C09シーン別・暮らし
共働きで時間がない人のための保護犬・保護猫を迎えた|5分で終わらせるケア
保護犬を迎えた最初の平日、朝7時40分に玄関を閉めてから、夜8時10分に開けるまでの12時間半を、その子は一人で過ごしていました。こちらが同じ部屋にいられるのは、朝の1時間と、帰ってからの3時間ほどです。共働きの家では、この配分は動かせません。それでも最初の週は、夜に長く座って、触れなかったぶんを取り返そうとしていました。3日目に、その子は近づいてこなくなりました。保護犬・保護猫を迎えるとき、共働きで時間がないという条件は、手を速くしても解けません。この記事は、慣らすことを「触る時間」で考えるのをやめて、「人がいない時間の側」で組み直した、という話です。
12時間半を一人で過ごしていました|共働きの家が保護犬・保護猫を迎える最初の週の経験
最初の平日の内訳を、そのまま書きます。朝6時40分に起きて、支度をして、7時40分に家を出ました。帰ってきたのは夜8時10分です。その子が家にいた時間のうち、こちらが同じ部屋にいたのは4時間ほど。残りの12時間半は一人でした。共働きの家で保護犬・保護猫を迎えると、最初の平日にこの数字が出てきます。金曜や土曜に迎える段取りを組んでいた週末とは、条件がまったく違います。
その子が以前どんな暮らしをしていたかは、こちらには分かりません。譲渡のときに聞ける範囲はありますが、それ以上は想像するしかなく、想像したところで手の入れどころは出てきません。分かるのは、いまこの家で、何時間をどこで過ごしているかだけです。保護犬を迎える側にできるのは、その分かるほうを組み立て直すことだけだと思います。
最初の3日、こちらがやったのは夜に長く座ることでした。帰宅して、ごはんを出して、そのあと1時間ほど床に座って、そばにいる。触ろうとはせず、ただ同じ部屋にいる。2日目までは、その子は少し離れた場所から見ていました。3日目の夜、こちらが座った時点で、その子は隣の部屋へ移りました。時間がないぶんを夜に足したことが、その子の側では別のことになっていたわけです。
| 時間帯 | 長さ | その子が過ごしていた場所 |
|---|---|---|
| 6:40〜7:40 | 1時間 | 人が動いている。台所と洗面所を行き来する音 |
| 7:40〜20:10 | 12時間半 | 一人。日が動き、家電の音だけが続く |
| 20:10〜21:00 | 50分 | 人が帰ってくる。いちばん音と動きが多い |
| 21:00〜23:00 | 2時間 | 人が座っている。こちらが近づこうとした時間 |
| 23:00〜6:40 | 7時間40分 | 人は寝ている。同じ家にいるが動きはない |
並べてみて分かったのは、その子にとっていちばん長いのは、こちらが手を入れられない12時間半だということです。そして、その静かな12時間半のすぐあとに、家の中でいちばん音と動きの多い50分が来ます。夜に長く座るというのは、その落差の上にもう一段積むことでした。共働きで時間がないと、どうしても夜へ寄せたくなりますが、寄せるほど夜が重くなります。
要るのは長さではなく回数|共働きで時間がないと、回数が2回で止まる理由
慣れるというのは、その人が次に何をするかが予測できるようになることだと考えています。予測は、長さからは作れません。回数から作られます。1回90分そばにいるより、10分を1日に6回のほうが、次に起きることが読めるようになります。保護犬・保護猫を迎えたばかりの家で「まだ慣れない」と感じるとき、足りていないのは時間の総量ではなく、回数のほうであることが多いはずです。
ここで共働きの条件がぶつかります。使える時刻が朝と夜の2つしかなく、しかもその2つは出勤と帰宅で埋まっています。時間がないというのは、1日の総量が足りないという意味ではありません。回数の上限が2回で止まっている、という意味です。在宅の日があれば回数は増やせますが、平日が5日続くあいだ、この上限は動きません。
| 回数を作れる家 | 共働きで時間がない家 | |
|---|---|---|
| 1日に人が現れる回数 | 6〜8回 | 2回(朝と夜) |
| 1回の長さ | 10〜20分 | 朝60分・夜180分 |
| 人がいない最長の時間 | 2〜3時間 | 12時間半 |
| その子から見た予測 | 次にいつ来るか読める | いつ来るか読めない |
| 濃くなる時間帯 | とくにない | 帰宅直後に集中する |
この表の下2行が、最初の週に起きていたことです。12時間半の静けさのあとに、その日いちばん濃い接触が来る。迎えたばかりの子にとって、これは予測しにくい形です。しかも、こちらが「時間がないぶんを取り返そう」と長く座るほど、その濃さは増していきます。3日目に隣の部屋へ移ったのは、たぶんそこでした。
回数を増やせない以上、打つ手は2つに絞られます。1つは夜の1回を軽くすること。もう1つは、12時間半のほうに手を入れることです。前者だけをやると、共働きの家では「何もしていない」という感覚だけが残ります。だから、後者を主にします。保護犬を迎える家で、時間がないという条件を抱えたまま進める道は、こちらのほうだと考えています。
夜の接触を軽くすると、共働きの人ほど後ろめたさが残ります。ただ、その子の側から見ると、夜が短いほうが、次の日の朝と夜も同じ形になるという利点があります。長さが日によって変わるより、短くても毎日同じほうが読めます。時間がないという条件は、実は「毎日同じ形にしやすい」という条件でもあります。予定が詰まっている家ほど、朝と夜の形は安定しています。
触る時間ではなく、人がいない時間の側を組む|保護犬を迎える家の、朝3分の考え方
考え方を1行で書くと、「12時間半を、何も起きていない時間として扱わない」ということです。その子がいちばん長く過ごしているのはそこで、そこで何が起きるかは、朝の時点でほとんど決まっています。床に何が落ちているか、日がどこに当たるか、水がどこにあるか、人のにおいがついたものがどこにあるか。どれも、家を出る前に決められることです。触る時間は増やせませんが、ここは増やさずに変えられます。
かける時間は3分です。共働きの朝に3分以上を足すと、続きません。これから保護犬・保護猫を迎える人にも、迎えたあとで組み直したい人にも、同じ3分で足ります。だから、やることは5つに固定して、順番も固定します。迎える側が毎朝同じ手順を踏むこと自体が、その子にとっては「次に何が起きるか読める」という材料になります。朝の3分は、居場所を整える時間であると同時に、こちらの動きを毎日そろえる時間でもあります。
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布を、昨日その子が実際にいた場所へ動かす
こちらが決めた場所ではなく、その子が選んだ場所のほうへ布を動かします。朝、へこみと毛が残っている場所を見れば分かります。保護犬・保護猫を迎えたばかりの時期は、居場所が日ごとに変わります。追いかけて動かすのは、こちらの都合を1つ引っこめる、ということでもあります。
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カーテンを半分だけ開ける
日が当たる場所と、影になる場所を両方残します。全開にすると、昼過ぎに部屋のほとんどが明るくなり、暗い場所が選べません。閉め切ると、今度は一日じゅう同じ暗さになります。12時間半のあいだに、その子が場所を移せる余地を残しておくという意味です。
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床に落ちているものを1つ減らす
全部片づける必要はありません。1つでかまいません。コード、紙袋、洗濯かご、置きっぱなしの靴。迎えたばかりの子は、家の中を自分で歩いて確かめます。共働きの家では夜に片づける気力が残らないので、朝に1つだけと決めておくほうが実行されます。
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前の晩に着ていたものを、布のそばに1枚置く
洗う前のものを1枚。人のにおいがついた布は、12時間半のあいだ、その場に残る唯一の手がかりになります。その子に押しつけないでください。布の上ではなく、そばに置きます。使うかどうかは、その子が決めます。夜に回収して、翌朝また新しい1枚に替えます。
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水を2か所に置く
1か所だと、そこまで移動しないと飲めません。居場所と、部屋の反対側の2か所に置いておくと、動かない日でも届きます。朝と夜に、減り方の差を見ることができるので、その日どちらで過ごしていたかの目安にもなります。器は毎日洗って、水は毎朝入れ替えます。
夜にやることも、これで1つ決まります。帰ってきたら、まず居場所の跡を見る。どの布にへこみがあるか、毛がどこに落ちているか、どちらの器が減っているか。10秒です。触る前に見ておくと、その日の12時間半がどう過ごされたかが分かります。共働きで時間がないと、その子の一日を知る手がかりは、こういう跡しかありません。
そして、夜に長く座るのはやめました。帰宅後は、ごはんと、5分のケアと、あとはふつうに家事をする。同じ部屋にいますが、その子に向き合いません。向き合う時間を短くするほど、その子のほうから近づいてくる回数が増えました。保護犬・保護猫を迎える家では、こちらが与える時間の長さより、その子が自分で決められる余地のほうが先にあるのだと思います。
3週間で、夜のケアが5分になりました|迎えたあとに起きた変化
3週間で変わったことを、順番に書きます。1週目は、朝の3分だけを続けました。夜は跡を見るだけで、ケアには手をつけていません。2週目に入って、その子が帰宅後にこちらの近くまで来るようになり、そこで初めて体に触れるケアを足しました。3週目には、夜のケアが5分で終わるようになりました。保護犬を迎える前から分かっていたとおり、時間がないという条件は変わっていません。変わったのは、その5分が成立するかどうかのほうです。
| 朝 | 夜 | その子の変化 | |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 3分(居場所を整える5つ) | 跡を見る10秒だけ | 帰宅後は離れた場所にいる |
| 2週目 | 同じ3分 | 跡を見る+足の裏を拭く1分 | こちらの2メートル以内まで来る |
| 3週目 | 同じ3分 | 5分のケア(足・被毛・皮膚・器) | 自分から布のそばに来て寝る |
| 共通 | 手順も順番も変えない | 長く座らない | 毎日同じ形にしていることが前提 |
5分の中身も書いておきます。四つ足の裏を拭くのに1分、被毛を毛の流れに沿って一往復するのに2分、皮膚のほうを指の腹で確かめるのに1分、器を洗って水を入れ替えるのに1分。この5分には、道具を持ち替える時間が入っていません。mofuwa スキンケアミストは、地肌にも、耳のまわりにも、口のまわりにも、同じ1本で置けます。使う場所で分かれていないので、足の裏の1分と、背中から尾のつけ根までの2分を、布1枚とこの1本だけで回せます。持ち替えずに済んだぶんが、そのまま皮膚を見る1分に残ります。迎えたばかりの時期に体を洗う段取りまで組もうとすると、共働きの家では平日に入りません。
皮膚を見る1分は、時間がないときほど残しておきたい1分です。被毛の上から指の腹を当てて、地肌の温度と、指の引っかかり方だけを見ます。見るのは、背中、脇の下、内股、しっぽのつけ根の4か所です。毎日同じ場所を同じ順番で見ておくと、前の日との差が出ます。保護犬・保護猫を迎えた最初の1か月は、その子の平常がまだ決まっていないので、差のほうが手がかりになります。
同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、被毛が一か所だけ薄くなってきた、皮膚に触れると嫌がる場所がある、耳を振る回数が増えた、食べる量や水の減り方が数日戻らない、下痢や嘔吐が続いている、隠れて出てこない日が続いている。こうした変化があるときは、家のケアの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。迎えたばかりの時期は、その子の平常がまだ分かっていないので、こちらの判断だけで様子を見る期間を長くしないほうが安全です。迎えた日付と、朝と夜に見ている4か所のメモを持っていくと、共働きで時間がないなかでも、短い受診で切り分けてもらえます。
3週間を通して、いちばん効いたのは朝の3分でした。触っている時間はほとんど増えていません。増えたのは、その子が自分で場所を選べる回数と、こちらの動きが毎日同じである日数です。保護犬を迎えるときに「時間がないから難しいのでは」と考えていましたが、時間がないこと自体は、実はそれほど障害になりませんでした。障害になっていたのは、足りないぶんを夜に寄せようとしていたほうです。これから迎える人に1つだけ渡せるとしたら、朝の3分をどう使うかだと思います。
4週目からも、朝の3分と夜の5分は同じ形のまま続けています。回数を足すのではなく、同じ時刻に同じ順番でやるほうを崩さない。1か月を越えたあたりから、拭いた日と拭かなかった日で、その子の毛の落ち方が違うことが分かってきました。保護犬・保護猫を迎えるときに時間がないという条件を抱えている家では、この差の積み上げが、その子の平常を覚えていく唯一の速さになります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
