C09シーン別・暮らし

赤ちゃんが生まれた家を楽にする、保護犬・保護猫を迎えた人の毎日の習慣

公開日 2024年7月27日|文=mofuwa編集部

明るく静かな部屋で、淡い色の布の上に落ち着いて座っている淡い色の猫
新しく来たものが2つあるとき、先に決まるのは、どちらかの側ではなく家のほうでした。写真:Betül Şengel/Pexels

迎えて6週間めの夜、生後3週間の赤ちゃんが泣きはじめた時刻に、その子は廊下のいちばん端に立っていました。逃げるでもなく、近づくでもなく、ただ立ったまま動きません。保護猫として引き取った子で、まだ抱き上げられることには慣れていませんでした。この家には、同じ時期に新しく来たものが2つありました。迎えたばかりの保護犬・保護猫と、生まれたばかりの赤ちゃん。どちらも、この家のやり方をまだ知りません。ペットの側に赤ちゃんを紹介する、という手順は、先に住んでいる子がいる家の話でした。両方が新入りの家で先に決まったのは、その子でも赤ちゃんでもなく、家のルールのほうです。この記事は、ペットの毎日をどう置き直したかではなく、家のほうを決めた3つと、そのあとの8週間の記録です。

同じ月に、この家へ新しく来たものが2つありました|赤ちゃんと保護犬・保護猫が重なった経験

順番に書きます。その子を迎えたのが6月の初めで、赤ちゃんが生まれたのがその3週間後でした。どちらも、こちらが選んだ時期ではありません。譲渡の話が進んだのと、出産の予定日が近づいたのが、たまたま同じ月に重なりました。保護犬・保護猫をペットとして迎える家では、時期を細かく選べないことがあります。相手の側の事情が先にあるからです。

迎えた当日から2週間、その子は台所の食器棚の下から出てきませんでした。3週間めに、夜中だけ廊下を歩くようになりました。前にどこでどう過ごしていたのかは、こちらには分かりません。分かるのは、いま目の前で何をしているかだけです。想像で埋めても、明日やることは変わりません。この線だけは、最初から引いておきました。

赤ちゃんが家に来てからの1週間で、家の中はいっぺんに変わりました。並べてみると、その子から見て変わったものはこれだけあります。

ペットの側から見れば、家の条件がまとめて入れ替わったことになります。この状態で、こちらは最初に何をしたか。赤ちゃんを抱いて、その子に近づけようとしました。紹介するつもりでした。その子は立ち上がって、廊下へ出て、そこから2日ほど台所の下へ戻りました。1歩進んだところが3歩戻ったように見えて、そこでいったん手を止めました。あとから考えると、止めたのが唯一よかったことだったと思います。

Note慣れていないのは、その子だけではありません

保護犬・保護猫を迎えた家では、慣れていない側はその子だ、という前提で話が進みます。けれど生まれたばかりの赤ちゃんも、この家に来て3週間です。音の出方も、抱かれ方も、寝る場所も、まだ決まっていません。ペットの側だけが新入りだという前提が外れた時点で、片方をもう片方に合わせるという発想が使えなくなりました。合わせる先がないからです。

紹介という手順が組めない背景|保護犬・保護猫にも赤ちゃんにも、この家の「いつも」がまだない

ふつう、赤ちゃんが生まれる家でペットに向けて書かれていることは、次の順番で組まれています。先に住んでいる子がいて、その子の1日が決まっていて、そこへ赤ちゃんという変化を1つ足す。変化が1つなので、その子の反応を見れば、何が効いたのかが読めます。においを先に渡す、音を先に聞かせる、部屋の使い方を少しずつ動かす。どれも、基準になる「いつも」があってはじめて成り立ちます。

こちらの家には、その「いつも」がありませんでした。迎えて6週間の子に、決まった1日がまだありません。変化が2つ同時に立っている状態です。その子が廊下で固まったのが、赤ちゃんの声のせいなのか、まだ家に慣れていないからなのか、切り分ける材料がない。片方を動かして反応を見る、というペットの側からの読み方が使えません。

先に住んでいる子がいる家と、両方が新入りの家で、何が違うか
先住の子がいる家両方が新入りの家
基準になる1日ある。数か月ぶんの積み重ねがあるない。どちらもまだ作っている途中
起きている変化の数1つ(赤ちゃん)2つ(赤ちゃんと、迎えたこと)
反応の読み方変化の前後で比べられる比べる前がない
紹介という手順成立する。順番を組める成立しない。どちらから紹介するのかが決まらない
最初に手を入れる先その子の毎日家のほうの決めごと
時間の使い方少しずつ慣らす先に固定して、動かさない

表の右の列を見ていて分かったのは、こちらが決められるものが、実は1つしかないということでした。その子がいつ出てくるかは、こちらでは決められません。赤ちゃんが何時に泣くかも、決められません。決められるのは、家の側の条件だけです。どの部屋で音を出すか。誰がその子に触るか。人が入らない場所をどこに置くか。この3つは、全部こちらの側にあります。

もうひとつ、書いておきたいことがあります。保護犬・保護猫を迎えると、その子が固まるたびに「前に何かあったのだろうか」と考えたくなります。考えても、明日やることは1つも決まりません。ペットの側から読めるのは、いま目の前で起きた3つだけです。立ったのか、引いたのか、戻ってきたのか。この3つを毎日同じ時刻に見ていると、1週間で線が引けるようになります。想像のほうへ時間を使わない、と決めておくと、赤ちゃんのいる家では実際に手が空きます。

そして、家の側を決めるほうが早い理由がもう1つあります。家のルールは、その日のうちに決まります。その子が慣れるのには数か月かかりますが、音を出す部屋を決めるのは5分で終わります。ペットの側の変化を待ちながら、こちらの側だけ先に固定しておく。順番として、これがいちばん無理がありませんでした。

音の出る場所・触る人・引ける場所|家のルールを3つだけ先に決める理由と、毎日のケアの置き方

決めたのは3つです。音が出る場所を1か所に固定する。その週に触る人を1人に決める。その子が引ける場所を1つ作って、そこには誰も手を入れない。どれも、その子に何かをさせるものではありません。全部、家の側で完結します。だから、迎えた翌日からでも始められます。

  1. 音の出る場所を、1つの部屋に決める

    泣き声、搾乳器、体重計、ドライヤー、洗濯機。音の出るものを、家じゅうに散らさないでください。音が毎日ちがう部屋から鳴ると、その子は家のどこにも音のしない場所を作れません。1か所に寄せると、残りの部屋が「音がしない場所」になります。赤ちゃんのお世話を1部屋でやると決めるだけで、ペットの側に音のしない部屋が残ります。

  2. その週に触る人を、1人に決める

    赤ちゃんが生まれると、家に来る人が増えます。善意で手が伸びます。触る人が毎日変わると、その子は「人」というひとくくりで身を引きます。1週間、触るのは1人だけと決めると、その子の側に人ごとの差が出せるようになります。2週目に2人め、というふうに増やしていきます。来た人には、玄関で先に伝えます。

  3. その子が引ける場所を1つ決めて、誰も手を入れない

    掃除機もかけない、道具も置かない、赤ちゃんを近づけない、写真も撮らない。ここだけは、こちらの都合をいっさい入れない場所にします。保護犬・保護猫を迎えた家では、引ける場所があるかどうかで、出てくるまでの日数が変わります。狭くてかまいません。棚の下でも、脱衣所でも、階段の踊り場でも足ります。

  4. 3つを、家に入る人に口で伝える

    紙に書いて貼るより、玄関で一言のほうが早く伝わります。「この部屋で音を出します」「今週触るのは私だけです」「この下には手を入れないでください」。説明ではなく、決まりごとの申告で足ります。理由を説明しようとすると長くなり、赤ちゃんのいる家ではその時間がありません。

3つ決めたあと、家の中で消えた迷いがあります。どこで泣かせていいのか、誰に抱かせていいのか、その子が入っていった場所に手を伸ばしていいのか。迷っていた時間が、そのまま空きます。赤ちゃんとペットが同じ家にいる時期に足りなくなるのは、手の数よりも、判断の回数のほうでした。

3つのルールが、それぞれ何を担保しているか
決めたこと赤ちゃんの側で決まることその子の側で決まること
音の出る部屋を1つに固定お世話をする場所が決まる音がしない部屋がどこかが分かる
触る人を1人に固定抱く人と流れが安定する人ごとに距離を変えられるようになる
引ける場所に手を入れない近づけない場所が明確になる自分で距離を取れる先が常にある
3つを来客に伝える家に入る人の動きがそろう予測できない手が減る

そのうえで、毎日のケアの置き方です。触れるのは、引ける場所の外側にその子が出てきているときだけ。入っているところへ手を伸ばさない、という一点さえ守れば、あとは短くて足ります。被毛の状態を見るのは、背中から腰までを乾いたまま一往復するだけ。皮膚まで触ろうとしないでください。迎えて間もないペットで確かめたいのは、状態そのものより、触らせてくれるかどうかのほうです。

この時期の毎日のケアは、mofuwa グルーミングスプレーを1本だけ使っていました。布に吹きかけて、その子が自分から出てきているときに、背中から腰までを一往復。抱き上げる動作が入らないので、引ける場所のルールを崩さずに済みます。保護犬・保護猫を迎えて6週間の家で決めていたのは、触る回数ではなく触り方のほうでした。被毛は日ごとに脂やほこりを含むので、1日おきにすると手ざわりが変わります。短く、毎日、同じ動きで終わる形にしておくと、押さえつけないことと毎日きれいにしておくことが並びます。

口に入っても問題のない基準でつくられていることが、この家でグルーミングスプレーを選んだ理由です。迎えて間もない子は、人の手が離れたあとに自分で毛をなめて整えます。そのときに口へ入るものが決まっていることは、この家がいちばん先に確かめたことでした。無香料なので、家のにおいを変えずに済みます。においが変わると、引ける場所の安心そのものを作り直すことになります。赤ちゃんが生後3週間の部屋に置くものとしても、そこは同じ条件でした。

8週間で先に落ち着いたのは家のほうでした|赤ちゃんと保護犬・保護猫で、ルールの外に出る変化

3つを決めてからの記録です。書いていたのは、出てきた時刻の1行だけでした。それでも並べると、動いたものがはっきりします。

3つのルールを決めてからの8週間
その子がいた場所触れた回数ケアにかけた時間
1週目台所の棚の下。夜中だけ廊下0回0分(器の水だけ)
2週目夜のあいだ、居間の隅まで出てくる週に1回1分
4週目音の出る部屋の前を通るようになった週に3回2分
6週目人がいる時間にも居間にいるほぼ毎日2〜3分
8週目赤ちゃんが泣いても、部屋から出ない日がある毎日3分

数字にすると当たり前に見えますが、この8週間でこちらが手を入れたのは、その子ではありません。音の出る部屋と、触る人と、手を入れない場所の3つだけです。その子に向けてやったことは、週に数分の被毛の一往復だけでした。赤ちゃんとペットが同じ時期に来た家で、先に落ち着いたのは家のほうで、その子はあとからそこへ入ってきた、という順番です。

8週目に気づいたことがもう1つあります。赤ちゃんのほうも、この3つのおかげで楽になっていました。お世話をする部屋が決まっていると、道具が散らばりません。抱く人が決まっていると、寝かせ方が毎回同じになります。家のルールとして決めたものは、ペットのためだけのものではなく、赤ちゃんの側にも同じように効いていました。保護犬・保護猫を迎えた家で赤ちゃんを迎えるときに、いちばん割のいい手だったと思います。

線を1つ引いておきます。この記事は、赤ちゃんとペットが同じ空気の中にいることについて、医学的なことを言うものではありません。人の側の体のこと、肌のこと、体質のことは、家庭で判断する範囲を超えています。気になることがあれば、そちらはそちらの専門のところへご相談ください。ここで書いたのは、家の中のどこで音を出すか、誰が触るか、どこに手を入れないか、という段取りの話だけです。

Cautionその子の側に次の変化が出たときは、動物病院にご相談ください

同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、被毛が一か所だけ薄くなってきた、食べる量が3日たっても戻らない、水を飲む量が急に増えた、においの質が変わった、触ると急に嫌がるようになった。いずれかが重なっているときは、家でのケアを増やす前に動物病院にご相談ください。迎えて間もない時期は、その子の平常が分からないので、変化かどうかの判断がつきません。迷ったら、早いほうを選んで構いません。相談に行くときは、迎えた日付、いまいる場所、出てくる時刻、食べている量の4つをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらいやすくなります。

最後に、この記事でいちばん伝えたかったことを書きます。新しく来たものが2つあるとき、こちらは片方をもう片方に紹介したくなります。けれど、ペットへの紹介という手順は、どちらかに「いつも」があるときにしか使えません。両方が新入りなら、先に決まるのは家のルールのほうです。決めるのに5分しかかからず、決めたその日から効きます。赤ちゃんと保護犬・保護猫が同じ月に来た家では、それがいちばん早い道でした。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。