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犬と猫の同居を楽にする、シニア猫と暮らす人の毎日の習慣

公開日 2024年2月10日|文=mofuwa編集部

明るい木の床で横になっているクリーム色の猫と、少し離れて休んでいる白い犬
同じ室内にいる犬は、その猫のにおいを毎日いちばん近くで嗅いでいます。写真:PicsbyFran/Pixabay

帰宅後の居間で、犬が老猫の腰のあたりに鼻をつけたまま、10秒ほど離れませんでした。それまでは、横を通るときに一度嗅いで、そのまま自分の場所へ行くだけでした。猫のほうは動かず、しばらくしてから立ち上がって、少し離れた窓辺へ移りました。同じことが3日続いて、ようやくこちらが「猫の側で何か変わったのかもしれない」と考えました。犬と猫の同居では、人が先に気づくとは限らない場面があります。とくに老猫と暮らしていると、変わり方がゆっくりで、毎日見ている人ほど差が分かりません。この記事は、同居している犬の態度を、老猫の変化を知る最初の手がかりとして読む、という話です。

帰宅後の10秒、犬が老猫の腰から離れなくなった|犬と猫の同居で最初に変わるものの背景

順番に書きます。玄関を上がって居間に入ると、犬が先に来て、そのあと床で寝ている老猫のところへ回ります。ここまでは毎日同じでした。変わったのは、猫の横で止まっている時間のほうです。以前は鼻先を一度近づけて終わりだったのが、腰から尾のつけ根のあたりに鼻をつけたまま、10秒ほど動かなくなりました。

老猫は逃げませんでした。目を細めたまま、そのままの姿勢でいて、犬が離れてから立ち上がり、窓辺へ移りました。こちらが見ていたのは犬のほうで、猫の体は見ていません。同じことが3日続いて、4日目に初めて猫の腰に手を当てました。指の腹で毛の流れに沿ってなでると、背中の前半分と後ろ半分で、手ざわりが違っていました。

犬と猫の同居を何年か続けていると、この2頭のあいだの決まりごとは、こちらが決めたものではなくなっています。どちらが先に居間へ入るか、どのくらいの距離まで近づくか、どこで止まるか。その決まりが崩れた日は、たいてい理由があります。老猫と暮らしていると、その理由は猫の側にあることが多い、というのが3日間で分かったことでした。

同じ犬の、同じ帰宅後の動きが変わった3日間
以前この3日
猫の横で止まる時間1秒ほど。すぐ自分の場所へ10秒前後、動かない
鼻を近づける場所顔まわりと肩腰から尾のつけ根
猫の反応顔を上げてまた寝るそのまま動かず、あとで移動する
そのあとの犬水を飲みに行く少し離れて座り、猫を見ている
人が気づいたこととくになし犬の動きが変わったこと

書いておきたいのは、これが何かの知らせだと決めつけない、ということです。犬が長く嗅いだからといって、猫の体に何かが起きていると言い切ることはできません。分かるのは「前と違う」というところまでです。ただ、老猫と暮らしていると、その「前と違う」を人が自分で見つけるのは、思っているより難しくなります。

毛づくろいは、体の後ろ半分から先に減る|老猫との同居で、犬のほうが早く気づく理由

猫の毛づくろいは、体の場所ごとに使う姿勢が違います。顔まわりと前足は、前足をなめてから顔にこすりつける動きで届きます。肩と胸は、首を曲げれば口が届きます。ところが腰・尾のつけ根・後ろ足のつけ根は、体をひねって口を持っていく必要があります。この姿勢が取りにくくなってくると、届く回数から減っていきます。年齢を重ねた猫で、後ろ半分から先に変わることがあるのは、ここが理由です。

毛づくろいが減った面では、毛の寝方が変わります。舌が通っていた向きにそろっていた毛が、少しずつ立ち、指を入れたときの引っかかり方が変わります。手ざわりと、においの出方が、体の前半分と後ろ半分で分かれてくる。これが、犬の鼻に届いている差です。犬にとっては、毎日嗅いでいる相手の一部分だけが、少しずつ別のにおいになっていくことになります。

犬の側の条件も書いておきます。犬の鼻の高さは、床から30〜50センチほどです。老猫が床で横になっているとき、その高さはちょうど背中から腰にあたります。同居している犬は、居間を横切るたびにその高さを通り、毎日同じ猫のにおいを嗅いでいます。1日に何度も、同じ相手の同じ場所を確かめている状態です。

同じ室内にいて、人と犬で届いている情報が違う
人の側同居している犬の側
猫との距離抱いたときだけ近い1日に何度も、床の高さで近づく
嗅いでいる場所顔まわりが多い背中から腰。低い位置
変化の捉え方同じ部屋にいて順応する前回との差として受け取る
気づくきっかけ見た目が変わってからにおいが変わった時点
伝わり方自分で探しにいく必要がある態度として外から見える

人の側が不利なのは、順応するからです。同じ室内で毎日暮らしていると、その部屋のにおいは背景になって、意識に上がらなくなります。老猫の変化はゆっくり進むので、なおさら差として感じられません。鼻が悪いという話ではなく、ずっとそばにいる人ほど気づきにくい、というだけのことです。犬は同じ室内にいながら、そのつど差として受け取っています。犬と猫の同居には、この非対称があります。

もう一つ、猫の側の事情もあります。猫は、届かなくなった場所を人に見せません。毛づくろいの回数が減っても、それを痛がる様子として出すことは多くありません。老猫と暮らしていると、変化が「見えるようになった時点」で、そこそこ進んでいることがあります。だから、外から見える手がかりが1つでも多いほうがいい。同居している犬の態度は、その数少ない手がかりの1つです。

犬の態度を3段階の目盛りにして、人が代わる範囲を決める|犬と猫の同居を楽にする毎日の考え方

ここからが、毎日の習慣の話です。犬の態度を、そのまま「人がどこまで代わるか」の目盛りとして使います。老猫と暮らしていると、人が代わる範囲は、いつかは広げることになります。難しいのは、いつ、どこまで広げるかです。早すぎると、その子が自分でできることまで取り上げることになり、遅すぎると、届かない面がそのまま残ります。犬の態度は、その判断を外から見える形にしてくれます。

同居している犬の3つの態度と、人が代わる範囲
犬の態度見えていること人が代わる範囲
通りすがりに一度嗅いで終わる前と変わっていないいまのままで足ります
立ち止まって、同じ場所を長く嗅ぐその面のにおいが変わったその場所だけ、1日1回指で確かめる
舐めようとする/前足で触ろうとする犬の側が手を出す段階に入っている後ろ半分を毎日、人が代わります
近づかなくなる/距離を取るにおいが以前と違う方向に変わった後ろ半分に加えて、寝床の布も替えます
猫のほうが犬を避ける触られること自体を避けている触る回数を戻し、動物病院に相談します

犬に舐めさせるのは、やめておいてください。理由は3つあります。1つめは、猫がその場から動けなくなること。犬が舐めているあいだ、老猫は逃げる場所を持ちません。2つめは、濡れた毛が乾くまでに時間がかかること。自分で整え直す力が落ちている場所ほど、濡れたままの時間が延びます。3つめは、犬の口のにおいがその面に乗ることです。においが乗れば、猫はそこをまた自分で舐めようとします。届かないから減っている場所に、やり直しの用事を足すことになります。

  1. 帰宅後は、先に犬の足を拭く

    順番を犬から始めるのは、外から持ち帰ったものを室内へ広げないためです。犬と猫の同居では、床に近い高さを共有しているので、犬の足の裏に乗ったものは、そのまま猫が寝ている面へ運ばれます。1分で足ります。ここを先にやっておくと、猫のほうに時間を残せます。

  2. 老猫の後ろ半分を、乾いた指で一往復する

    腰から尾のつけ根まで、毛の流れに沿って指の腹で一往復。道具はまだ使いません。見るのは3つだけです。指が途中で止まるか、手のひらがぬるつくか、毛が寝ずに立っているか。10秒ほどで分かります。毎日同じ手順にしておくと、前日との差が出ます。

  3. 水を使わない日のケアで、その面だけを整える

    猫用のグルーミングウォーターを布に含ませて、腰から尾のつけ根を一往復させます。噴射音が出にくいタイプを選ぶと、老猫が動かずにいられます。体全体をやろうとしないでください。届かなくなっている面だけを人が代わる、という範囲の決め方にします。

  4. 犬が近づく時間を、猫が食べている時間から外す

    犬が嗅ぎに来るのは、猫が床に落ち着いているときです。食事の時間と重なると、老猫は食べるのをやめて移動します。食べる量が減った理由が、体調なのか犬なのか分からなくなります。猫の食事のあいだは、犬を別の部屋か、こちらのそばに置いてください。

  5. 寝床の布は、週に1回替えて完全に乾かす

    毛づくろいが減っている面は、いちばん長く布に接している面でもあります。老猫は同じ場所で寝るので、においは布の側にたまります。猫の体を洗う回数を増やす前に、布のほうを替える。手間としても、猫にかかる負担としても、こちらのほうが軽く済みます。

この目盛りの利点は、人が「気のせいかどうか」を悩まなくて済むところです。老猫の変化は、日ごとに見ていると分かりません。犬の態度は、こちらが探さなくても目に入ります。犬と猫の同居を続けていると、この2頭のあいだの距離感が毎日の景色になっているので、崩れた日はすぐ分かります。景色として持っているものを、そのまま目盛りに使う、という考え方です。

Note犬の態度は、体のどこに何が起きているかまでは教えません

目盛りとして使えるのは、「変わった」「変わっていない」の2つと、その場所がどのあたりかまでです。犬が長く嗅いだからといって、そこに何かが起きていると決めることはできませんし、犬が素通りしたからといって、何も起きていないとも言えません。分かる範囲を超えて読まないでください。犬と猫の同居で使えるのは、人が見る場所を1か所に絞れる、というところまでです。

2週間で、犬が嗅ぐ時間が短くなりました|老猫と暮らす室内に起きた変化と、相談する線

記録として残していたのは、1日1行だけです。日付と、犬が猫の横で止まっていた時間の3段階(短い/前と同じ/長い)。これだけを2週間続けました。人が代わる範囲を後ろ半分に広げてから、5日目あたりで「前と同じ」が混じりはじめ、2週間めには「長い」がほとんど出なくなりました。犬が猫の横を素通りする日が戻ってきた、ということです。

2週間、犬が老猫の横で止まっていた時間の記録
日犬の態度その日に人がやったこと
1〜3日目長い(10秒前後)指で一往復するだけ。道具は使わない
4〜5日目長い腰から尾のつけ根を、布で一往復
6〜8日目前と同じ同じ手順を毎日。寝床の布を1回替えた
9〜11日目短い日が出はじめる手順は変えない。食事の時間だけ犬を離した
12〜14日目ほぼ短い同じまま。週1回の布替えを続けた

この記録の読み方は、2つに分かれます。犬の態度が戻ったなら、人が代わった範囲が足りていた、ということです。戻らないなら、範囲が足りていないか、においの変化がケアで動く種類のものではないか、のどちらかです。犬と猫の同居では、この切り分けが早くできます。人の鼻だけでやろうとすると、変わったのかどうかの判断からして揺れます。

毎日の習慣として残ったのは、結局3つでした。帰宅後に犬の足を拭くこと、老猫の後ろ半分を指で一往復すること、週に1回、寝床の布を替えること。時間にすると、犬と猫を合わせて5分ほどです。老猫と暮らしていると、やることを増やす方向へ気持ちが向きますが、増やしたぶんは続きません。続いたのは、犬の態度が目盛りになっていて、やめどきと広げどきが分かるものだけでした。

最後に、犬と猫の同居という条件そのものについて書いておきます。手入れの前提が違う2種が同じ室内にいるのは、たしかに手間が2種類になるということです。ただ、老猫と暮らす期間に限って言えば、同居している犬が、こちらの目の代わりをしてくれる場面があります。犬の側に何かをさせるわけではありません。ふだんどおり同じ部屋で暮らしてもらって、その態度を見ているだけです。

Cautionこうした変化があるときは、動物病院にご相談ください

犬の態度が2週間たっても戻らない、老猫が触られること自体を避けるようになった、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、毛が一か所だけ薄くなった、体重や食べる量が戻らない、水を飲む量が明らかに変わった、動き方や姿勢が変わった。こうした変化があるときは、拭き取りや布替えの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。毛づくろいの量が減る背景には、家のケアでは動かないものも含まれます。いつから、体のどのあたりで、犬がどう反応しているかを1行ずつ書いて持っていくと、その場で切り分けてもらえます。老猫と暮らす毎日で、家でできるのはここまでです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。