C08季節・行事

濡れているあいだだけ、においが立つ|乾けば戻る

公開日 2024年7月4日|文=mofuwa編集部

風の通る明るい部屋で、窓のそばの木の床に伏せているうす茶色の犬
においの強さは、その子ではなく、毛に残っている水の量が決めています。写真:3194556/Pixabay

水遊びから帰った足を玄関で拭いていると、いつもは何も感じない廊下の空気が、その子のにおいでいっぱいになります。ところが1時間後、同じ場所で同じ子の背中に顔を近づけても、さっきのにおいはもうありません。濡れた毛のにおいは、濡れているあいだだけ立って、乾くと元の強さに戻ります。増えたのはにおいのもとではなく、それを空気へ運ぶ水のほうです。だから、においを弱くしようとするより、乾くまでの分数を短くするほうが早く終わります。

玄関で立ったにおいが、40分で消えた日|濡れた毛のにおいの経験

濡れた毛のにおいがいちばん強いのは、水から上がって玄関にたどり着くまでの10分ほどです。そこから先は、時計を見ているとはっきり分かるほど弱くなっていきます。その子は何も変わっていません。変わったのは、毛に残っている水の量だけです。においが立っている時間を一度でも分で数えると、その日のうちに終わる話だということが分かります。

濡れてからの分数と、においがどこまで届いていたか
濡れてからの時間においの届く範囲いつ強く感じるか毛の状態
0〜10分廊下のはしまで何もしていなくても水が滴り、毛が束になっている
10〜30分同じ部屋のなかその子が体を振ったとき表面の水が減っていく
30〜60分その子の周り1メートル近くを人が通ったとき表面は乾き、根元が湿っている
60〜90分顔を近づけたときだけ毛をかき分けたとき根元まで乾いていく
90分以降ふだんと同じ特になし乾く前の状態に戻っている

上の表の右端を見ると、においの届く範囲と毛の乾き方が、そのまま同じ向きに動いています。においの強さを決めていたのは、その日の汚れ方ではなく、毛に残っている水の量でした。同じ子が同じ場所で遊んでも、日かげで遊んで風のある日に帰ってきた日は、玄関のにおいが弱く、乾くのも早くなります。

体を振るときに強くなるのも、同じ理由です。振ると細かい水が空気に飛び、その水が乾くときに、においのもとをいっしょに運びます。だから、玄関でにおいが立ったからといって、その日の水が汚かったとは限りません。振った回数が多い日は、それだけ空気へ出た水が多かったということです。庭で振ってから家に入った日と、玄関で振った日では、家のなかのにおいがまったく違います。

猫の場合は、水遊びをしなくても同じことが起きます。夏に自分の体をよくなめる子は、唾液で毛が湿り、その水分が乾くときににおいが立ちます。窓を閉め切った部屋で、猫が長くなめていた日の夕方だけにおう。これも、濡れた毛のにおいと仕組みは同じです。範囲がせまく、時間も短いので、気づかれにくいだけです。

だから、記録するのは2つの時刻で足ります。濡れた時刻と、においが気にならなくなった時刻。紙に3回書けば、その家のその季節での分数が出ます。数字が出ると、次からは「くさい」ではなく「今日は50分だった」と言えるようになり、長い日と短い日の違いを探せるようになります。

水が皮脂を空気へ運ぶ|濡れた毛からにおいが立つ理由

においのもとは、濡れる前から毛と地肌の上にあります。犬も猫も、地肌から皮脂を出しています。皮脂そのものは強くにおうものではありませんが、時間がたつと形を変え、においのもとを含むようになります。乾いているあいだ、それは毛の表面にとどまっています。人の鼻に届かないのは、空気へ出ていく道がないからです。

そこへ水が来ると、道ができます。水は皮脂に含まれるものの一部を溶かし、毛の表面に薄く広がります。そして蒸発するとき、溶けていたものをいっしょに空気へ運びます。濡れた毛のにおいが立つのは、においのもとが増えたからではなく、運び手が来たからです。乾くと運び手がいなくなるので、においも止まります。表の90分以降が、ふだんと同じ強さに戻るのはこのためです。

もう1つ、湿っているあいだだけ起きることがあります。地肌の上には、いつもたくさんの雑菌がいます。乾いているときは動きがにぶく、湿ると活発になります。活発になったぶん、皮脂を分解してできるにおいのもとが少しずつ増えます。だから、湿っている時間が長いほど、乾いたあとに残るにおいの量も増えます。30分で乾いた日と、3時間湿ったままだった日の差は、ここに出ます。

この2つは、時間の長さによって主役が入れ替わります。濡れてから最初の30分は、水が運んでいるぶんが大部分です。いっぽう、半日たっても湿ったままの場所があると、増えたほうが残ります。短時間で強いにおいと、長く湿ってから出るにおいは、別のものだと考えてください。前者は乾けば終わり、後者は乾いてからも続きます。

場所によって差が出るのも、同じ理由から説明がつきます。背中は空気に触れる面が広いので早く乾く。脇の下、内股、しっぽの付け根、耳のうしろは、体と体のあいだにはさまれて風が通らないので、最後まで湿っています。60分たっても残っているにおいをたどると、たいていこの4か所のどれかに行き着きます。全身のにおいだと思っていたものが、実は1か所だったということがよくあります。

においが移る先も、時間で決まります。濡れてから30分のあいだにその子がどこにいたかが、その日の家のにおいを決めます。寝床の上にいれば寝床に、ソファにいればソファに、水といっしょににおいのもとが移ります。食器のそばで体を振れば、食器のふちにもかかります。その子から離れたところでにおうときは、その子ではなく、濡れていた30分に触れていたもののほうを疑ってください。

乾くまでの時間を短くする4つ|濡れた毛のにおいが長引く背景

においを弱くする手当てより、乾くまでの分数を短くするほうが結果がはっきり出ます。変えられるのは4つ、拭き取り、換気、濡れたあとの居場所、洗う日の工程の数です。どれも、その子の体には手を加えません。

同じ子で、乾くまでの分数がどれだけ動くか
条件背中が乾くまで内股が乾くまでにおいの立つ時間
何もせず部屋に入れる60分150分90分ほど
布で1回押さえる40分120分70分ほど
布を2回替えて押さえる30分80分50分ほど
押さえたうえで、窓を2か所開ける20分50分30分ほど
風の通る場所で、伏せずに立たせておく20分35分25分ほど

拭き取りで効くのは、布の使い方より枚数です。1枚で全身を拭くと、後半は水を含んだ布で水を塗り広げることになります。背中で1枚、脇と内股でもう1枚。2枚に分けるだけで、内股が乾くまでの時間が3分の2になります。こすらず、押し当てて離すのをくり返してください。こすると毛の向きが乱れて束ができ、束の中の水が最後まで残ります。

換気は、窓を1か所ではなく2か所開けることが条件です。1か所だけでは空気が入れ替わらず、部屋の湿度が上がるだけで、乾く速さは変わりません。入口と出口を作ると、濡れた毛の周りの湿った空気が動きます。その子を風の通り道に立たせておける時間が、そのまま短縮できる分数になります。伏せてしまうと、床に接している面と内股に風が届きません。

3つ目は、濡れたあとの居場所です。濡れたまま寝床に入ると、乾くまでの時間が倍近くになり、しかもにおいが寝床の側へ移ります。その日のにおいが翌日まで続くときは、その子ではなく寝床が持ち越しています。濡れた日は、乾くまでの30分だけ寝床を上げておくか、上に敷いた布を1枚替えてください。食器のまわりも同じで、濡れた体で近づいた日は、器のふちを拭いておくと翌朝が違います。

4つ目は、洗う日の工程です。泥まで持ち帰った日は流すだけでは終わらないので、洗うことになります。ここで、シャンプー、すすぐ、トリートメント、もう一度すすぐ、と4つ続けると、その子が濡れたまま浴室にいる時間は20分を超えます。においが立つ時間は、そこから数えはじめます。工程が1つ減れば、濡れている時間はそのぶん短くなります。

mofuwaモイストシャンプーが、その1つを減らすためにつくられています。洗浄成分はアミノ酸系のものだけを、量も少なくして使っています。ふつうなら泡が立ちにくくなるところを、原料の水を電解水にすることで補っていて、水そのものの洗浄する働きが泡立ちを助けます。洗浄成分が少ないぶん落としすぎないので、洗い上がりがごわつかず、トリートメントで戻す工程が要りません。減っているのは飼い主の手間だけでなく、その子が浴室で濡れたまま立っている時間そのものです。

香りを足していないことも、この日には理由があります。動物は自分のにおいを好むので、余分な香りはそれだけで負担になります。加えて、香りの乗った状態では、乾いたかどうかを鼻で確かめられません。においが消えた時刻を数えている家では、無香料であることがそのまま物差しになります。50分が30分になったと言えるのは、比べているにおいが同じものだからです。泥を落とすためにmofuwaモイストシャンプーで洗った日も、水で流すだけで済んだ日も、濡れた時刻と消えた時刻を同じ紙の同じ列に書き込めます。

ここまでの4つを変えても、乾いてから1時間たった時点でにおいが残る日が続くことがあります。そのときに見るのは、においの強さではなく続き方です。乾くまでの分数が先月より長くなってきた、片方の耳のまわりだけが乾いてもにおう、同じ場所を10分以上なめてから寝るようになった。こうした形で残るにおいは、水遊びの日だけのものではありません。濡れた時刻とにおいの消えた時刻を並べた紙を持って、動物病院の予約を取ってください。分数の並びがあると、水遊びのある日だけに出ているのかどうかが、その場で分かれます。

乾いても残るにおいは、別のところから来ている|濡れた毛との付き合いの考え方

濡れた毛のにおいは、乾くまでの出来事です。90分たって元の強さに戻るなら、それは体の側で何かが起きているのではなく、水が空気へ出ていっただけです。夏のあいだ何度もくり返しますが、毎回同じところで終わります。

乾いたあとも残るにおいは、どこから来ているか
残り方たどる先確かめ方
部屋全体に、その子がいなくても寝床、ソファ、拭いた布布を外して1日置き、においが消えるか
顔を近づけたときだけ、片側から耳のまわり左右を交互にかいで、差があるか
食後に強くなる口のまわり、食器食べたあと30分で弱くなるか
おしりの側からしっぽの付け根座っていた場所に残るか
水遊びのない日にも同じ強さ地肌の側分数を1週間書いて、長くなっているか

表のどれに当たるかで、次にやることが変わります。寝床なら布を替える、耳なら左右を比べる、口なら食器を洗う。濡れた毛のにおいという1つの言葉で扱っているあいだは、どれも試せません。乾いて1時間たってから、もう一度においをかぐ。この1回を入れるだけで、その日のにおいが水のせいだったのか、別の出どころだったのかが分かれます。

季節が変わると、同じ手順のまま数字だけが動きます。秋の雨の日は気温が低く風もあるので、乾くまでの時間は夏より短くなります。冬に足だけ洗った日は、範囲がせまいぶん20分で終わります。梅雨どきは湿度が高い日が続くので、夏でいちばん長くなります。手順は変えず、区切りの分数だけを測り直してください。

今夜は、濡れた時刻を書くところまでで終わりにしてかまいません。においが気にならなくなった時刻は、思い出したときに書き足せば足ります。2つの数字が並ぶと、次に短くできるのは拭き取りか換気かが見えてきます。においを消そうとするより、乾くまでの時間を見ているほうが、夏のあいだずっと楽です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。