C14トリマー/獣医師視点

毛量が多い子のドライのコツ

公開日 2023年9月24日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色のラグで、白い猫のそばに寄り添って休んでいる毛量の多い淡色の犬
毛量が多い子ほど、毛の表面と地肌のあいだに距離があります。写真:Claudia Schmalz/Pexels

ドライヤーを止めて2秒待つと、毛量が多い子の毛は、乾いた場所だけが立ったまま残ります。風で持ち上がっていた場所は、その2秒のあいだに自分の重さで倒れ、隣の毛とくっついて元の束へ戻ります。トリミングの現場が毛量の多い子を乾かすときに見ているのは、この立つか倒れるかの差です。触って熱いかどうかで決めると、風が当たっていた表面の温度しか読めません。毛量が多いほど、毛の表面と地肌のあいだに距離があり、その距離のぶんだけ乾き具合の判断が遅れます。ここでは、風を止めた2秒で見分けるところから、乾かし残りが寄る場所、どこまで自分で乾かし直してよいかまでを順に置きます。

風を止めて2秒、立つか倒れるか|毛量が多い子を乾かす前のチェック

現場では、風を当てながら乾き具合を見ません。一度スイッチを切って、指で毛を分けた形のまま2秒待ちます。乾いている毛は根元に腰があるので、分けた筋が開いたまま残ります。まだ水を含んでいる毛は、風がなくなった瞬間に倒れて隣の毛と重なり、筋が閉じます。毛量が多い子ほど、この差がはっきり出ます。毛が密なぶん、倒れたときに受け止めてくれる隣の毛が多いからです。

風を止めた2秒のあいだに見る5点
見るところ乾いているときまだ乾かすとき
分けた筋開いたまま残る手を離すと閉じる
根元の腰指を離しても立っている自分の重さで倒れる
指を抜くときの抵抗すっと抜ける途中でひっかかる
毛束の重さ持ち上げると軽い先のほうが重い
10秒後の形そのまま変わらない束に戻っている

この2秒を挟むと、1頭を乾かす時間はむしろ短くなります。風を当てたまま判断すると、すでに乾いている場所へも同じだけ風を送り続けることになるからです。毛量が多い子を乾かす作業のうち、実際に水が残っているのは体の一部です。その一部を先に見つけてしまえば、残りは仕上げの風で足ります。

トリミングの現場では、この確認を区画ごとに入れます。体をいくつかに割り、1区画を終えるたびにスイッチを切って2秒待つ。途中で全身をなでて確かめる、という見方はしません。毛量が多い子の場合、全身をなでた手ざわりは、いちばん乾いている場所の手ざわりになります。毛の先は体のどこでも早く乾くので、なでる高さで判断すると、地肌の側がどれだけ残っていても同じ感触に見えます。

乾かし残りが寄る4か所|毛量が多い子の乾ききらない場所の見分け方

残る場所は、毛量が多い子ではだいたい決まっています。風が流れる道から外れていて、なおかつ毛が二方向から重なっている場所です。どちらか一方だけなら、風を当てる時間を少し足せば追いつきます。二つが重なった場所だけが、最後まで湿って残ります。

風が流れる道と、道から外れる場所 ドライヤーの風は体の外側の面に沿って流れていきます。面の下へ入り込んでいる場所は、風量を上げても当たる量が増えません。増やすべきなのは風の強さではなく、風が入る向きの数です。 風が当たる面 背中・体側 風が流れる先 腰・しっぽの付け根 道から外れる場所 脇・内股・耳の後ろ 面に沿って流れる 下へは入らない 風量を上げた日 外側の毛だけが動く 外れた場所は変わらない 向きを変えた日 毛を分けて風を入れる 外れた場所に道ができる
毛量が多い子では、風は毛の上を通りすぎていきます。

この4か所は、飼い主への説明でいちばん伝わりにくいところでもあります。見えている毛はもう乾いているので、説明を聞いた側の目には「乾いている」と映っています。現場では、飼い主の指をそのまま毛の中へ入れてもらいます。自分の指で湿りに触れた人は、次の週から同じ場所を先に乾かすようになります。言葉で伝えるより、指1本のほうが早いところです。

家で毛量が多い子を乾かすときも、この4か所から始めると全体が早く終わります。乾きにくい場所を最後に回すと、そこを乾かしているあいだに、先に終えた場所の毛が落ち着いて寝てしまいます。乾かす順番は、乾きにくいところが先です。仕上げの風は、そのあとに全身へ一度かけるだけで足ります。

どこまで自分で乾かし直すか|毛量が多い子に残った湿りの様子見の幅

半乾きのまま時間がたってしまった日は、誰にでもあります。そのあと家でできることと、待っていても変わらないことの境目は、湿りが何時間で消えるかで分かれます。毛量が多い子では、地肌に近い湿りが2時間から3時間かけてゆっくり上がってきます。だから乾かし終えた直後の1回だけでは、判断の材料が足りません。

湿りが残ったあと、どの時点で何を見るか
時点見ること家でやること
30分後4か所の筋を開いて指を入れる湿っていれば、その区画だけ乾かす
2時間後地肌の色と、指を抜く抵抗薄くなっていれば風は足さない
翌朝同じ4か所と、舐めているかどうか乾いていれば普段どおりに戻す
2日目赤み・フケ・においの有無出ていれば紙に1行書いておく
1週間同じ場所に同じことが起きるか回数を数えておく
  1. 毛を分けてから風を入れる

    毛量が多い子では、表から風を当てても地肌まで届きません。片手で毛を横に分け、分けた筋に沿って風を入れます。分ける線を1センチずつ動かしながら、体側を1列ずつ進めます。

  2. 1区画15秒で切り上げる

    同じ場所へ長く当てると、地肌の側が先に乾いて突っ張ります。15秒で次の列へ移り、体を一周してから同じ列へ戻ります。戻ってきたときに筋が開いていれば、その列は終わりです。

  3. 最後に地肌へ1本置く

    乾かし終えた地肌は、その日いちばん水分が抜けています。毛を分けた状態で mofuwa スキンケアミストを10センチ離して吹きかけ、指の腹で地肌に沿ってなじませます。

この1本を毎日の側に置いているのは、地肌まで届く形で使えるからです。mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、精製水と浸透のしやすさを比べた自社の検証では35倍という数字が出ています。毛量が多い子の場合、表面にとどまるものだと毛の上で止まってしまい、届かせたい地肌まで落ちてきません。水そのものなので、乾かしたあとの毛に重さが出ないのも、毛量が多い子では大きいところです。仕上げた高さが、置いたあとも変わりません。

使う場所を選ばなくていいのも、乾かしたあとに向いている理由です。口に入っても差し支えのない基準でつくられているため、耳のふちや口の横で手を止める必要がありません。乾かし終えたあとにその子が舐めるのは、たいてい湿りが最後まで残っていた場所です。脇や内股は、そのまま舐める場所と重なります。届かせたい場所と、舐める場所が同じだという前提で選べる1本は、毛量が多い子ではそれほど多くありません。

毛量が多い子を乾かす手を1つ増やすなら、道具より先にこの順番のほうです。分ける、風を入れる、地肌へ置く。3つの並びが同じなら、使うドライヤーが家庭用のままでも、残る場所は減ります。現場と家で違うのは風の強さではなく、毛を分けている時間の長さです。

乾かす手を止めて切り替えるところ|毛量が多い子の湿りで動物病院へつなぐ形

乾かし方を変えても残るものがあります。湿りが乾かす技術の話でなくなるのは、同じ場所に同じことが3回続いたときです。1回なら乾かし残り、2回なら手順の癖、3回目からは体の側に理由があります。回数で線を引いておくと、待ちすぎることも、早すぎることもなくなります。

Caution同じ4か所で、3回続けて同じことが起きたとき

乾かし終えた直後に同じ場所を舐め始める/地肌の赤みが翌日も同じ濃さで残る/フケが毛の根元に白く固まっている/毛量が多い子で、抜ける量が左右で違う。こうした残り方は、乾かす順番を直しても動きません。いつ乾かして、どこが何時間湿っていたかを1行ずつ書いた紙を持って、動物病院で診てもらってください。トリマーが見ているのは毛と地肌の表面までで、そこから先は獣医師が診るところです。

現場からも、同じ線で病院へつなぎます。トリミングの途中で乾かす手を止めて、その日のうちに飼い主へ伝えるのは、毛量が多い子で左右の差が出たときです。片側だけ乾きが遅い、片側だけ毛が抜ける、片側だけ触ると体をひねる。左右の差は、乾かす技術では説明がつきません。毛量の多さは左右で同じだからです。

この3回を数えているあいだ、家でやめておくことが1つあります。乾ききらなかった場所を、翌日もう一度濡らして洗い直さないことです。毛量が多い子では、洗う日と洗う日のあいだに濡れる回数が増えるほど、地肌が湿っている時間の合計が伸びます。気になる場所は拭くだけにして、乾かすのは風で済ませてください。診察の日に見せたいのは、洗い直したあとの状態ではなく、ふだんの状態のほうです。

体を6つに割ってから始める|毛量が多い子を乾かす区画の決め方

区画の割り方は、その子の体型で決めます。毛量が多い子では、面積で割るより、毛の流れが変わる線で割ったほうが早く終わります。背中と体側のあいだ、体側とおなかのあいだ、首と肩のあいだ。流れが変わる線をまたいだまま風を当てると、両側の毛が起き上がって絡みます。

6区画の割り方と、1区画にかける目安
区画風を入れる向き目安
首と肩上から、毛の流れに沿って40秒
背中と腰後ろへ向けて40秒
左右の体側下から上へ各60秒
脇と前足の付け根前足を前へ出して下から各60秒
内股とお尻の内側片足を外へ動かして各60秒
おなかと胸の下最後にもう一度60秒

順番が決まってしまえば、毛量が多い子を乾かす時間は回を追うごとに短くなります。まず手元でできるのは、その子の体を6つに割って、乾きにくい2区画がどこかを紙に書いておくことです。次に乾かす日は、その2つから始めます。

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mofuwa スキンケアミスト

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よくある質問

毛量が多い子は、タオルで水気を取る時間を長くしたほうがよいですか。
長くするより、押し当てる場所を変えるほうが差が出ます。タオルが吸えるのは毛の表面と、そこから数ミリの範囲までで、時間をかけてもその先へは進みません。毛量が多い子では、毛を横に分けて、分けた筋にタオルの角を押し込む形にすると、地肌の側の水が上がってきます。同じ1分でも、面でなでた1分と、5か所に押し当てた1分では、そのあと乾かす時間が変わります。
風量の大きいドライヤーに買い替えれば、毛量が多い子でも早く乾きますか。
全体の時間は短くなりますが、残る場所は同じところに残ります。風が強くなっても、毛の面に沿って流れるという性質は変わらないので、面の下に入り込んでいる脇や内股には届きません。買い替えるなら、風量より、片手で持てる重さと、口の細いノズルが付いているかを見てください。毛を分けた筋へ風を差し込めるかどうかのほうが、毛量が多い子では効いてきます。
猫の場合も、犬と同じ区画の分け方でよいですか。
線の引き方は同じですが、1区画にかける秒数を半分にします。猫は同じ姿勢を続けられる時間が短いので、40秒や60秒をそのまま当てると、途中で体をひねって区画がずれます。首と肩、背中、体側までを1回目にして、おなかと内股は日を分けても構いません。毛量が多い猫では、乾かす時間を1日にまとめないほうが、最後まで同じ手順で終われます。

本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。