C09シーン別・暮らし
一人暮らし、大型犬と暮らす人はどうしている?
一人暮らしの部屋で、37キロの体を反対向きにしようとして、両手で腰を押したことがあります。動きませんでした。5秒ほど押して、こちらが先に息が上がって、その日はそこでやめています。大型犬は、押しても引いても、その子にその気がなければ動きません。ペットのケアが止まる場所は、たいてい「向きを変える」ところでした。手が2本しかないことより先に、体重のほうが条件になっています。この記事は、その子を動かす代わりに人が回る、という5つの手順の話です。人が回る。その子は回りません。
押しても引いても動かない体を、どこで動かすか|一人暮らしと大型犬で、ペットのケアのやり方が変わる前提
先に前提を3つ並べます。1つめは体重です。大型犬は抱えて運べません。持ち上げて向きを変える、別の部屋へ移す、洗面所まで連れていく。小さい子なら1秒で終わることが、まるごと使えなくなります。2つめは、一人暮らしなので、その子を誘導する係と手を動かす係を分けられないこと。3つめは、部屋が狭く、人が動ける方向が1つしかないことです。3つめは見落とされがちですが、一人暮らしでペットのケアを組み直すとき、実際にいちばん効きました。
そのうえで、37キロの腰を押した話に戻ります。押されたとき、体重のある子の自然な反応は踏ん張ることです。押すほど、その子は動かなくなります。言うことを聞かないからでも、こちらの力が足りないからでもありません。4本の足で立っている体を回すには、足を踏み替える必要があって、それはその子にしかできない動作だからです。一人暮らしでペットのケアをしていると、ここで手が止まります。押さえてくれる人を待つ話にもならないので、止まったまま日が過ぎます。
| 動かしたいもの | 人の力で動くか | 代わりに動かせるもの |
|---|---|---|
| 部屋から部屋への移動 | 動かない(体重) | 人が先に歩く。その子があとから来る |
| 立っている向き | 動かない(足の踏み替えが要る) | 人が反対側へ1歩で回る |
| 伏せから立つこと | 動かない(本人が決める) | 立たせたい場所に、先に器やマットを置く |
| 体を横向きに倒すこと | 無理に倒さない | その子が自分で横になる時間に合わせる |
| 頭の位置 | 少しだけ動く | 手の高さを変えると、自分でついてくる |
| 前足の1本を持ち上げること | 動く | 支えられる時間は短いので、先に順番を決める |
表の右の列は、全部が人の位置か、物の位置です。一人暮らしで大型犬のケアをしていて動かせるのは、その子の体ではなく、その周りにあるもののほうでした。やり方を組み直すときの出発点は、力の入れ方でも道具の種類でもなく、こちらがどこに立って、何をどこに置いておくかです。
動かないことを、その子の問題として扱うと行き止まりになります。体重があるほど、押されたときに安定を取ろうとして踏ん張るのは、体の作りとして自然な反応です。従っていないわけではありません。一人暮らしだと相談する相手が家にいないので、原因を性格の側に置いてしまいがちですが、ここは物理の話として切り分けたほうが早く終わります。
人が回る、その子は回らない|一人暮らしで大型犬のペットに手を入れる5つの手順
ここからが手順です。5つありますが、いちばん最初にやるのは1つめだけで足ります。マットを1枚、毎日おなじ場所に置く。それだけで、その子が自分から来る場所が決まります。残りの4つは、その場所が決まってから順に足していきます。
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立たせたい場所に、先に物を置く
ケアをやる場所を決めたら、そこに滑らないマットを敷きます。大型犬は、足がすべる場所へは自分から行きません。フローリングの上に立たされると、それだけで体が固くなります。マットが1枚あるほうが、名前を呼ぶより早く来ました。一人暮らしなら、敷いたままにしておけます。水の器をその上か横に置いておくと、来る理由がもう1つ増えます。
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呼ばずに、人がその経路を歩く
名前を呼ぶと、こちらを見て終わることがあります。黙って立ち上がり、マットの上を通って台所へ行く。これを一日に何度か繰り返します。毎日おなじ経路を歩いていると、その子は先回りしてマットの上で待つようになります。大型犬にとって、こちらが動くことは分かりやすい合図です。声より足音のほうが、その子を動かしました。
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向きを変えたくなったら、人が反対側へ回る
右のわき腹を終えて、左をやりたくなったとき。その子を回すのに30秒かかることを、人は1歩で終えられます。これが5つの中心です。道具を左右に1つずつ置いておくと、回ったあとに取りに戻らずに済みます。一人暮らしの部屋では、この「取りに戻る」がいちばん時間を食い、そのあいだにその子が立ち上がります。
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道具を持つ前に、自分がどちら側に立つかを決める
先に道具を持つと、立ち位置を探しているあいだ、ずっと持ったままになります。順番を逆にします。背中側に立つのか、おなか側に立つのか。背中側からは首の後ろと背中と腰、おなか側からは前足のつけ根とわきとおなかに手が届きます。一人暮らしだと途中で受け取ってくれる人がいないので、この順番だけで進み方が変わりました。
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終わりの合図を、毎回おなじにする
大型犬は、終わりが分からないと自分で立ち上がって出ていきます。一度そうなると、次の日は途中で出ていく時間が早くなります。マットを半分たたむ、器を下げる、道具を袋にしまう。どれか1つを毎回おなじにしてください。終わりをこちらが決められた日は、次の日にその子が待っている時間が長くなります。
5つを通してやることは、要するにその子の周りを整えることだけです。体を動かす場面が一度も出てきません。一人暮らしで大型犬のペットのケアが続かないとき、たいていは、この5つのどこかで人が力を使おうとしています。力を使った日は、こちらが疲れて翌日が飛びます。1週間続かないやり方は、毎日のケアには残りませんでした。
道具を持つ前に、立つ側を決める|一人暮らしのペットのケアが大型犬でつまずく順番
つまずいた場面を並べると、共通点が1つありました。やることは合っているのに、順番が逆になっている。大型犬だと、順番が逆になったぶんの時間がそのまま「その子が立ち上がるまでの残り時間」を削ります。小さい子なら取り返せる数十秒が、一人暮らしと大型犬の組み合わせでは取り返せません。ペットのケアのやり方そのものを変える必要はなく、動かすのは順番だけでした。
- 呼んでから道具を取りに行く:その子が先に来て、待たされます。数日で来なくなりました。道具が先です
- 道具を持ってから立つ側を決める:手がふさがった状態で位置を探すので、置いて、また持ち直すことになります
- 滑る床の上で始める:途中で立ち上がろうとして足がすべると、その場所自体を避けるようになります
- 壁ぎわでやる:人が反対側へ回れません。狭い部屋ほど、これが起きます
- 終わりを言わずに離れる:まだ続くのか分からないので、次からその子のほうが先に切り上げます
- 1回で全身をやろうとする:大型犬は面積が広く、15分を超えます。片側ずつ、日を分けるほうが残りました
| 条件 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 床 | 滑らないマットを1枚 | その子が自分から乗る場所になる |
| 壁からの距離 | 1メートル空ける | 人が反対側へ回れる |
| 部屋の出口 | その子の背中側に置かない | 終わりの前に出ていきにくくなる |
| 道具の置き場所 | 左右に1つずつ | 回ったあとに取りに戻らずに済む |
| 明るさ | 地肌が見える程度 | 毎日、被毛と皮膚を見られる |
| 広さ | その子が伏せて、まわりに人の一歩ぶん | 大型犬だと畳1枚では足りません |
この中でいちばん難しいのが、壁から1メートル空けるという条件です。一人暮らしの部屋は、家具を壁づけにして真ん中を空けている形が多く、そこにマットを敷くと生活の邪魔になります。うちは、テレビの前のローテーブルを1つ動かして、通り道の途中に1メートル四方をつくりました。毎日のケアの場所は、部屋の中でいちばん通る場所にあるほうが続きます。片づけて出すやり方は、大型犬だと出すだけで気持ちが折れます。
大型犬は面積が広いので、全身を一度にやると15分を超えます。人も疲れますが、それ以上に、その子が同じ姿勢でいられる時間のほうが先に切れます。背中側の日と、おなか側の日に分けてください。人が回る回数も1回で済みます。毎日のケアは片側だけにして、翌日にもう片側。1回あたりが短くなるほど、次の日に始めるまでの心理的な距離も短くなりました。
終わりを人が決められた日は、次の日が短くなる|一人暮らしと大型犬のペットを続けるコツ
3週間やってみて、いちばん変わったのは所要時間でした。始める前は、その子をその場所へ連れていくまでに5分から10分かかっていました。いまは、マットの上で待っています。手を動かしている時間は変わっていないのに、1回あたりが半分になりました。短くなったのは作業ではなく、その前の移動のほうです。
続けるコツとして残ったのは2つです。1つは、道具を左右に1つずつ置くこと。もう1つは、終わりの合図を毎回おなじにすることです。とくに2つめは、こちらが思っていた以上に効きました。終わりが分かる日が続くと、その子は途中で立たなくなります。立たない日が増えるほど、こちらが力を使う場面が減ります。一人暮らしで大型犬のペットのケアが破綻するのは、力を使った日の翌日でした。その日は終わっても、翌日に体が動きません。
毎日やっているのは、布で拭くところまでです。背中と腰を毛の流れに沿って一往復、翌日はおなか側と前足のつけ根。布で届くのはここまでで、被毛の下の地肌には、その子の毛づくろいも布も届きません。月に一度の洗う日は、そこへ人が入る日です。浴室で起きているのも同じことで、泡を全身に届かせようとすると、こちらがその子のまわりを何周もすることになります。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして浸からせるつくりなので、湯そのものが洗浄液として全身に行き渡ります。周回が要らないぶん、こちらの手は体を支える側だけに使えます。それでも乾かしきるまでの時間は変わらないので、洗う日は休みの前に置いて、その日はほかの予定を入れないようにしました。
毎日ケアをしていると、皮膚の状態が目に入るようになります。ここで切り分けておきたいことがあります。地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、抜け毛の量が急に増えた、触ると声を出す、後ろ足のつけ根をさわると嫌がるようになった、立ち上がるまでにかかる時間が長くなった。こうした変化は、手順ややり方の話ではありません。ケアの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。大型犬は体重があるぶん、立ち上がり方の変化が早く出ます。毎日おなじ場所で見ていると、その日を特定しやすくなります。迷ったときは早いほうを選んで構いません。
一人暮らしで大型犬と暮らしていると、手が足りないという言い方をしがちです。実際に足りていなかったのは、手の数ではなく、こちらが動く余地のほうでした。ペットの体を動かす前提で組まれた手順は、体重のある子には最初から使えません。立たせたい場所に先に物を置き、呼ばずに人が通り、向きを変えたいときは人が反対側へ回る。その子は回りません。人が回ります。この順番に組み替えてから、毎日のケアが5分で終わるようになりました。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- マットを敷いても、その子がその上に来ません。どうすればいいですか。
- 呼ばずに、こちらがマットの上を通ってください。名前を呼ぶと、こちらを見るだけで終わることがあります。水の器をマットの横に置いておくと、来る理由が1つ増えます。それでも来ない日は、その日は追いません。大型犬は、行かない場所を数日で決めてしまうので、来なかった日に無理に連れていくほうが長引きます。3日から1週間ほどで、通り道として使いはじめました。
- 途中で立ち上がって、部屋から出ていってしまいます。
- 出口の位置と、終わりの合図の2つを見直してください。その子の背中側に部屋の出口があると、立ち上がってそのまま出ていけます。出口が視界に入らない向きにマットを置くだけで変わります。そのうえで、終わりの合図を毎回おなじにしてください。マットを半分たたむ、器を下げる、道具をしまう。終わりが分かる日が続くと、途中で立つ回数が減っていきます。
- 一人暮らしで大型犬を洗う日は、どう組めばいいですか。
- 洗う時間ではなく、乾かしきるまでの時間で予定を組んでください。大型犬は乾くまでが長く、人が付ききりになります。翌日に予定のない日を選び、その日はほかの用事を入れないほうが確実です。ふだんは水を使わない日のケアで足ります。洗う日と、毎日のペットの手入れを別のものとして分けておくと、洗えない週が続いても組み直しやすくなります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
