C05犬種・猫種別ケア

ドーベルマンのケア|フケを減らす3つの習慣

公開日 2024年7月2日|文=mofuwa編集部

窓辺の明るい光の中で、短い毛の犬が淡い色の敷物の上に落ち着いて横になっている
短い毛が同じ向きに寝ているので、地肌から離れた粒は流れに乗って運ばれ、線になって並びます。

黒い毛の上に白い粒が3つ4つ、まっすぐ一列に並んでいる。ドーベルマンの背中では、こういう見え方をすることがあります。ばらばらに散らばっているように見えて、よく見ると線になっています。これがドーベルマンのフケの出方です。毛が短くて硬く、体の同じ方向へ寝ているので、地肌から離れた粒はその流れに乗って運ばれ、引っかかったところで止まって並びます。だからドーベルマンのフケは、粒がいくつあるかより、どちらの向きに並んでいるかを見たほうが早い。この記事では、なぜ一方向に並ぶのかを先に整理してから、粒を数えるのではなく並びの向きを上流へたどって出どころへさかのぼる手順と、毎日のケアに置ける3つの習慣を書きます。

短い毛が同じ向きに寝ている|ドーベルマンのフケが一方向に並ぶ理由

ドーベルマンの被毛は、犬の中でもとくに短い部類です。硬く、つやがあって、体にぴたりと寝ています。層としては一枚で、その下に綿のような毛が敷き詰められているわけではありません。そして1本ずつの毛が、体の上でほぼ同じ方向を向いています。頭から尾へ、背から腹へ。手のひらを置いて滑らせると、片方の向きにはすっと進み、逆向きには毛先が起きて抵抗する。この差がはっきり出るのが、この犬種の被毛です。

地肌からはがれた角質のかけら、つまりフケは、どの犬にも出ます。違うのは、そのあとどこへ行くかです。毛が長い犬やダブルコートの犬では、粒は毛の途中に引っかかって、毛の層の中に散らばったまま留まります。ドーベルマンの毛には、粒が埋もれるだけの深さがありません。粒はすぐ被毛の表面近くまで出てきて、そこには毛の流れというレールが一本、体じゅうに走っています。

そこから先は、日常の動きが粒を運びます。歩けば毛は寝ている方向へなでられ、寝床にこすれても同じ向きにそろえられ、飼い主の手も毛並みに沿って動きます。同じ向きの力が一日に何十回もかかるので、粒はいつも同じ方向へ少しずつ移動します。そして毛の流れが変わる場所や、何かが当たって流れが止まる場所で止まります。首輪の下、肩の後ろ、背の正中線のわき、腰の張り出し。ドーベルマンのフケがそういう決まった場所に見えるのは、そこが発生源だからではなく、そこが行き止まりだからです。

この見え方には、良い面もあります。並んだ粒の列は、それ自体が矢印になっています。散らばっているだけなら、どこから出たかは分かりません。線になっていれば、線の上流をたどれば出どころに近づける。黒い被毛の上では白い粒がよく見えるので、ドーベルマンはこの矢印がいちばん読み取りやすい犬種のひとつです。フケを厄介なものとしてだけ見ずに、地肌の状態を教える手がかりとして扱えます。

Note粒が多い場所が、出どころとはかぎりません

腰やしっぽの付け根に粒が集まっているのを見て、その場所を重点的に手入れする——という順番になりやすいのですが、そこは運ばれてきた粒が溜まる下流にあたることがあります。下流をどれだけきれいにしても、上流から補充され続けるので、翌日には同じ景色に戻ります。ドーベルマンでは、粒の密度が高い場所ではなく、列の始まりの側を見てください。

並びの向きを上流へたどる|ドーベルマンのフケで家でできる5つの手順

ここからが実際の手順です。この手順で数えるものはありません。粒の個数を記録しても、翌日には運ばれて別の場所にいます。追うのは向きです。5つに分けてありますが、全部で3分ほどで終わります。ブラッシングの前、まだ毛並みが一日ぶんそろっている状態で行うのがいちばん読み取りやすくなります。

  1. 光を、毛の流れと直角の側から当てる

    真上から照らすと粒は背景に沈みます。窓を体の横に置くか、部屋の明かりに対して体を斜めに向けてください。低い角度の光が毛の面をかすめると、粒だけが浮き上がります。ドーベルマンの被毛は光をよく返すので、角度がひとつ変わるだけで見えるものが変わります。曇りの日の窓辺がちょうどいい強さです。

  2. 触る前に、毛並みに沿って目で追う

    手を入れると並びが崩れます。まず何もせずに、背中を首の側から腰の側へ、目だけで追ってください。探しているのは粒ではなく、粒が2つ以上つらなっている線です。1粒だけのものは飛ばして構いません。線が見つかったら、そこで初めて手を近づけます。

  3. 線のどちら側が上流かを決める

    毛の流れをたどって、毛の根元が向いている側が上流です。ドーベルマンなら、背中では首の側、脇腹では背中の側、後ろ脚では付け根の側が上流にあたります。線の下流端は運ばれた粒の吹きだまりなので、ここでは見ません。上流端、つまり線がふっと途切れる側の端を指で押さえておきます。

  4. 上流端で毛を分けて、地肌を見る

    親指と人差し指で毛を左右に開き、地肌をのぞきます。ドーベルマンは毛が短いので、開くというより指の腹で毛を起こすくらいの力で足ります。見るのは色と手ざわりの2つだけです。周りより白っぽく粉が乗っているか、逆に赤みがあるか、指を当てて乾いて張っているか。爪を立てないでください。

  5. 見つけた場所を、その日のうちに1行だけ書く

    日付、場所、線のおおよその長さ。この3つで足ります。1週間ぶん並べると、同じ場所が返ってくるのか、日によって動いているのかが分かります。動いているなら部屋の条件、返ってくるなら当たっているものを疑う、と次の手が変わります。記録は写真より文字のほうが後で比べやすくなります。

線が見つかった場所と、上流にあたる側
線が見つかった場所上流はどちら側か上流端で確かめたいこと
背中の中ほど首の側首輪やハーネスが当たる帯の下の地肌
脇腹背中の側背の正中線のわきが乾いて張っていないか
腰・しっぽの付け根背中の側腰の張り出しの上を触って手ざわりが変わるか
肩の後ろ首の付け根の側毛の流れが渦を巻いて向きが変わる場所
後ろ脚の外側脚の付け根の側座ったときに床と当たる面かどうか

この5手順を毎日通しでやる必要はありません。線が見つからない日は、そこで終わりです。手順1と2だけで終わる日のほうが多くなります。ドーベルマンはブラッシングにかかる時間が短い犬種なので、そのぶん見る時間を先に取っても一日の手間は増えません。むしろ、線が出ていないことを確かめてからブラシを持つほうが、手を入れる場所が絞れます。

Point並びを見つけるコツは、触る前に見ることです

手で毛をなでてから探すと、なでた向きに粒が寄ってしまい、もともとの並びが消えます。ドーベルマンのフケを読むコツは、手順を「見る」から始めることに尽きます。抱き寄せたついでに背中をひとなでする癖がある方は、その一なでを見たあとに回してください。順番を入れ替えるだけで、同じ3分から読み取れる情報が増えます。

毎日・1か所ずつ・季節ごと|ドーベルマンのフケを減らす3つの習慣

手順で出どころが分かったら、次は続け方です。3つ挙げますが、3つとも毎日やるものにはしていません。1回のケアの中で決めることが1つ、1日に1か所だけ決めることが1つ、季節の変わり目に決めることが1つ。決める単位をずらしてあるので、忙しい週でも3つが同時に止まりません。ドーベルマンは手入れにかかる時間が短いぶん、続くかどうかで差がつきます。

  1. 習慣1:ブラッシングは毛の流れと同じ向きだけにする

    短い毛を逆立てて根元をかき出す動きは、粒をまとめて散らします。散らすと、翌日の並びが読めなくなります。毎日のブラッシングは、毛の流れに沿って一方向。往復させず、同じ向きに短く重ねる。逆向きに毛を起こすのは、手順4で地肌を見るときの数秒だけにしてください。ラバー製の面が広いものを軽く当てると、ドーベルマンの短い毛には十分に届きます。力を入れるほど地肌をこすってしまい、かえって粉が増えます。

  2. 習慣2:1日に1か所だけ、上流端の地肌を見る

    全身を毎日見ようとすると、たいてい三日でやめます。今日は首の付け根、明日は腰、明後日は脇腹。1日1か所と決めてください。ドーベルマンで線が出やすいのは5か所ほどなので、1週間で一巡します。抱いたついで、足を拭くついで、と別の動作にくっつけると思い出さなくても回ります。見た結果は前の項の1行だけ書けば足ります。

  3. 習慣3:季節の変わり目に、部屋の条件を1つだけ入れ替える

    暖房が入る月と、冷房が入る月。ドーベルマンは地肌と外気の距離が近いので、部屋の湿度が下がると被毛の側ではなく地肌の側が先に変わります。季節の入口で、加湿器を足す・寝床の位置を風の通り道から外す・床の素材を変える、のうち1つだけを入れ替えてください。2つ同時に変えると、どちらが効いたか分からなくなります。入れ替えた日を書いておいて、2週間後に同じ場所を見て比べます。

3つの習慣は、決める単位をそろえていません
何を決めるか決める単位
習慣1ブラシを動かす向きを一方向に固定する1回のケアの中
習慣2上流端の地肌を見る場所を1つ選ぶ1日に1か所
習慣3部屋の条件を1つだけ入れ替える季節の変わり目

洗う頻度についても書いておきます。フケが目に見えると、洗えば流れると考えて回数を増やしたくなります。ドーベルマンは毛が短く、洗ったあと短時間で乾くので、回数を上げること自体は手間として重くありません。ところが洗いすぎると、地肌のうるおいを保っている皮脂まで一緒に落ちます。落ちた分を補おうとして皮脂の出方が乱れ、乾いて粉が増える側に振れることがあります。並びが出ている週こそ、洗う頻度は変えずに据え置いてください。動かすのは洗う回数ではなく、部屋の湿度と、当たっているものの側です。

線の上流端は、その子の側では何も起きていない場所です。粒が溜まっているのは下流のほうで、気になるとすればそちら側になります。上流端に手を入れる理由を持っているのは、線の向きをたどった人だけです。mofuwa スキンケアミストのボトルに入っているのは、電解水だけです。上流端が首輪の下に出た日も、腰の張り出しに出た日も、その場所に使ってよいかを毎回考え直さずに済みます。乾いた布の端を湿らせて、上流端から下流へ、毛の流れと同じ向きに一度だけ滑らせてください。線が出ていない場所まで広げなくて構いません。滑らせたあとは毛が寝るまで数分置いて、その日はそこで手を止めます。

Cautionつまずきやすいのは、逆撫でと重ね塗りの2つです

ひとつは、粒を落とそうとして毛を逆立ててこすること。ドーベルマンの短い毛は逆立てると根元が動くので、地肌をブラシの先で直接こすることになります。もうひとつは、拭いたうえに別のものを重ねること。今日どちらが効いたのかが分からなくなり、記録が意味を失います。手は1回に1つだけにしてください。「粉が出ているから念入りに何度も洗う」という進め方も、乾く側に振れやすくなります。

並びの向きが変わったとき

ここまでは、毛の向きと部屋の条件で説明がつく範囲の話でした。手順を回していると、その説明から外れる変わり方に気づくことがあります。ドーベルマンは黒い被毛の上に白い粒が乗るので、変化そのものは早く目に入ります。次のような出方は、ブラッシングの回数や道具の話として片づけないでください。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、粉が面で広がっている、毛が抜けて地肌が広く見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。ドーベルマンは被毛が短く地肌が近いぶん、変化が早く表に出ます。早く出るということは、早く相談できるということでもあります。迷ったら早いほうを選んでください。

相談に行くときは、線が出た場所・いつからか・その2週間に入れ替えた部屋の条件の3つをメモして持っていってください。習慣2で書いてきた1行の積み重ねが、そのまま資料になります。前の晩に念入りに拭いたり洗ったりすると、いま出ている状態が分からなくなります。気になる並びは、そのまま連れて行ってください。

ドーベルマンと暮らすうえで、フケがゼロになることはありません。地肌の細胞は入れ替わり続けますし、その粒が表に出てくるのは、毛が短くて隠れる場所がないからです。動かせるのは、出る量そのものより、粒が運ばれて溜まっている時間と、上流で何が起きているかに気づくまでの日数のほうです。粒を数えず、線の向きをたどる。ブラシは一方向に動かし、1日1か所だけ地肌を見て、季節の入口で部屋の条件を1つ入れ替える。ドーベルマンのフケで手を入れられるのは、そこです。

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よくある質問

ドーベルマンのフケが同じ場所にばかり出るのですが、その場所を念入りに手入れすればいいですか?
粒が集まっている場所は、運ばれてきた粒が止まる下流にあたることがあります。下流を手入れしても上流から補充されるので、翌日には同じ景色に戻ります。まず粒の並びの向きを見て、毛の根元が向いている側、つまり上流の端をたどってください。手を入れるのはその端の一帯です。
フケが気になるとき、シャンプーの回数を増やしてもいいですか?
並びが出ている週は、洗う頻度を据え置くことをおすすめします。ドーベルマンは毛が短く乾きやすいので回数を上げやすいのですが、地肌のうるおいを保っている皮脂まで落ちると、乾いて粉が増える側に振れることがあります。動かすなら、洗う回数より部屋の湿度や当たっているものの側です。
短毛なのでブラッシングはいらないと言われました。本当に必要ですか?
毛を整えるためというより、粒の並びを崩さずに運び出すために使います。ラバー製の面が広いものを、毛の流れに沿って一方向に軽く当ててください。逆立ててこするのは、地肌を直接こすることになるので避けます。1回1分ほどで十分です。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。