C05犬種・猫種別ケア

スコティッシュストレートはなぜ抜け毛が起きやすいのか。プラッシュコートから考える

公開日 2023年6月20日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の明るい色のラグの上に、密な毛の猫がまっすぐ座っている
困りごとがない猫ほど、人の手が伸びる回数は減ります。触る用事は、こちらから作ることになります。

スコティッシュストレートと暮らしていて、この1週間にその子の体を、毛をかき分けて地肌の近くまで指で触った回数を思い出せますか。撫でた回数は数えません。多くの家庭で、答えは0回か1回になります。耳は立っていて、汚れの相談を持ちかけてきません。毛は短く密で、もつれをほどいてほしいとも言ってきません。体はよく曲がり、口はほとんどの場所へ届きます。つまりこの猫は、ほとんどの日を、人の手を呼ばずに終えられます。抜け毛の変化がいちばん遅れて見つかるのは、こういう猫です。この記事では、なぜ遅れるのかを先に書いて、そのうえで、決まった日に決まった場所を触るという手順を組み立てます。

毎日は困らない猫|スコティッシュストレートの抜け毛に気づくのが遅れる仕組み

スコティッシュストレートは、スコティッシュの中で耳が折れずにまっすぐ立っている子を指します。耳が立っているというのは、見た目の話にとどまりません。耳の中が自然に乾き、その子自身が前足で拭える形になっている、ということです。耳の汚れで人が呼ばれる場面が、そもそも起きにくくなります。

被毛の側も同じ方向に働きます。プラッシュコートと呼ばれる、短めで密な毛です。上毛と下毛の長さが近く、密度で立ち上がっているので、手のひらで押すと沈んで、離すと戻ります。長さが足りないので、毛どうしが巻きついてもつれる段階まで進みません。もつれをほどいてほしい、という用事も生まれません。

そして体です。猫はもともと体がよく曲がりますが、この子たちは胴が詰まっていて脚が短めなので、口が体のほとんどの面へ届きます。毛が短いぶん、毛づくろい1回あたりで動かせる範囲も広い。耳も、体も、ひととおり自分で手入れできてしまいます。飼い主にとっては、ありがたいことばかりです。ただ、この3つが重なると、ひとつだけ抜け落ちるものがあります。

人が毛の中へ指を入れる用事が、ひとつも残らないのです。垂れ耳の子なら、耳を確かめるついでに首まわりへ手が伸びます。長毛の子なら、絡みをほどくために毎日毛をかき分けます。困りごとが、手を呼んでいたわけです。スコティッシュストレートには、その呼び出しがありません。だから、抜け毛の量や場所が変わりはじめても、人の手がその変化に触れる機会が来ません。

ではいつ気づくのか。たいていは間接的なサインからです。黒い服に毛がつくようになった。掃除機のごみが増えた。ソファの座面に毛が寄っている。どれも、抜けた毛が家の中に積み上がるまで待たないと出てこないサインです。プラッシュコートは1本1本が短いので、落ちても床の上でまとまりません。目につく量になるまでには、それなりの日数がかかります。

抜け毛の変化と、人が気づくまでの時間 スコティッシュストレートでは、被毛の側が動きはじめてから、人が家の中のサインで気づくまでに数週間の差が生まれます。決めた日に触っていれば、その差は前へ縮まります。 換毛期の入り口を0週目としたときの、おおよその流れです 0週目 下毛が動きはじめる 見た目も手ざわりも、まだ変わりません 1〜2週目 指に残る毛の本数が増える 触っている人にだけ分かる段階です 3週目 服に毛がつきはじめる 人が最初に気づく、間接的なサイン 4週目以降 床や家具で毛が目につく ここで気づくと、3週間ぶん遅れます 決めた日 3か所を触る 1〜2週目の段階で受け取れます 早く知ることが目的で、抜ける量を減らすことが目的ではありません
遅れているのは気づきのほうで、抜け毛そのものが急に増えたわけではありません。
Note抜け毛が多い猫種、という話ではありません

スコティッシュストレートの抜け毛が、ほかの猫より多いという意味ではありません。密度のある被毛を持つ子は、季節の変わり目に下毛が動きます。それ自体は、この作りを持つ猫に共通のことです。この記事で扱うのは、その動きを人がいつ受け取るか、という時間の話です。量を減らすことはできませんが、受け取る時期を前へ動かすことはできます。

決まった日に、決まった3か所|スコティッシュストレートの抜け毛を早く受け取る手順

ここからが手順です。考え方は1つだけ。困りごとが手を呼んでくれないなら、呼ばれる日をこちらで決めてしまう、ということです。毎日でなくて構いません。むしろ毎日にすると続きません。曜日と場所を固定して、そこだけを触ります。全部で2分ほどで終わります。

  1. 曜日と時間帯を先に決める

    週2回、同じ曜日の同じ時間帯にします。抜け毛が気になった日にやる、という決め方にしないでください。気になった日というのは、すでに家の中で毛が目につきはじめた日です。それでは間に合いません。夜のごはんのあと、寝る前など、その子が落ち着いている時間に固定します。膝に乗ってきたタイミングに合わせると続きます。

  2. 触る3か所を決めて、そこだけにする

    全身を回そうとすると、途中で終わって次から気が重くなります。肩甲骨のあいだ、脇の後ろの脇腹、腰から後ろ脚の付け根。この3か所だけです。肩甲骨のあいだは、毛づくろいの口が最後に回る場所。脇腹は、丸まって寝ているあいだ内側になる場所。腰は、座っている時間ぶん床に接する場所です。3つとも条件が違うので、同じ日に触ると比べられます。

  3. 手のひら、指の腹、コームの順に当てる

    いきなり道具を持たないでください。まず手のひらで毛の流れに沿ってひとなで。次に指の腹を毛の中へ沈めて、地肌まで届くかを確かめる。最後に、目の細かいコームを短く3〜4回だけ通します。この順にすると、道具を当てる前にその日の状態が分かります。手のひらの段階で毛が指に残るなら、その日はコームを通す回数を減らして構いません。

  4. 指とコームに残った毛を、3か所ぶん見比べる

    取れた毛は、その場で見ます。比べるのは全体の量ではなく、3か所のあいだの差です。肩だけ多い、腰だけ少ない、というときは、その子の生活の型がそこに出ています。3か所とも同じように増えているなら、季節の側が動きはじめたということです。取れた毛はまとめて捨てて構いません。

  5. カレンダーに、場所の頭文字と一語だけ残す

    記録は短くします。肩・脇・腰の頭文字と、その日の手ざわりを表す一語だけ。「肩・多い」「脇・普通」「腰・すかすか」で足ります。次の回に同じ言葉を書けるかどうかが、変化の目印になります。長く書こうとすると続きません。3週間ぶんが並べば、そのまま季節の入り口が読めるようになります。

3か所は、それぞれ違う条件を見ています
場所そこで分かること手を当てる向き
肩甲骨のあいだ毛づくろいの口が最後に回る場所の状態首から背中へ、毛の流れに沿って
脇の後ろの脇腹丸まって寝ているあいだ内側になる面背中側から腹側へ、短く
腰から後ろ脚の付け根座っている時間ぶん、床に接する面腰から後ろへ、一方向で
3か所を比べて季節の動きか、生活の型かの切り分け同じ日に、同じ順番で
Pointこれはブラッシングではなく、点検です

目的は毛をきれいにすることではありません。その日の状態を受け取ることです。だから短くて構いませんし、途中でその子が離れていっても、それはそれで記録になります。先週は最後まで座っていたのに今週は途中で立った、というのも変化のひとつです。整えることを目的にすると、時間が取れない週に丸ごと飛びます。点検だと思っておくと、2分で戻ってこられます。

猫が自分でできてしまうぶん|スコティッシュストレートの抜け毛で触る順番がつまずく場所

手順そのものは短いのに、実際にはよく止まります。止まり方には型があって、たいてい次の3つのどれかです。いずれも、その猫が自分でできてしまうことから来ています。順に見ていきます。

1つ目は、順番が逆になることです。手のひらより先にコームを持ってしまう。道具を持つと、人はどうしても「整える」ほうへ意識が寄ります。整えはじめると、その日の手ざわりを受け取る前に、毛の状態を変えてしまいます。コームを通したあとで指を入れても、それは通したあとの状態でしかありません。手のひら、指の腹、コーム。この順番だけは崩さないでください。

2つ目は、猫が嫌がらないので長く続けてしまうことです。スコティッシュストレートは、コームを通されても平気な顔をしている子が多い猫です。嫌がらないので、つい5分、10分と続きます。短い毛に長くコームを入れると、根元の皮脂まで持っていくことになります。皮脂が減った毛は毛先の側がぱさつき、乾いた季節には静電気を持ちやすくなります。うるおいを守るという意味でも、3〜4回で止めるほうが結果はよくなります。

3つ目は、毛づくろいを見て安心してしまうことです。この子たちは、目の前でよく毛づくろいをします。全身に口が届くので、見ていて完結しているように見えます。ただ、毛づくろいで動いているのは毛先の側で、根元に近いところで動いた毛は、そのままそこに残ります。猫の舌が届いているかどうかと、根元まで空気が通っているかどうかは、別のことです。ここは人が代わるところになります。

つまずきの3つと、戻し方
つまずき起きること戻し方
コームから持ってしまう受け取る前に状態を変えてしまう道具は3番目。手のひらから始める
嫌がらないので長く続ける根元の皮脂まで持っていく1か所につきコームは3〜4回で止める
毛づくろいを見て安心する根元の側の変化を見逃す指の腹を沈めて、地肌まで届くかを見る
気になった日にだけやる気づいた時点で3週間遅れている曜日を固定して、気にならない日にもやる
Caution力を入れて何度も通さないでください

密な被毛は、コームが引っかかると手ごたえが出ます。その手ごたえを取り除こうとして、同じ場所を強く何度も通すことがあります。引っかかっているのは絡んだ毛ではなく、密度そのものであることが多い場所です。力を入れると、抜ける準備のできていない毛まで動きます。手ごたえが強い場所は、コームの歯を浅くして、通す距離を短くしてください。それでも進まないときは、その日はそこで止めて構いません。

コームを通す前にmofuwa グルーミングスプレーを挟むと、この2つ目のつまずきが起きにくくなります。滑りが先にそろっていれば、手ごたえを取ろうとして同じ場所を何度も通す必要がなくなり、3〜4回で止められます。体に直接吹きかけるより、手のひらに出してから毛の流れに沿ってなでるほうが、この猫種には向いています。アルカリ電解水と余分な皮脂が乳化するので、床に接している腰の面についた汚れも、同じ動きで一緒に移ります。舐めても問題のない基準でつくられているので、点検のあとにその子が毛づくろいを始めても、使った量を気にしなくて構いません。洗う日はモイストシャンプー、その間の日はグルーミングスプレー。猫は洗う日そのものが少ないので、間の日のほうを毎日そろえておくと、週2回の点検で受け取れるものが増えます。グルーミングスプレーを使った日も、コームは3〜4回で止めてください。

換毛期は回数ではなく場所を足す|スコティッシュストレートの抜け毛で線を引き直すところ

1年のうち、週2回・3か所という決め方を変えるのは、春と秋の一時期だけです。変えるのは回数ではなく、触る場所の数です。換毛期には、3か所に2か所を足して5か所にします。足すのは、首の後ろと、しっぽの付け根の左右です。どちらも、下毛が動きはじめたときに手ざわりが早く変わる場所です。

回数のほうは、週2回のままで構いません。同じ間隔で測り続けるから、前の回と比べられます。換毛期だからと毎日に増やすと、前回との差が小さくなりすぎて、変化が読めなくなります。時期が終わったら、場所の数も3つに戻します。この上げ下げを、その年の記録に一言だけ残しておくと、翌年の入り口が読みやすくなります。

ふだんと換毛期で、何を変えて何を変えないか
ふだん換毛期
触る回数週2回週2回のまま
触る場所肩甲骨・脇腹・腰の3か所首の後ろ・しっぽの付け根を足して5か所
コームを通す回数1か所につき3〜4回3〜4回のまま
記録に書くこと場所の頭文字と手ざわりの一語同じ。場所が増えたことだけ一言足す

ここまでは、被毛と季節の条件で説明のつく抜け毛の話でした。決めた日に触っていると、その説明では合わない変わり方に、早い段階で気づけるようになります。次のような変化が出たときは、コームを通す回数を増やす方向へ進まないでください。

Caution密な被毛は、外から見えないまま進みます

地肌が赤い、ふけのようなものが出ている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、同じ場所をなめ続けている、触ると痛がる、においが出てきた、元気や食欲が落ちている。ひとつでも当てはまったら、週2回の点検を増やす方向へは進めず、動物病院にご相談ください。密な被毛は、地肌の状態が外から見えにくい作りです。記録の一語が3週続けて同じでないときは、その3週分を持って行ってください。

相談に行くときは、3か所のどこか、いつからか、そのときの記録の一語を持っていってください。週2回の記録が3週間ぶんあれば、それだけで変化の速さが伝わります。前の日に念入りにコームを通してから行くと、もとの状態が分からなくなります。気になっている状態のまま連れて行って構いません。

最後にまとめます。スコティッシュストレートは、耳のことでも毛のことでも、人を呼ばずに1日を終えられる猫です。それは暮らしやすさそのものですし、変える必要のないところです。変えられるのは、抜け毛の変化を人がいつ受け取るか、という時間のほうだけです。困っていないから触らない、を続けると、家の中に毛が目につく日まで情報が入ってきません。曜日を決めて、3か所だけ、手のひらから順に、2分。この短いやり方が、この猫種でいちばん効いてくる手です。

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よくある質問

短毛なので、ブラッシングは要らないのではありませんか?
整える目的なら、頻繁でなくて構いません。ただ、この記事で書いているのは整えるためのブラッシングではなく、その日の状態を受け取るための点検です。週2回、3か所、コームは3〜4回で足ります。むしろ長く続けるほうが、根元の皮脂を持っていくことになります。
決めた日に触ろうとしても、猫が逃げてしまいます。
時間帯を変えてみてください。ごはんのあとや、寝る前の落ち着いている時間に合わせると座っていられる子が多くなります。途中で離れていっても、そこまでで構いません。先週より早く立ったというのも、記録として意味があります。無理に押さえてまでやる必要はありません。
家の中の毛が増えてから触りはじめても、間に合いますか?
その時点から始めても構いませんが、家の中で目につくのは、被毛の側が動きはじめてから数週間あとです。次の季節に間に合わせるには、気にならない時期から曜日を固定しておくほうが確実です。気になった日に始める決め方だと、毎年同じだけ遅れます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。