C09シーン別・暮らし
在宅ワークの日を楽にする、多頭飼いの人の毎日の習慣
在宅ワークに切り替えて3か月たった夕方、膝の上に淡い色の毛が集まっているのに気づきました。犬2頭と猫1頭で暮らしていて、毛の色でどの子のものかは分かります。集まっていたのは、いちばん若い1頭ぶんだけでした。一日じゅう同じ部屋にいたのに、残りの2頭には手が一度も届いていません。多頭飼いの家で在宅の日に増えるのは、手の総量よりも、その手がどこへ寄るかの偏りのほうです。ペットのケアをさぼった日だったとも言い切れません。手は何度も出ていて、行き先が1頭に決まっていただけでした。この記事は、その偏りを、名前を呼ぶ以外の方法で動かした話です。
一日ぶんを思い返すと、手が届いていたのは1頭だけでした|在宅ワークとペットの多頭飼いで起きていた背景
その日にやっていたことを、時刻の順に書きます。朝8時40分に机に向かい、昼に一度だけ台所へ立ち、あとは夕方6時まで同じ椅子に座っていました。仕事のあいだ、足元にはいちばん若い1頭が伏せています。手を伸ばせば背中に届く距離なので、電話が終わるたび、書類を送るたびに、その背中を一往復なでていました。在宅ワークの日は、手が出る回数そのものは少なくありません。夕方に膝を見て気づいたのは、その回数が全部おなじ1頭に行っていたことでした。
残りの2頭がどこにいたかというと、犬の1頭は廊下をはさんだ寝室の入口、猫は北側の部屋の窓辺です。どちらもその日ずっとそこにいて、こちらの部屋には来ていません。来ない子は、一日じゅう来ませんでした。呼べば来ます。ただ、仕事のあいだに呼ぶ用がありません。呼んでも何も起きないので、2回か3回で来なくなります。多頭飼いの家で在宅の日に起きているのは、たぶんこれです。
思い返すと、通勤していたころのほうが室内を歩いていました。朝は洗面所と寝室と玄関、帰宅後は玄関から洗面所、そのあと台所と居間。家の端から端まで、毎日2往復はしています。歩いた先にいた子は、そのたびに顔を上げてこちらへ来ました。手が届く子の数を決めていたのは、こちらの気持ちよりも、その日に人が通った経路のほうです。在宅ワークになって減ったのは、ペットに向ける時間ではありません。家の中で人が移動した距離のほうでした。
- その日いちばん長く同じ部屋にいた子はどれか:席の足元にいた子が、そのまま手の行き先になっています
- 席から2メートル以内にいた子と、そうでない子:この線の内と外で、受け取る回数がはっきり分かれます
- 呼ばずに来た回数:呼んで来たぶんは習慣になりません。自分から来た回数のほうを見ます
- 夕方の時点で、まだ一度も名前を呼んでいない子がいるか:多頭飼いだと、これがいちばん早く分かる目印です
- 膝と椅子に集まった毛の色:一日ぶんの結果が、掃除の前に室内へ残っています
- 夜に寝床のにおいを嗅いだとき、いちばん強い1頭:手が届いていない子のほうが強く出ます
よく来る子に手が出るのは自然です。距離が近いのだから、そこへ手が伸びます。困るのは、来ない子の側に一日ぶんの空白がまるごと残ることのほうです。しかも多頭飼いだと、その空白は翌日も同じ子に出ます。その子が選んでいる場所が変わらないからです。1日ぶんなら誤差ですが、在宅ワークが毎日続く月は、20日ぶんの空白が同じ1頭に積み上がります。
席から2メートルの円の中に、来る子が決まっている|在宅ワークでペットの多頭飼いに偏りが出る理由
なぜ来る子が決まるのか。答えは、その子の性格よりも部屋の中での位置にありました。席から2メートルというのは、こちらが立ち上がったときに気配が伝わる範囲です。その内側にいる子は、人が動くたびに顔を上げます。外側にいる子には、椅子が鳴った音しか届きません。在宅ワークの日は人がほとんど動かないので、この円の大きさが一日じゅう変わりません。通勤の日は人が家じゅうを歩くので、円のほうが移動していました。
もう一つ、多頭飼いの家では、キーボードの音や通話の声を嫌う子が必ず出ます。その子は自分から離れた部屋を選びます。一度決めた場所は、毎日ほとんど同じです。つまり離れた部屋にいるという選択そのものが、手が届かない条件になっています。ペットの側が悪いわけでも、人が忘れているわけでもありません。位置が固定されているだけです。
| 場所 | 通勤していたころ | 在宅ワークの日 | そこにいる子 |
|---|---|---|---|
| 仕事部屋の席 | 0回 | 一日じゅう | いちばん若い1頭が足元 |
| 台所 | 朝と夜の2回 | 3〜4回 | 通り道。だれもいない |
| 洗面所 | 朝と帰宅後で4回 | 2回 | 通り道。だれもいない |
| 寝室の入口 | 朝と夜の2回 | 0回 | 犬の1頭がここで待っている |
| 北側の部屋 | 洗濯物で1回 | 0回 | 猫の窓辺 |
| 玄関 | 2回 | 0回 | だれも来ない |
表にすると、在宅ワークの日だけ0回になっている場所が3つあります。そのうち2つに、来ない子がいました。ペットの側から見れば、人がその部屋に現れる回数が通勤の日より減っています。家にいる時間が長い日ほど、家の中で人が行かない部屋が増える。これは多頭飼いの家でだけ問題になります。1頭なら、その子が席のそばへ来れば済むからです。頭数が増えるほど、席から遠い場所を選ぶ子が必ず出ます。
そして多頭飼いには、体についたものが互いに移るという条件があります。足元の子だけを毎日拭いていても、その子は残りの2頭と同じ床とソファと寝床を使います。においの出どころを1頭に絞りきれません。逆に言えば、手が届かない子が毎日いる家では、室内のにおいの平均が下がりません。いちばんよく触っている子から探しても見つからないのは、そのためです。探す場所を変えるより先に、届いていない子のほうへ手を回すほうが早く終わります。
呼ぶのをやめて、人が席を立つ用事の行き先を変える|在宅ワークとペットの多頭飼いを組み替える考え方
直し方として最初に思いつくのは、来ない子を呼ぶことです。ただ、呼んで来た子は、来たあとに何もすることがなければ戻ります。3日ほどで反応が鈍くなり、1週間で来なくなりました。習慣として残るのは、こちらの側の動きのほうです。その子を動かす代わりに、人が席を立つ用事の行き先を変えます。在宅ワークの日でも、席を立つ用事は一日に3つか4つあります。動かせるのはそちらです。
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席を立つ用事を、紙に3つ書き出す
水を汲む、洗濯物を出す、印刷を取りに行く。在宅ワークの日にこちらが立つ理由は、だいたいこの3つか4つに収まります。多頭飼いの家では、この3つの行き先が、そのまま手の届く子を決めています。まず書き出して、行き先を目に見える形にします。
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3つのうち1つだけ、来ない子のいる部屋を通る経路に移す
水を汲むのは台所ですが、コップを北側の部屋に置いておけば、水を汲む前にその部屋を通ります。席と台所を結ぶ直線から、1部屋ぶん外へ膨らませるだけです。距離にして10歩ほど増えます。全部を遠回りにしないでください。1つだけにしておくと、仕事の側が続きます。
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その部屋に、道具を1組だけ置く
たたんだ布を2枚と、ブラシを1本。席のそばには置きません。道具が席にあると、結局いちばん近い子に使ってしまいます。道具の置き場所が、そのまま手の行き先になります。多頭飼いの家では、道具を1組増やすのがいちばん安い解決でした。
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通りかかったときに、30秒だけ手を置く
毎日1回で足ります。猫なら背中を一往復、犬なら首の後ろに手を置いて2、3秒。用事のついでなので、時間を取っていません。長くやろうとすると次の日にやらなくなるので、30秒で切り上げるほうを先に決めておきます。
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戻りの経路は変えない
行きだけ遠回りにして、帰りは最短で席へ戻ります。往復とも遠回りにすると、仕事に戻るまでの時間が読めなくなって続きません。在宅ワークの日の習慣は、片道だけにしておくと2週間もちました。
この5つでいちばん効いたのは、3つめの道具の置き場所です。席の引き出しに入れていたころは、思い出したときに足元の子へ使っていました。北側の部屋の棚に移した日から、使う相手が自動的に猫に変わっています。ペットのケアで手が偏るとき、原因が気持ちの側にあることは、思っていたより少ないようです。物の置き場所と、人の通り道。多頭飼いの家では、この2つがほとんどを決めていました。
来ない子を動かそうとして名前を呼び続けると、いちばんよく来る子が先に反応して席へ来ます。結果として偏りはむしろ強くなります。人が黙って立ち上がって歩けば、動くのは通った先にいる子だけです。多頭飼いの家では、声は全員に届き、足音は通り道にいる子にだけ届く。手を配り直したいときに使えるのは、あとのほうです。
2週間で、手が一度も届かない子がいなくなった|在宅ワークとペットの多頭飼いに出た変化
2週間続けた結果を書きます。やったのは、水を汲む前に北側の部屋を通ることと、そこに道具を1組置いたことの2つだけです。仕事の時間は変わっていません。増えたのは、1日あたり10歩と30秒でした。
| 始める前の1週間 | 2週間目 | |
|---|---|---|
| 手が一度も届かない子がいた日 | 7日のうち5日 | 0日 |
| いちばん多く触った子に寄った割合 | 3頭のうち8割ほど | 半分ほど |
| 北側の部屋へ人が入った回数 | 週に1回 | 毎日1回 |
| 寝室の入口の子が、自分から席へ来た回数 | 週に0回 | 週に4回 |
| 夜にいちばんにおいが強かった場所 | 毎日ちがう | 寝床の布に絞れた |
| 夕方に膝へ集まっていた毛 | 1頭ぶん | 3頭ぶん |
表の下から2行目が、多頭飼いでは大きい変化でした。3頭に同じくらい手が届くようになると、においの出どころが1か所に絞れます。それまでは、日によって台所の近くだったり、ソファだったり、玄関だったりして、どこを拭けばいいのか決められませんでした。室内のにおいが分からなくなるのは、鼻の問題である前に、手が届いていない場所が毎日残っているという条件の問題です。いちばん下の行も、地味ですが分かりやすい目印になります。
毎日の手当てとして残したのは、布で毛の流れに沿って一往復する30秒だけです。犬には首の後ろから背中、猫には背中と尾のつけ根。汚れを落としきるためではなく、手が届いていない子のところへ、一日1回だけ手を運ぶための30秒として続けています。在宅ワークの日に組み込めるのは、このくらいの長さでした。
そのうえで、洗う日のことを書いておきます。背中の真ん中と、おしりのまわりは、どの子も自分の毛づくろいでは届きません。3頭いれば、届かない範囲が3頭ぶん、そのまま残ります。ここは人が代わる場所です。うちで使っているのは mofuwa 入浴シャンプー で、お湯に溶かして、浸かるだけの形にしています。被毛をかき分けて泡を届かせるのではなく、湯そのものが洗浄液になるので、擦らなくても地肌までむらなく届きます。3頭ぶんを洗うのが休みの日でも終わらなかったのは、1頭ごとに泡立てて、擦って、すすぐという工程が積み上がっていたからです。擦る手が要らなくなると、その積み上がり方のほうが変わりました。多頭飼いの家では、在宅ワークの日の夕方に1頭だけ済ませておく、という分け方もできます。
最後に、切り分けておきたいことがあります。手が届くようになると、これまで見えていなかった変化が出てきます。触ると嫌がる場所が新しく増えた、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、抜け毛の量が急に増えた、においの強さが日ごとに増していく。こうした変わり方は、在宅ワークの日の習慣で扱う話ではありません。手を届かせる回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、同じ変化が他の子にも出ているかどうかを一度見ておくと、伝えるときに役立ちます。迷ったときは早いほうを選んで構いません。
在宅ワークの日は、家にいる時間が長いぶん、ペットとの距離が近いように見えます。実際に近いのは、人が通った経路の上にいた子だけでした。多頭飼いの家で毎日の習慣として残せるのは、席を立つ用事を1つだけ遠回りにすることです。人が10歩多く歩けば、来ない子のところにも一日1回は手が届きます。呼んで動かすより、こちらが動くほうが続きました。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
