C05犬種・猫種別ケア
ラブラドールレトリバーと暮らすなら知っておきたい、背中のベタつきの話
短い毛を手のひらでひとなでしたあと、指の腹を親指にこすり合わせると、わずかに滑りました。ベタつきです。ところが同じ手で、今度は毛の流れと直角に指を沈めてみると、地肌に届く前に押し返されます。押し返された場所の毛を左右へ開くと、根元の側で毛が束になって、光を返していました。ラブラドールレトリバーの被毛は、短くて硬い上毛と、綿のように密に詰まった下毛の二層でできています。皮脂がいちばん溜まるのは、上毛の表面ではなく、この下毛の層のほうです。表面のベタつきは手のひらで気づけますが、下毛のベタつきは、かき分けるまで気づけません。この記事では、その2つを並べて、気づき方と手の入れ方がどこで分かれるかを書きます。
短く硬い上毛と、密に詰まった下毛|ラブラドールレトリバーの皮脂がたまる層
ラブラドールレトリバーの被毛は、外から見るとほとんど一枚に見えます。毛が短く、体の線に沿ってぴたりと寝ているからです。けれど指で分けると、性質の違う2つが重なっているのが分かります。外側は短くて硬く、まっすぐな上毛。その内側は、綿のように細くて密に詰まった下毛です。上毛の長さがないぶん、この二層は薄い層として体に張りついています。
この作りは、この犬種がもともと担っていた仕事から来ています。冷たい水の中へ入って、浮いているものを回収して戻る。外側の硬い毛が水を受けて流し、内側の密な毛が水を通さずに空気をためる。その二層を成り立たせているのが皮脂です。皮脂が毛の表面をおおうことで、水は毛の中まで入らずに玉のまま滑り落ちます。ラブラドールレトリバーの被毛では、皮脂は余分なものではなく、部品のひとつとして最初から組み込まれています。
問題は、その皮脂がどこに留まるかです。上毛は短くて表面積が小さく、毛と毛のあいだも狭いので、出た皮脂は毛の面を伝って下へ落ちていきます。落ちた先にあるのが、密に詰まった下毛の層です。下毛は細く、本数が多く、隙間が小さいので、伝ってきた皮脂はそこで止まります。換毛期に抜けた下毛が外へ出きらずに残っていると、その毛も一緒にまとまって、指で押すと弾力のある面になります。
つまり、ラブラドールレトリバーのベタつきは1種類ではありません。上毛の表面にうっすら残るベタつきと、下毛の層で毛どうしをまとめているベタつき。この2つは出ている場所も、気づき方も、手の入れ方も違います。にもかかわらず、どちらも「ベタつく」という同じ言葉で呼ばれるので、片方だけに手を入れて終わってしまうことが起こります。手のひらがきれいになったのに翌日また同じ感触になる、という時間の多くは、ここから生まれます。
- 上毛が短い:手のひらがすぐ地肌の近くまで届くので、表面の変化には気づきやすい
- 下毛が密:指を沈めないと層の中が見えないので、内側の変化には気づきにくい
- 皮脂は下へ伝う:出た場所と、溜まる場所がずれます
- 体格が大きい:面が広く、背中・腰・尾のつけ根で条件が変わります
- 換毛期に下毛が動く:抜けた毛が層に残ると、溜まる量がまとめて増えます
ラブラドールレトリバーの皮脂は、水を流すための作りの一部です。量そのものを減らす方向に考えると、答えは「もっと洗う」しか残りません。ここで見たいのは量ではなく、皮脂がどの層に、どれだけの時間留まっているかのほうです。留まる時間の話にすると、手の入れ方が「表面をなでる」と「層を開く」の2つに分かれます。ベタつきを2つに分けて考える出発点は、この違いです。
表面のベタつきと、下毛のベタつき|ラブラドールレトリバーで比較する2つ
2つのベタつきを、同じ項目で並べます。比較するのは強さでも量でもなく、どこにあるか、どう気づくか、どれくらいの時間で戻るかです。ラブラドールレトリバーでは、この3つがきれいに分かれます。分かれているからこそ、片方の手をもう片方に使っても効きめが見えません。
1つ目は、上毛の表面に出ているベタつきです。手のひらを毛の流れに沿って滑らせると、指の腹にうっすら残ります。散歩から帰った日、暖房の効いた部屋で寝ていた日、夕方になってから。出るのも早く、拭けば減るのも早い。時間の単位は日です。触れば分かるという点で、いちばん見つけやすいベタつきでもあります。
2つ目は、下毛の層にあるベタつきです。こちらは手のひらでは分かりません。上毛が短くて寝ているので、表面はさらりとしたまま、内側だけが束になっていることがあります。かき分けて初めて、根元の毛どうしが寄って、分けた線が閉じずに残っているのが見えます。溜まるのに数週間かかり、減るのにも同じだけかかります。時間の単位は週です。
| 表面のベタつき | 下毛のベタつき | |
|---|---|---|
| どこにあるか | 短く硬い上毛の面 | 密に詰まった下毛の層 |
| 気づき方 | 手のひらでなでると指に残る | 毛の流れと直角に指を沈める |
| 見た目 | 光を返して、毛先がそろって見える | 外からは分からない。分けた線が閉じない |
| 時間の単位 | 日。夕方に出て、翌日には戻る | 週。数週間かけて溜まる |
| 換毛期の影響 | ほとんど変わらない | 抜けた下毛が残ると、まとめて増える |
| 手の入れ方 | 面を、毛の流れに沿って長くなでる | 層を1枚出して、短く、根元の側だけ |
| 出やすい場所 | 背中の上面、体側 | 尾のつけ根、腰、後ろ脚のつけ根の内側 |
この2つには、上下の関係があります。表面のベタつきを毎日拭き取っていても、下毛の層に溜まったぶんは減りません。逆に、下毛の層を開いて風を通してやると、そこから伝わってくるぶんが減るので、表面の戻り方もゆるやかになります。ラブラドールレトリバーで「毎日拭いているのに、同じ感触に戻る」と感じるときは、手が届いている層が1つ足りていないことがあります。
どちらか一方だけをやればいい、という比較ではありません。表面のベタつきは毎日出るので、毎日の短い手が要ります。下毛のベタつきは週の単位で動くので、週に何度かの深い手が要ります。粒度の違う2つの手を、別々に持つ。ラブラドールレトリバーの体格を考えると、どちらも全身に毎日かけるのは続きません。分けたほうが、結果として両方が回ります。
どっちのベタつきが起きているか|指を沈めて確かめる見分け方
今日どちらの手を使うかは、触った瞬間には決まりません。見分け方の中心は、なでる手ではなく、沈める指のほうです。立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけで確かめます。1か所につき20秒ほどで済みます。次の順で回してください。
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手のひらを背中に当てて、毛の流れに沿って一往復させる
まず表面を見ます。手を離したあと、指の腹を親指にこすり合わせてください。わずかに滑るなら、表面のベタつきが出ています。この段階では、まだ下毛の話は分かりません。滑らなかったからといって、内側まできれいだという意味にはなりません。
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毛の流れと直角に、指を1本まっすぐ沈める
上毛を左右へ開くのではなく、指を差し込むように入れます。地肌まで届くか、途中で押し返されるか。押し返される深さが、そのまま溜まっている厚みです。ラブラドールレトリバーは上毛が短いので、健康な状態なら指はすぐ地肌に触れます。触れないなら、そこが下毛のベタつきのある場所です。
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指を抜いたあと、分けた線が閉じるかどうかを見る
毛を分けた線は、ふつうは手を離すと数秒で閉じます。開いたまま残るなら、根元の毛どうしが皮脂でまとまっています。閉じる場所と閉じない場所を、背中・腰・尾のつけ根・後ろ脚のつけ根の内側で比べてください。ラブラドールレトリバーは面が広いので、同じ日でも場所によって結果が変わります。
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指に残ったものを見て、湿りか脂かを分ける
指の腹がうっすら滑るだけなら皮脂です。水気を含んでいて、地肌が冷たいなら、乾ききっていない場所です。湿りと脂は、手の入れ方が変わります。湿っている場所は、まず風を通すほうが先で、その日は道具を持ち込まないでください。
上毛が短く、体の線に沿って寝ているので、内側に何が起きていても外からは同じように見えます。毛づやが良く見えることは、下毛の層が通っている証明にはなりません。逆に、換毛期で表面がぼさついていても、指がすっと地肌まで届く子もいます。呼んで足元に来たついでに尾のつけ根へ指を沈める、と決めてしまうと、思い出さなくても回るようになります。手ざわりの差は、数日で覚えられます。
確かめた結果は、その日にやることを1つに絞るために使います。表面だけなら、面をなでて終わり。押し返される場所があるなら、そこだけ層を開く。両方あるからといって、同じ日に全身へ両方をかける必要はありません。ラブラドールレトリバーの体格で全身に深い手を入れると、飼い主のほうが先に続かなくなります。今日は尾のつけ根だけ、明日は腰だけ、で足ります。
面を長くなでるか、層を1枚出すか|ベタつきの種類で変わる毎日のケア
手の入れ方は、2つのベタつきで逆になります。表面は「広く、浅く、長く」。下毛は「狭く、深く、短く」。動かす向きも、かける時間も、続ける間隔も違います。同じブラシを同じ動かし方で使っていると、片方にしか届きません。
| 表面のベタつき | 下毛のベタつき | |
|---|---|---|
| 動かす範囲 | 広く。背中から腰まで一続きに | 狭く。手のひら一枚ぶんずつ |
| 当てる深さ | 毛の面に触れるだけ | 分けた層の、根元の側だけ |
| 一度の長さ | 長く、数往復 | 短く。1か所につき数回 |
| 間隔 | 毎日。1回30秒でも足ります | 週に2〜3回。換毛期は増やす |
| 終わりの合図 | 指の腹が滑らなくなったとき | 分けた線が閉じるようになったとき |
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表面:布を毛の流れに沿って、背中から腰まで通す
力はほとんど要りません。短い上毛は、面をなでるだけで表面の皮脂が布に移ります。ラブラドールレトリバーは背中の面が広いので、往復するより、首から腰へ一方向に長く動かすほうが取りこぼしが減ります。1日1回、帰宅後でも寝る前でも構いません。時間を決めておくと、毎日のケアとして残ります。
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下毛:指で層を1枚出してから、根元の側だけをブラッシングする
いきなり上から入れないでください。まず指で毛を分けて、地肌の見える線を1本つくり、その線の周りだけに道具を通します。終わったら分ける線を数センチ上へ移して、また同じことをする。これを3〜4回くり返せば、手のひら一枚ぶんに届きます。深さを先に決めておくと、道具が地肌に当たりません。
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換毛期だけ、下毛に入る回数を増やす
春と秋、下毛がまとまって動く時期は、抜けた毛が層に残りやすくなります。やることは変えず、週2〜3回を4〜5回にするだけです。1回の時間を長くするより、回数を増やすほうがラブラドールレトリバーには合います。時期が過ぎたら、回数も元へ戻してください。ずっと増やしたままにする必要はありません。
洗う回数の話に寄せないでください。回数の話にすると、表面のベタつきと下毛のベタつきの区別がそこで消えてしまいます。下毛の層に溜まったものは、そこへ手が届いていなければ、何回洗っても同じ場所に残ります。逆に、体格の大きいラブラドールレトリバーを洗えば、乾かしきるまでの時間も長くなります。下毛が湿ったまま時間が過ぎると、次はにおいの話が増えます。まず動かすのは、層に手が届いているかどうかのほうです。
指が押し返される場所へ、道具を上から強く入れると、溜まった皮脂ではなく、生えている毛と皮膚を一緒に引っぱることになります。1回で全部を通そうとしないでください。層を1枚出して、出せたぶんだけ運ぶ。嫌がる、体をよじる、声を出すというときは、その日はそこで止めます。翌日にもう1枚ぶん進めるほうが、結果として早く終わります。
洗う日についても、決まるのは回数ではなく深さのほうです。泡が入った深さと、すすぎの湯が届いた深さは、同じとは限りません。ラブラドールレトリバーの下毛は指を沈めても押し返してくる密度なので、洗っているあいだ、泡がどこで止まっているかは手のほうからは分かりません。表面の泡が消えた時点で流し終わったことにすると、指が途中で止まった深さには、そのまま残ります。
そこで見ておきたいのは、洗浄成分の側より水の側です。シャンプーは中身の大半が水で、mofuwa モイストシャンプーは、その大半を占める水に、水道水を電気分解した特許電解水(特許第5253483号)を使っています。層の奥まで入り、最後まで残るのは水のほうなので、それが何でできているかは、下毛の詰まったこの犬種ではとくに小さくない話になります。舐めてしまっても基本的には問題のない処方ですが、大量に飲んだ場合は獣医師にご相談ください。
洗う日の順番も、指を沈めて押し返された場所から決めてください。泡を全身に広げる前に、その場所だけ層を1枚出して、地肌の見える線をつくってから泡を置きます。流すときも、同じ線を指で開いたまま湯を根元へ通す。尾のつけ根、腰、後ろ脚のつけ根の内側の3か所だけでも、泡を置いた線と湯を通した線がそろっていれば、翌週に指が止まる深さが変わります。
かき分けた下毛が湿っているとき|ラブラドールレトリバーのベタつき
ここまでは、上毛と下毛の作りで説明のつくベタつきの話でした。2つを分けて手を入れていても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、毎日のケアの話として片づけないほうが安全です。
- 層を開いた地肌が湿っている:皮脂ではなく、水気が残り続けている場所です
- においが、なでたときではなく開いたときに立つ:においの出どころが層の中にあります
- 換毛期でもない時期に、指が急に止まるようになった:季節の区切りと合わない変わり方です
- いつも同じ一か所だけが戻る:首輪、ハーネス、寝床の縁など、毎日同じ面を押さえているものを思い出してください
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。ベタつきより先に、皮膚のほうを見てください
- 地肌が赤い、毛が根元から抜けている:手を入れる話ではなくなっています
地肌が赤い、じくじくしている、開いたときににおいがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。ラブラドールレトリバーは上毛が短いぶん外から整って見えるので、内側の変化に気づくのが遅れることがあります。迷ったら早いほうを選んでください。
相談の前には、指が押し返される場所、いつからか、その場所を開いたときの地肌の様子の3つをメモしてください。この3つがあると、被毛の作りで説明のつくベタつきなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に頑張って全部を開いてしまうと、もとの状態が分からなくなります。気になる場所は、そのまま連れて行ってください。
ラブラドールレトリバーと暮らすうえで、皮脂が出ること自体はなくなりません。水をはじく被毛は、この犬種が冷たい水へ入る仕事のためにそなえた作りだからです。動かせるのは皮脂の量ではなく、それが下毛の層に留まっている時間のほうです。表面は毎日、広く浅く。下毛は週に何度か、狭く深く。ベタつきを2つに分けて、それぞれに別の手を持つ。ラブラドールレトリバーのベタつきで飼い主の側が変えられるのは、そこです。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見るよくある質問
- ラブラドールレトリバーは毛が短いのに、なぜ内側にベタつきが溜まるのですか?
- 毛が短いことと、層が薄いことは別の話です。上毛は短くても、その内側には細い下毛が密に詰まっています。上毛の面に出た皮脂は毛を伝って下へ落ち、隙間の小さい下毛の層で止まります。表面がさらりとしていても、指を沈めると押し返される、ということが起こるのはこのためです。
- ベタつきが気になるとき、洗う回数を増やしたほうがいいですか?
- 回数を増やす前に、下毛の層に手が届いているかどうかを見てください。層に溜まったものは、そこへ手が入っていなければ同じ場所に残ります。またラブラドールレトリバーは体格があるぶん、乾かしきるまでの時間も長くなります。下毛が湿ったまま時間が過ぎると、条件が1つ増えます。
- 下毛の層に入るのは、毎日やったほうがいいですか?
- 毎日でなくて構いません。指を沈めて地肌まで届く場所には、その日の出番がありません。押し返される場所だけ、層を1枚出すぶんだけ手を入れてください。週に2〜3回で足ります。換毛期だけ、1回を長くするのではなく回数のほうを増やしてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
