C05犬種・猫種別ケア

キムリックと暮らすなら知っておきたい、しっぽまわりの汚れの話

公開日 2023年7月4日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床に、長い毛の猫が背中を丸めて落ち着いて座っている
同じ場所を覆っていても、動くものと動かないものでは、その下で過ごす時間の長さが変わります。

キムリックのお尻のあたりに手のひらを当てると、長い毛がスカートのように垂れていて、その下に手が入りません。尾のある猫なら、同じ場所を覆っているのは尾です。尾は一日に何度も位置を変えます。キムリックのしっぽまわりを覆っているのは毛なので、位置が変わりません。座れば体の重みで押さえられ、立てばまた同じ向きに垂れます。ふたが開く時間がないまま、その下で皮脂と湿りが積み上がっていきます。しかも、この毛は自分の口まで持っていけません。尾なら前へ回して毛づくろいができるところが、垂れた毛ではできない。この記事では、動く尾と動かない毛のふたを並べて、キムリックのしっぽまわりの汚れがどこで生まれているのかを書きます。

尾があった場所を、垂れた長い毛が覆う|キムリックのしっぽまわりに汚れが留まる条件

キムリックは、尾がほとんどない子から、こぶし一つ分ほど残っている子まで、しっぽの長さに幅があります。ただ、どの子にも共通していることがあります。お尻のあたりに、長い毛がまとまって生えていて、それが下へ垂れていることです。キムリックは長い被毛を持つ猫なので、この毛は体の面から離れて、カーテンのように下がります。しっぽまわりの汚れを考えるときに見るのは、尾の長さではなく、この垂れている毛のほうです。

キムリックは後ろ脚が前脚より長く、腰の位置が高い体格の子が多い猫です。腰が高いと、そこから生えた毛は下へ長く垂れます。垂れた毛は、しっぽまわりの上にそのままかぶさります。座ると体の重みで下から押し返され、立つとまた同じ向きへ戻ります。向きが決まっているので、めくれる場面がありません。ふたとして考えると、閉じたまま一日が過ぎていきます。

ふたが閉じたままだと、その下の空気が入れ替わりません。皮脂は毛の根元にたまり、湿った空気はそこに残ります。汚れが増えるより先に、汚れがそこにいる時間のほうが長くなります。キムリックのしっぽまわりで最初に起きるのはこれです。目に見える汚れが出てきたときには、すでにその状態がしばらく続いていた、という順番になります。

毛づくろいの側からも見ておきます。猫は体の後ろ側を、体をひねって舐めます。腰から下へ垂れた毛は、その動きの外側にあります。垂れた毛の表面には舌が届いても、毛をめくって根元まで舐めるという動きが成立しません。毛づくろいの回数が足りないのではなく、めくるという動作そのものが猫の動きの中にありません。ここは、その子の毛づくろいが届かない場所として、人が代わることになります。

Note尾が短いこと自体を、汚れの原因にしないでください

しっぽまわりの話になると、尾の長さのほうに目が行きます。けれどキムリックで見るのは、尾の長さではなく、そこを覆っている毛が動くか動かないかです。尾が短い短毛の子であれば、覆うものがないぶん、同じ場所は乾いています。長い毛を持つキムリックだから、ふたができます。尾の長さの話にすると答えが出ませんが、毛の話にすると、手を入れる場所がはっきりします。

動く尾と、動かない毛のふた|キムリックのしっぽまわりを比較する

同じ場所を覆っていても、覆っているものが尾なのか毛なのかで、その下で過ごす時間が変わります。ここでは、尾のある猫のしっぽまわりと、キムリックのしっぽまわりを、同じ項目で比較します。比べるのは、覆いの厚さではなく、覆いが動くかどうかです。

尾は、体の一部として動く部品です。歩けば左右に揺れ、寝るときは体に巻きつき、座れば足元に回ります。一日のあいだに、同じ場所にとどまっている時間がありません。位置が変わるたびに、その下の空気も入れ替わります。しかも尾は、前へ回して口元へ持っていける長さがあります。根元から毛先まで、猫は自分でくり返し毛づくろいをします。覆いそのものが、その子の手入れの対象になっています。

キムリックの毛のふたは、部品ではなく、腰から垂れている被毛の面です。動く関節がないので、自分から位置を変えません。前へ回すこともできないので、口元へ持っていけません。覆いは覆いのまま、同じ向きで一日そこにあります。尾のある猫では覆いが毛づくろいの対象になっているのに、キムリックでは対象の外にある。ここが、いちばん大きな差です。

覆っているものが尾か毛かで、その下の時間が変わります
動く尾動かない毛のふた(キムリック)
覆っているもの関節のある体の部品腰から垂れている被毛の面
一日の中の位置歩く・座る・寝るで変わる立っても座っても同じ向き
下の空気位置が変わるたびに入れ替わる入れ替わる場面がない
口元へ持っていけるか前へ回して毛づくろいができる回せないので、届きません
湿ったとき位置が変われば風が当たる面のまま、乾くのを待つ
皮脂の行き先尾の毛に移って、毛づくろいで動く根元にたまり、そこに残る
人が手を入れる場所尾の毛の表面垂れた毛を持ち上げた、その下
動く尾と、動かない毛のふた しっぽまわりを覆っているものが、位置を変える部品なのか、垂れたまま動かない被毛の面なのか。キムリックでは覆いが動かないので、その下の空気が入れ替わる場面がありません。 覆いが動くかどうかで、下の時間が変わります 動く尾 一日に何度も位置が変わる 動くたびに空気が入れ替わる 前へ回して毛づくろいできる 覆い自体が手入れの対象 動かない毛のふた 垂れる向きが決まっている 下の空気が入れ替わらない 口元へ持っていけない 覆いは手入れの対象の外 キムリックでは、めくる役を人が引き受けます
汚れの量ではなく、汚れがそこにいる時間の長さが分かれ目です。

この比較から出てくる答えは、はっきりしています。キムリックのしっぽまわりでやるのは、汚れを落とすことより先に、ふたを開けることです。尾のある猫では一日に何十回も起きていた「覆いが動く」という出来事が、キムリックでは起きません。その回数を、人が数回ぶんだけ肩代わりする。毎日のケアとして持ち込むのは、ブラッシングの前に毛を持ち上げる、という一手になります。

もうひとつ、比較して分かることがあります。尾のある猫のしっぽまわりの汚れは、尾の毛の表面についていることが多いので、外から見えます。キムリックでは、汚れは垂れた毛の下にあります。外から見て気づいたときには、その下にはもう少し広がっています。見えたかどうかで判断すると、いつも一手遅れます。見る前に持ち上げる、という順番にしてください。

毛先から整えるか、根元から持ち上げるか|キムリックのしっぽまわりでどっちを選ぶか

手を入れると決めたあと、迷うのはここです。垂れている毛の毛先を整えるところから始めるのか、根元を持ち上げるところから始めるのか。この2つは、目的がまったく違います。毛先を整えるのは、毛の流れをそろえて、面がまとまるのを遅らせる手当てです。根元を持ち上げるのは、ふたを開けて空気を通す手当てです。どっちを選ぶかは、その日の手ざわりで決まります。

  1. 垂れている毛の、外側に手のひらを当てて滑らせる

    上から下へ、毛の流れに沿って手のひらを滑らせます。すっと抜けるなら、毛先はまだ絡んでいません。途中で引っかかる、毛先どうしが寄って束になっているなら、その日は毛先の側から始めます。この段階で根元へ手を入れると、絡んだ毛ごと引っぱることになります。

  2. 毛の流れと直角に、指を1本入れて根元へ向ける

    毛をかき分けるのではなく、指を差し込むように入れます。指先が地肌に触れるか、毛の層の中で止まるか。すっと届くなら、その日は根元を持ち上げるだけで足ります。押し返されるなら、その厚みがそのまま溜まっている毛の量です。

  3. 指を入れたまま、毛の面を上へ持ち上げて5秒置く

    持ち上げるのは、めくる動作を人が代わるためです。持ち上げたら何もせず、5秒だけそのままにします。ふたの下に空気が入って、抱えていた湿りが抜けていきます。ここで毛をとかそうとしないでください。開ける仕事と、とかす仕事は分けます。

  4. 持ち上げた下の地肌を、触らずに目で見る

    色が周りと同じか、湿っていないか、毛が寄って面になっていないか。見るだけで、指でこすらないでください。気になる状態があれば、その日の日付と場所をメモします。毎日でなくて構いません。週に2回ほど、この段階まで来ておくと変化に気づけます。

手ざわりと、その日にどっちを選ぶか
手で確かめたことその日に選ぶほう
手のひらが引っかかる/毛先が束になる毛先の側から。根元はその日はやりません
手のひらは抜けるが、指が途中で止まる根元を持ち上げて、空気を通すところまで
手のひらも抜け、指も地肌まで届く持ち上げて5秒置くだけで足ります
持ち上げた下が湿っている拭かずに、開いたまま置く時間を延ばします
持ち上げると嫌がる、腰を落とすその日はやめて、翌日に短く区切ります
Pointブラッシングの一部にしないほうが、続きます

しっぽまわりを、全身のブラッシングの流れの中で最後にやろうとすると、その子の集中が切れたあとに当たります。キムリックのしっぽまわりは、ブラッシングとは別の1分として切り出したほうが続きます。膝の上で落ち着いているとき、なでている手のまま毛を持ち上げて5秒置く。道具も要りません。これだけで、動かないふたが一日に一度は開くことになります。

ふたが厚くなる時期|キムリックのしっぽまわりで手を増やすのは換毛期と湿度の高い日

毎日のケアの量を、一年じゅう同じにする必要はありません。キムリックのしっぽまわりでふたが厚くなる時期は、はっきりしています。ひとつは換毛期、もうひとつは湿度の高い時期です。この2つの時期だけ、持ち上げる回数を増やします。時間を長くするのではなく、回数のほうを増やしてください。

換毛期に何が起きるかを整理します。春と秋に下毛が抜けると、抜けた毛は垂れている長い毛のあいだに残ります。抜けた毛が外へ落ちる前に、ふたの中に留まります。ふたの厚みが増して、その下の空気はさらに動かなくなります。この時期は、根元を持ち上げるだけでなく、持ち上げたあとに毛の流れに沿って数回とかして、留まっている毛を外へ運ぶところまでやります。

湿度の高い時期は、乾くまでの時間が延びます。長い被毛は水分を抱えるので、一度湿った面はなかなか戻りません。拭く回数を増やすより、開けておく時間を延ばすほうが先です。拭くと、その場では見た目が変わりますが、水分がひとつ増えます。開けておけば、抱えていた水分が減ります。時期によってどちらが効くかが変わるのではなく、湿った季節ほど開ける側の値打ちが上がる、という話です。

時期ごとに、増やすのは回数のほうです
ふだんの時期換毛期湿度の高い時期
持ち上げる回数1日1回1日2回1日2回
1回にかける時間5秒ほど持ち上げてから数回とかす10〜15秒、開けたまま置く
とかす道具使わなくて構いません毛の流れに沿って通すもの使わなくて構いません
見るところ指が地肌まで届くか持ち上げた下の毛の量持ち上げた下が湿っていないか

皮脂と洗う回数についても書いておきます。垂れた毛が面のようにまとまるのは、皮脂が毛どうしを寄せるからです。皮脂が原因なら洗えばいい、という順番にはなりません。洗う回数が増えれば、皮脂と一緒に地肌のうるおいまで持っていかれます。しかもキムリックの長い被毛は乾くまでに時間がかかるので、洗うたびに、しっぽまわりが濡れている時間が積み上がります。動かすのは洗う回数ではなく、ふたが開いている時間のほうです。

垂れた毛を持ち上げたら、その流れをそろえるところまでを一続きにしてください。布にグルーミングスプレーを含ませて、持ち上げた毛を根元から毛先へ、一方向にひと拭きします。滑りがそろっていると、次に指を差し込むときに毛の層が素直に分かれます。電解水と余分な皮脂や油が乳化するので、毛どうしを寄せている脂のほうから先にゆるみます。

猫のしっぽまわりで量を気にしなくていいことは、大きいところです。舐めても問題のない基準でつくられているので、体をひねって口を近づけてくる子にも、そのまま使えます。毎日きれいにしてあげたい、を毎日やれる形にしているのが、グルーミングスプレーの役割です。垂れた毛へ直接吹きかけて、そのまま置くことはしないでください。使ったあとは、開けたまま置く時間を少し長めにとります。

Caution面になった毛を、引っぱってほどかないでください

持ち上げたときに、毛が面のようにまとまって指が止まることがあります。ここで力を入れて引くと、抜けた毛ではなく、生えている毛と皮膚を一緒に引っぱることになります。その面は、今日のうちにほどききらなくて大丈夫です。今日は端から少しだけ、明日はもう少し、と分けてください。腰を落とす、声を出す、振り返って口を近づけてくるといった反応が出たら、その日はそこで止めます。ほどけない面が広がっているときは、無理をせずトリミングや動物病院で相談してください。

毛のふたでは説明がつかない、しっぽまわりの変わり方

ここまでは、垂れた毛が動かないことで説明できる汚れの話でした。持ち上げる習慣を続けていても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、キムリックの体格や被毛の条件として片づけないほうが安全です。

Cautionふたの下の状態として片づけないほうがいい合図

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所を舐め続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、排泄のときの様子が変わった、元気や食欲が落ちている。ひとつでも当てはまるときは、持ち上げる回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。キムリックのしっぽまわりは垂れた毛に隠れていて、外から見えません。見えないまま様子を見る時間が延びるより、早いほうを選んでください。

相談に行くときは、いつからか、持ち上げた下がどんな状態だったか、その日にやったことの3つをメモしてください。この3つがあると、動かない毛のふたで説明のつく汚れなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に持ち上げて整えていくと、ふだんどうなっているかが伝わりません。その日に気づいた形のまま連れて行ってください。

キムリックと暮らすうえで、しっぽまわりが長い毛に覆われていること自体は変わりません。腰から垂れる豊かな被毛は、この猫が持っている作りです。減らせるのは汚れそのものではなく、ふたが閉じたままになっている時間のほうです。尾のある猫では一日に何十回も起きている「覆いが動く」を、人が一日に一度だけ代わる。持ち上げて、5秒置く。キムリックのしっぽまわりで手を入れられるのは、そこです。

Product

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よくある質問

キムリックのしっぽまわりは、毎日拭いたほうがいいですか?
拭くことより、持ち上げることを毎日にしてください。垂れた毛は動かないので、その下の空気が入れ替わる場面がありません。拭くと水分がひとつ増えますが、持ち上げれば抱えていた湿りが抜けます。拭くのは、目に見える汚れがついた日だけで足ります。
尾のある猫と、しっぽまわりのお手入れはどう変わりますか?
尾のある猫では、覆っている尾が一日に何度も位置を変え、しかも前へ回して自分で毛づくろいができます。キムリックでは覆いが動かず、口元へも持っていけません。つまり、覆いが動くという出来事だけが抜け落ちています。人が代わるのは、その一手です。
長い毛を短く切ってしまえば、しっぽまわりの汚れは減りますか?
自分でハサミを入れることはおすすめしません。皮膚が毛に隠れて見えない場所なので、家庭での作業は危険が伴います。毛の長さを変えたいときは、トリミングで相談してください。毛の長さを変えなくても、持ち上げて空気を通す一手だけで、ふたが閉じている時間は短くできます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。