C09シーン別・暮らし

共働きで時間がない人が犬と猫の同居で困ること、その手当て

公開日 2024年8月17日|文=mofuwa編集部

明るい居間で、少し離れた場所にそれぞれくつろいでいる淡い色の猫と落ち着いた犬
同じ室内にいても、手入れを始める人と終わらせる人が種で分かれています。写真:Huy Phan/Pexels

平日の夜、帰ってから犬の足を拭いてブラシを入れると、だいたい12分かかります。同じ週に、猫へ手を当てていた時間を書き出してみたら、0分の日が4日ありました。犬と猫が同居している家なのに、予定表に乗っているのは犬のほうだけでした。時間がない平日の夜は、こちらが手を止めるまで終わらないほうから先に埋まります。猫は自分で毛づくろいをしていて、呼んでも来ない日がある。だから予定に乗りません。犬と猫の同居で増えるのは、手入れの時間ではなく手入れの種類のほうです。時間がない人の予定表には、終わりを自分で決められるほうだけが書かれます。書かれなかったほうは「自分でやるから大丈夫」という扱いになり、確かめられないまま何か月も過ぎていきます。この記事では、猫が本当に自分でやれているのかを、どこで見るのかという話を、8つの問答にまとめました。

犬と猫の同居で、手入れにかかる時間は2倍になりますか

答えから書きます。2倍にはなりません。2種類になります。犬の手入れは、人が始めて人が終わらせます。猫の手入れは、その子が始めてその子が終わらせます。同じ「手入れ」という言葉で呼んでいますが、主語が違うので、足し算では並びません。犬と猫の同居で時間がないと感じるとき、実際に足りていないのは分数ではなく、種類の違うものを1つの予定表に載せる方法のほうです。

この違いは、時間がない人にだけ効いてきます。時間に余裕がある家なら、猫が自分でやり終えたあとに人がもう一度手を当てても、誰も困りません。ところが平日の夜に使える時間が10分しかない家では、その10分は必ず「終わりを人が決められるほう」に吸われます。犬の足を拭き終わらないうちに寝ることはできませんが、猫に触らないまま寝ることはできてしまうからです。

犬と猫の同居で、手入れの主語がどう分かれるか
犬の側猫の側
始めるのは誰か人(散歩から帰る、という合図がある)その子(合図は人には見えません)
終わらせるのは誰か人(手を止めた時点で終わり)その子(満足した時点で終わり)
1回にかかる時間5〜15分。予定に書ける長さこちらの時間は0分。書けません
やらなかった日に分かるか分かる(床とにおいに出ます)分からない(同じに見えます)
時間がない日にどうなるか短くしてでもやるそのまま飛ばして、記憶にも残らない

表のいちばん下の行が、この記事の出発点です。犬のほうは、飛ばした日に飛ばしたと分かります。猫のほうは、飛ばしても飛ばしたと分かりません。時間がないことそのものより、片方だけが記録に残らないことのほうが問題になります。犬と猫の同居で3か月たったあとに「そういえば最近この子に触っていない」と気づくのは、たいてい猫の側です。

Note猫の手入れを増やしましょう、という話ではありません

猫は自分で毛づくろいをします。そこへ人の手を足すことが、いつでも良いわけではありません。この記事で増やすのは手ではなく、見る回数のほうです。時間がない家で現実的なのは、猫の手入れを犬と同じ量までもっていくことではなく、その子が自分でやれている範囲がいまどこまでなのかを、月に何度か確かめておくことです。確かめた結果、何もしなくていい月もあります。

猫は自分でやれているから大丈夫、と考えていいですか

半分は正しい答えです。猫は自分で毛づくろいをして、体のかなりの範囲に自分で届きます。犬と比べれば、人の手が要る量は明らかに少ない。ただ「自分でやれている」の範囲は固定ではありません。年齢、体重、季節、それに同居している犬との距離のとり方でも動きます。大丈夫かどうかは、猫が毛づくろいをしているかどうかではなく、いまの範囲がどこまでなのかで決まります。

範囲が動く場面は、たとえばこういうものです。体重が増えると、体をひねる姿勢が続かなくなって背中の真ん中が残ります。暑い時期は毛づくろいの回数が変わります。犬と猫の同居では、犬が近くにいる時間帯に猫が落ち着いて毛づくろいをしないこともあります。どれも、猫の側の努力の問題ではなく、条件のほうが動いています。条件が動いたことは、こちらが見ていなければ分かりません。

この線引きを一度でも手元に持っておくと、時間がない日でも迷わなくなります。触るかどうかを毎回考えるのではなく、届きにくい3か所だけを見る、と決めてしまう。犬と猫の同居では、犬の側にどうしても手が寄るので、猫の側は判断そのものを減らしておくほうが続きます。決めるのは今日1回で、以後は同じ3か所を見るだけです。

猫が自分でやれているかは、体のどこを見れば分かりますか

見るのは4か所です。あごの下、背中の真ん中、尾のつけ根、後ろ足のつけ根。そして見るのは汚れではなく、毛の向きです。汚れは目で探すと時間がかかりますし、暗い室内では分かりません。毛の向きなら、手のひらを当てて往復させるだけで、10秒かかりません。時間がない夜でも、この形なら犬の手入れのついでに入ります。

  1. 手のひらを、毛の流れに沿って一往復させる

    指先ではなく手のひら全体を使います。力はかけません。撫でるのと同じ速さで、背中の真ん中からしっぽのつけ根まで一往復。猫は撫でられているとしか思わないので、逃げられません。時間がないときに、いちばん確実に完了する形です。

  2. 毛が起きて戻るか、寝たままかを見る

    手を動かしたあと、毛が自分で起き上がって元の向きに戻るなら、そこは自分でやれている面です。押した形のまま寝ていたら、そこは毛づくろいが届いていない面です。色や汚れではなく、戻るかどうかだけを見ます。

  3. 手のひらの表面に、何が残るかを見る

    べたつくのか、粉のようなものが乗るのか、何も付かないのか。犬と猫の同居では、犬を触った手でそのまま猫を触ると分からなくなるので、順番はどちらでも構いませんが、あいだで手を洗ってください。

  4. 指が途中で止まるかどうかを見る

    毛の中を指で通したときに、途中で止まる場所があれば、そこは絡み始めています。止まらなければ、その日は何もしなくて構いません。4か所を全部やっても40秒です。やる価値があるのは、これが「やらないと分からないこと」だからです。

4か所を手のひらで確かめたときの、2つの手ざわり
場所自分でやれているとき届いていないとき
あごの下毛が細かくそろっている毛が束になり、指がひっかかる
背中の真ん中手を離すと毛が起き上がる押した形のまま寝ている
尾のつけ根手のひらに何も残らない指の腹がわずかにべたつく
後ろ足のつけ根指が奥まで通る途中で止まる場所がある
同じ猫の体の中で、面が2つに分かれる 毛づくろいは体の全面に均一に届いているわけではありません。自分の口と前足で届く面と、姿勢を保てる時間で決まる面が、はっきり分かれます。 同じ一頭の中で、条件が2つに分かれています 自分で届く面 前足・胸・わき腹 毎日そのまま整う 手を離すと毛が戻る 人が触らなくてよい 月ごとに変わらない 姿勢で決まる面 背中の真ん中・尾のつけ根 体をひねる姿勢が要る 押した形のまま寝る 人の手が代わる場所 月ごとに範囲が動く どちらを見るかを決めておくと、確かめる時間が10秒で済みます
見るべきなのは、届く面ではなく、姿勢で決まる面のほうです。

犬と猫の同居で、なぜ犬のほうにだけ時間を使ってしまうのですか

理由は3つあります。どれも、こちらの気持ちの問題ではありません。犬の手入れには、予定に乗る条件がそろっていて、猫の手入れにはそろっていない。それだけです。時間がない人が犬に偏るのは、犬を優先しているからではなく、猫のほうが予定表に書ける形になっていないからです。

予定に乗るかどうかを決めている3つの条件
条件犬の側猫の側
始まりの合図があるかある(散歩から帰る、玄関を上がる)ない(いつ始めてもいい)
終わりを人が決められるか決められる(手を止めれば終わり)決められない(その子が離れたら終わり)
やらないと目に見えるか見える(床の毛、室内のにおい)見えない(翌日も同じに見えます)
予定表に書けるか書ける(帰宅後12分、と書ける)書きにくい(相手の都合が要ります)
時間がない日の扱い短縮して実行そのまま消える

3つのうち、こちらで作れるのは1つ目だけです。猫のほうに、始まりの合図を作ってしまいます。おすすめは、犬の手入れの終わりを猫の合図にすることです。犬の足を拭き終わって布を置いたら、手を洗って、そのまま猫のいる場所へ行く。時刻ではなく動作に紐づけるので、帰宅が遅れた日でもずれません。犬と猫の同居では、この連結が、時間がない家でいちばん壊れにくい習慣になります。

2つ目と3つ目は、作れません。猫の側の終わりは、こちらが決められない。やらなかった日も見た目は同じ。だから、猫のほうは「やる」ではなく「見る」に置き換えます。見るだけなら、その子が離れた時点で終わっても目的は達しています。10秒で終わり、記録にも残せます。時間がない人にとって、終わりを自分で決められる形にしておくことが、続けられるかどうかの分かれ目です。

猫には、道具と手のどちらを先に当てればいいですか

手が先です。道具は毛を通すためのもので、通した結果は分かりますが、毛の下がどうなっているかは返してきません。手のひらは逆で、整える力はほとんどないかわりに、温度・湿り・べたつき・毛の起き方を一度に返してきます。時間がない夜に猫へ回せるのが1手だけなら、返ってくる情報が多いほうを選ぶほうが得です。

犬のほうは順番が逆で構いません。面積が広く、毛の量も多いので、手のひらだけでは端まで届かない。犬は道具が先、猫は手が先。これが、犬と猫の同居で唯一はっきり分けておいたほうがよい部分です。ついでに言えば、時間がない家で道具を増やすのはおすすめしません。猫用に何かを買い足すより、犬の手入れが終わった手をそのまま使うほうが、実際には毎日続きます。

手で確かめて、そこから何かをする日は、水を使わない日のケアの範囲で足ります。猫用のグルーミングウォーターを布に含ませて、背中の真ん中と尾のつけ根を毛の流れに沿って一往復。汚れを落としきるためではなく、毛の向きを起こしておくためと考えてください。噴射の音を嫌う子が多いので、猫の体には直接かけず、布に含ませてから当てます。1か所20秒で切り上げるほうが、次の週も受け入れてもらえます。

週に何回、猫に手を当てればいいのか知りたいのですが

週に2回、1回30秒で足ります。回数を増やすより、いつどこを見るかを決めるほうが効きます。時間がない家で「毎日やる」と決めると、3日で崩れます。週2回なら、片方の日が流れてももう1回残ります。犬と猫の同居では、犬のほうに毎日の予定が入っているので、猫のぶんは犬の予定に乗せる形で置くのがいちばん壊れにくくなります。

週2回を、どこに置くか
いつ何をするかかかる時間
水曜の帰宅後犬の足を拭いた手を洗い、猫の背中の真ん中に手のひらを一往復30秒
水曜の帰宅後尾のつけ根に指を通す。止まる場所があるかだけ見る10秒
土曜の朝あごの下と後ろ足のつけ根を、手のひらで一往復30秒
土曜の朝前の週と違う面があれば、その面だけ布で一往復1分
月に1回4か所を通しで見て、範囲が動いていないか確かめる2分

曜日そのものに意味はありません。大事なのは、犬の側の習慣にくっついていることです。帰宅後の手入れがある日、洗い物のあと、ごみを出す朝。すでに毎週決まって起きている動作の直後に置いてください。時刻で決めると、残業した日と早く帰れた日で位置が変わります。動作で決めると変わりません。時間がない人の習慣は、時刻より動作のほうが長く残ります。

Point猫を呼び寄せないこと

週2回と決めても、その時刻に猫がそばにいるとは限りません。いないなら、その回は流してください。呼んで来させたり、抱き上げて連れてきたりすると、猫の側では「手を当てられる=連れてこられる」という順番で記憶されます。犬と猫の同居で猫が近づかなくなるのは、たいていこの積み重ねです。いる場所へこちらが行って、いなければやらない。この形なら、時間がない週でも罪悪感が残りません。

時間がない週に、やらなくていいことはどれですか

3つあります。猫を探して捕まえること、犬のブラッシングを毎日やること、室内のにおいを毎日確かめること。この3つは、時間がない週にはやめて構いません。犬と猫の同居でしんどくなるのは、作業量そのものより、やれていないと感じている時間のほうです。やめるものを先に決めておくと、その時間が減ります。

時間がない週に、やめていいことと続けたほうがいいこと
内容そう決める理由
やめる猫を探して捕まえること見つけるのに5分かかり、しかも次から近づかれなくなります
やめる犬のブラッシングを毎日やること週に2〜3回に落としても、床に落ちる量は大きく変わりません
やめる室内のにおいを毎日確かめること同じ部屋にいると慣れます。毎日嗅いでも差が分かりません
続ける犬の足を拭くこと室内へ運ばれるものを止められる、唯一の場所です
続ける猫の4か所を週2回見ることやめると、範囲が動いたことに気づけなくなります
続ける水と食べた量を見ること犬にも猫にも共通で、いちばん早く出る変化です

犬のブラッシングを毎日やらなくていい、と書くと不安に思われるかもしれません。落ちる毛の総量は、ブラシの回数ではなく季節で決まります。週2〜3回でも、床に落ちる量はそれほど変わりません。変わるのは、こちらが毎日追いかけているかどうかだけです。時間がない週は、そこを落として、そのぶん猫の30秒を残すほうが、犬と猫の同居では全体として釣り合います。

においについても同じです。同じ室内に毎日いる人の鼻は、その部屋のにおいに慣れます。毎日確かめても、差として読めません。週に1回、外から帰った直後の10秒だけに決めておくほうが、変化に気づけます。時間がないことは、この場合むしろ有利に働きます。家にいる時間が短いほど、戻ったときの落差が大きく出るからです。

7つの答えを帰宅後の10分に置き直す|犬と猫の同居で最後に残る疑問

最後に、ここまでの答えを時間の側から並べ直します。犬と猫の同居で使える時間が帰宅後の10分しかないとして、その10分をどう割るか。下の表は、やることを増やすための表ではなく、10分に入らないものを落とすための表です。入らなかったものは、時間がない週にはやらないと決めてしまって構いません。

帰宅後の10分を、犬と猫に割り当てる
順番どちらにやることかかる時間
1犬四つ足の裏を拭く1分
2犬毛の流れに沿って背中から尾のつけ根まで一往復3分
3―手を洗う30秒
4猫いる場所へ行く(いなければ流す)30秒
5猫背中の真ん中に手のひらを一往復30秒
6猫尾のつけ根に指を通す10秒
7両方水の器を見て、入れ替える1分
――残り3分は使わない。翌日の余裕にする―

3分を空けてあるのは、犬の足がいつもより汚れている日や、猫がふだんと違う場所にいる日のためです。10分をぴったり埋めると、1つ増えた日にその日ぶんが全部崩れます。時間がない家の習慣は、余白の有無で寿命が変わります。埋めないでください。

最後に残る疑問は、たいてい「猫のほうに何か起きているのか、それとも自分が見ていなかっただけなのか」というところです。切り分け方は1つで、4か所のうち、寝たままの面が先週と同じか、増えているか。同じなら、いままで見ていなかっただけです。増えているなら、その子の届く範囲が動いています。犬と猫の同居では、犬の側の変化は目に入りますが、猫の側は面の数で数えないと分かりません。

Caution2週間で変わらないときは、動物病院にご相談ください

手のひらで見はじめて2週間たっても、寝たままの面が増え続けている、同じ場所を長くなめ続けている、地肌が赤い、毛が抜けた面がある、食べる量や水を飲む量が変わったまま、触ると声を出す、犬から離れて隠れる時間が長くなった。こうした変化があるときは、手を当てる回数を増やす前に動物病院にご相談ください。犬と猫の同居では、片方の変化がもう片方の行動に紛れて見えにくくなります。4か所のうちどこが何週間そうなのかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。時間がないときほど、早めに相談するほうが結果として短く済みます。

犬と猫の同居で時間がないという条件は、手を速くしても解けませんでした。解けたのは、2種類あるうちの片方を「やる」から「見る」に置き換えたところです。犬は人が始めて人が終わらせる。猫は見るだけにして、こちらの都合で終わらせられる形にする。帰宅後の10分は増えていません。増えたのは、猫の側で何が起きているかを言えるようになった週の数のほうです。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。