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一人暮らしを楽にする、多頭飼いの人の毎日の習慣

公開日 2023年7月1日|文=mofuwa編集部

明るいリビングの床で、クリーム色の犬と白い猫がならんで休んでいる
頭数が増えても、手を動かす人はひとりのままです。だから決めておくのは、いちばん下の線のほうです。写真:Nuri Askerhan/Pexels

金曜の夜に熱っぽくなって、土曜は一日、敷いたままの布団から起き上がれませんでした。一人暮らしで、犬2頭と猫1頭。帰宅後にやっていた足の拭き取り、ブラシ、水の入れ替えが、その日は3頭ぶん同時に止まりました。多頭飼いのペットのケアは、頭数で割られているように見えて、実際は「自分ひとり」という1本の線に全部ぶら下がっています。だから欠ける日は、1頭ぶんが減るのではなく、全部が0になります。この記事では、元気な日の手順ではなく、動けなかった日でも0にならない最低ラインの決め方を書きます。

動けない日は、1頭ぶんではなく全頭が止まります|一人暮らしで多頭飼いのペットを見ている背景

その土曜、家の中で先に動いていたのは犬たちのほうでした。いつもなら玄関で足を拭かれてから部屋に入る2頭が、待っても人が来ないので、途中であきらめて自分の寝床に戻っていきます。猫は椅子の上から、こちらを見て動きませんでした。一人暮らしの多頭飼いでは、ケアが始まるかどうかを決めているのが、その日の自分の体調ひとつだけです。多頭飼いのペットの毎日は、頭数ではなく、この1点で決まっています。

その日に止まったものを、あとから書き出してみました。玄関での足の拭き取り、帰宅後のブラシ、耳のまわりを見ること、水の入れ替え、猫のトイレの砂ならし。数えると5つで、それが3頭ぶんですから、動かなかった手は15回ぶんです。1頭が抜けたのではなく、5つの手が3頭ぶん、まとめて同じ日に消えました。多頭飼いの時間の減り方は、こういう形をしています。

翌日の日曜は、少し楽になったので起きました。ただ、起きたときにやることが増えていました。毎日1回ずつやっていたことは、1日空くと次の日には2日ぶんになります。それが頭数ぶんあるので、日曜の午前は室内をひたすら往復することになりました。一人暮らしの多頭飼いで負担が重くなるのは、休んだその日ではなく、たいてい次の日のほうです。

Noteこれは、さぼった日の話ではありません

熱が出れば寝ます。人として当たり前のことです。問題は、寝るという当たり前の判断が、多頭飼いのケアでは全頭ぶんの停止と直結してしまう構造のほうにあります。頑張れば防げるという話にすると、体調が悪い日に自分を責めることになります。この記事は、責めない代わりに、止まり方のほうをあらかじめ設計しておく話です。

手の数が頭数で割られるのではない理由|一人暮らしのペットは1本の線にぶら下がっている

多頭飼いというと、1頭あたりに使える時間が頭数で割られる、という説明のされ方をします。3頭なら3分の1です。それは毎日のケアが回っているあいだの話で、実際の一人暮らしではもう一段、別の条件が乗っています。割り算が成り立つのは、割る側の人がその日に立っている場合だけです。

家族が複数いる家なら、誰かが寝込んでも、別の誰かが水を替えます。頭数ぶんの手が別々の人から出るので、1人が抜けても全部は止まりません。一人暮らしの多頭飼いでは、3頭ぶんのケアが、たった1本の線から枝分かれしています。枝がいくら増えても、根もとは1本のままです。同じ多頭飼いでも、ペットのケアが置かれている条件がまるごと変わります。

「自分が動けない日」に何が起きるか。暮らし方で結果が変わる
1頭で暮らす場合家族がいる多頭飼い一人暮らしの多頭飼い
その日に止まるもの1頭ぶん手が空いた人の担当ぶんだけ全頭ぶん、同時に
代わりの手自分だけ同居している家族いません
翌日に残る量1日ぶん分担で薄まる1日ぶん × 頭数
いちばん先に出る変化床の毛気づかれにくい室内のにおいと、床の毛の量
決めておくべきことやる時間誰がやるかやらない日の下限

ここで言葉をひとつ決めておきます。最低ラインとは、その日にこれだけやれば0ではない、と自分であらかじめ決めておく1つの手のことです。ふだんの手順の縮小版ではありません。縮小版だと、体調が悪い日に「どこを削るか」を考えることになり、その判断そのものが重いからです。考えなくても手が動く1つだけを、元気なうちに決めておきます。

多頭飼いには、もうひとつ固有の条件があります。体についたものが、頭どうしで移ります。くっついて寝る、同じ床で伸びる、同じ器から水を飲む。1頭ぶんの毛やにおいが、その子だけに留まりません。だから止まった日の影響は、頭数ぶんの足し算というより、室内全体の条件として出てきます。においが分かりやすいのはそのためで、これは怖い話ではなく、手をつける場所が1か所で済むという意味でもあります。

Point頭数ぶんの最低ラインを作らないでください

3頭いるから最低ラインも3つ、としてしまうと、動けない日には3つとも実行できません。最低ラインは、頭数に関係なく1つだけにします。3頭に同じことを1回ずつするのでも、いちばん体を寄せてくる1頭にするのでも構いません。一人暮らしの多頭飼いで守れるのは、数ではなく「迷わないこと」のほうです。

最低ラインを1つだけ決める|一人暮らしで多頭飼いのペットに起きた変化

最低ラインに選んでよい手には、条件があります。元気な日の基準で選ぶと、動けない日に必ず外れるからです。選ぶときの条件は3つ。立たないでできること、探さないでできること、数えないでできることです。この3つを満たす手は、たいていひとつかふたつしか残りません。残らないほうが、決めるのは楽になります。

  1. 立たないでできるかを試す

    布団や椅子に座ったまま、その手が最後まで終わるかどうかを実際にやってみます。途中で一度でも立ち上がる必要があるなら、それは最低ラインには向きません。ブラシを全身にかけるのは立つ必要がありますが、寄ってきた1頭の背中を数往復なでるように通すだけなら、座ったままで終わります。

  2. 探さないで手が届く場所に、道具を1つ置く

    道具を取りに行く動作が入ると、動けない日には実行されません。寝る場所から手を伸ばして届く範囲に、その1つだけを置きます。引き出しの中ではなく、外に出したままにしておくのがコツです。一人暮らしの部屋は自分以外が動かさないので、置きっぱなしにしておける利点があります。

  3. 頭数を数えないで済む形にする

    「3頭に順番に」と決めると、2頭で力尽きたときに失敗になります。多頭飼いで最後まで続くのは、来た子から順に、来た子だけという形です。来なかった子は今日はやらない、と先に決めておきます。数えないので、途中で止まっても0にはなりません。

  4. 「今日はここまで」と口に出して終える

    一人暮らしだと、終わりを告げる相手がいません。そのぶん、どこまでやったかが記憶に残らず、あとから「何もしていない」という印象だけが残ります。声に出して終えると、その日は0ではなかったことが自分に残ります。記録を書く習慣まで持ち込まないのが、この段階でのコツです。書くのは、元気な日にやることです。

同じ表の3段に並べておく。動けない日にどれをやるか考えないため
その日の状態帰宅後にやることかかる時間
ふだんの日足の拭き取り → ブラシ → 耳のまわり → 水の入れ替え(3頭)20〜25分
少ない日足の拭き取りと水の入れ替えだけ(3頭)7〜8分
動けない日来た子の体を、座ったまま拭くように1往復(来た子だけ)1〜2分
翌日にやること前日ぶんを取り返そうとしない。ふだんの日に戻すだけ20〜25分

体についたものは頭どうしで移りますが、被毛の下の地肌だけは、どの子も自分では届きません。毛づくろいで届くのは表面までで、そこに手が入るのはこちらが水を入れたときだけです。一人暮らしの多頭飼いでも、週末の洗う日を残しているのはそのためです。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。泡を立てて被毛をかき分ける工程がないので、押さえて擦る力が要りません。うちで効いたのは、時間より姿勢のほうでした。浸かっているあいだ、こちらは浴室の縁に座っていられます。最低ラインを選ぶときの「立たないでできること」という条件を、そのまま洗う日にも持ち込めます。誰から入れるかも、寄ってきた子から順で構いません。ここも数えずに済みます。

Caution翌日に、頭数ぶんを取り返そうとしないでください

1日空いたぶんを次の日に足すと、その日は倍の時間がかかります。多頭飼いでは、その倍がさらに頭数ぶん重なります。体調が戻ったばかりの日に3頭ぶんの遅れを一度に処理しようとすると、また同じ形で止まります。抜けた日は抜けたままにして、ふだんの日の手順に戻すだけにしてください。毎日の習慣は、取り返さないほうが続きます。

4週間で、0の日が消えた|一人暮らしと多頭飼いのペットを続けた経験

最低ラインを1つに決めてから4週間、カレンダーに丸だけをつけて過ごしました。丸の意味は「その日は0ではなかった」で、内容は問いません。4週間のうち、ふだんの日が18日、少ない日が7日、動けない日が3日。丸がつかなかった日は、4週間で1日でした。それ以前は、体調を崩した週にまとまって空白が出ていたので、そこが変わったことになります。

うまくいかなかったこともあります。最初の週は、最低ラインを「3頭とも1往復」にしていました。動けない日に2頭で力尽きて、その日を失敗として数えてしまい、翌週の丸まで途切れました。頭数を数えた瞬間に、最低ラインが最低ではなくなります。「来た子だけ」に書き換えたのは2週目からで、そこから4週目まで途切れませんでした。

もうひとつ変わったのは、ケアの目的の置き方です。それまでは、毎日きちんとやることが目的になっていました。いまは、止まる日が来ることを前提にして、止まり方を浅くしておくことが目的です。一人暮らしの多頭飼いでは、頑張れる日の上限を上げるより、こちらのほうが結果として続きます。ペットに使っている時間の総量は、ほとんど変わっていません。

最後に、家の話ではないところを1つ書いておきます。皮膚が赤い、同じ場所をなめ続けている、いつもと違うにおいが1頭だけから続く、食欲や元気が落ちている。こうした変化に気づいたときは、毎日のケアの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。多頭飼いでは、他の子と比べられるぶん変化に気づきやすい反面、「みんな同じだから」と流してしまうこともあります。1頭だけが違うときは、その1頭の話として見てください。相談に行くときは、いつからか・どの子か・その週に動けない日があったかの3つをメモしていくと、話が早く進みます。

一人暮らしで多頭飼いをしていると、自分が休むことと、全頭のケアが止まることが、同じ1本の線でつながっています。線を切ることはできません。できるのは、その線がいちばん細くなる日に、何が残るかを先に決めておくことだけです。帰宅後の1手を1つ、座ったまま、探さず、数えずに。多頭飼いのペットとの毎日で動かせるのは、上限ではなく下限のほうです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。