C09シーン別・暮らし

在宅ワークの日を楽にする、多頭飼いの人の毎日の習慣

公開日 2024年6月29日|文=mofuwa編集部

明るく静かな部屋で、淡い色のラグの上に落ち着いて伏せているクリーム色の犬
在宅の日に変わるのは手の総量よりも、その手がどの子に寄っているかのほうでした。写真:Iza Ponchie/Pexels

在宅ワークに切り替えて3か月たった夕方、膝の上に淡い色の毛が集まっているのに気づきました。犬2頭と猫1頭で暮らしていて、毛の色でどの子のものかは分かります。集まっていたのは、いちばん若い1頭ぶんだけでした。一日じゅう同じ部屋にいたのに、残りの2頭には手が一度も届いていません。多頭飼いの家で在宅の日に増えるのは、手の総量よりも、その手がどこへ寄るかの偏りのほうです。ペットのケアをさぼった日だったとも言い切れません。手は何度も出ていて、行き先が1頭に決まっていただけでした。この記事は、その偏りを、名前を呼ぶ以外の方法で動かした話です。

一日ぶんを思い返すと、手が届いていたのは1頭だけでした|在宅ワークとペットの多頭飼いで起きていた背景

その日にやっていたことを、時刻の順に書きます。朝8時40分に机に向かい、昼に一度だけ台所へ立ち、あとは夕方6時まで同じ椅子に座っていました。仕事のあいだ、足元にはいちばん若い1頭が伏せています。手を伸ばせば背中に届く距離なので、電話が終わるたび、書類を送るたびに、その背中を一往復なでていました。在宅ワークの日は、手が出る回数そのものは少なくありません。夕方に膝を見て気づいたのは、その回数が全部おなじ1頭に行っていたことでした。

残りの2頭がどこにいたかというと、犬の1頭は廊下をはさんだ寝室の入口、猫は北側の部屋の窓辺です。どちらもその日ずっとそこにいて、こちらの部屋には来ていません。来ない子は、一日じゅう来ませんでした。呼べば来ます。ただ、仕事のあいだに呼ぶ用がありません。呼んでも何も起きないので、2回か3回で来なくなります。多頭飼いの家で在宅の日に起きているのは、たぶんこれです。

思い返すと、通勤していたころのほうが室内を歩いていました。朝は洗面所と寝室と玄関、帰宅後は玄関から洗面所、そのあと台所と居間。家の端から端まで、毎日2往復はしています。歩いた先にいた子は、そのたびに顔を上げてこちらへ来ました。手が届く子の数を決めていたのは、こちらの気持ちよりも、その日に人が通った経路のほうです。在宅ワークになって減ったのは、ペットに向ける時間ではありません。家の中で人が移動した距離のほうでした。

Note偏っていること自体を悪いことにしなくて構いません

よく来る子に手が出るのは自然です。距離が近いのだから、そこへ手が伸びます。困るのは、来ない子の側に一日ぶんの空白がまるごと残ることのほうです。しかも多頭飼いだと、その空白は翌日も同じ子に出ます。その子が選んでいる場所が変わらないからです。1日ぶんなら誤差ですが、在宅ワークが毎日続く月は、20日ぶんの空白が同じ1頭に積み上がります。

席から2メートルの円の中に、来る子が決まっている|在宅ワークでペットの多頭飼いに偏りが出る理由

なぜ来る子が決まるのか。答えは、その子の性格よりも部屋の中での位置にありました。席から2メートルというのは、こちらが立ち上がったときに気配が伝わる範囲です。その内側にいる子は、人が動くたびに顔を上げます。外側にいる子には、椅子が鳴った音しか届きません。在宅ワークの日は人がほとんど動かないので、この円の大きさが一日じゅう変わりません。通勤の日は人が家じゅうを歩くので、円のほうが移動していました。

もう一つ、多頭飼いの家では、キーボードの音や通話の声を嫌う子が必ず出ます。その子は自分から離れた部屋を選びます。一度決めた場所は、毎日ほとんど同じです。つまり離れた部屋にいるという選択そのものが、手が届かない条件になっています。ペットの側が悪いわけでも、人が忘れているわけでもありません。位置が固定されているだけです。

在宅ワークの日に、人が家のどこを何回通るか(犬2頭・猫1頭の家で1日を数えたもの)
場所通勤していたころ在宅ワークの日そこにいる子
仕事部屋の席0回一日じゅういちばん若い1頭が足元
台所朝と夜の2回3〜4回通り道。だれもいない
洗面所朝と帰宅後で4回2回通り道。だれもいない
寝室の入口朝と夜の2回0回犬の1頭がここで待っている
北側の部屋洗濯物で1回0回猫の窓辺
玄関2回0回だれも来ない

表にすると、在宅ワークの日だけ0回になっている場所が3つあります。そのうち2つに、来ない子がいました。ペットの側から見れば、人がその部屋に現れる回数が通勤の日より減っています。家にいる時間が長い日ほど、家の中で人が行かない部屋が増える。これは多頭飼いの家でだけ問題になります。1頭なら、その子が席のそばへ来れば済むからです。頭数が増えるほど、席から遠い場所を選ぶ子が必ず出ます。

そして多頭飼いには、体についたものが互いに移るという条件があります。足元の子だけを毎日拭いていても、その子は残りの2頭と同じ床とソファと寝床を使います。においの出どころを1頭に絞りきれません。逆に言えば、手が届かない子が毎日いる家では、室内のにおいの平均が下がりません。いちばんよく触っている子から探しても見つからないのは、そのためです。探す場所を変えるより先に、届いていない子のほうへ手を回すほうが早く終わります。

呼ぶのをやめて、人が席を立つ用事の行き先を変える|在宅ワークとペットの多頭飼いを組み替える考え方

直し方として最初に思いつくのは、来ない子を呼ぶことです。ただ、呼んで来た子は、来たあとに何もすることがなければ戻ります。3日ほどで反応が鈍くなり、1週間で来なくなりました。習慣として残るのは、こちらの側の動きのほうです。その子を動かす代わりに、人が席を立つ用事の行き先を変えます。在宅ワークの日でも、席を立つ用事は一日に3つか4つあります。動かせるのはそちらです。

  1. 席を立つ用事を、紙に3つ書き出す

    水を汲む、洗濯物を出す、印刷を取りに行く。在宅ワークの日にこちらが立つ理由は、だいたいこの3つか4つに収まります。多頭飼いの家では、この3つの行き先が、そのまま手の届く子を決めています。まず書き出して、行き先を目に見える形にします。

  2. 3つのうち1つだけ、来ない子のいる部屋を通る経路に移す

    水を汲むのは台所ですが、コップを北側の部屋に置いておけば、水を汲む前にその部屋を通ります。席と台所を結ぶ直線から、1部屋ぶん外へ膨らませるだけです。距離にして10歩ほど増えます。全部を遠回りにしないでください。1つだけにしておくと、仕事の側が続きます。

  3. その部屋に、道具を1組だけ置く

    たたんだ布を2枚と、ブラシを1本。席のそばには置きません。道具が席にあると、結局いちばん近い子に使ってしまいます。道具の置き場所が、そのまま手の行き先になります。多頭飼いの家では、道具を1組増やすのがいちばん安い解決でした。

  4. 通りかかったときに、30秒だけ手を置く

    毎日1回で足ります。猫なら背中を一往復、犬なら首の後ろに手を置いて2、3秒。用事のついでなので、時間を取っていません。長くやろうとすると次の日にやらなくなるので、30秒で切り上げるほうを先に決めておきます。

  5. 戻りの経路は変えない

    行きだけ遠回りにして、帰りは最短で席へ戻ります。往復とも遠回りにすると、仕事に戻るまでの時間が読めなくなって続きません。在宅ワークの日の習慣は、片道だけにしておくと2週間もちました。

この5つでいちばん効いたのは、3つめの道具の置き場所です。席の引き出しに入れていたころは、思い出したときに足元の子へ使っていました。北側の部屋の棚に移した日から、使う相手が自動的に猫に変わっています。ペットのケアで手が偏るとき、原因が気持ちの側にあることは、思っていたより少ないようです。物の置き場所と、人の通り道。多頭飼いの家では、この2つがほとんどを決めていました。

Point呼ぶのをやめると、よく来る子の側も変わります

来ない子を動かそうとして名前を呼び続けると、いちばんよく来る子が先に反応して席へ来ます。結果として偏りはむしろ強くなります。人が黙って立ち上がって歩けば、動くのは通った先にいる子だけです。多頭飼いの家では、声は全員に届き、足音は通り道にいる子にだけ届く。手を配り直したいときに使えるのは、あとのほうです。

2週間で、手が一度も届かない子がいなくなった|在宅ワークとペットの多頭飼いに出た変化

2週間続けた結果を書きます。やったのは、水を汲む前に北側の部屋を通ることと、そこに道具を1組置いたことの2つだけです。仕事の時間は変わっていません。増えたのは、1日あたり10歩と30秒でした。

席を立つ用事の行き先を1つ変えて、在宅ワークの2週間で何が動いたか
始める前の1週間2週間目
手が一度も届かない子がいた日7日のうち5日0日
いちばん多く触った子に寄った割合3頭のうち8割ほど半分ほど
北側の部屋へ人が入った回数週に1回毎日1回
寝室の入口の子が、自分から席へ来た回数週に0回週に4回
夜にいちばんにおいが強かった場所毎日ちがう寝床の布に絞れた
夕方に膝へ集まっていた毛1頭ぶん3頭ぶん

表の下から2行目が、多頭飼いでは大きい変化でした。3頭に同じくらい手が届くようになると、においの出どころが1か所に絞れます。それまでは、日によって台所の近くだったり、ソファだったり、玄関だったりして、どこを拭けばいいのか決められませんでした。室内のにおいが分からなくなるのは、鼻の問題である前に、手が届いていない場所が毎日残っているという条件の問題です。いちばん下の行も、地味ですが分かりやすい目印になります。

毎日の手当てとして残したのは、布で毛の流れに沿って一往復する30秒だけです。犬には首の後ろから背中、猫には背中と尾のつけ根。汚れを落としきるためではなく、手が届いていない子のところへ、一日1回だけ手を運ぶための30秒として続けています。在宅ワークの日に組み込めるのは、このくらいの長さでした。

そのうえで、洗う日のことを書いておきます。背中の真ん中と、おしりのまわりは、どの子も自分の毛づくろいでは届きません。3頭いれば、届かない範囲が3頭ぶん、そのまま残ります。ここは人が代わる場所です。うちで使っているのは mofuwa 入浴シャンプー で、お湯に溶かして、浸かるだけの形にしています。被毛をかき分けて泡を届かせるのではなく、湯そのものが洗浄液になるので、擦らなくても地肌までむらなく届きます。3頭ぶんを洗うのが休みの日でも終わらなかったのは、1頭ごとに泡立てて、擦って、すすぐという工程が積み上がっていたからです。擦る手が要らなくなると、その積み上がり方のほうが変わりました。多頭飼いの家では、在宅ワークの日の夕方に1頭だけ済ませておく、という分け方もできます。

最後に、切り分けておきたいことがあります。手が届くようになると、これまで見えていなかった変化が出てきます。触ると嫌がる場所が新しく増えた、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、抜け毛の量が急に増えた、においの強さが日ごとに増していく。こうした変わり方は、在宅ワークの日の習慣で扱う話ではありません。手を届かせる回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、同じ変化が他の子にも出ているかどうかを一度見ておくと、伝えるときに役立ちます。迷ったときは早いほうを選んで構いません。

在宅ワークの日は、家にいる時間が長いぶん、ペットとの距離が近いように見えます。実際に近いのは、人が通った経路の上にいた子だけでした。多頭飼いの家で毎日の習慣として残せるのは、席を立つ用事を1つだけ遠回りにすることです。人が10歩多く歩けば、来ない子のところにも一日1回は手が届きます。呼んで動かすより、こちらが動くほうが続きました。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。