C04悩み解決

シニア期の毛艶の低下|若い頃と同じケアでは追いつかない

公開日 2024年4月8日|文=mofuwa編集部

明るい窓辺の淡い色の床で、体を横たえて休んでいるシニア期の犬
毛艶は、多くの毛が同じ向きに寝てそろって光を返したときに見えます。シニア期に変わるのは、その向きを作る体の動きの回数です。

去年の4月に窓辺で撮った1枚と、今年の同じ場所で撮った1枚を並べると、毛艶だけが違って見えました。撮った時間も、窓から差す光の向きも、その子が立っている位置もほとんど同じです。それでも、去年は肩から腰まで一本につながって見えた明るい帯が、今年は途中で切れています。シニア期に入って変わったのは毛そのものより、その帯を作っている体の向きのほうでした。この記事では、毛艶を「毛の状態」ではなく「光が返ってくる角度」として読み直していきます。

去年の4月と同じ窓辺で、もう1枚撮ってみる

毛艶が落ちたと感じたとき、多くの飼い主はまず毛のほうを見ます。指ではさんで太さを確かめ、毛先が割れていないかを見て、ブラシに残る量を数える。どれも意味のある観察ですが、「去年の春は同じケアで足りていた」という事実の説明にはなりません。被毛の1本1本が、この1年で急に別のものに入れ替わったわけではないからです。

確かめ方をひとつ変えてみてください。去年の同じ季節に、同じ窓辺で撮った写真を探して、今年の1枚と並べます。撮る条件はできるだけそろえます。午前中の同じ時間、同じ窓、同じ向き。シニア期に入った子の毛艶を語るとき、記憶の中の去年はあてになりません。頭に残っているのは、たいてい、いちばん調子のよかった日の姿だからです。

並べるのは、体のいちばん高いところが写っている角度の1枚です。真上でも真横でもなく、斜め後ろから背中の面が見える角度。毛艶はこの面でしか判断できません。お腹や胸元は、もともと光を返しにくい場所です。ここを見比べても差は出ません。

去年の1枚と今年の1枚、どこを見比べるか
見るところ去年の写真今年の写真
背中に出る明るい帯肩から腰まで、途切れずに1本途中で切れている、幅が狭い
帯が出ている位置背骨の少し横、体のいちばん高いところ位置が下がり、脇のほうへ寄っている
毛先のそろい方同じ向きに寝て、先がそろって見える向きがばらけ、毛先が立っている場所がある
体の輪郭首から腰まで、なだらかな線背中が丸く、肩の後ろが落ちている

4行のうち、毛そのものの話は3行目だけです。ほかの3行が見ているのは、その子がどんな形でそこにいるかのほうです。毛艶の変化として写っていたものの多くは、実は体の形と向きの変化でした。シニア期の毛艶を考えるときは、この見分けから始めてください。

Note猫でも、同じ2枚を並べられます

猫は日の当たる場所を自分で選ぶので、去年と同じ位置に写っていることが多い被写体です。窓辺の同じ場所で撮った2枚があれば、犬とまったく同じ見方ができます。キャットタワーの上段から床へ定位置が下がった年は、とくに差がはっきり出ます。

犬の毛艶が落ちたように見える理由は、毛ではなく体の側にあります

犬の毛艶が生まれる理由は、1本の毛が光っているからではありません。毛は細い筒なので、1本だけでは光をあらゆる向きへ散らします。多くの毛が同じ向きに寝て、そろって同じ方向へ光を返したときにだけ、そこが帯になって明るく見えます。問題は、その向きを日々作り直しているのが何か、です。

答えは、ブラシではありません。その子の毛の向きを毎日そろえ直しているのは、体の動きそのものです。立ち上がる、伸びをする、体をひねる、ぶるっと振る、歩く。動くたびに被毛は根元から毛先へ向かって流れ、そのたびに向きがそろい直します。1日に何十回も繰り返されるこの動作が、艶を保っています。ブラッシングは、この動作の代わりを1日に数回だけ担っているにすぎません。

シニア期に落ちるのは、この回数です。毛の側は去年とほとんど同じまま、体の側で3つのことが同時に起きています。

シニア期に、体の側で起きている3つ
変わること毛の向きに起きること
立っている時間が減り、横になっている時間が延びる床に接した面の毛が押されたまま固定され、流れ直す機会がなくなる
背中が丸くなり、体の面の向きが変わる光を返していた面が下を向き、同じ照明でも帯が細く、短く見える
体をひねる、伸びをするといった動作が減る毛を根元から毛先へ流す動きが起きず、向きがばらけたまま残る

3つとも、毛の話をしていません。それでも3つとも毛艶に直結します。同じ照明の下で、同じ場所で撮っても、去年とは違って見える理由はここにあります。去年の写真との差は、毛が失ったものの差ではなく、体が返さなくなった角度の差です。

換毛期と重なると、この差はさらに見えやすくなります。抜けかけた毛が体の上に残っていると、そこだけ向きがそろわず、帯が途切れて見えます。ただし、換毛期が終われば戻る途切れ方と、向きが変わったままの途切れ方は別ものです。換毛が落ち着いた3週間後にもう1枚撮って、同じ場所が途切れたままなら、体の側の話として読んでください。

Note毛の量が減ったわけではありません

シニア期に被毛が薄くなる子もいますが、写真で帯が細くなったことは、毛が減った証拠にはなりません。量を確かめたいなら、背中の毛を指で分けて、地肌が透けて見える幅を去年と比べてください。透けていないなら、量ではなく向きの話です。

毛艶の考え方を、1日に向きが変わる回数へ置き換える

ここまでを踏まえると、手の入れ方が変わります。毛に何かを足すより先に、1日に何回、体の向きが変わるかを増やす。これがシニア期の毛艶の考え方です。回数は数えられるので、続けられたかどうかもはっきりします。

  1. 朝・昼・夕に一度ずつ、名前を呼んで顔を上げてもらう

    起こす必要はありません。顔を上げると、首から肩にかけての毛がまとめて流れます。1日3回、時間を決めておけば数えられます。おやつを見せて立ち上がるところまでいけば、背中の面も一度動きます。

  2. 寝入って1時間後に、寝る向きを一度変える

    同じ向きで数時間続くと、床に接した側の毛は押されたまま固まります。そっと体を反対側へ返すだけで、その面の毛はもう一度流れ直します。嫌がるときは、頭の下のクッションを片側だけ抜いて角度を変える程度で構いません。

  3. ブラシは、毛の流れに沿って長く1回で通す

    短く往復させると、毛先だけが動いて根元の向きは変わりません。首の後ろに当てて、腰まで止めずに1回で抜く。これを場所をずらしながら重ねます。強く押しつける必要はなく、根元に届いている深さだけ確かめてください。

  4. 仕上げに、乾いた布で背中を1方向になでる

    ブラッシングのあとに残った静電気で、毛先が立つことがあります。手のひらか柔らかい布で、首から腰へ1方向になでると、立った毛先が寝ます。往復させると、また立ちます。

  5. 洗う日と洗う日のあいだも、根元に汚れを残さない

    背中の根元に皮脂やほこりが積もると、毛が束になって同じ向きに寝られなくなります。シャンプーの回数を増やす必要はありません。あいだの日に、首の後ろから腰までを布でひと通りなぞっておく。うるおいを残したまま、表面のほこりだけを減らすのが目的です。

ブラッシングについては、シニア期に1点だけ変えてください。力ではなく、長さです。若い頃と同じ回数を短くこするより、回数が半分でも1回を長く通すほうが向きはそろいます。皮膚が薄くなっている子では、強く当てること自体が続かない理由になります。1回3分を1日2回、と決めておけば十分です。

静電気の出やすい時期は、この順番の差がはっきり出ます。乾いた空気の中で毛先が立つと、どれだけ通しても向きはそろいません。部屋の湿度を上げる、金属のブラシを避ける、拭くときは少し湿らせた布を使う。うるおいのある状態のほうが、毛は同じ向きに寝ます。逆に、乾ききった被毛は1本ずつ違う方向を向いたまま固まります。

ここで、毎日の側にもう1つ足せるものがあります。毎日きれいにしてあげたいという気持ちは、シニア期に入っても減りません。犬も猫も体から脂を出すので、昨日なでた背中は今日また汚れます。ところが年齢が上がるほど、シャンプーそのものが負担になります。立たせておく時間、濡れた体を乾かす時間、そのあいだずっと支えている体勢。洗える回数は増やせないのに、汚れは毎日つきます。この毎日のほうを引き受けるために作られたのが、mofuwa グルーミングスプレーです。

使う場所は、上の3番目と4番目にそのまま重ねられます。ブラシを持つ前に、首の後ろと背中の面へ2〜3回吹く。乾ききった毛はブラシを通しても1本ずつ違う方向へ立ちますが、表面がわずかに湿っているだけで、通した向きに寝てくれます。中身の水は清涼飲料水の規格基準で確かめられているので、口のまわりにかかる量を数えなくて済みます。シニア期の子は途中で立ち上がってしまうことがあるので、少しずつ何度も吹くより、一度に吹いて短く終わらせるほうが毛並みはそろいます。

mofuwa グルーミングスプレーが引き受けるのは、毛が同じ向きに寝られる状態を毎日そろえ直すところまでです。帯が戻るかどうかを決めるのは、このセクションの冒頭で数えた1日に向きが変わった回数のほうです。吹いてブラシを通すという動作は、その回数を1回ぶん、確実に増やします。寝ている時間が長い子ほど、この1回の重みは大きくなります。

Point数えるのは、時間ではなく回数です

1日30分ブラッシングしても、その子が1日じゅう同じ向きで寝ていれば、帯は戻りません。逆に、1回3分でも、1日に4回体の向きが変わっていれば、写真に出ます。手帳の隅に、その日に向きが変わった回数を書き足すだけで続きます。

毛艶の経験が通用するのは、光の側の話までです

若い頃に積んだ毛艶の経験は、シニア期でも半分は使えます。換毛が終われば帯は戻る、ブラシを通せばそろう、乾燥した部屋では毛先が立つ。どれも光の返り方の話なので、年齢が変わっても成り立ちます。経験が届かなくなるのは、光の返り方では読めない変化が混ざったときです。

次の6つは、向きの話から外れます。写真を並べる前に、手で背中を触って確かめてください。

この6つは、家の条件を変えて様子を見る対象ではありません。とくに飲水量や体重の変化、地肌の色やにおいの変化は、毛艶の話として扱わず、動物病院にご相談ください。年齢のせいにしてよいのは、写真を並べ、向きが変わる回数を増やして4週間見たあとの話です。

受診のときは、去年と今年の写真を持っていってください。いつから、どこが、どんなふうに変わったか。言葉で説明するより早く伝わります。背中の毛を指で分けて撮った1枚があれば、地肌の状態も一緒に見てもらえます。診察の前に洗ってしまうと、地肌の様子が分からなくなることがあるため、そのままの状態で連れて行ってください。

最後に、去年の写真をもう一度見てください。そこに写っているのは、いまより毛がよかった日ではなく、いまより体をよく動かしていた日です。シニア期の毛艶で家庭から変えられるのは、その回数のほうです。来年の4月、同じ窓辺で撮った3枚目を並べたときに、帯がどこまで戻っているかを見てください。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。