C09シーン別・暮らし

高齢の飼い主、保護犬・保護猫を迎えた人はどうしている?

公開日 2024年1月27日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、椅子のそばの淡い色の床にすわっている白っぽい猫
待っている時間の姿勢を変えると、その子が出てくるまでの分数に手が届きます。写真:JUNLIN ZOU/Pexels

保護猫を迎えて3日目、床にしゃがんで待っていられたのは7分でした。その子がケージの奥から出てくるまでには、いつも15分から20分かかります。7分で立ち上がると、その日はそこで終わりです。しゃがんだ姿勢を20分続けられる人は、年齢に関係なくそう多くありません。高齢の飼い主が保護犬・保護猫を迎えるとき、慣らす時間の長さを決めているのは、触り方より先に、待っている姿勢のほうです。触る手順を工夫する前に、待つ姿勢を椅子へ移しました。ここでは、その5つの手順と、頻度の決め方を書きます。

触っている時間より、待っている時間のほうが長い|高齢の飼い主と保護犬・保護猫の毎日

保護犬や保護猫を迎えた最初の1か月は、体に触れる時間がほとんどありません。触られることに慣れていない子であれば、まず同じ部屋にいるところから始まります。以前どんな暮らしをしていたかは分かりませんし、分からないまま進めることになります。この時期にいちばん長いのは、その子が自分から出てくるのを待っている時間です。うちの場合、ケージの奥から出てくるまでに毎回15分から20分かかりました。ペットを迎えたというより、部屋を1つ貸したという感覚に近い時期です。

その15分を、どんな姿勢で過ごすか。ここが決まっていないと、実際の待ち時間より先に人の側が終わります。うちは最初、床にしゃがんで待っていました。3日目に時計を見たら7分でした。待てた時間が7分で、出てくるまでが15分なら、その日は一度も会えていないことになります。しゃがむ姿勢を20分続けるのは、体の使い方として無理があります。高齢の飼い主だから続かないという話ではなく、しゃがんで待つという形そのものが、長い時間には向いていません。

同じことが、道具の置き場所でも起きます。ブラシや布を別の部屋に置いていると、その子が出てきたときに取りに立つことになります。立てば、その子は戻ります。待っている時間のあいだに人が動く回数が、そのままやり直しの回数になります。保護犬・保護猫を迎えた家では、この往復が積み上がって、1日の中でその子と向き合えた時間が数分になってしまいます。ペットの側の問題ではなく、部屋の中の物の置き方で決まっている部分です。

Noteできないことを数えるための話ではありません

ここで測っているのは、人の体力ではなく姿勢の持ち時間です。しゃがんだ姿勢は誰にとっても短く、椅子に座った姿勢は誰にとっても長い。年齢に関係なく同じことが起きます。高齢の飼い主が保護犬・保護猫を迎えるときに変えるのは、頑張る量ではなく、待ち時間に使う姿勢と、その姿勢のまま手が届く範囲です。この2つを先に決めておくと、あとの手順は自動的に短くなります。ペットに合わせて人が無理をする形にはしません。

待つ姿勢を床から椅子へ移す5つの手順|高齢の飼い主が保護犬・保護猫に家でできること

ここからが手順です。5つありますが、順番どおりに、1日1つずつで構いません。全部そろうまでに1週間かけても遅くありません。保護犬・保護猫の側は、部屋の中の物が動くことにも反応します。人の側の準備も、1日1つのほうが受け取りやすくなります。ペットの毎日に足す変化は、いつも1つだけにしてください。

  1. 椅子を1脚決めて、その子のいる場所から2メートル離して置く

    背もたれのある椅子を選び、置く場所を毎日変えないでください。手は膝の上に置いたままにします。差し出さず、呼ばず、目も合わせません。距離は2メートルから始めて、その子が手前1メートルまで来る日が3日続いたら、椅子を30センチだけ前に出します。高齢の飼い主にとっても、この姿勢なら20分は無理なく座っていられます。

  2. 道具を、椅子から動かずに届く1か所に集める

    ブラシ、布、拭くためのもの、記録用の紙とペン。数を減らす必要はありません。椅子の横に小さな台を1つ置いて、そこへ全部まとめます。目的は持ち物を絞ることではなく、立ち上がる回数をゼロにすることです。取りに行くために立つと、待っていた15分がやり直しになります。

  3. その子が自分から上がってこられる高さを、椅子の脇に作る

    座面と同じくらいの高さの台か、丈夫な箱を1つ、椅子のすぐ横に置きます。人が手を伸ばして届く高さではなく、その子が自分の足で上がれる高さです。犬なら前足をかけられる高さ、猫なら一跳びで乗れる高さ。ここに乗ってきたら、それが最初の接点になります。ペットのほうから距離を詰めた日だけを数えるので、持ち上げて乗せることはしません。

  4. 1回を3分で切って、時計を見て立ち上がる

    待つのは20分でも、実際に触れる時間は3分で切ります。タイマーを台の上に置いて、鳴ったら手を止めてください。その子が受け入れているように見える日ほど、長く続けたくなります。ここで延ばすと、次の日に距離が戻ることがあります。3分で切るのは人の都合ではなく、次の日を作るためです。

  5. 来なかった日を、紙に「来なかった」と書く

    日付と、待った分数と、その子が来たかどうか。来なかった日を空欄にすると、続いていないように見えてしまいます。「来なかった」と書いてあれば、それは座った日の記録です。保護犬・保護猫を迎えた家では、この記録が1か月後にいちばん役に立ちます。動物病院で最初の相談をするときにも、そのまま渡せます。

床にしゃがんで待つ形と、椅子に座って待つ形の違い
床にしゃがむ椅子に座る
続けられた時間5〜7分20分以上
途中で立った回数1回の待ちで2〜3回0回
手の位置体の前で動く膝の上で止まる
その子から見た人の形動きが大きい変化が少ない
道具までの距離別の部屋座ったまま届く

触れる日が来たときにやることも、あらかじめ決めておきます。うちは、その子が台に乗ってきた日だけ、布を毛の流れに沿って背中に一往復させるところから始めました。毛づくろいで届く範囲には限りがあって、迎えたばかりの子ほど、自分では届かない場所に前の暮らしがそのまま残っています。そこは人が代わるしかない場所です。洗う日のために決めておいたのは mofuwa 入浴シャンプー でした。お湯に溶かして浸かるだけなので、被毛をかき分けて泡を届かせる工程がありません。擦っている時間は、その子がじっと耐えている時間でもあります。触られることにまだ慣れていない保護犬・保護猫ほど、その時間が短いほうが翌日につながります。全身が難しい日は、桶に入れて足先だけでも構いません。高齢の飼い主にとっても、こちらの手が支えるだけで済むのは大きい違いでした。

回数を増やすより、椅子と時刻を動かさない|保護犬・保護猫を迎えた家で頻度をどう決めるか

手順が決まると、次に出てくるのが頻度の話です。1日に何回座ればいいか。ここでうちは一度つまずきました。朝・昼・夕方と回数を増やしたところ、その子が出てくるまでの時間が15分から25分に伸びました。回数を増やすと、部屋の中で人が動くタイミングも増えます。待っている時間そのものより、座るまでの物音のほうが影響していたようです。

そこで、回数ではなく時刻を固定する形に変えました。1日2回、朝食のあとと、夕方の同じ時刻。椅子の位置も動かしません。高齢の飼い主にとっても、時刻が決まっているほうが体の負担を読めます。1回20分を1日2回なら、座っている時間は合計40分です。回数を増やして毎回短く切り上げるより、こちらのほうが続きました。ペットの側からも、次にいつ人が座るかが読める形になります。

頻度を変えてみたときに、その子が出てくるまでの時間がどう動いたか
やり方1日の回数出てくるまでの時間続いた日数
思い立ったときに座る0〜4回15〜25分4日でやめた
朝・昼・夕の3回3回20〜25分6日でやめた
朝と夕方の決まった時刻2回10〜15分1か月続いた
夕方だけ1回12〜18分予定のある日はこの形

つまずきはもう一つありました。3分で切るという手順が、その子が来た日ほど守れません。せっかく来たのだから、もう少しブラシを入れておこう、と思ってしまいます。実際にやってみると、5分を超えたあたりでその子が体をよじり、翌日は台に乗ってきませんでした。3分は短すぎるように見えますが、翌日につながる長さとして決めています。タイマーを使わないと守れません。

Point予定のある日は、座る時刻を1回に減らして構いません

通院や買い物で家を空ける日は、1日2回が難しくなります。そういう日は、夕方の1回だけを残してください。やめてしまうより、回数を落として時刻を守るほうが、その子の側の見通しは崩れません。座れなかった日は、紙に「座れなかった」と書いておきます。保護犬・保護猫を迎えた最初の1か月は、毎日同じ形を保つことのほうが、1回の中身より効いてきます。ペットのケアも、触れた日にだけ足せば十分です。

来なかった日の記録が、次に座る時刻を決めます|高齢の飼い主とペットが1か月続けるコツ

1か月ぶんの紙を見返すと、来なかった日には偏りがありました。うちの場合、来なかった日は22日のうち9日で、そのうち6日が夕方の回です。夕方は家の前の道が混む時間で、外の音が入ります。「来なかった」と書いてあったから、時刻のほうを疑えました。空欄にしていたら、その子が慣れていないという理解のまま、同じ時刻に座り続けていたと思います。

1か月の記録から読み取れたこと
記録した項目1か月の数そこから決めたこと
座った日22日毎日でなくてよい、と割り切れた
来なかった日9日うち6日が夕方。時刻を1時間ずらした
台に乗ってきた日7日乗ってきた日だけケアを足す
3分を超えた日3日3日とも翌日に来なかった
体に触れた合計時間約18分1か月でこの長さで足ります

座る時刻を1時間だけ早い側へずらしてからは、来なかった日が2週間で2日まで減りました。やったことは、椅子の位置でも道具でもなく、時計の針を1時間動かしただけです。保護犬・保護猫の側の変化に見えていたものが、家の外の条件だったということが起こります。記録がないと、ペットの側の変化と家の側の条件を切り分けられません。高齢の飼い主にとっても、原因を自分の体力に求めずに済むのは大きい違いでした。

Caution待ち方の問題として扱わないほうがよい変化があります

慣れるまでに時間がかかることと、体の変化は別に見てください。食べる量が3日以上落ちている、水を飲む量が急に変わった、同じ場所をなめ続けている、皮膚が赤い、被毛の抜け方が左右で違う、触れた場所を強く嫌がる、呼吸が速い、隠れたまま出てこない日が続く。こうしたことがあるときは、待ち方を変える前に動物病院にご相談ください。迎えたばかりの子は、以前の記録が手元にないことが多いので、こちらで書いた1か月の紙がそのまま資料になります。座った日・来なかった日・触れた分数を持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

1か月やってみて残ったのは、待っている時間の姿勢を先に決めておけば、あとの手順は短くて済むということでした。椅子を1脚決めて、道具を手の届く1か所に集めて、その子が自分で上がれる高さを脇に作る。触れるのは3分で切って、来なかった日も書いておく。高齢の飼い主が保護犬・保護猫を迎えるときに、家でできることはここまでで足ります。ペットが近づいてくる速さは、こちらで決められません。決められるのは、近づいてきたときに人がまだそこに座っているかどうかのほうです。

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よくある質問

椅子に座って待つあいだ、声をかけたほうがいいですか。
最初の2週間は、声も手も出さないほうが待ちやすくなります。手は膝の上に置いたままにして、目も合わせません。動きが少ないほど、その子から見た人の形が変わらないからです。台に乗ってくる日が続くようになってから、短い言葉を1つだけ決めて、同じ声の高さで使うようにしてください。言葉を増やすのは、そのあとで間に合います。ペットの側が人の形を覚えるまでは、変えないものを増やすほうが早く進みます。
1日2回の時刻は、何時ごろに置くのがいいですか。
決まった時間帯があるわけではありません。うちは朝食のあとと夕方に置きましたが、夕方は外の音が入る時間で、来なかった日が偏りました。大事なのは時刻そのものより、家の中と外がいちばん静かな時間帯を選ぶことと、選んだら動かさないことです。1週間ぶん記録を取ると、来なかった日の偏りから合う時間帯が見えてきます。
触れる日が来ないまま2週間が過ぎました。何か変えるべきですか。
手順を増やす必要はありません。椅子の位置を30センチ前に出すのは、手前1メートルまで来る日が3日続いてからにしてください。それまでは、同じ椅子・同じ時刻・同じ姿勢を保つほうが早く進みます。ただし、食べる量や隠れている時間に変化があるときは、待ち方の問題として扱わず、動物病院にご相談ください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。