C03使い方・お手入れ手順
音を立てずに猫にケアをする手順
21時すぎ、ソファの端で香箱座りをしていたその子が、キャップを回す音の2秒後に部屋を出ていきました。猫に音を立てないでケアをしようと思ったとき、まず消そうとするのは霧の音です。ところがその夜に鳴っていたのは、容器を開けた音のほうでした。猫は音に敏感で、ケアが始まる合図をこちらの思っていない音から先に受け取ります。音を立てないケアは、どの音で離れるかを測ってから組み立てます。物差しは1つだけ、音が鳴ってからその子が同じ場所を離れるまでの秒数です。
離れるまでの秒数を5日ぶん書く|猫のケアで音を立てないためのチェック
音を立てないでケアをする前に、その子が本当に音で離れているのかを確かめます。確かめ方は秒数です。何かの音が鳴ってから、その子が同じ場所を離れるまでを、声に出さずに数えます。2秒で消える夜と、10秒たっても香箱座りのままの夜では、同じ手順は使えません。猫は音に敏感で、こちらが気づいていない小さな音のほうで立ち上がっていることがあります。だから最初の5日は、触らずに数えるだけにします。
| 日 | 鳴らす音 | 鳴らし方 | 紙に書くこと |
|---|---|---|---|
| 1日目 | 容器のキャップを回す音 | その子から1メートル離れた床で、1回だけ | 離れるまでの秒数 |
| 2日目 | コームが床に当たる音 | 同じ床に、1度だけ置く | 離れるまでの秒数 |
| 3日目 | こちらの膝が動く衣ずれ | 座った姿勢から、膝を1度組み替える | 離れるまでの秒数 |
| 4日目 | 名前を呼ぶ声 | いつもの高さで、1度だけ | 離れるまでの秒数 |
| 5日目 | 音の出ない容器を押す | 手のひらに1回出す | 離れるまでの秒数 |
5日目に押すのは、猫用 mofuwa グルーミングウォーターです。犬猫向けのグルーミングスプレーと中身は同じ水で、猫向けに少しイオン調整をしたうえで、容器をチューチューボトルに替えた1本です。替えた理由が、まさにこの秒数の話でした。スプレーの音を猫が嫌がるという飼い主の声が集まったので、中身はそのままにして、押しても霧の音が鳴らない形にしています。5日目は、音の側だけを0にした夜として使えます。
紙は1枚で足ります。日付、鳴らした音、離れるまでの秒数、離れなかった夜には丸。この5日は触るのをやめて、測るだけにしてください。同じ夜に音と手を両方出すと、離れた理由が音なのか手なのか分からなくなります。毎日同じ21時に、同じソファの端で、同じ1メートルから。動かす条件を1日1つに絞った5日が、このあとの手順を全部決めます。
秒数は、ストップウォッチを使わないほうがうまくいきます。画面を見るために視線を落とすと、その子が離れた瞬間を見落とします。頭のなかで数えた数字で足ります。1秒の長さが人によってずれていても、同じ人が5日数えるかぎり、日ごとの差は読めます。ケアのための記録なので、正確さより、5日分が同じ手で並ぶことのほうが役に立ちます。
容器か、床か、こちらの膝か|猫が嫌がる音の見分け方を1日1つずつ
5日ぶんの秒数が並ぶと、音は2つの束に分かれます。2秒から3秒で離れる音と、10秒たってもその場にいる音です。短いほうは、その子にとって「これから何か始まる」の合図になっている音で、長いほうは生活の音として通り過ぎています。見分け方は秒数の大小だけで、音の大きさは関係しません。こちらがいちばん気にしていた霧の音より、テーブルにキャップを置いたカチッという小さな音のほうが、短い秒数で出ることがあります。
束が分かれたら、短いほうの音だけを、その夜の手順から外します。音を全部消そうとすると手順そのものが組めません。5日のうち4日以上を3秒以内で離れた音は、たいてい1つか2つに収まります。そこだけ外せば、残りの音は鳴らしたままでケアに入れます。猫に音を立てないケアというのは、無音の部屋をつくることではなく、合図になった音を鳴らさないことです。
- 音の大きさで決めない:小さくても、毎回ケアの直前に鳴る音は合図になります。大きくても、1日に何度も鳴っている音はただの生活音です。判断は秒数の側でします
- 別の部屋の音が重なった夜は、数字を書かない:洗濯機が止まった音や宅配の呼び出しが重なった夜は、紙に横線を1本引いておきます。あとで見返したときに、音の見分け方を誤らずに済みます
- 1日に2つ鳴らさない:2つ鳴らすと、どちらで離れたのか分かりません。5日で5つ。足りなければ翌週にもう5日使ってください
- 離れた先を見ておく:隣の部屋まで行くのか、部屋の入口で止まって振り返るのか。入口で止まる子は、音を外せばその夜のうちに戻ってきます
5日並べても、どの音でも同じくらいの秒数で離れる子がいます。その場合は音の見分け方の話から離れて、時刻のほうを動かしてみてください。21時ではなく、食事のあと落ち着いている時間帯に寄せると、同じ音でも秒数が伸びることがあります。音か時刻か、動かす条件はここでも1つだけです。
2秒で消える子と、10秒そこにいる子|秒数の分かれ目で変わる猫のケア
ここからが手順です。使えるのは片手だけだと考えてください。床に座って体を支える手が1本ふさがるので、道具を持ち替えるたびに音が増えます。5つの手順は、片手で通せる並びにしてあります。
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1|道具を全部、先に床へ出しておく
コームは布の上に、ボトルはキャップを外した状態で、どちらもその子から1メートル。ケアの最中に物を動かさないための段取りです。途中で立ち上がって取りに行くと、衣ずれと足音が同じ夜に2つ増えます。出しておく場所は毎日同じにします。
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2|座る位置と膝の向きを、触る前に決める
その子の背中側に回り、片方の膝を床につけて座ります。ここで決めた姿勢は、終わるまで変えません。膝を組み替える音が3秒以内の束に入っていた子ほど、この1つで秒数が伸びます。使える手が片手になるぶん、手順の数を増やさないことが効いてきます。
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3|ノズルを体に向けず、手のひらに出す
猫用 mofuwa グルーミングウォーターを押して、手のひらに出します。押しても霧の音が鳴らないので、その子の側に合図が届きません。猫は使ったあと必ずそこを舐めます。舐めることを前提に設計された水なので、量を気にせず使えます。手のひらでいったん受けることで、液の温度もその子の体に近づきます。
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4|毛の向きに沿って、一方向に手を動かす
首のうしろから背中の真ん中まで、往復させずに手を滑らせます。往復は同じ1回でも、その子にとっては2回触られたことになります。片手なので、支えの手は床のまま。背中の1面が終わったら、その夜はそこで止めてかまいません。
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5|コームは、手が終わってから持つ
手で毛を落ち着かせたあとにコームへ持ち替えると、歯が毛を引っかける回数が減ります。持ち替えるときは、布の上から持ち上げて、床に当てずに。終わったら、また布の上へ置きます。置く音がその子の3秒の束に入っていた場合は、コームをその夜は使いません。
5つの手順は同じですが、入り方は秒数の分かれ目で変わります。2秒から3秒で離れていた子は、手順3の前に「手のひらに出すだけで終わる夜」を3日はさみます。触らずに、においだけ届けて終わりです。10秒たっても離れなかった子は、手順1からそのまま通せます。どの音でも離れなかった子は、その夜のうちに背中の1面まで進めてかまいません。
床に敷く布は1枚で足ります。コームとボトルを同じ布の上に並べ、ボトルは倒して置きます。立てて置くと、取るときに指先が一度浮いて、戻すときにカタンと鳴ります。倒しておけば、手を滑らせるだけで取れて、戻すときも音が出ません。布は毎日同じものを使ってください。においが変わらないぶん、その子が確かめる材料が減ります。
毎日やる範囲は、背中の1面から始めます。広げるのは、同じ秒数が5日そろってからです。猫に音を立てないケアで失敗するのは、音が消えた夜にうれしくなって、触る場所を一気に増やしたときです。音の側が0になっても、触られる場所が増えれば、その子にとっては別の出来事になります。音と場所を同じ夜に動かさないでください。
音を外しても秒数が縮むとき|猫の皮膚のほうを見て受診を考える線
音を1つずつ外して、5日目には音の側を0にできた。それでも、離れるまでの秒数が前の週より短くなっていく。こうなると、離れている理由は音の側にありません。触られたときに痛い、かゆい、という体の側の理由があると、音をどれだけ消しても秒数は縮み続けます。秒数という物差しのいいところは、この切り替わりが数字で見えることです。
- 手のひらを置くだけで振り返る場所が、毎回同じ1か所に決まっている
- ケアのあと、その場所だけを長く舐めている。毛が湿ったまま乾ききらない
- 毛をかき分けると地肌が赤く見える、さわると熱い、白いものが浮いている
- 背中に手が届く前から、尾の先だけが左右に動いている
- 音を外した夜のほうが、外さなかった夜より秒数が短い
上のような離れ方は、音や性格の話では説明がつかないことがあります。毎日つけていた紙を持って、動物病院で皮膚と被毛のほうを見てもらう日をつくってください。どの音で何秒だったか、音を外したあと何秒になったか、どの場所で振り返るか。この3つが1枚に並んでいると、家で何を測っていたかがそのまま伝わります。診てもらったあとも、音の記録は同じ形で続けてください。数字が伸びる向きに変わった日が、家でのケアを戻してよい合図になります。
逆に、秒数が縮んでいないなら、家で続けて差し支えありません。5日で2秒だった音が、翌週に4秒、その次の週に7秒。この伸び方をしているあいだは、音の外し方が合っています。数字が横ばいで止まったときも、下がっていなければ待ちます。猫のケアは、伸びる週と止まる週が交互に来ます。下がった週が2回続いたときだけ、体の側を見に行く番だと考えてください。
同じ21時を5日続ける|音を立てないケアで様子見にしていい範囲
音を立てないケアが続くかどうかは、秒数より先に、時刻がそろっているかで決まります。同じ21時、同じソファの端、同じ1メートル。この3つがそろっている週は、秒数が多少ぶれても手順は崩れません。毎日のことなので、決めるのは1つの時刻だけにしてください。2つの時間帯を使い分けると、その子の側では別の出来事が2つあることになります。
| その夜の秒数 | 前の夜との差 | その夜にすること |
|---|---|---|
| 10秒以上、または離れない | 差なし | 背中の1面まで通して終わり |
| 5〜9秒 | 1〜2秒短い | 手順3で止めて、触らずに終わる |
| 3〜4秒 | 3秒以上短い | 紙に書くだけ。道具は出さない |
| 2秒以下が2夜続いた | 下がり続けている | 時刻を動かさず、触る場所を1か所減らす |
表の右端は、その夜にやめる範囲です。やめても、時刻と場所は変えません。来客があった日、工事の音が続いた日、家族の帰宅がずれた日は、数字を書かずに横線を引いておきます。そういう夜の秒数は、手順のせいで短くなったのではないので、比べる材料に入れないほうが正確になります。皮膚や被毛の様子も、同じ紙の余白に一言だけ書いておくと、あとで並べたときに読めます。
1か月たったら、秒数の平均ではなく、10秒を超えた夜が何回あったかを数えてください。5日に1回だったものが、5日に3回になっていれば、音の外し方は合っています。触れる場所の数も一緒に数えます。背中の1面から、腰の上、胸まで広がっていれば、コームの通る面積は倍以上になっています。
今夜は、紙と秒数だけで終わりにしてかまいません。道具を床の布に出して、押しても鳴らない容器を手のひらに1回。その子が同じ場所にいた秒数を書いて、そこで閉じます。数字が伸びた夜より、同じ時刻で続けられた夜の数のほうが、来月のその子に残ります。
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よくある質問
- 5日測っても、どの音でもすぐ離れます。手順に進めないのでしょうか。
- 測る場所を変えてみてください。ソファの端はその子の居場所ですが、逃げ道が1方向しかないと、どの音でも同じ反応が出ます。部屋の真ん中に近い、両側に抜けられる場所で同じ5日を測ると、秒数が伸びることがあります。それでもそろって短いときは、音の話から離れて、時刻を食事のあとに寄せます。動かす条件はやはり1つだけ。場所を変えた週に時刻も変えると、次に何かが起きたときに読めなくなります。
- 音の出ない容器なら、寝ている猫のそばでも使えますか。
- 手のひらに出すところまでは、寝ている子のそばでもできます。押しても霧の音が鳴らないので、そこで起きる子はほとんどいません。ただし、寝ている体に直接触れるのはやめてください。起きぎわに触られた記憶は、翌日の秒数に出ます。その子が自分で目を開けて、こちらを見て、また目を閉じるところまで待ってから手を置きます。寝ているあいだにできるのは、においを部屋に置いておくところまでです。
- 秒数を数えるのが続きません。もっと簡単な記録はありますか。
- 秒数の代わりに、離れたか離れなかったかの二択で書く形にしてください。丸と横棒だけです。5日のうち丸が何個かで、同じ判断ができます。秒数を数えるのは、3秒以内と10秒以上を分けたいからで、その子がいつも部屋の入口で止まって振り返るタイプなら、二択で足ります。続く形に落としたほうが、5日ぶんそろう確率が上がります。毎日の記録は、正確さより枚数です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
