C12Q&A・豆知識
虫よけはいつから使いはじめる?
去年は4月の第3週から使いはじめた虫除けを、今年は同じ週に出したら、まだ早すぎたということがあります。逆に、去年より2週間早く使いはじめて、ちょうどよかった年もあります。犬の虫除けを使いはじめる時期は、カレンダーではなく気温で決まります。虫の側が動きはじめる温度がだいたい決まっていて、その温度に届く日が、年によって前後するからです。同じ日付でも、地域と年で1か月ずれます。つまり「何月から」という共通の答えは、そもそも作れません。作れるのは、自分の住んでいる場所で、自分の犬の散歩コースについて、毎年その時期を出し直すための物差しのほうです。この記事では、その物差しの作り方を8つの問答に分けて書きます。
犬の虫除けは、いつから使いはじめる時期ですか|答えは気温です
答えから書きます。犬の虫除けを使いはじめる時期は、気温で決まります。カレンダーの日付では決まりません。虫は、気温がある程度まで上がってから動きはじめるとされています。その温度に届く日が、その年の開始日です。暦のほうは、その日を教えてくれません。
「4月から」「5月の連休から」といった言い方をよく見かけます。あれは、多くの地域で平均的にその時期になる、というだけの目安です。平均は、どこか一か所の実際の日付ではありません。北の地域では遅れ、南の地域では早まり、同じ市の中でも川沿いと高台では違います。平均に合わせて手を動かすと、早すぎる年と遅すぎる年が交互にやってきます。
- 決めるのは気温:虫が動きはじめる温度に届いたかどうかで見ます
- 日付は結果:気温が届いた日が、その年の開始日になります
- 地域で前後する:同じ国内でも、開始の時期は数週間から1か月ずれます
- 年でも前後する:同じ場所でも、暖かい春と寒い春では2〜4週間動きます
- 去年の日付は参考:そのまま使う数字ではなく、比べるための基準になります
この記事は10月に書いています。開始の時期を考えるのに、いちばん向いているのは、実は使い終える側を決めるいまの時期です。今年いつ始めて、いつ手を止めたかを1行書き残しておくと、来年の開始時期を決める材料になります。虫除けの時期を毎年迷わないための作業は、春ではなく秋にあります。
なぜカレンダーで決められないのですか|同じ日付でも、地域と年で1か月ずれる
理由は2つに分かれます。地域による差と、年による差です。どちらも、虫除けを使いはじめる時期を数週間単位で動かします。両方が同じ方向に重なった年には、去年と1か月違うということが実際に起きます。
| 条件 | どちらへずれるか | 見ておくこと |
|---|---|---|
| 南か、北か | 南ほど早く、北ほど遅い | 同じ国内で1か月以上の差が出ます |
| その年の春の暖かさ | 暖かい年は早い | 3月の気温が高い年は、前倒しになります |
| 標高 | 高いところほど遅い | 同じ県内でも、山側と平地で違います |
| 水辺が近いか | 近いほど早く、長い | 川沿い・池・水田のそばは条件がそろいます |
| 草丈と日陰 | 草が高いほど早い | 刈られた直後は、いったん条件が変わります |
| 室内か、外か | 室内は季節の影響が小さい | 暖房のある家では、冬でも条件が残ることがあります |
この表を見ると、「何月から」という質問に一つの答えを返すのが難しいことが分かります。同じ日に、北の地域ではまだ早く、南の地域ではもう遅い、ということが同時に成り立っています。犬の散歩コースまで含めて考えると、差はさらに開きます。毎日、川沿いの草地を歩く犬と、舗装された住宅街だけを歩く犬とでは、同じ市内でも条件が違います。
だから、この記事では日付を書きません。書けるのは、自分の地域の時期を毎年出し直すための手順だけです。1回決めれば終わりという性質の話ではなく、毎年やり直す作業だと考えたほうが、結果として手間が減ります。
去年の開始日をそのまま今年に当てはめると、その年の春が寒かった場合には早すぎ、暖かかった場合には遅すぎます。去年の日付は、今年の気温と並べて「今年は早いのか、遅いのか」を見るための基準として使ってください。3月の気温が去年より高い日が続いているなら、去年より前倒しになります。この比べ方なら、毎年の記録が1行ずつ積み上がっていくほど精度が上がります。
どの気温を目安にすればいいですか|虫の側が動きはじめるとされる温度の幅
ここは、幅で書きます。虫が動きはじめる気温には、はっきりした一つの数字はありません。種類によって違いますし、同じ種類でも、その場所の湿り気や日当たりで前後します。以下は一般によく言われている目安で、正確な境目ではありません。犬の虫除けの時期を考えるときの、おおまかな物差しとして読んでください。
| 相手 | 動きはじめるとされる気温 | 覚えておくこと |
|---|---|---|
| 蚊 | おおむね15度前後から | 25〜30度くらいでよく動き、猛暑では逆に鈍るとされます |
| ノミ | 13〜15度くらいから | 室内では、外が寒い時期でも条件が残ることがあります |
| マダニ | 10〜15度を超えるころから | 草丈のある場所で見られ、春と秋の両方に動きがあります |
| ハエ・アブの仲間 | 20度前後から | 日差しの強い時間帯に活動が偏るとされます |
この表でいちばん大事なのは、いちばん低い数字です。10度台の前半から動きはじめるとされる相手がいる、というのが、虫除けの開始時期を思っているより早くします。「暑くなってから」と考えていると、すでに条件がそろっている時期を通り過ぎていることになります。最高気温が15度を安定して超えはじめたあたりが、考えはじめる時期になります。
もう一つ、表の右列に書いた「春と秋の両方」に注目してください。虫除けの時期は、夏に一つの山があるとは限りません。気温が下がりきる前の秋にも、条件がそろう時期があります。夏が終わったから終わり、という決め方をすると、この時期を見落とします。
ここに書いた気温は、すべて「おおむね」「くらい」という幅つきの目安です。13度と14度のどちらが境目かを気にしても、実際の役には立ちません。役に立つのは、10度台の前半から動きはじめるものがある、という桁の感覚のほうです。細かい数字を覚えるより、自分の地域の週間予報を見て、その桁に届いたかどうかを判断できるようにしておくほうが、毎年使えます。
自分の地域の時期は、どうやって知りますか|家で使える3つの手がかり
自分の地域の開始時期は、自分で出すしかありません。とはいえ、特別なことをする必要はありません。手がかりは3つで、どれも散歩のついでに手に入ります。3つのうち2つがそろったら、その年の開始時期だと考えてください。
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週間予報の最高気温を見る
最低気温ではなく最高気温です。最高気温が15度を超える日が、続けて数日あったかどうか。1日だけ暖かい日があっても、条件はそろいません。続くかどうかで見ます。
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散歩コースの草丈を見る
草が伸びはじめて、犬の腹の高さに届くようになったら、そこは条件がそろってきた場所です。刈られた直後は、いったん様子が変わります。同じコースを歩いていると、この変化は毎日目に入ります。
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家の中で虫を見た日を記録する
室内で1匹見たなら、外ではもっと前から動いています。家の中は、外よりあとから条件がそろう場所です。ここで気づいた時期は、開始の時期としては遅いほうの合図になります。
3つを並べると、開始の時期は「気温が先、草丈が次、室内が最後」という順番になります。いちばん早く気づけるのが気温で、いちばん遅いのが室内です。虫除けの時期を決めるときに、室内で見かけてから動きはじめると、毎年ひと月遅れることになります。
そして、記録です。手帳でもスマートフォンのメモでもかまいません。その年に使いはじめた日、そのときの最高気温、散歩コースの草丈。この3つを1行書いておくだけで、来年の判断が変わります。2年ぶん、3年ぶんと並べていくと、自分の地域の時期の幅が見えてきます。ここまで来ると、平均の日付を探す必要がなくなります。
使いはじめる時期について、これは大丈夫ですかと迷うこと
時期の話をしていると、必ず出てくる疑問がいくつかあります。そのうち、家で決めてよいものと、決めないほうがよいものがはっきり分かれます。並べておきます。
| 疑問 | どこで決めるか | 考え方 |
|---|---|---|
| 早く使いはじめても大丈夫ですか | 家で決められる | 気温が届いていない時期に使っても、虫の側が動いていないだけです |
| 何月まで続ければいいですか | 家で決められる | 開始と同じ物差しで、気温が下がりきるまで見ます |
| どのくらいの頻度で使いますか | 製品の表示に従う | 使う間隔は、そのものの表示に書かれています |
| うちの子に使ってよいですか | 獣医師に相談する | 年齢・体重・皮膚の状態で条件が変わります |
| ほかに使っているものと重ねてよいですか | 獣医師に相談する | 家で組み合わせを判断しないでください |
| 使ったあとに様子が変わりました | 動物病院へ | 時期の問題ではなく、体の側の話になります |
上の2行は、この記事で扱ってきた時期の話です。早すぎることの不利益は、その時期にはあまり意味がない、というところまでです。気温が届いていなければ、虫の側が動いていません。だから開始を少し早めに置いておくほうが、遅れて慌てるより落ち着いて進みます。
下の3行は、時期の話ではありません。その犬の体の条件で決まる部分で、家で決める話ではありません。子犬、高齢の犬、皮膚に弱いところがある犬、ほかに使っているものがある犬。こうした条件があるときは、使いはじめる時期を決める前に、かかりつけの獣医師にご相談ください。動物病院で扱われるものについては、この記事の範囲の外にあります。
やめる時期も、同じ物差しで決まりますか|気温が下がった日より、後ろにずらす
同じ物差しで決まります。ただし、開始のときより1つだけ余計に気をつけることがあります。気温が下がった日と、虫が動かなくなる時期のあいだには、遅れがあります。朝夕が冷えるようになっても、日中の暖かい時間には条件が残ります。日陰と日なた、家の北側と南側でも違います。
- 最高気温が下がった日で止めない:1日下がっただけでは、条件は変わりません
- 下がった状態が続いてから決める:2週間ほど見てから手を止めると、行き違いが減ります
- 日中の暖かい時間を見る:朝が寒くても、昼に気温が戻る時期があります
- 草丈が落ちたかどうかを見る:草が枯れる時期は、コースによって差があります
- 室内はもう少し長い:暖房を入れると、家の中だけ条件が残ることがあります
10月というのは、まさにこの判断をする時期です。日中はまだ20度を超える日があって、朝は10度台に落ちる。この幅がある時期が、いちばん判断に迷います。迷ったときは、朝ではなく日中の気温で見てください。犬が散歩に出るのは、たいてい気温の高いほうの時間帯です。
そして、終わりの時期こそ記録に残す価値があります。いつ手を止めたか、そのときの気温はどうだったか、そのあと虫を見たかどうか。この3つを書いておくと、来年の終わりの時期がそのまま決まります。虫除けの時期を毎年ゼロから考え直すのは、記録がないからです。
虫除けを使う時期の、犬の被毛と皮膚に毎日やっておくこと
時期が決まったら、次は毎日のほうです。この時期にやることは、草むらを歩いた日に、帰ってから体を通しておくことです。虫除けを使っているかどうかに関わらず、散歩から戻ったときに全身を一度見ておく習慣は、この時期のあいだ続けておきたい作業になります。
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帰ったら、足の先から順に見る
指のあいだ、手首の内側、脇の下。草が直接あたる高さから見ていきます。目で見るだけでなく、指を通して手ざわりで確かめてください。
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被毛をかき分けて、地肌まで見る
被毛が厚い犬では、表面を見ても分かりません。首まわり、耳のうしろ、内ももを、毛の流れに逆らって一度かき分けます。
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その日のうちに、水を使わない日のケアを通す
洗える日ばかりではありません。洗わない日にも、体を一往復する形を決めておくと、変化に早く気づけます。
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気になるところがあれば、写真を残す
その場で触って確かめるより、日付のわかる写真を1枚残しておくほうが、あとで比べられます。
うちで使っているものも書いておきます。mofuwa においがしない虫よけスプレーは、ディートを使わず、人は気にならないけれど蚊が嫌がるとされる香りの成分を選んでつくった、無香料のスプレーです。つくりはじめたきっかけは、自分の子どもに使いたいと思えるものが見つからなかったことでした。ディートやイカリジンは医薬部外品にも使われる成分ですが、においやべたつきが気になるという声もあります。この虫よけスプレーは、時期に入っているあいだ、散歩のたびに出すものです。だから、においが残らないこと自体が選ぶ理由になります。原料は化粧品に使われるもので揃えています。帰ってから体を一往復して見るほうには、mofuwa グルーミングスプレーを使っています。無香料・界面活性剤不使用で、原料は特許を取った電気分解でつくった電解水です。地肌まで見るために毛をかき分ける作業と、被毛を整える作業が、同じ一往復のなかに収まります。乾いた被毛は静電気で立つので、かき分けても毛の流れがすぐ戻ってしまいます。布に含ませて足の先から背中まで通しておくと、指のあいだ、脇の下、内ももを、開いた状態のまま順に見ていけます。
ディート不使用であること、化粧品グレードの原料で作られていること、無香料であること。これらは、そのものがどう作られているかという事実で、使えば何が起きるかという話ではありません。虫との関わりで何をどこまで期待できるかは、その日の気温、時間帯、歩く場所によって変わります。この記事では、そこを言い切りません。使い方と間隔については、そのものの表示に従ってください。
気温で決めることと、体の条件で決まることの境目
最後に、線を引いておきます。この記事で扱ったのは、いつから使いはじめて、いつ手を止めるかという時期の決め方だけです。何を使うか、その犬に使ってよいか、ほかに使っているものと重ねてよいか。ここから先は、体の条件で決まる話なので、家では決められません。
| 内容 | 決める場所 | |
|---|---|---|
| 時期の話 | いつから使いはじめるか | 気温と散歩コースを見て、家で決められます |
| 時期の話 | いつ手を止めるか | 同じ物差しで、家で決められます |
| 時期の話 | 毎年の記録をどう残すか | 家で決められます |
| 体の条件 | 子犬・高齢の犬に使えるか | かかりつけの獣医師に相談します |
| 体の条件 | 皮膚に弱いところがある場合 | 同上。時期を決める前に相談します |
| 体の条件 | ほかに使っているものがある場合 | 同上。組み合わせは家で判断しません |
この分け方をしておくと、迷う時間が短くなります。気温の話は自分で決めてよく、体の話は決めない。虫除けの時期について検索していると、この2つが混ざった説明に出会うことがあります。混ざったまま読むと、どちらも自分で決めなければいけない気がしてきます。分けてしまえば、家でやることは3つの手がかりを見て記録するだけになります。
草むらを歩いたあとに皮膚が赤くなった、同じ場所をかき続けている、体をこすりつける回数が増えた、皮膚に見慣れないものが付いている、元気や食欲の落ち方が続いている、虫除けを使ったあとで様子が変わった。こうしたときは、時期の話として考える前に動物病院にご相談ください。また、子犬や高齢の犬、皮膚に弱いところがある犬では、何をいつから使うかを決める前に、かかりつけの獣医師にご相談ください。散歩コースと、いつからその時期に入ったかをメモして持っていくと、その場で判断してもらえます。
最後に、この記事の答えをもう一度置いておきます。犬の虫除けを使いはじめる時期は、カレンダーではなく気温で決まります。虫が動きはじめるとされる気温には10度台の前半から20度前後まで幅があり、その温度に届く日は、地域と年で1か月ずれます。だから毎年、最高気温と草丈と室内の様子という3つの手がかりで出し直す。手を止める時期は、気温が下がった日ではなく、下がった状態が続いてから決める。この2つが決まれば、虫除けの時期で迷うことはなくなります。
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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
