを消す手ではなく、その子の一日を少しだけ組み替える手のほうです。点の数が週に3回から2回になった週があれば、それは掃除がうまくなったのではなく、暮らしのほうが1つ動いた週です。そこまで来ていれば、次に何を動かすかも自分で決められます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。