C05犬種・猫種別ケア

ロットワイラーの短毛|脇や内股の蒸れを毎日のケアで防ぐ

公開日 2024年7月16日|文=mofuwa編集部

明るく風の通る部屋で、短い毛の犬が淡い色のラグの上に横になっている
全身が短い毛でおおわれていても、下毛の層は体の一部にしかありません。水気の残り方は、そこで分かれます。

散歩から帰って30分たったころ、ロットワイラーの首の付け根に指を入れると、まだ湿っています。同じ子の体側は、とっくに乾いています。一頭の中で、乾く速さがここまで違う。ロットワイラーの蒸れが体の一部にしか出ないのは、下毛の分布が偏っているからです。この犬種の毛は全身が短くて硬く、外から見るぶんには一様に見えます。ところが下毛は、首と腿にだけある子が多い。下毛があるところでは毛と毛のあいだに空気の層ができて、そこに入った水気が抜けにくくなります。下毛のないところは、短い上毛が一枚あるだけなので、風がすぐ地肌まで届きます。この記事では、同じ体の中にある2つの条件を並べて、内股と脇で手をどう変えるかを書きます。

首と腿にだけ下毛がある|ロットワイラーの蒸れが一頭の中で偏る理由

ロットワイラーの被毛は、外から見るととても分かりやすい作りをしています。短く、硬く、密に寝ていて、体のどこを見ても同じ長さに見える。ところが手を入れると、その一枚の下にもう一層ある場所と、ない場所があります。下毛が首まわりと腿にだけあり、体側や背には見あたらない。同じ一頭の中に、被毛の作りが2つあるということです。ロットワイラーの蒸れを考えるときは、ここから始めるのが早道になります。

下毛は細くて柔らかく、上毛の根元を埋めるように生えています。埋まっていると、毛と毛のあいだに小さな空気のすき間ができます。この空気の層は、寒いときには体温を保つ働きをしますが、水気が入ると話が変わります。層の中に入った水は、毛の表面を伝って落ちることができません。留まったまま、風が通るのを待つことになります。首の付け根が散歩の30分後でも湿っているのは、そこに層があるからです。

下毛のない場所は、事情がまったく違います。短い上毛が一枚あるだけなので、水気は毛の表面を伝って外へ落ちるか、そのまま風に持って行かれます。地肌までの距離が数ミリしかないので、風は毛の面ではなく地肌に当たります。体側や背が先に乾くのは、毛の量が少ないからではなく、水気が留まれる構造がそこにないからです。ロットワイラーの被毛は、乾きやすい犬種としての性質と、一部だけ乾きにくいという性質を、同時に持っています。

蒸れという言葉は、濡れていることとは少し違います。蒸れとは、水気が留まっていて、しかもそこで風が止まっている状態のことです。濡れているだけなら乾きます。乾かないのは、水気が抜ける道がないからです。ロットワイラーで蒸れが出る場所を挙げると、首の付け根、首輪の下、腿の内側——つまり内股のあたり。どれも下毛があって、なおかつ体の面と面が近づいている場所です。条件が2つ重なっている場所が、いちばん先に湿ります。

Note「うちの子は短毛だから蒸れない」で通らない場所があります

ロットワイラーと暮らしていると、被毛の手入れは短時間で済みます。乾くのも早い。その体感が全身に当てはまると思うと、湿っている場所だけが見落とされます。体側を触って乾いていたから今日は大丈夫、という確かめ方では、下毛のある場所の状態は分かりません。確かめる場所を、乾きにくい側に置いてください。この犬種では、それが首の付け根と内股です。

下毛のある場所と、ない場所|ロットワイラーの蒸れ方の違い

2つの条件を、同じ項目で並べます。比べるのは湿りやすさの順位ではなく、湿ったあとに何が起きるかです。下毛のある場所とない場所では、水気の行き先も、乾くまでの時間も、人が手を入れる意味も変わります。片方でうまくいった手を、そのままもう片方に持っていくと空振りします。ロットワイラーの蒸れがややこしいのは、その空振りが同じ一頭の中で起きるからです。

同じ犬の中に、条件が2つあります
下毛のある場所(首まわり・腿の内側)下毛のない場所(体側・背・脇)
被毛の作り短い上毛の下に、細い毛の層がある短い上毛が一枚だけ
水気の行き先毛のあいだの空気の層に留まる毛の表面を伝って落ちる
乾くまでの時間遅い。30分たっても指が湿る早い。10分ほどで指が乾く
蒸れの中身水気が抜けずに残っている面と面が合わさって、風が止まっている(脇)
指で触ると押し返す弾力がある。指が少し沈む指がすぐ地肌に当たる
人が入れる手布で押さえて、水気を外へ移す面を開いて、風の通り道をつくる
増える場面雨の日、水遊び、湿度の高い月夏に体を床へ押しつけている時間が延びたとき
起きやすい失敗表面だけ拭いて、乾いたと判断する拭きすぎて、地肌のうるおいまで持って行く

表の中で、いちばん取り違えやすいのが脇です。脇には下毛がありません。それでも湿ります。ただし理由が違う。腿の内側は毛の中に水気が残るから湿るのに対して、脇は前脚と胸の面が合わさって、そこだけ風が入らないから湿ります。毛の話ではなく、姿勢の話です。だから脇に対しては、布で水気を移すより先に、面を離して風を通すほうが早く効きます。同じ「蒸れ」でも、中身が違えば手も変わる、という例がここにあります。

もうひとつ、首まわりには首輪という条件が加わります。下毛があるうえに、幅のある帯が一日じゅう同じ場所を押さえている。押さえられた下は、空気の層が押しつぶされて、水気の抜け道がさらに細くなります。ロットワイラーは体格があるぶん首輪も幅の広いものになりやすく、押さえる面積が大きくなります。雨の日に散歩へ出た日は、帰ってから首輪を外して、その下の地肌に指を当ててみてください。ほかのどこよりも湿っているはずです。

下毛のある場所と、ない場所 ロットワイラーの上毛は全身にありますが、下毛は首と腿にだけある子が多く、分布が偏ります。水気の行き先が変わるので、人が入れる手も分かれます。 同じ一頭の中に、条件が2つあります 下毛のある場所 首まわり・腿の内側 空気の層に水気が留まる 30分たっても指が湿る 手:布で押さえて水気を移す 下毛のない場所 体側・背・脇 水気は毛を伝って落ちる 10分ほどで指が乾く 手:面を開いて風を通す 片方の手をもう片方に持っていくと空振りします
蒸れやすさの差をつくっているのは毛の長さではなく、下毛があるかないかです。

指を沈めて押し返されるか|ロットワイラーで下毛のある場所の見分け方

下毛の分布は個体でずれます。首と腿にある子が多い、というのは目安であって、うちの子がどうかは触って確かめるしかありません。見た目ではまず分かりません。ロットワイラーは上毛が密なので、下毛があってもなくても表面の見え方は同じです。確かめるのは指です。3か所を続けて触って、その差を覚えるところから始めます。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけで回してください。

  1. 毛の流れと直角に、指を1本まっすぐ沈める

    毛を左右に分けるのではなく、指の腹を毛の面に押し当てて、そのまま地肌へ向けて沈めます。ロットワイラーは毛が短いので、沈む距離は数ミリしかありません。見ているのはその数ミリの手ざわりです。すぐ地肌の硬さに当たるか、当たる前にわずかな弾力を通るか。この差だけを読みます。

  2. 体側で1回、首の付け根で1回、腿の内側で1回

    順番はこの3か所で固定してください。体側は下毛がない側の見本、首と腿は下毛がある側の候補です。体側を先に触っておくと、そのあとの2か所で「押し返される」感触が分かりやすくなります。基準がないと、弾力があるのかないのか判断できません。左右それぞれで回します。

  3. 濡れた日の30分後に、同じ3か所をもう一度触る

    乾いているときの差より、濡れたあとの差のほうがはっきり出ます。散歩や水遊びのあと、体を拭いてから30分置いて、同じ順で触ってください。体側は乾いていて、首と腿だけ指が湿るなら、その2か所には下毛があります。3か所とも同じように乾いているなら、その子は下毛が少ない側です。

  4. 湿っていた場所を、体のどこかを基準に書き留める

    「首の付け根」では次に探せません。首輪の後ろ側、腿の内側の上のほう、というふうに、動かない目印との位置関係で書きます。3〜4回ぶん並べると、毎回同じ場所か、日によって動くかが見えてきます。毎回同じなら被毛の作りの話、日によって動くならその日の条件の話です。

指で確かめた結果と、その場所の扱い
指で確かめたことその場所をどう扱うか
指がすぐ地肌に当たる/30分で乾く下毛のない場所。風を通す側の手にします
わずかな弾力を通る/30分後も湿る下毛のある場所。水気を移す側の手にします
弾力はないのに湿っている面と面が合わさっている場所。まず離します
左右で感触が違う寝る向きや、体を寄せている面を思い出してください
どこも同じように乾く下毛が少ない子です。手を入れる回数を増やさなくて構いません
Pointブラッシングのついでに、指を1回だけ沈める

ロットワイラーのブラッシングは、ラバー製のもので全身を数分なでれば足ります。その数分の中に、指を沈める動作を1回だけ差し込んでください。道具を持ち替える必要も、時間を延ばす必要もありません。ブラシを置いた手で、首の付け根と腿の内側に指を当てる。習慣として定着するのは、こういう「ついで」の形にしたときです。

内股は水気を移し、脇は面を開く|ロットワイラーの蒸れに対する手の使い分け

場所が分かったら、手を分けます。下毛のある場所には水気を移す手、下毛がなくて面が合わさっている場所には面を開く手。この2つを混ぜないことが、ロットワイラーの蒸れで毎日のケアがやることのほとんどです。どちらも数十秒で終わります。時間をかける必要はなく、かける場所を間違えないことのほうが効きます。

まず、下毛のある場所です。腿の内側と首の付け根には、乾いた布を使います。こすらないでください。布を当てて、そのまま5秒ほど押さえる。押さえて離す、を場所をずらしながら3〜4回。空気の層に留まっている水気は、こすっても外へ出ません。布に触れさせて、移す。移し終わったら、毛の流れに沿って一方向にひとなでして、毛を寝かせておきます。往復させると、せっかく移した水気を毛の中へ戻します。

次に、脇です。ここには布より先に、空気を入れます。前脚を無理のない高さまで軽く持ち上げて、20秒から30秒そのままにする。それだけで、合わさっていた面が離れて風が入ります。ロットワイラーは体格があるので、犬に立ってもらったまま、飼い主が横に座って前脚を支える形がいちばん楽です。嫌がるなら、寝ている姿勢で上側の脚を少し開かせるだけでも構いません。開いたあとに湿りが残っていたら、そこで初めて布を当てます。

場所によって、順番そのものが入れ替わります
場所最初にすることそのあとにすること
腿の内側(下毛あり)乾いた布を当てて押さえる毛の流れに沿って一方向にひとなで
首の付け根(下毛あり)首輪を外して空気を入れる布を当てて水気を移す
脇(下毛なし)前脚を支えて面を開く残った湿りにだけ布を当てる
体側・背(下毛なし)触って乾いているか確かめる乾いていれば、何もしない

部屋の側も、この2つに合わせて分けられます。下毛のある場所に効くのは湿度で、下毛のない場所に効くのは風です。湿度が70%を超える日は、腿の内側の水気がなかなか抜けません。除湿を1段強めるか、寝床を風の通る位置へ動かしてください。一方、脇の湿りは湿度ではなく、犬がどんな姿勢でどれくらい寝ているかで決まります。同じ姿勢で長く寝ている日は、起きたタイミングで一度だけ面を開いてあげると、そこで区切りがつきます。

洗う回数については、増やさない方向で考えてください。湿っている場所があると、洗って流したくなります。ロットワイラーは短毛で洗ったあと乾きやすいので、洗いすぎに振れやすい犬種です。洗う回数が増えると、地肌のうるおいを保っている皮脂まで落ちます。落ちた分、地肌の側が乾いて、かえって手ざわりが変わることがあります。蒸れているのは水気であって汚れではないので、動かすのは洗う回数ではなく、水気が抜けるまでの時間のほうです。

Cautionこする・重ねる・閉じたままにする、の3つを避けてください

湿った場所を強くこすると、短い上毛の下で地肌が直接こすられます。拭いたうえに別のものを重ねると、その日どちらが効いたか分からなくなります。そして、湿っている面を合わせたままにしておくのが、いちばん時間を延ばします。脇や内股は、開いて数十秒置くだけで条件が変わる場所です。「乾かないから、ドライヤーを長く当てる」という進め方も、地肌の側を乾かしすぎる方向に振れます。

手を入れるときに何を使うかも、この2つに合わせて分けられます。首輪を外している数十秒のあいだだけ、その下の地肌が外気に触れます。前脚を支えているあいだだけ、脇の面が離れます。どちらも、犬の側から延ばせる時間ではありません。その数十秒のうちに置き終わって、面を戻したあとに居座らないものを選ぶことになります。mofuwa スキンケアミストは、アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つを入れずに、電解水だけでつくられています。油分を置いていかないので、開いた面を戻したときに、そこへ膜が挟まりません。使うのは、水気を布へ移し終えたあとです。布に含ませてから、首輪を外した下と腿の内側を、毛の流れに沿って一方向になでる。湿っている面へ直接吹きかけると、移したばかりの水気を足し戻すことになります。

下毛の分布では説明がつかない湿り方

ここまでは、下毛があるかないかで説明のつく範囲の話でした。指で3か所を触る習慣がつくと、その説明から外れる湿り方に気づけるようになります。基準になる場所を毎回触っているからです。次のような変わり方は、拭き方や道具の話として片づけないでください。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、拭く回数を増やす前に動物病院にご相談ください。ロットワイラーは被毛が短く、地肌までの距離が近いぶん、変化が表に出るのも早い犬種です。早く出るということは、早く相談できるということでもあります。迷ったときは早いほうを選んでください。

相談する日の選び方には、ひとつだけ決まりごとがあります。行く前に念入りに拭いたり、洗ったりしないでください。いま湿っている状態が、そのまま見てもらいたいものです。持っていくのは、指で触ってきた記録です。どの場所が、いつから、濡れてから何分後でも湿っていたか。3〜4回ぶんあれば、被毛の作りで説明のつく湿り方なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。

ロットワイラーと暮らすうえで、下毛のある場所が乾きにくいこと自体は変わりません。首と腿に層があるのは、この犬種が寒い場所で長く働くためにそなえた作りで、消せるものではないからです。動かせるのは湿りやすさではなく、湿ってから抜けるまでの時間のほうです。下毛のある場所は布を当てて水気を移し、面が合わさっている場所は開いて風を通す。全身をひとまとめに扱わず、同じ体の中に条件が2つあるものとして手を分ける。ロットワイラーの蒸れで毎日のケアが動かせるのは、そこです。

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よくある質問

ロットワイラーは短毛なのに、なぜ蒸れる場所があるのですか?
全身の上毛は短くて硬いのですが、下毛は首まわりと腿にだけある子が多く、分布が偏っています。下毛のある場所には毛と毛のあいだに空気の層ができ、そこに入った水気が抜けにくくなります。短毛かどうかではなく、下毛があるかどうかで乾く速さが分かれます。
脇には下毛がないのに湿っているのは、どうしてですか?
脇は毛の話ではなく、姿勢の話です。前脚と胸の面が合わさって、そこだけ風が入らなくなります。布で水気を移すより先に、前脚を軽く持ち上げて20〜30秒ほど面を開き、風の通り道をつくってください。開いたあとにまだ湿りが残っていれば、そこで布を当てます。
湿っている場所は、洗って流したほうがきれいになりますか?
洗う回数は増やさないことをおすすめします。ロットワイラーは短毛で乾きやすいぶん洗う回数を上げやすいのですが、地肌のうるおいを保っている皮脂まで落ちると、乾く側に振れます。蒸れているのは水気であって汚れではないので、動かすのは洗う回数ではなく、水気が抜けるまでの時間です。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。