C12Q&A・豆知識
抜け毛が服に付きやすい素材
黒いニットで玄関を出た朝と、ナイロンの上着で出た朝とでは、電車を降りたときの袖の状態がまるで違います。落ちている抜け毛の量は同じなのに、片方には残り、片方には残っていません。抜け毛が服に付くかどうかを決めているのは、毛の側ではなく、着ているものの表面です。条件は2つあります。静電気が起きやすい素材であること、そして繊維のあいだに隙間があること。この2つが重なった服には、毛がよく付きます。逆に、表面が平らで滑る素材には付きにくい。だから、取る道具を増やすより、服を替えるほうが早いという結論になります。この記事では、素材を一般名で並べ直しながら、どういう面に抜け毛が付くのかを8つの問答に分けて書きます。
抜け毛が服に付くのは、どういう素材ですか|条件は2つ、静電気と隙間
答えから書きます。抜け毛が服に付くのは、静電気が起きやすい素材と、繊維のあいだに隙間がある素材です。この2つは別々の条件で、片方だけを満たす服もあれば、両方を満たす服もあります。両方そろっている服が、いちばんよく毛を集めます。
先に断っておきたいことがあります。「この素材には何%の毛が付く」という数字は、この記事では出しません。付く量は、その日の湿度、着ていた時間、犬や猫にどれだけ触ったか、洗濯してからの回数で変わります。測り方が決まっていないものを、数字にして置くことはできません。書けるのは、何と何を比べたときにどちらが多いか、という順番のほうです。
- 条件1:静電気が起きやすい:軽い抜け毛を、離れた位置から引き寄せます
- 条件2:繊維に隙間がある:引き寄せた毛を、そのまま抱え込みます
- 両方そろう服:ニット、起毛したもの、毛足のある化繊。いちばん残ります
- 片方だけの服:薄手の化繊は引き寄せますが、表面が平らなら払えば落ちます
- どちらも弱い服:目のつまった綿や麻、表面が滑る面。手で払うだけで落ちます
この2つを分けておくと、あとの判断が速くなります。引き寄せる条件と、抱え込む条件は、別のものです。抱え込む側だけを弱くすれば、引き寄せられた抜け毛も表面に留まるので、玄関で一度払えば落ちます。服に付く量そのものを減らすというより、落とせる形にしておく、という考え方です。
静電気が起きているとき、抜け毛の側では何が起きていますか
服と服、服と体がこすれると、その表面に電気のかたよりができるとされています。どちらの向きにかたよるかは、素材ごとにだいたい決まっていると言われます。離れた性質の素材どうしをこすり合わせるほど、かたよりが大きくなる。ウールのニットの上に化繊の上着を重ねた日に、脱ぐとバチッとくるのは、この組み合わせのためです。
ここで、抜け毛の側の条件が効いてきます。被毛は1本がとても軽く、毛先にいくほど細くなっています。床に落ちた抜け毛が、少し歩いただけでふわりと動くのは、そのためです。重い物なら動かない程度のわずかな力でも、抜け毛は引き寄せられます。服の表面に電気のかたよりがあると、まだ触れてもいない距離から毛が寄ってきます。
- 空気が乾いているほど起きやすい:かたよった電気の逃げ場が少なくなるとされます
- 重ね着の枚数が多いほど増える:こすれる面の数がそのまま増えます
- 換毛期と重なる時期がある:秋から冬は、抜ける量と乾きが同時に来ます
- 毛先ほど動きやすい:根元側は太く重いので、先に寄るのは毛先のほうです
- 洗濯を重ねると変わる:表面の状態が変われば、こすれ方も変わります
だから、静電気の話は「素材そのもの」ではなく「素材の組み合わせ」の話です。同じ系統の素材で上下をそろえると、こすれてもかたよりが小さくなるとされています。綿のシャツに綿のカーディガン。化繊の上着に化繊のインナー。上下でまったく違う系統を重ねた日が、いちばん服に抜け毛が付く日になります。
電気のかたよりは、まわりに水分があるほど残りにくいとされています。だから同じ服でも、湿度が高い季節には抜け毛が付きにくく、乾いた季節には付きやすくなります。これは服だけの話ではありません。被毛の側が乾いていると、毛が軽く散りやすくなります。うるおいのある状態を保つというのは、においやつやの話に見えて、実は「毛がどこまで飛ぶか」の話でもあります。
起毛やニットで抜け毛が取れなくなるのは、なぜですか|隙間に入り込むという別の条件
静電気とは別の理由です。起毛した面やニットには、繊維と繊維のあいだに隙間があります。寄ってきた抜け毛は、その隙間へ入り込みます。入ってしまえば、あとは毛先が引っかかって出てきません。静電気は毛を運ぶ力で、隙間は毛を留める場所です。役割が違います。
服の表面を、そばで見てみてください。起毛した面は、細い繊維が立っている状態です。その1本1本のあいだに、抜け毛が根元から刺さります。ニットは編み目そのものが穴になっているので、毛が向こう側まで通ります。表側から払っても落ちないのは、毛の一部が裏側にまで出ているからです。
| 表面の形 | 抜け毛がどうなるか | 払ったときの落ち方 |
|---|---|---|
| 繊維が立っている(起毛) | 立った繊維のあいだに刺さる | 表面の毛だけ動いて、根元は残る |
| 編み目が大きい(ニット) | 編み目を通り抜けて裏まで出る | 表から払っても、裏側の毛が残る |
| ループが並ぶ(パイル地) | 輪のなかに毛が入り込む | こするほど奥へ入る |
| 織り目が細かい(高密度の平織り) | 表面に乗るだけ | 手で払えば落ちる |
| 表面がコーティングされている | 留まる場所がない | 傾けるだけで滑り落ちる |
ここから、家でよくやってしまう手順の話になります。起毛した服に付いた抜け毛を、手のひらでこすって取ろうとすると、かえって奥へ押し込みます。こする動きは、毛を隙間の方向へ運ぶ動きだからです。表面を一方向になでて、浮いた毛だけを集めるほうが、結果として多く取れます。取れなかった分は、その服では取れない分だと考えたほうが早いです。
抜け毛が付きにくい服とは、どういうものですか|表面が平らで、滑る面
付きにくい側の条件も、はっきりしています。表面が平らで、毛が滑る面です。目のつまった平織り、なめらかな織りの面、コーティングされた素材、革や合皮。共通しているのは、抜け毛が留まる場所がないことです。寄ってはきても、そこに引っかかるものがないので、動くだけで落ちていきます。
- 高密度に織られた綿や麻:織り目が細かく、毛が入る隙間がありません
- なめらかな織りの面:光を反射するような表面は、毛にとっても滑ります
- ナイロンやポリエステルの薄い上着:静電気は起きますが、表面が平らなので払えます
- 革・合皮の表面:繊維の隙間そのものがありません
- 洗いざらしの目のつまったシャツ:毛羽が少ないほど、抜け毛は乗るだけになります
3つ目に注目してください。化繊だから抜け毛が付く、というのは正確ではありません。薄手のナイロンの上着は、静電気という条件は満たしますが、隙間という条件を満たしていません。だから毛は表面に貼りつくだけで、玄関で一度払えば落ちます。素材の名前で線を引くと、この違いが見えなくなります。見るのは名前ではなく、表面の形です。
確かめ方は簡単です。服の表面を、指の腹でそっと横になでてください。指が引っかかる感じがあれば、そこには抜け毛も引っかかります。すっと滑るなら、毛も滑ります。買う前に売り場でできますし、いま着ている服でも1秒で確かめられます。触った感触と、抜け毛が付く量は、だいたい同じ方向を向いています。
素材を、抜け毛が付く条件で並べ直すとどうなりますか
ここまでの2つの条件で、身のまわりの素材を並べ直します。ブランド名や商品名では分けません。素材の系統と、表面の形だけで見ます。同じ素材名でも、織り方や起毛の有無で位置は変わるので、おおよその目安として読んでください。
| 素材の系統 | 静電気 | 繊維の隙間 | 服に付いた毛の残り方 |
|---|---|---|---|
| ウール・アクリルのニット | 起きやすいとされる | 大きい | 根元まで入り、裏側にも出る |
| 起毛した化繊(毛足のある面) | 起きやすいとされる | 非常に多い | 立った繊維に刺さって残る |
| パイル地・ループのある面 | 中くらい | 多い | こするほど奥へ入る |
| 薄手のポリエステル・ナイロン | 起きやすいとされる | 少ない | 貼りつくが、払えば落ちる |
| 綿のスウェット・Tシャツ | 起きにくいとされる | 中くらい | 織り目に乗る。洗えば落ちる |
| 高密度の綿・麻 | 起きにくいとされる | 少ない | 表面に乗るだけ |
| 革・合皮・コーティング面 | 起きにくいとされる | ほぼない | 傾ければ滑り落ちる |
表の上2行が、両方の条件を満たす服です。ここに毛が付くのは、その服が悪いからではなく、条件が2つそろっているからです。暖かい服ほど繊維に空気を抱える作りになっていて、その空気の部屋が、そのまま抜け毛の入る場所になります。寒い時期に服へ付く抜け毛が増えるのは、乾燥と、着る服の作りが同時に変わるためです。
下2行は、抜け毛が付いても残らない服です。犬や猫を抱く予定のある日に着るものとしては、こちらが向いています。真ん中の行は、その日の湿度しだいで動きます。同じ綿のスウェットでも、乾いた日には静電気の側の条件が立ち上がってきます。季節で位置が変わる素材がある、と覚えておくと使いやすい表になります。
取る道具を増やすのと、服を替えるのと、どちらが早いですか
この記事の核心です。服を替えるほうが早い、というのが答えになります。粘着ローラー、ブラシ、洗濯機のフィルター、乾燥機。道具はどれも、抜け毛が服に付いたあとの話をしています。付く前の条件を動かせるのは、着るものの選び方だけです。
| 道具を増やす | 服を替える | |
|---|---|---|
| いつ手を動かすか | 服に付いたあと。毎回 | 着る前。1回だけ |
| 1日にかかる回数 | 気づくたび。外出前・帰宅後・寝る前 | 朝の1回 |
| 取り残し | 起毛やニットでは必ず残る | そもそも残る場所が少ない |
| 買い足すもの | 替えのシートやローラーが続く | 手持ちのなかから選び直すだけ |
| 外出先での対応 | 持ち歩いていないと何もできない | 袖を1回払えば足りる |
| 向いている場面 | どうしてもその服を着たい日 | 犬や猫を抱く予定がある日 |
道具が要らないという意味ではありません。順番の話をしています。先に服を選び直して、それでも付いた分だけを道具で取る。この順番なら、道具を使う回数そのものが減ります。逆にすると、毎日いちばん毛の付く服を着て、毎日それを取り続けることになります。かかる時間は、服の側で決まってしまっています。
- まず、外に出る日の上着だけ替える:全部を買い替える必要はありません
- 抱く時間が長い日は、表面が滑るものを上に着る:脱げば毛も一緒に外れます
- ニットを着る日は、上に1枚重ねる:毛が届く前の面を1枚つくります
- 玄関で一度払う習慣にする:貼りついただけの毛は、この時点で落ちます
- 洗濯のときは、単独で回す:ほかの服へ抜け毛が移るのを減らせます
ここを取り違えないでください。服を替えて減るのは、服に残る毛の量であって、その子から抜ける毛の量ではありません。床に落ちる毛は同じだけ落ちます。むしろ、服が抱え込まなくなったぶん、床やソファに落ちる量は増えたように見えます。掃除の側で受け止める前提にしておくと、あとで「服を替えたのに部屋が汚れる」と迷わずに済みます。
服の側でやれることが尽きたら|換毛期に、被毛の根元と毛先へ手を入れる
服を選び直しても、落ちる毛は落ちます。次に動かせるのは、落ちる前に取っておく側です。換毛期には、抜けかけた毛が被毛のなかに引っかかったまま残っています。それが動くたびに少しずつ外れて、服や床へ落ちていきます。ブラッシングは、その分を先にまとめて回収する作業です。
-
乾いたままブラシを入れない
乾いた被毛は静電気が起きやすく、毛が散ります。先に軽く湿らせてからのほうが、毛先がまとまって手元に集まります。散った毛は、そのまま近くの服に付きます。
-
根元から毛先へ、同じ向きで通す
抜けかけた毛は、根元の側で引っかかっています。毛先だけをなでても出てきません。根元に届いてから毛先へ抜く、という1回の動きで取れます。
-
換毛期は、長さより回数を取る
週末に30分やるより、毎日1分のほうが取れます。抜けかけの毛は毎日できるので、毎日回収するほうが服に付く量が減ります。
-
終わったら、着る服を替える
ブラッシングのときに着ていた服には、いちばん多く毛が付きます。そのまま出かけると、回収した意味が半分になります。
根元に引っかかった抜けかけの毛を、その子が自分で外そうとすると、口へ入ります。犬も猫も、抜け毛を自分で取る手段は舐めることしか持っていません。ブラシで先に回収するというのは、その分を口へ入れずに済ませるということでもあります。根元から手で外せるのは、人のほうだけです。
手順1で軽く湿らせるところに使っているのが、mofuwa スキンケアミストです。電解水100%で、清涼飲料水の規格基準をクリアしています。ブラッシングのあいだ、その子は湿った被毛を自分で舐めます。ブラシを入れる前に置くものは、口に入る前提で選ぶことになります。被毛へ直接ではなく、手のひらに出してから、根元の側だけをなでるように広げてください。乾いたまま入れたときより毛が散らないので、そばに掛けてある服に付く量も一緒に減ります。
この記事の結論は変わりません。抜け毛が服に付く量を決めているのは、着ているものの表面です。被毛の側で動かせるのは、落ちる前に回収する量と、乾いて散りやすい状態のほうです。だから順番は、服を替えるのが先で、被毛へ手を入れるのはそのあとになります。両方を同じ週に変えると、どちらで量が減ったのかが分からなくなります。
去年と同じ服なのに、抜け毛が付く量が増えました|大丈夫かどうかの線
最後に、素材の話では説明がつかない場合を書いておきます。着ている服も、住んでいる家も、季節も去年と同じなのに、服に付く抜け毛の量が明らかに増えた。このときは、条件が服の側ではなく、その子の側で動いている可能性があります。ここから先は家で決められない話になります。
| 見るところ | 服や季節の条件で説明がつく | 体の側を見たほうがよい |
|---|---|---|
| 時期 | 換毛期に入ってから増えた | 季節と関係なく増えた |
| 増え方 | 1〜2か月かけて、ゆっくり | 2週間ほどで、はっきり増えた |
| 抜ける場所 | 全身から、まんべんなく | 同じ場所だけ薄くなっている |
| 地肌 | 毛をかき分けても、地肌は見えない | 地肌が見える部分がある |
| 左右差 | 左右で同じ | 片側だけ抜けている |
| 本人の様子 | いつもどおり | 同じ場所をなめる、かく回数が増えた |
右の列に当てはまるものがあれば、服の素材を替えても状況は変わりません。抜け毛の量そのものが動いているので、着るものの側で受け止める話ではなくなります。そのときは、いつから増えたか、どこが薄いか、写真を撮って動物病院にご相談ください。換毛期の抜け毛と、部分的に薄くなる変化は別のものとして扱われます。家で見分けようとして時間を使うより、確かめてもらったほうが早く済みます。
ここまでを、もう一度まとめておきます。抜け毛が服に付くのは、静電気が起きやすい素材と、繊維に隙間がある素材です。付きにくいのは、表面が平らで滑る面。2つの条件は独立しているので、化繊でも表面が平らなら払えば落ちます。そして、取る道具を増やすより、着る服を替えるほうが早い。被毛の側のケアは、そのあとに置く順番です。
季節と関係なく抜け毛が増えた、地肌が見える部分がある、片側だけ薄くなっている、同じ場所をなめ続けている、皮膚に赤みやフケが出ている、かく回数が増えた、体をこすりつける動きが増えた。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。いつから増えたのか、どのあたりが薄いのかを写真に残して持っていくと、その場で経過を追ってもらえます。服に付く量が変わったというのは、家で最初に気づける手がかりの1つです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
