C14トリマー/獣医師視点

シニアの子を短時間で終える組み立て

公開日 2023年12月17日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で淡い色のブランケットの上に静かに伏せている、年をとった毛色の薄い犬
短時間で終わる台では、同じ姿勢のうちに終わることが先に決まっています。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

台に乗せてから最初の1分で、シニアの子が後ろ足を踏みかえた回数を数えます。3回なら最後まで同じ順番で通せますし、7回を超えていれば、その日は工程の並びを変えます。トリミングを短時間で終えるというのは、手を速く動かすことでも、工程をいくつか削ることでもありません。同じ姿勢でいられる時間が短くなったぶん、姿勢を変える回数のほうを減らす組み立てです。現場で短時間になっている台は、たいてい工程の数が減っているのではなく、その子を立たせ直す回数が減っています。シニアのトリミングでは、時計より先に、この回数のほうを数えます。

最初の1分で、後ろ足の踏みかえを数える|シニアのトリミングに最初に出る変化

台に乗った直後の1分は、その子がその日いちばん頑張れる1分です。ここで後ろ足の踏みかえが何回あるかを見ます。踏みかえというのは、後ろ足の左右で体重を乗せかえる動きのことです。若い子でも緊張すれば1回か2回は出ますが、いちばん楽な1分のうちに5回も6回も出るなら、そのあと20分は同じ姿勢のままでいられません。シニアのトリミングで短時間という言葉が出てくるのは、たいていこの段階で決まっています。

台に乗せて最初の1分の踏みかえと、その日の組み立て
最初の1分の踏みかえその姿勢でいられる見当その日の並べ替え
0〜2回10分以上は続くふだんの順番のまま通す
3〜4回5分ほどで崩れはじめる立ち姿勢の工程を前へ寄せる
5〜6回2〜3分が上限伏せたままできることを全部まとめる
7回以上同じ姿勢で待たせない台の上は部分だけにして、残りは次回へ
数えるより先に座り込む立ち姿勢の工程は組まない伏せと横向きの2姿勢だけで組む

この表の右端が、現場でその場で判断していることです。総時間を短くしようとして数えているのではなく、同じ姿勢がどれだけ持つかを先に測っているだけです。そのうえで、その持ち時間に入る工程を選びます。結果として短時間になりますが、短くすることが目的で組んでいるわけではありません。

シニアの子では、この1分の数字が月ごとに動きます。先月は2回だった子が今月は5回になる。そうなると、先月の順番はそのままでは通りません。だからトリミングの前に飼い主への説明として伝えるのは、仕上がりの希望ではなく「今日は伏せたままできるところまでにします」という範囲の話になります。範囲を先に決めておくと、途中で切り上げたときに、それが妥協ではなく最初からの予定だったと分かります。

家で同じことを見るなら、ブラシを持つ前に1分だけ、その子の後ろ足を見ておいてください。玄関でも、寝床の横でも構いません。立たせて、体をなでながら1分。左右の踏みかえが何回あったか。この1回の数字があるだけで、その日にどこまでやるかの線が自分で引けます。

工程を削ると、かえって長くなる|シニアのトリミングが短時間で終わらない背景

短時間で終わらせようとして工程を削った日のほうが、結果的に台の上の時間が伸びることがあります。削ったぶんの汚れや毛のもつれが残り、次の工程で引っかかって、そこで一度その子を立たせ直すことになるからです。姿勢を変える動きは、工程ではないので予定に入っていません。ところが、その子の体にとっていちばん重いのはそこです。

この4つは、どれも「時間がないときに削るところ」として現場でよく挙がるものです。実際には削れていません。削ったのは工程で、増えたのは姿勢の変更です。シニアの子の体は、工程の数より姿勢の変更の回数に反応します。伏せたまま10分やるのと、伏せ・立ち・伏せと2回変えて合計6分やるのでは、後者のほうが先に息が上がります。

Noteシニアの台で数えているのは分ではなく回数

現場のノートに残っているのは「40分」ではなく、「伏せ2回・立ち1回・横向き1回」という書き方です。分数だけ残しても、次に同じ時間で終わるかどうかが読めません。姿勢の回数で残しておくと、次の回に1回減らせるかどうかをその場で考えられます。短時間という言葉を、分ではなく回数に置き換えておくのが、この記録のいちばんの利点です。

もうひとつの背景は、シニアになると工程ごとの所要時間そのものがばらつくことです。若い子なら足先は4か所で3分と読めますが、途中で足を引く子では6分かかる日があります。読めない時間を含む工程を後ろに置くと、予定が崩れる場所も後ろになります。崩れたときに残っているのは、その子のいちばん疲れた時間です。だから読めない工程は、むしろ前に置きます。

姿勢を変えた回数で数え直す|シニアのトリミングを短時間にまとめる理由

並べ替えの原則は1つだけです。同じ姿勢でできることを、全部その姿勢のうちに終わらせる。工程の種類でまとめるのではなく、姿勢でまとめます。ブラシ、汚れを落とす、地肌を見る、爪のまわりを見る。これらを工程として順番に並べると姿勢が何度も変わりますが、姿勢でまとめ直すと、同じ動作が2〜3か所に分かれて配置されます。

  1. 伏せのうちに、背中側を全部終える

    背中・腰・しっぽの付け根・耳のうしろ。ブラシも、汚れを落とすのも、地肌を見るのも、この姿勢のうちにまとめます。立たせる前に背中側の用事を残さないのが、この並べ替えのいちばん大きい効果です。

  2. 横向きにしたら、片側の足先とわきを一度に

    横向きは1回にします。上になっている側の前足・後ろ足・わき・内ももを、続けて終わらせます。足先だけを別工程として最後に集めない、というのがここでの判断です。

  3. 反対側へ返すのは1回だけ

    返す動きは、その子にとって立たせるのと同じくらい重い動きです。1回で済むように、返す前に上側の用事が残っていないか声に出して確認します。返してから思い出すと、もう一度返すことになります。

  4. 立ち姿勢は最後に1回、いちばん短くまとめる

    顔まわり、胸、お尻の下側。立ち姿勢でしかできないものだけを、ここに集めます。持ち時間が2〜3分なら、この1回に入るぶんだけを入れて、入らなかったものは次回へ回します。

この4段で、姿勢の変更は3回です。工程の順番で組むと、同じ内容でも6回から8回になります。差は分数ではなく、その子の体が起き上がったり返されたりした回数の差です。シニアのトリミングを短時間にまとめる理由は、時計を気にしているからではなく、この回数を減らすと同じ内容が入るからです。

工程で並べた場合と、姿勢でまとめた場合
見るところ工程の順番で並べる姿勢でまとめ直す
姿勢の変更6〜8回3回
足先にかかる時間最後に集めて立たせ直す横向きのうちに片側ずつ
崩れたときに残るものいちばん疲れた時間に立ち工程入らなかったぶんが次回へ回る
飼い主への説明終わらなかった理由を並べるどこまでやるかを先に伝えてある
記録の形分数だけが残る姿勢の回数が残り、次回に1回減らせる

表の最終行が、次の回につながるところです。分数だけの記録は次の回に使えませんが、姿勢の回数は使えます。3回で終わった子が次は4回かかったなら、その1回が増えた理由をその場で探せます。増えた1回は、たいてい前の回に残した用事です。シニアの台で短時間を続けられている人は、この1回を毎回さかのぼっています。

同じ手順を二日に分けて家で回す|現場の経験が、シニアのトリミングの短時間化に残したもの

家で同じ組み立てをするときは、姿勢の変更を3回ではなく1回に落とせます。1日で全部やらなくていいからです。今日は伏せのうちにできる背中側だけ、明日は横向きで片側だけ。二日に分けると、1回の姿勢変更で済みます。老犬のお風呂を短時間で済ませる工夫としてよく挙がるのも、この分け方です。工程を速くするのではなく、1日に入れる姿勢の数を1つにする。

この分け方でいちばん引っかかるのが、顔まわりです。目のふち、口のまわり、耳の入り口。これらは伏せたままでも触れる場所なのに、使うものを選ぶ段で手が止まります。舐めてしまう場所だからです。ここに mofuwa スキンケアミストを置いておくと、伏せている姿勢のうちに顔まわりまで届かせられます。高機能性電解酸化水100%で、飲みものに使う水と同じ規格の基準を満たしているので、口のまわりや耳のふちでも使う場所を選び直す必要がありません。塗るものを場所ごとに持ち替えないぶん、同じ姿勢のうちに終わる範囲が広がります。

スキンケアミストが場所を選ばないのは、水そのものの性質から来ています。高機能性電解酸化水は、創傷治癒の分野で研究の対象になってきた水で、2002年の創傷治癒世界会議などで発表されています。地肌のかさつきが気になる背中や、暖房の風が当たる耳の先にも、同じ1本で届きます。使えるものが1本で済むと、道具を持ち替えるために立たせ直す、という動きがそのまま消えます。家で短時間にまとまる理由は、腕ではなくこの一点です。

全身を洗う日の組み立ても同じ考え方でいけます。立っていられる時間が短い子では、浴室にいる時間そのものを短くする前に、姿勢を変える回数を数えてください。洗う日と洗う日のあいだに、背中側だけ・片側だけと分けて手を入れておくと、洗う日の台で残っている用事が減ります。老犬のお風呂が長くなるのは、その日にまとめてやることが多いからで、手が遅いからではありません。

Caution踏みかえの間隔が、週ごとに短くなっているとき

最初の1分の踏みかえが、先月2回だった子が今月は6回になっている/同じ姿勢でいられる時間が、先週の半分になった/伏せから立つときに介助が要るようになった/左右のどちらか一方だけ踏みかえが増えている。この4つは、姿勢の並べ替えや短時間化の工夫では追いつきません。踏みかえの回数と、1回にかかった分数を書いた紙を持って、動物病院で診察の枠を取ってください。左右差は、そのときに伝えると話が早く進みます。治療は動物病院で受けるもので、家で組み替えられるのは順番のほうです。

家で続けるのは、順番を書いた紙を1枚、道具の箱に入れておくことだけです。同じ姿勢のうちに何を終わらせるかが書いてあれば、その日の体調で工程を1つ落としても、並びは崩れません。シニアのトリミングを短時間にする工夫は、覚えておく努力ではなく、次にやる人が読める形で残っているかどうかで続きます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。