C09シーン別・暮らし

動物病院に行く日、大型犬と暮らす人はどうしている?

公開日 2023年10月7日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床に、体の大きなクリーム色の犬が落ち着いて立っている
支える場所は毎回ほぼ同じです。その場所を、前の日に自分の手で通しておきます。写真:Leohoho/Pexels

動物病院の診察室で、その子が台に上がるまでに、3人の手が体に触れていました。前脚のつけ根に1人、腰に1人、首輪のところにもう1人。体重が30キロを超えると、自分から台に上がる子でも、上げ下ろしのあいだは必ず人が支えます。小さい子なら抱き上げて終わる数秒が、大型犬では何本もの手が同時に触れる時間になります。その日は、体を触られる回数と、触られる面積が、ふだんとまったく違います。ペットの側から見ると、これは診察が始まる前にもう起きていることです。だから家でできる準備は、前の日に、その触られる場所を自分の手で1周しておくことになります。この記事は、なぜそうなるかを先に、家での1周の手順をあとに書きます。

診察台に上がるまでに、何本の手が触れているか|大型犬と動物病院へ行く日の、ペットの支え方のやり方

動物病院での支え方は、体の大きさで変わります。小さい子なら、片腕で胸を抱えて、もう片方の手をおしりに添えれば台に乗ります。触れているのは2か所、時間は数秒です。大型犬では、この数秒が成り立ちません。片手で持ち上がらないので、体を面で支えることになります。胸の前、脇の下、腰、後ろ脚のつけ根。支える人が2人になれば、触れる場所はそのぶん増えます。

しかも、支えるのは台に上がるときだけではありません。床置きの台で体重をはかるとき、待合から診察室へ移るとき、立ったまま待っているあいだ。大型犬は体を動かすたびに、どこかに手を添えられます。これは病院の側が丁寧だから起きていることで、避けるべきことではありません。ただ、ペットの側から見れば、その日は触られる回数が確実に多い日です。動物病院はペットにとって、ふだんの暮らしでいちばん人の手が入る場所でもあります。

動物病院に行く日、大型犬の体で人の手が当たる場所
場面手が当たるところ触れている時間
車から降りるとき首輪まわりと、前脚のつけ根数秒。ただし力がかかります
待合で立たせておくとき胸の前と、腰の横呼ばれるまで断続的に
体重をはかるとき肩と腰。動かないように添える10〜30秒
台に上げ下ろしするとき脇の下、胸、腰、後ろ脚のつけ根1回あたり数秒を2回
台の上で待つあいだ背中と、体の側面ぜんぶその子が落ち着くまで

表を見ると、当たる場所が体の中でかなり偏っていることが分かります。支えるための手は、必ず骨のある場所に置かれます。脇の下、胸、腰、後ろ脚のつけ根。柔らかいところを押すと痛いので、支える側は自然にそこを選びます。つまり大型犬の場合、動物病院で触られる場所は、毎回ほとんど同じです。同じなら、飼い主が家で先に通しておけます。ペットの準備として動かせるのは、この「同じ場所」の部分です。

Note触られること自体を減らそう、という話ではありません

支えてもらうのは、その子が転ばないためです。減らすところではありません。家で先に1周しておく目的は2つあります。1つは、その日はじめて触られる場所をなくしておくこと。もう1つは、押されて嫌がる場所が体にあるなら、それを病院に着く前に飼い主が知っておくことです。触られる回数が多い日だからこそ、先に自分の手で確かめておく意味があります。

もう1つ、大型犬ならではの事情があります。面積が広いぶん、飼い主が全身に手を通す機会が、実はそれほど多くありません。小さい子なら、抱き上げるだけで体のほとんどに手が触れます。大型犬は抱き上げないので、日々のケアで触れているのは背中と首まわりくらい、ということが起こります。脇の下や後ろ脚のつけ根は、意識して触りにいかないと、何か月も触っていないことになります。

前の日に、触られる場所を家で1周する|動物病院へ行く前に、ペットの体へ触っておく手順

やることは、前の日の夜に5〜7分です。寝かせずに、立たせたまま、飼い主が横に立って行います。大型犬を寝かせて腹側から触ろうとすると、人のほうがかがむ姿勢になって続きません。立っている状態は、動物病院で支えられるときの姿勢とも近いので、そのまま当日の予行になります。順番は首から後ろへ、上から下へ、乾いた側から湿った側へ。大型犬のペットケアは、順番を決めておかないと毎回どこかが抜けます。

  1. 首輪のまわりを、指を入れて1周する

    首輪の下は、毎日ケアをしている家でも抜けやすい場所です。指2本を入れて、首の付け根までぐるりと回します。被毛が寄って束になっていないか、皮膚が湿っていないか。ここは車から降りるときにいちばん力がかかる場所なので、前の日に確かめておく価値があります。

  2. 胸の前と、前脚のつけ根に手のひらを当てる

    支える手が最初に当たる場所です。手のひらを当てて、体重を少しだけ預けるように押します。押した瞬間に体が逃げるかどうかだけを見ます。逃げたら、その場で何度も押し直さないでください。1回で分かります。逃げなければ、そのまま次へ進みます。

  3. 脇の下に、指の腹をゆっくり入れる

    大型犬でいちばん見落とされる場所です。前脚を少し外へ開かせて、指の腹を入れます。被毛がこすれて薄くなっていないか、皮膚が赤くなっていないか、湿っていないか。ここは台に上げるときに必ず手が入るところで、動物病院でその日はじめて開かれることのないようにしておきます。

  4. 腰の横と、後ろ脚のつけ根を通す

    後ろ脚のつけ根は、支える手が下から入る場所です。腰の横に手のひらを当てて、そのまま脚のつけ根まで滑らせます。ここも押して逃げるかどうかだけを見ます。大型犬は後ろ脚に体重がかかっているので、変化が出やすい一帯でもあります。左右で反応が違うときは、それも書き留めておきます。

  5. 気づいたことを、その場で3行だけ書く

    触っている最中は覚えていても、翌朝には消えます。場所・どう反応したか・いつから気づいているか。この3つだけで足ります。動物病院では聞かれることが多い項目ですし、家でできるのはここまでという線でもあります。診てもらう内容そのものは、その場で決まります。

前の日の1周で、どこを何秒みるか
場所何で触るかかける時間
首輪のまわり指2本を入れて回す1分
胸の前・前脚のつけ根手のひらで当てて押す1分
脇の下(左右)指の腹をゆっくり入れる2分
腰の横・後ろ脚のつけ根手のひらで滑らせる2分
書き留める3行だけ1分

1周で通した場所は、洗う日にもそのまま使えます。脇の下と後ろ脚のつけ根は、その子の口も前足も届かない場所です。大型犬は抱き上げないので、日々のケアでは人の手も入っていません。支える手がその日はじめて開く場所にしないために、洗う日の範囲にここを入れておきます。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。泡を立てて被毛をかき分ける工程がないので、前脚を開かせて押さえる場面が出てきません。湯のほうが先に脇の下へ入るので、こちらの手は支えるほうだけで足ります。日どりは、前の晩ではなく2〜3日前にしてください。前の晩に濡らすと、1周で見たい「湿っているかどうか」が分からなくなります。動物病院から帰った日なら、玄関で桶に張って足先だけ、という分け方もできます。待合の床は、その日ほかの子も歩いています。

1周を毎日に落とすと、3か所で止まります|大型犬のペットが動物病院へ行かない日の毎日

前の日だけでも意味はありますが、毎日のペットケアにできれば、動物病院に行く日が特別な日ではなくなります。ただし、5〜7分の1周をそのまま毎日に持ってくると、だいたい2週間で止まります。大型犬で止まる場所は決まっていて、次の3か所です。ここを先に知っておくと、続けるための削り方が決められます。

3つとも、その子が嫌がるからではなく、人の姿勢が続かないから止まっています。だから削り方も、回数ではなく姿勢のほうを変えます。大型犬と暮らしていると、日々のケアはどうしても背中と首まわりに寄ります。届く場所だけをやっているうちに、支えられる場所には何か月も手が入っていない、ということが起こります。

毎日に落とすときの、姿勢の変え方
止まる場所続かない理由姿勢の変え方
脇の下前脚を持ち上げる手がふさがる壁ぎわに立たせ、体を壁に預けさせる
後ろ脚のつけ根かがむ姿勢が続かない人が床に座り、その子に横へ来てもらう
おなかの側見ようとすると寝かせることになる見るのをやめ、手のひらで通すだけにする

そのうえで、毎日やるのは全部ではありません。週の中で場所を割ります。月・水・金は首輪のまわりと胸、火・木は脇の下、週末に後ろ脚のつけ根とおなかの側。1日あたり2分で終わります。ペットの体の面積が広いほど、1日でやりきる前提を捨てるほうが続きます。動物病院の予約が入っている週だけ、前の日に5〜7分の1周を通しでやる。これなら、大型犬の面積でも回ります。

Point被毛の下が見えないぶん、手のほうが早く気づきます

大型犬は被毛の量があるので、皮膚の変化が外から見えるころには、少し時間がたっていることがあります。目でさがすより、手のひらで通すほうが早いです。湿っている、熱い、押すと逃げる、被毛が寄って束になっている。この4つは、見ようとしなくても手で分かります。毎日のケアで拾えるのは、たいていこの4つです。

当日の朝にやらないでおくこと|大型犬のために、家でできる範囲

前の日に1周したなら、当日の朝は、同じ場所をもう一度だけ通します。やるのは3分です。前の晩と違うところがあるかどうかだけを見ます。新しく何かを足す日ではありません。むしろ、朝にやらないでおくことのほうが大事です。

持って行くのは、前の晩に書いた3行と、朝に見て違ったところだけです。紙1枚で足ります。ペットの様子を言葉にするのは、その場ではなかなか難しいものです。大型犬は待合でも立たせておく時間が長いので、書いたものがあると、その場で思い出そうとしなくて済みます。動物病院で何をどう診るかは、その場で決まります。家でできるのは、そこへ渡す材料をそろえておくところまでです。

Caution1周のあいだに見つけたら、その日のうちに伝えてください

押すと逃げる場所がある、左右で反応がはっきり違う、皮膚が赤い、熱を持っている、じくじくしている、においがある、被毛が一か所だけ薄い、そこをなめ続けている、立ち上がり方が変わった、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、家でのケアを増やす前に、その日の受診で動物病院にご相談ください。予約がまだない場合も、早めの受診をおすすめします。大型犬は体が大きいぶん、飼い主が気づくのが遅れる場所があります。迷ったら早いほうを選んでください。

動物病院に行く日は、その子にとって、体を触られる回数がいちばん多い日です。大型犬では、それが診察の前からすでに始まっています。台に上がるところ、体重をはかるところ、待合で立っているところ。触られる場所はほぼ決まっているので、前の日に自分の手で同じ場所を通しておけば、その日はじめて触られる場所がなくなります。ペットの側の準備として、家でできるのはここです。毎日の2分と、前の日の5〜7分。大型犬の面積でも、そこまでなら続きます。

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よくある質問

大型犬の体重は、動物病院でどうやってはかるのですか?
床に置いた台に自分で乗る形が多く、抱き上げることはあまりありません。家でできる準備としては、玄関マットのような四角い面に乗って、数を10まで数えるあいだ止まる、という練習が役に立ちます。乗ることそのものより、乗ったまま動かないでいる時間のほうが難しいからです。当日は肩と腰に手を添えられるので、そこも前の日の1周に入れておいてください。
車から診察室までのあいだに、大型犬の体はどこが汚れますか?
床に近い場所です。足の裏、指のあいだ、前脚のつけ根から下、おなかの下側。待合の床は、その日ほかの子も歩いています。帰宅後の拭き取りは、足まわりから先に始めて、そのあと体の側面へ上がってください。上から拭くと、床で拾ったものを体へ広げることになります。ここは大型犬でも小さい子でも順番は同じです。
触られるのが苦手な場所が見つかりました。当日までに慣らしたほうがいいですか?
数日で慣らそうとしないでください。何度も押し直すと、その場所だけ反応が強くなって、当日の様子が家での様子と変わってしまいます。やることは、慣らすことではなく伝えることです。どこを、どう触ったときに、どう反応したか。前の晩に書いた3行をそのまま渡すほうが、その日の役に立ちます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。