C03使い方・お手入れ手順
毛づくろいが減った猫を手伝う手順
食事のあと15分、窓辺の椅子でその子は前足から顔、肩まで舐めて、背中の真ん中で口を離しました。5日つづけて同じ位置でした。猫の毛づくろいを手伝うと決めたとき、最初に手が出るのはたいてい背中全体です。ところが数えてみると、その子が自分で終えている範囲と、届かなくなった範囲の境目は、はっきり1か所に決まっています。猫の毛づくろいを手伝うのは、その境目の1つ先からです。境目より手前に手を入れると、その回の毛づくろいごと終わってしまいます。
舐め始めて、どこで口が離れたか|猫の毛づくろいを手伝う手順に入る前に数えるもの
猫の毛づくろいは、だいたい決まった順番で進みます。前足を舐めて顔を拭き、肩から背中へ回り、腰、尾のつけ根、内股。この並びのどこかで口が離れて、その回が終わります。毛づくろいが減ったと感じるとき、減っているのは回数ではなく、この並びの後ろのほうです。手伝うかどうかを決める前に、まず止まった位置を数えます。
数え方は5回です。食事のあとなど、その子が自分で舐め始める時間帯に、触らずに見ているだけ。口が離れた瞬間に体のどこにいたかを、紙に一言だけ書きます。「背中の真ん中」「腰」「尾のつけ根」。5回のうち4回が同じ位置なら、そこがその子の届く範囲の端です。日によってばらつくときは、5回を10回に増やします。
| 止まった位置 | 5回での出方 | 先に残る範囲 | 被毛に出ること |
|---|---|---|---|
| 肩のうしろ | 4回以上 | 背中の真ん中から後ろの全部 | 根元がつながって毛先が束になる |
| 背中の真ん中 | 4回以上 | 腰・尾のつけ根・内股 | 腰から上に細かいもつれが増える |
| 腰 | 3〜4回 | 尾のつけ根と内股 | 尾のつけ根の毛が平たくなる |
| 尾のつけ根 | 2〜3回 | 内股の手前だけ | 毛先だけがぱらぱら立つ |
| 最後まで通る日がある | 1〜2回 | その日は残らない | 翌日に前へ戻ることがある |
道具は、押しても霧の音が出ない猫用 mofuwa グルーミングウォーターと、目の粗いブラシ1本で足ります。この1本は犬猫向けのグルーミングスプレーと中身が同じ水で、猫向けに少しイオン調整をしたうえで、容器をチューチューボトルに替えたものです。音で立たれると、その回の毛づくろいは終わってしまいます。手伝う場面では、容器の音が鳴らないことがそのまま手順の条件になります。
猫は自分で毛づくろいをするので、手伝ったあとの被毛は必ず口に入ります。舐めることを前提に設計された水なので、量を気にせず使えます。うるおいを毛先に足すというより、根元にたまった余分な脂を指でほどけるようにするための1本です。余分な脂は水となじんで乳化するので、指の腹で通したあと、手のひらに薄く汚れが移ってきます。
止まった位置の1つ先から引き受ける|猫の毛づくろいを手伝うやり方
手順は5つです。舐め始めても手を出さずに待ち、口が離れた位置を確かめ、その1つ先に手のひらから乗せ、指の腹で根元から毛先へ抜き、その子がもう一度舐め始めたら終わりにします。猫の毛づくろいを手伝うというのは、続きを引き受けることで、やり直すことではありません。
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1|舐めているあいだは、手を出さずに待つ
椅子の高さに合わせて床に座り、片手は膝の上。その子が前足から顔、肩へ進んでいるあいだは何もしません。途中で手を出すと、猫はそこで口を離して、こちらを見ます。その回の毛づくろいはそこで終わりです。待つのは長くても2分ほど。順番の後ろのほうまで自分で行ける日は、手伝いはいりません。
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2|口が離れた位置を、目で確かめる
毛の流れが乱れている場所が、その回の終点です。舐められた毛は一方向に寝て、少し湿っています。その境目から後ろは、毛先の向きがそろっていません。背中の真ん中が終点なら、腰から先が残っている範囲です。ここを見てから手を動かします。
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3|終点の1つ先へ、手のひらから乗せる
猫用 mofuwa グルーミングウォーターを手のひらに出して、終点の1つ先の毛へ置きます。ノズルを体へ向けないので、音でその子が立つことがありません。終点より手前には置かないでください。自分で終えた場所が濡れると、その子はそこを舐め直して、先へ進まなくなります。
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4|指の腹で、根元から毛先へ一方向に抜く
人差し指から薬指までの3本を毛のあいだに入れて、根元の側から毛先へ抜きます。往復させません。猫の舌は一方向にしか動かないので、往復は毛づくろいと違う動きになります。1か所につき3回まで。腰から尾のつけ根へ、その子が進むはずだった順番のとおりに手を移します。
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5|その子が舐め始めたら、そこで終わりにする
手伝っている途中で、その子が別の場所を舐め始めることがあります。それが終わりの合図です。ブラシを持つのは、その合図が出たあと。手で毛を落ち着かせてから入れると、静電気で毛先が浮くことが減って、歯が根元まで降ります。合図が出ない日は、ブラシを使わずに終えてかまいません。
ブラッシングの順番を後ろにするのは、乾いた被毛に先に歯を入れると毛先が浮いて、指に絡むからです。浮いた毛を引っぱった一瞬で、その日の手伝いは終わります。手で通したあとにブラッシングへ移ると、静電気の起きにくい状態で梳かせます。8月の終わりから換毛期に入る子は、抜けた毛がブラシの歯に集まって重くなるので、途中で1度歯を払ってから続けてください。
手伝いで崩れるのは、たいてい範囲のほうです。その子が自分で終えた場所は、こちらから見るとまだ足りないように見えます。毛先がそろっていない、根元がまだ立っていない。それでも、そこはその子が済ませた場所です。手を入れると舐め直しが始まり、終点から先へは進みません。猫の毛づくろいを手伝うときに増やすのは範囲の広さではなく、終点の1つ先に届いた日数です。
手を出した回数だけ、毛づくろいが短くなる|猫が自分で舐める順番を崩さない
5回数えたあと、同じ紙で「こちらが手を出した回数」も書いてみてください。手を出した回が多い週は、口が離れる位置が前へ戻ります。背中の真ん中で止まっていた子が、肩のうしろで止まるようになる。手伝うつもりの動きが、その子の毛づくろいそのものを短くしていることがあります。崩れ方は3つに分かれます。
- 舐めている最中に手を出す:その回はそこで終わります。1日のうちに何度も起きると、翌日の口が離れる位置が前へ動きます。待つのは2分までで、待てない日は手伝いを翌日に回してください
- 自分で終えた場所を触る:舐め直しが始まって、終点から先へ進みません。手伝った時間は同じでも、残った範囲は減っていないことになります
- 乾いた被毛に、先にブラシを入れる:毛先が静電気で浮いて歯に絡み、引っぱられた一瞬でその子が立ちます。ブラッシングは手で通したあとです
- 換毛期に、範囲を広げて対応しようとする:抜ける量が増える時期は、1回の手伝いを広くするより、終点の1つ先に毎日届くほうが残りが減ります
止まる位置が前へ戻り続けるとき、原因が手伝い方の側にないこともあります。体をひねる動きそのものが減っているなら、届かなくなっているのは口ではなく体の向きのほうです。毛づくろいは、後ろ半分へ回るために腰をひねる動きを含みます。そこが変わると、こちらが何をしても位置は戻りません。
口を開けるときに顔をしかめる/片側だけを舐めない/後ろへ振り向く動きが減った/根元に白いものが張りついている、地肌が赤い/舐めている時間そのものが短くなり、同じ場所だけを長く舐める。こうした変化が一緒に出ているなら、毛づくろいが減った理由は口の中や体の動きの側にあることがあります。5日ぶんの止まった位置を書いた紙を持って、動物病院で見てもらう日をつくってください。「背中の真ん中から肩のうしろへ、2週間で動きました」という一行が、いちばん早く伝わります。見てもらったあとも、位置の記録は同じ形で続けてください。
位置が後ろへ動いているあいだは、家で続けて差し支えありません。5日で背中の真ん中だったものが、翌週に腰、その次の週に尾のつけ根。この動きが出ているなら、手伝う範囲の取り方は合っています。横ばいで止まった週も、前へ戻っていなければ待ちます。
換毛期に入った週の数え直し|猫の毛づくろいを毎日手伝うときに動かす線
8月の終わりから換毛期に入ると、止まる位置は一度前へ戻ります。抜ける毛の量が増えて、同じ時間で進める範囲が狭くなるからです。これは手伝い方が崩れたわけではないので、その週は数え直しから始めます。5回の観察をやり直して、新しい終点を決める。毎日の手伝いは、そこから先だけに戻します。
| 時期 | 5回の観察 | 1日に手伝う範囲 | ブラッシング |
|---|---|---|---|
| ふだんの週 | 週の初めに1度 | 終点の1つ先だけ | 合図が出た日に1度 |
| 換毛期に入った週 | 3日おきにやり直す | 終点の1つ先だけ(広げない) | 毎日1度、歯を途中で払う |
| 抜ける量が落ち着いた週 | 週の初めに1度 | 終点から2つ先まで | 合図が出た日に1度 |
| 位置が前へ戻った週 | その日にやり直す | 手を出す回数を半分に | 手で通せた日だけ |
表の真ん中の列が、毎日動かさない部分です。換毛期でも、手伝う範囲は終点の1つ先のままにします。抜ける量に合わせて範囲を広げると、その子が自分で終えた場所まで手が入り、位置が前へ戻ります。増やしてよいのはブラッシングの回数と、歯を払う回数のほうです。毛先に浮いた抜け毛が残っていると、静電気で次の毛が絡みます。
1か月たったら、止まった位置の紙を横に並べてください。読むのは平均ではなく、いちばん後ろまで行けた日が何日あったかです。5日に1回だったものが、5日に3回になっていれば、その子が自分で届く範囲は広がっています。根元に残るもつれの数も一緒に減っていきます。毎日の手伝いで変わるのは、こちらが触った面積より、その子が自分で進める距離のほうです。
今日は、舐め始めるのを2分だけ見て、口が離れた位置を一言書くところまでで終わりにしてかまいません。手を出さずに見ていた日も、紙の上では1行です。その1行が5日そろってから、猫の毛づくろいを手伝う場所が決まります。
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よくある質問
- 食事のあとに舐め始めません。観察する時間帯をどう決めればいいですか。
- 起きた直後と、窓辺で日が当たっている時間帯を見てください。猫が自分で舐め始めるのは、食後だけとは決まっていません。その子が1日のうちで同じ場所に落ち着く時間帯を1つ選び、そこで5日続けて見ます。時間帯を日によって変えると、止まった位置が場所のせいなのか時刻のせいなのか読めなくなります。5日見ても舐め始めないときは、回数そのものが減っているので、位置ではなく1日に舐めた回数を数える形に切り替えます。
- 手で通すだけで、ブラシは使わなくてもいいのでしょうか。
- 抜ける量が少ない時期は、手だけで足ります。指の腹で根元から毛先へ抜くと、ほどけたもつれと余分な脂が手のひらに移ります。ブラシが必要になるのは、抜け毛が被毛の中にたまって、手では外へ出てこなくなったときです。換毛期に入った週は、手のひらに毛が付き続けるようになるので、それが合図になります。使う順番は変えないでください。手のあとにブラシで、逆にすると静電気で毛先が浮きます。
- 2匹いて、片方だけが手伝いを受け入れません。同じやり方でいいですか。
- 終点の数え方は同じで、場所を分けてください。もう1匹が見ている前では、舐め始めない子がいます。観察も手伝いも、別の部屋か、視線が切れる場所で行います。順番も固定してください。毎日同じ子から始めると、待っている側の子が自分で舐め始めるまでの時間が短くなります。受け入れない子は、終点の1つ先に手のひらを置くだけの日を3日はさんでから、指を入れる日に進みます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
