C08季節・行事
濡れているあいだだけ、においが立つ|乾けば戻る
水遊びから帰った足を玄関で拭いていると、いつもは何も感じない廊下の空気が、その子のにおいでいっぱいになります。ところが1時間後、同じ場所で同じ子の背中に顔を近づけても、さっきのにおいはもうありません。濡れた毛のにおいは、濡れているあいだだけ立って、乾くと元の強さに戻ります。増えたのはにおいのもとではなく、それを空気へ運ぶ水のほうです。だから、においを弱くしようとするより、乾くまでの分数を短くするほうが早く終わります。
玄関で立ったにおいが、40分で消えた日|濡れた毛のにおいの経験
濡れた毛のにおいがいちばん強いのは、水から上がって玄関にたどり着くまでの10分ほどです。そこから先は、時計を見ているとはっきり分かるほど弱くなっていきます。その子は何も変わっていません。変わったのは、毛に残っている水の量だけです。においが立っている時間を一度でも分で数えると、その日のうちに終わる話だということが分かります。
| 濡れてからの時間 | においの届く範囲 | いつ強く感じるか | 毛の状態 |
|---|---|---|---|
| 0〜10分 | 廊下のはしまで | 何もしていなくても | 水が滴り、毛が束になっている |
| 10〜30分 | 同じ部屋のなか | その子が体を振ったとき | 表面の水が減っていく |
| 30〜60分 | その子の周り1メートル | 近くを人が通ったとき | 表面は乾き、根元が湿っている |
| 60〜90分 | 顔を近づけたときだけ | 毛をかき分けたとき | 根元まで乾いていく |
| 90分以降 | ふだんと同じ | 特になし | 乾く前の状態に戻っている |
上の表の右端を見ると、においの届く範囲と毛の乾き方が、そのまま同じ向きに動いています。においの強さを決めていたのは、その日の汚れ方ではなく、毛に残っている水の量でした。同じ子が同じ場所で遊んでも、日かげで遊んで風のある日に帰ってきた日は、玄関のにおいが弱く、乾くのも早くなります。
体を振るときに強くなるのも、同じ理由です。振ると細かい水が空気に飛び、その水が乾くときに、においのもとをいっしょに運びます。だから、玄関でにおいが立ったからといって、その日の水が汚かったとは限りません。振った回数が多い日は、それだけ空気へ出た水が多かったということです。庭で振ってから家に入った日と、玄関で振った日では、家のなかのにおいがまったく違います。
猫の場合は、水遊びをしなくても同じことが起きます。夏に自分の体をよくなめる子は、唾液で毛が湿り、その水分が乾くときににおいが立ちます。窓を閉め切った部屋で、猫が長くなめていた日の夕方だけにおう。これも、濡れた毛のにおいと仕組みは同じです。範囲がせまく、時間も短いので、気づかれにくいだけです。
だから、記録するのは2つの時刻で足ります。濡れた時刻と、においが気にならなくなった時刻。紙に3回書けば、その家のその季節での分数が出ます。数字が出ると、次からは「くさい」ではなく「今日は50分だった」と言えるようになり、長い日と短い日の違いを探せるようになります。
水が皮脂を空気へ運ぶ|濡れた毛からにおいが立つ理由
においのもとは、濡れる前から毛と地肌の上にあります。犬も猫も、地肌から皮脂を出しています。皮脂そのものは強くにおうものではありませんが、時間がたつと形を変え、においのもとを含むようになります。乾いているあいだ、それは毛の表面にとどまっています。人の鼻に届かないのは、空気へ出ていく道がないからです。
そこへ水が来ると、道ができます。水は皮脂に含まれるものの一部を溶かし、毛の表面に薄く広がります。そして蒸発するとき、溶けていたものをいっしょに空気へ運びます。濡れた毛のにおいが立つのは、においのもとが増えたからではなく、運び手が来たからです。乾くと運び手がいなくなるので、においも止まります。表の90分以降が、ふだんと同じ強さに戻るのはこのためです。
もう1つ、湿っているあいだだけ起きることがあります。地肌の上には、いつもたくさんの雑菌がいます。乾いているときは動きがにぶく、湿ると活発になります。活発になったぶん、皮脂を分解してできるにおいのもとが少しずつ増えます。だから、湿っている時間が長いほど、乾いたあとに残るにおいの量も増えます。30分で乾いた日と、3時間湿ったままだった日の差は、ここに出ます。
この2つは、時間の長さによって主役が入れ替わります。濡れてから最初の30分は、水が運んでいるぶんが大部分です。いっぽう、半日たっても湿ったままの場所があると、増えたほうが残ります。短時間で強いにおいと、長く湿ってから出るにおいは、別のものだと考えてください。前者は乾けば終わり、後者は乾いてからも続きます。
場所によって差が出るのも、同じ理由から説明がつきます。背中は空気に触れる面が広いので早く乾く。脇の下、内股、しっぽの付け根、耳のうしろは、体と体のあいだにはさまれて風が通らないので、最後まで湿っています。60分たっても残っているにおいをたどると、たいていこの4か所のどれかに行き着きます。全身のにおいだと思っていたものが、実は1か所だったということがよくあります。
においが移る先も、時間で決まります。濡れてから30分のあいだにその子がどこにいたかが、その日の家のにおいを決めます。寝床の上にいれば寝床に、ソファにいればソファに、水といっしょににおいのもとが移ります。食器のそばで体を振れば、食器のふちにもかかります。その子から離れたところでにおうときは、その子ではなく、濡れていた30分に触れていたもののほうを疑ってください。
乾くまでの時間を短くする4つ|濡れた毛のにおいが長引く背景
においを弱くする手当てより、乾くまでの分数を短くするほうが結果がはっきり出ます。変えられるのは4つ、拭き取り、換気、濡れたあとの居場所、洗う日の工程の数です。どれも、その子の体には手を加えません。
| 条件 | 背中が乾くまで | 内股が乾くまで | においの立つ時間 |
|---|---|---|---|
| 何もせず部屋に入れる | 60分 | 150分 | 90分ほど |
| 布で1回押さえる | 40分 | 120分 | 70分ほど |
| 布を2回替えて押さえる | 30分 | 80分 | 50分ほど |
| 押さえたうえで、窓を2か所開ける | 20分 | 50分 | 30分ほど |
| 風の通る場所で、伏せずに立たせておく | 20分 | 35分 | 25分ほど |
拭き取りで効くのは、布の使い方より枚数です。1枚で全身を拭くと、後半は水を含んだ布で水を塗り広げることになります。背中で1枚、脇と内股でもう1枚。2枚に分けるだけで、内股が乾くまでの時間が3分の2になります。こすらず、押し当てて離すのをくり返してください。こすると毛の向きが乱れて束ができ、束の中の水が最後まで残ります。
換気は、窓を1か所ではなく2か所開けることが条件です。1か所だけでは空気が入れ替わらず、部屋の湿度が上がるだけで、乾く速さは変わりません。入口と出口を作ると、濡れた毛の周りの湿った空気が動きます。その子を風の通り道に立たせておける時間が、そのまま短縮できる分数になります。伏せてしまうと、床に接している面と内股に風が届きません。
3つ目は、濡れたあとの居場所です。濡れたまま寝床に入ると、乾くまでの時間が倍近くになり、しかもにおいが寝床の側へ移ります。その日のにおいが翌日まで続くときは、その子ではなく寝床が持ち越しています。濡れた日は、乾くまでの30分だけ寝床を上げておくか、上に敷いた布を1枚替えてください。食器のまわりも同じで、濡れた体で近づいた日は、器のふちを拭いておくと翌朝が違います。
4つ目は、洗う日の工程です。泥まで持ち帰った日は流すだけでは終わらないので、洗うことになります。ここで、シャンプー、すすぐ、トリートメント、もう一度すすぐ、と4つ続けると、その子が濡れたまま浴室にいる時間は20分を超えます。においが立つ時間は、そこから数えはじめます。工程が1つ減れば、濡れている時間はそのぶん短くなります。
mofuwaモイストシャンプーが、その1つを減らすためにつくられています。洗浄成分はアミノ酸系のものだけを、量も少なくして使っています。ふつうなら泡が立ちにくくなるところを、原料の水を電解水にすることで補っていて、水そのものの洗浄する働きが泡立ちを助けます。洗浄成分が少ないぶん落としすぎないので、洗い上がりがごわつかず、トリートメントで戻す工程が要りません。減っているのは飼い主の手間だけでなく、その子が浴室で濡れたまま立っている時間そのものです。
香りを足していないことも、この日には理由があります。動物は自分のにおいを好むので、余分な香りはそれだけで負担になります。加えて、香りの乗った状態では、乾いたかどうかを鼻で確かめられません。においが消えた時刻を数えている家では、無香料であることがそのまま物差しになります。50分が30分になったと言えるのは、比べているにおいが同じものだからです。泥を落とすためにmofuwaモイストシャンプーで洗った日も、水で流すだけで済んだ日も、濡れた時刻と消えた時刻を同じ紙の同じ列に書き込めます。
ここまでの4つを変えても、乾いてから1時間たった時点でにおいが残る日が続くことがあります。そのときに見るのは、においの強さではなく続き方です。乾くまでの分数が先月より長くなってきた、片方の耳のまわりだけが乾いてもにおう、同じ場所を10分以上なめてから寝るようになった。こうした形で残るにおいは、水遊びの日だけのものではありません。濡れた時刻とにおいの消えた時刻を並べた紙を持って、動物病院の予約を取ってください。分数の並びがあると、水遊びのある日だけに出ているのかどうかが、その場で分かれます。
乾いても残るにおいは、別のところから来ている|濡れた毛との付き合いの考え方
濡れた毛のにおいは、乾くまでの出来事です。90分たって元の強さに戻るなら、それは体の側で何かが起きているのではなく、水が空気へ出ていっただけです。夏のあいだ何度もくり返しますが、毎回同じところで終わります。
| 残り方 | たどる先 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 部屋全体に、その子がいなくても | 寝床、ソファ、拭いた布 | 布を外して1日置き、においが消えるか |
| 顔を近づけたときだけ、片側から | 耳のまわり | 左右を交互にかいで、差があるか |
| 食後に強くなる | 口のまわり、食器 | 食べたあと30分で弱くなるか |
| おしりの側から | しっぽの付け根 | 座っていた場所に残るか |
| 水遊びのない日にも同じ強さ | 地肌の側 | 分数を1週間書いて、長くなっているか |
表のどれに当たるかで、次にやることが変わります。寝床なら布を替える、耳なら左右を比べる、口なら食器を洗う。濡れた毛のにおいという1つの言葉で扱っているあいだは、どれも試せません。乾いて1時間たってから、もう一度においをかぐ。この1回を入れるだけで、その日のにおいが水のせいだったのか、別の出どころだったのかが分かれます。
季節が変わると、同じ手順のまま数字だけが動きます。秋の雨の日は気温が低く風もあるので、乾くまでの時間は夏より短くなります。冬に足だけ洗った日は、範囲がせまいぶん20分で終わります。梅雨どきは湿度が高い日が続くので、夏でいちばん長くなります。手順は変えず、区切りの分数だけを測り直してください。
今夜は、濡れた時刻を書くところまでで終わりにしてかまいません。においが気にならなくなった時刻は、思い出したときに書き足せば足ります。2つの数字が並ぶと、次に短くできるのは拭き取りか換気かが見えてきます。においを消そうとするより、乾くまでの時間を見ているほうが、夏のあいだずっと楽です。
Product
mofuwa モイストシャンプー
300ml / 3,410円(税込)
アミノ酸系の洗浄成分で11成分無添加。天然由来の抗炎症成分7種とアミノ酸4種を配合し、原料の水には、精製水で薄めていない電解水を使っています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
