C05犬種・猫種別ケア

ジャバニーズの長毛|毛玉を毎日のケアで防ぐ

公開日 2023年9月5日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色のソファで、細身の長毛の猫が休んでいるところ
換毛が目に見えない被毛では、毛玉の出方だけが、その年の毛の量を教えてくれます。

去年の秋は、コームを1本持って週に2回、10分で足りていました。同じ手順を今年もそのまま続けているのに、翌日には脇の下に小さな毛玉が戻っている。手を抜いたつもりはありませんし、道具も替えていません。ジャバニーズの毛玉で戸惑うのは、たいていこの「去年と同じことをしているのに」という場面です。変わったのは手順ではなく、その年に抜けた毛の量のほうです。下毛を持たない被毛では、量が変わったことが目に見えません。この記事は、同じ一頭の手順を毎年組み直すという話です。

去年と同じ手順が、今年は空振りする|ジャバニーズの毛玉で戸惑った経験

ジャバニーズと暮らしていると、ある年からブラッシングの手ごたえが変わることがあります。去年の秋は、週に2回コームを通せば、そのあいだ毛玉を見つけませんでした。今年は同じ曜日に同じ時間だけ手をかけているのに、次の日には脇の下や後ろ脚のつけ根に小さな塊が戻っている。道具も、力の入れ方も、順番も去年のままです。

逆の年もあります。前の年に毎日手を入れていたのに、今年はほとんど何も出てこない。手をかけた量と、毛玉の量が、年によってつながらなくなる。これがこの猫種と暮らしていて最初に戸惑うところで、飼い主の側が「やり方を間違えた」と受け取ってしまいやすい場面でもあります。

実際には、手順が悪くなったわけではありません。動いているのは、その年に抜ける毛の量のほうです。ところがジャバニーズの被毛では、その量が目に見えません。床に綿のような毛が積もる、という分かりやすい合図が出ないからです。だから量が変わったことに気づけないまま、去年の手順だけが残ります。

下毛を持つ猫種なら、換毛期は目で分かります。掃除機の減り方が変わり、黒い服が着られなくなり、寝床に毛が固まって残る。ジャバニーズの抜け毛は細く、軽く、少量ずつ散るので、そういう形では溜まりません。気づくきっかけは、家の掃除ではなく、指が毛の中で止まったときになります。

Note「今年は失敗している」と感じたときに、まず確かめること

手順を疑う前に、コームを1回通したあとに歯に残った毛の量を見てください。去年の同じ時期より明らかに多いなら、手順ではなく量が変わっています。量が変わっているときに回数だけを増やしても、追いつく前に飼い主の側が続かなくなります。まず何が動いたのかを分けてから、そのあとで手順を触ってください。

抜けた毛を受け止める層がない|ジャバニーズの毛玉が育つ背景

ジャバニーズの被毛には、綿のような下毛がほとんどありません。細く長い上毛だけの、ほぼ一枚の作りです。体つきは細くしなやかで、毛は体に沿って寝ます。長毛の猫でありながら、抱いたときに重さを感じにくいのは、この密度の低さからきています。

この作りだと、抜けた毛の行き先が変わります。下毛のある猫では、抜けた上毛が下毛の層に引っかかって被毛の中に留まります。だから換毛期にごっそりまとまって出てきますし、それが目に見える合図になります。受け止める層がないジャバニーズでは、抜けた毛はその場に留まらず、表面に浮いてそのまま落ちていきます。換毛が「起きていること」として現れないのは、そのためです。

ただし、すべてが落ちるわけではありません。毛が寄る場所には残ります。脇の下、後ろ脚のつけ根、しっぽのつけ根、首輪の下、胸の前。どれも、毛の流れが変わったり、体の動きで毛が押し寄せたりする場所です。落ちきれなかった毛はそこで向きを失い、生えている毛と毛先どうしで絡みます。ジャバニーズの毛玉は、この絡みが芯になって育ちます。

つまり毛玉の量は、その年に抜けた毛の量とつながっています。ところが抜けた毛の量そのものは見えません。結果として、毛玉の出方だけが、その年の量を知る唯一の手がかりになります。毛玉を「失敗の証拠」として見るとつらくなりますが、量を測る目盛りとして見ると、翌年の手順を組む材料になります。

毛の状態も、絡みやすさを左右します。空気が乾いて静電気が起きる時期は、浮いた毛が体に貼りついて落ちません。うるおいが抜けた毛は毛先が広がるので、そこから交差が始まります。同じ量が抜けた年でも、冬の入口が早い年のほうが毛玉は増えます。量と、毛の状態と、その2つが重なるところで芯ができるということです。

下毛のある被毛と、ジャバニーズの単層の被毛で、抜けた毛の行き先が変わる
下毛のある被毛ジャバニーズの単層の被毛
抜けた毛の行き先下毛の層に引っかかって留まる表面に浮いて、そのまま落ちる
換毛期の見え方床と寝床にまとまって溜まる目に見える形では溜まらない
毛玉ができる場所体の広い面。層の中で固まる毛が寄る場所。脇の下、つけ根
毛玉の形面のまま厚くなる小さな芯から、毛先を巻き込んで太る
量を知る手がかり掃除の量で分かる毛玉の数と場所でしか分からない
ブラッシングの役割溜まった下毛を外へ出す浮いた毛を、落ちる前に回収する

猫のジャバニーズで、毛の量が年ごとに変わる理由

毛の量が動くのは、体の中の話だけではありません。猫の毛は、日の長さの変化を受けて生え替わる周期を持っています。ところが室内で暮らす猫が受け取る「日の長さ」は、外の日照時間そのものではありません。窓の向き、カーテンを開けている時間、夜に照明をつけている時間。これらが混ざったものを受け取っています。

だから、家の側が変われば、受け取る条件も変わります。模様替えでベッドの場所が窓ぎわから奥へ移った。仕事の時間が変わって、夜に部屋が明るい時間が延びた。カーテンを厚いものに替えた。どれも猫にとっては、去年とは違う一年になります。飼い主の側からは、毛の量と結びつけて考える理由がない変化ばかりです。

気温の側も、年ごとに違います。夏が長引いた年は、換毛の入口が後ろへずれます。暖房を入れ始めた日が早ければ、そこから乾燥が始まります。同じ「10月」でも、去年の10月と今年の10月は、その子にとって同じ条件ではありません。カレンダーで手順を決めていると、この年ごとのずれをそのまま取りこぼします。

年齢も関わります。若いうちは毛が伸び続けて、数年かけて長さと量が落ち着いていきます。年を重ねると、今度は毛づくろいに使う時間そのものが少しずつ減ります。抜ける量が同じでも、その子の舌が回収する量が減れば、被毛に残る量は増えます。「今年から毛玉が増えた」という変化の一部は、抜け毛ではなく毛づくろいの側で起きています。

前の年の残りも、土台になります。去年の換毛期に出しきれなかった毛は、そのまま被毛の中で古い層のようになって残ります。そこへ今年の抜け毛が重なると、去年より早く芯ができます。年ごとの条件は独立していなくて、前の年から続いています。だから、去年が忙しくて手が回らなかった年の翌年は、量が同じでも毛玉が増えます。

年ごとに動くもの。どれも去年のメモには書かれていない
動くもの何が変わるか
部屋の明るさと、窓との距離受け取る日の長さが変わり、換毛の入口がずれる
夏の長さと、暖房を入れた日換毛の時期と、乾燥が始まる時期が前後する
年齢毛の量そのものと、毛づくろいに使う時間が変わる
前の年に出しきれた量残った毛が土台になり、芯ができるまでが早くなる
同居の子の有無お互いをなめる時間が、回収量として加わる
Point「去年はこうだった」を、判断の根拠にしないでください

去年のメモは、去年の条件で書かれたものです。使い道は、今年の量と比べるための基準線であって、今年の手順を決めるための答えではありません。去年の回数をそのまま持ち込むと、多い年には足りず、少ない年には触りすぎます。触りすぎもまた、毛先を傷めて絡みやすい状態をつくります。去年の数字は、比べる相手として残してください。

今年の毛の量に合わせて手順を組み直す|ジャバニーズの変化に追いつく毎日のケア

ここからが実際の組み方です。やることは3つで、量を測る日をつくること、測った量で回数と面の数を決めること、その年の記録を残すことです。手順そのものを毎年ゼロから考え直すわけではありません。基準になる数字を、毎年その年のもので取り直す、という話です。

  1. 年に2回、量を測る日を決める

    春の入口と、秋の入口に3日ずつ。日付は毎年ずらして構いません。朝の同じ時間に、背中の同じ場所へコームを10回だけ通して、歯に残った毛を同じ器に集めます。3日分をまとめて、去年の同じ器の量と比べる。量が増えていれば多い年、変わらなければ去年の手順がそのまま使えます。器は透明なものにして、写真を撮っておくと翌年に比べられます。

  2. 多い年は、回数ではなく1回で触る面の数を増やす

    週2回を週4回にすると、飼い主の側が続きません。同じ週2回のまま、1回で触る場所を2か所から4か所へ増やしてください。脇の下と後ろ脚のつけ根の2か所でやっていたなら、しっぽのつけ根と胸の前を足す。ジャバニーズの毛玉は毛が寄る場所に集中するので、面を増やすほうが回数を増やすより早く追いつきます。

  3. 少ない年は、全身に通す日を減らして、寄る場所だけ残す

    量が少ない年に去年と同じ回数を続けると、触りすぎになります。全身にコームを通す日を週1回まで減らして、毛が寄る4か所だけを短く見る日に切り替えてください。1か所30秒で足ります。毛玉が出ていないことを確かめる時間であって、とかす時間ではありません。

  4. 毛先から根元へ、という順番だけは毎年変えない

    量が変わっても、この順番は動かしません。毛先の側で交差をほどいてから、根元の側へ入ります。根元から一気に引くと、毛先の交差が締まる向きに力がかかります。ジャバニーズの毛は細いので、締まった芯を力で引くと、ほどける前に根元の毛が抜けます。芯が固いときは、指で外側の数本を毛先から外してから道具を持ってください。

  5. その年の記録を、4項目だけ残す

    測った量、毛玉が出た場所、1回にかけた時間、その年に家の中で変えたこと。この4つがあれば、翌年に「何が動いたか」を比べられます。細かく書く必要はありません。カレンダーの余白か、写真のメモで足ります。書き残さないと、翌年また去年の手順だけが残ります。

毛の量を測る日を、1年のどこに置くか 換毛が目に見えない被毛では、量が動いたことに気づけません。春と秋の入口に測る日を置いて、その年の量を先に確かめてから手順を決めます。 日付は固定でも、出てくる量は毎年変わります 2〜3月 春の入口。3日だけ測る 去年の器と並べて、量を比べます 4〜5月 測った量で、その年の面の数を決める 回数ではなく、触る場所の数を動かします 6〜8月 寄る場所だけを、短く見る時期 全身は週1回まで。脇の下を中心に 9〜10月 秋の入口。もう一度3日だけ測る 夏が長引いた年は、ここが後ろへずれます 11〜12月 暖房が入り、浮いた毛が落ちにくくなる 静電気で貼りつくぶん、面の数を増やします 1月 その年の4項目を書き留める 量・場所・時間・家で変えたこと
測る日は毎年同じ場所に置き、量のほうを年ごとに取り直します。

毛が寄る場所を毎日ひと拭きしておきたい、という側から道具を選ぶと、ここに入るのがグルーミングスプレーです。布に含ませて、脇の下やつけ根のように毛が寄る場所を、毛の流れに沿ってなでるように拭いてください。乾いて広がった毛先の滑りをそろえて、浮いた毛が貼りついたまま残りにくい状態をつくるための一本です。グルーミングスプレーは舐めても問題のない基準でつくられているので、猫が自分でなめる場所に使っても、量を気にせずに済みます。固まった芯に直接かけて、そのまま置かないでください。芯は指と道具で、毛先の側からほどきます。

Caution量が動いていないのに毛玉が増えた年は、別の見方をしてください

測った量が去年と変わらないのに、毛玉だけが明らかに増えた。そのときは抜け毛の側ではなく、毛づくろいの側が動いている可能性があります。毛づくろいの時間が減っている、特定の場所だけをなめ続けている、地肌が赤い、においがある、触ると嫌がる、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングの回数を足すより先に、器で測った量と毛玉が出た場所を持って動物病院へ行ってください。ジャバニーズは被毛の中の変化が外から見えにくいので、次の測る日まで待って比べるより、その記録をそのまま見てもらうほうが早く片づきます。

ジャバニーズと暮らしていると、毎年同じやり方が通らないことに、しばらく落ち着かない気持ちになります。けれど、変わっているのは飼い主の腕ではありません。下毛を持たない被毛では、その年の毛の量が飼い主の側から見えないというだけです。見えないものは、年に2回だけ器に集めて、目に見える形にする。そのうえで、回数ではなく触る面の数を動かす。順番と力の入れ方は毎年そのままで構いません。同じ一頭でも、手順は毎年組み直していい。ジャバニーズの毛玉と長く付き合っていくうえで、動かせるのはそこです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。